03/06/27 (金)
 昨夜、ミッコの子猫クロが死んだ。私の不注意による事故死、小さな体をさすったが息を吹き返してはくれなかった。悲しいのに涙が出ない。子猫のように小さく鳴いてみる。母猫ミッコに、ごめんね。不思議そうに私を見ている、猫の眼、眼、眼、その瞳・・・私も猫になりたい。手にすっぽり入るようなちっぽけな遺体は、仏壇にチリ紙に包んで安置した。それを他の子猫たちがいじるので、仕方なく冷凍庫に保管した。そういえばペロが死んだときも冷凍庫に入れたっけ。埋葬するにしのびなく、そうして数日間保管していた。いま同じように小さな子猫が冷凍庫に入ってる。明日になったら庭に埋葬しよう。ペロの隣がいいね。角材を切って小さなお墓もつくろう。ペロのときのように、私はそこでしばらく酒を飲んでいよう。きみが生まれたのは先月の30日だったね。初産で混乱するミッコを宥めての出産だった。ほぼ一ヶ月の命だったけど、死なせてごめん、そしてありがとう。ポケットにでも入るような小さな命のこと、私にはけっこう大きなことなんだ。めぐる季節のように、生まれた矢先から消えていく命がある。死んでは生まれ、生まれては死んでいく命の繰り返しに、その過程に私がいる。きみがいた。今日も何処かで生まれてくる命があれば、未練を断ち切って人生の終わりを迎える命もある。泣いた、笑った、それ以外の何があるというのだろう?
 グレィの子猫三匹、見つけたよ。また工場の片隅にやって来たんだ。私を見るとすぐ逃げた。害のない人間だと分かるまで、私は辛抱強く見守るよ。追い出しはしないから、安心してていいんだ。もう一匹はどうしたんだろう?何処かできっと元気に生きてるさ。きっと・・・夕暮れに子どもたちの戯れる声が聴こえてる。我が家の猫が、それを窓越しに眺めている。明日は晴れるだろうか?
 
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