Web上で一般公開されているイラク戦争の4月6日付け映像を検索してみた。イラク兵の被害状況を知りたかったのだが、米メディアでは、それらしき映像は右の写真たった一枚だった。最初は遺体かな?と思ったが、説明書きでは「死んだように横たわっている」とある。つまり、死んではいない、負傷者ということのようだ。映像からして生きているとすれば、かなりの重症を負っていると思われる。負傷した部分を隠すように箱を乗せているのが気になる。
6日時点で米軍はバスラの完全包囲を伝え、かつ陥落も間近としていた。写真右はそんな最中に撮られた一枚で、見張り役の兵士が地面にどっかり腰を下ろしている様子から、戦闘終了後の安堵感が伝わってくる。仮に写真のイラク兵が負傷したとしても、応急手当を受けた包帯なども見当たらず、私にはすでに息絶えているとしか見えない。
これまでカタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」は、誤爆とおぼしき空爆現場を積極的に報道してきた。ためにアメリカ政府から反米感情をあおっているとして顰蹙をかい、3日にはイラク内での取材活動禁止を言い渡されている。対する米英各局メディアは米英連合軍に不利な報道は極力控え、そうした報道規制に反感を抱く他国の記者が帰ってしまう場面もあった。
米軍のバグダッドに向けての快進撃は、今日の大統領宮殿制圧をもっても、軍事専門家にして首を傾げさせている。あれほど首都を巡って徹底抗戦を宣言、かつ国民に呼びかけていたイラク政府が、ここにきてバグダッドのシンボルともいうべき大統領宮殿を何ら抵抗することなく明け渡している。宮殿に至る第3歩兵師団の戦車群の侵入が、イラク軍の抵抗にあわなかったことは、本丸を死守しようとする意志がなかったことになる。まるでフセインは敵の侵入に活路を開いたかのようだ。指揮系統の乱れだけでは片付けられない奇妙さを感じてならない。 |
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4月6日、イラクのバスラにおいて、死んだように横たわっているイラク兵を監視する二人の英兵(AP) |
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