イラク開戦2003
03/04/07 (月)
「米軍が意図的に発砲」ロシア大使証言 米軍の弾丸発見
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 バグダッドを退去したロシアのチトレンコ駐イラク大使は7日、車列が銃撃されたときの模様について「米軍が意図的に発砲してきた」と証言した。退去先のダマスカスで記者団に語った。ロシアのインターネット通信「ストラナル」が報じた。

 米軍の銃撃が確認されれば、外交問題に発展する可能性もでてきた。

 銃撃された情況や、大使が「意図的」と判断した理由についての言及はなかった。しかし大使は、重傷を負った大使の車の運転手席から、米軍が使用するM16自動小銃の弾丸が複数個見つかった、と明らかにした。

 大使は銃撃を受けたあと、シリアに到着するまで数カ所の米軍検問所を通過する際、米軍が車内を検査しようとしたが拒否した、と語った。

(04/07 23:21)
米英軍、バグダッドの大統領宮殿2カ所占拠 反撃限定的

 米英軍は7日早朝(日本時間同日午後)、イラクの首都バグダッドの中心部へ侵攻し、フセイン体制の象徴だった大統領宮殿2カ所を占拠した。情報省と、イラク要人が利用するラシッドホテルも一時包囲した。米英軍はイラクの反撃は限定的だとしたが、数カ所で激しい戦闘となり、米側にも死傷者が出た。

 作戦は米陸軍第3歩兵師団第2旅団が主軸を担い、戦車70両、戦闘車両60両を連ね南西方向からバグダッド市内に入った。米海兵隊も市の東部に侵攻した。

 バグダッド中心部の大統領宮殿2カ所を急襲、占拠した。いずれもチグリス川の西岸にあり、大統領施設の中でも最も重要な宮殿とされる。

 近くにある情報省と、政府の公式会見などにも頻繁に使われたラシッドホテルも一時包囲したが、その後包囲は解かれた模様だ。

 米FOXニュースによると、第2旅団は大統領宮殿に星条旗と、師団の本拠がある米ジョージア州の大学校旗を持ち込み、校旗を宮殿に掲げた。

 ロイター通信によると、イラク軍は首都の東西を結ぶチグリス川の橋に防衛線を張り、首都東部への侵攻を阻止しようとしている。バグダッド東部での激しい戦闘で少なくとも米兵2人が死亡。また、AFP通信によると、バグダッド南端の米軍指揮所が砲撃され、米兵2人と従軍記者2人が死亡した。

 イラク側にも多数の死者が出た模様だが、全容はわかっていない。レバノンの衛星テレビ局LBC放送は、大統領宮殿近くで銃を捨てて逃げ、川に飛び込むイラク兵とみられる映像を映した。

 イラクのサハフ情報相は同日、記者会見し、「私は情報省にいた。米英軍の影もなかった」と語り、大統領宮殿の占拠を全面否定した。同時に、イラク国民に徹底抗戦を改めて呼びかけた。

 米国防総省当局者は英BBCに対し「これは我々の力を示す作戦だ」と話した。米中央軍前線司令部のブルックス准将は作戦の狙いについて明言を避けつつ、「部隊が首都中心部にとどまるかどうかは現場の指揮官の判断にゆだねる」と話した。

 ブルックス准将はまた、イラク軍について「全体的に弱体化しているが、指揮系統は完全に破壊されたわけではなく、依然として軍事的な脅威だ」とも話した。 (04/07 23:08)


英軍、バスラをほぼ制圧
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 イラク南部バスラを包囲してきた英軍は7日の記者会見で、市内のほぼ全域を掌握した、と述べた。現地からの報道では、数千人の英歩兵部隊が攻撃ヘリコプターなどの支援を受けながら、前日に続いて再び市内に侵攻した。フーン英国防相は、英軍がこのまま市内に残留する方針であることを明らかにした。

 英軍によると、6日の侵攻ではイラク側民兵約300人を殺害。英軍側も3人が死亡したという。

(04/07 22:54)



バグダッドで市民とイラク軍衝突 国営イラン通信報じる
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 国営イラン通信は7日、バグダッドからの情報として、市民とイラク軍との間で武力衝突が起き、少なくとも35人の兵士が死亡し、市民側にも死傷者が出たと伝えた。イラク軍は衝突後、反乱を指導したと見られる市民の家数軒を攻撃した。

(04/07 21:48)


イラク側、チグリス川東岸の旧市街地の市街戦で抵抗か
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 イラクのフセイン大統領の権力の象徴である大統領宮殿が7日朝、あっけなく米軍に制圧された。最精鋭の共和国特別防衛隊の抵抗がなかったことから、フセイン政権は抵抗の主戦場をチグリス川の東岸にある旧市街地に想定していると見られる。今後、民衆を盾にした市街戦で権力の延命を図る可能性があるが、どこまで民衆を従わせることができるかが鍵となりそうだ。

 この日占拠されたチグリス川西岸の大統領宮殿は、川向こうの東岸沿いに走るアブヌワース通りから見えるが、写真を撮ることも禁じられ、長い間「絶対権力」のありかだった。その宮殿の制圧は国民にとって、身近な権力の象徴の一つが崩れたことを意味する。

 米英軍がサダム国際空港を制圧して「バグダッド国際空港」に名前を変えるなどの象徴破壊の戦術は、国民の中にある絶対権力への恐怖を崩す作戦だ。大統領宮殿の素早い制圧は、国民に「フセイン体制はあとがない」との意識を植え付け、政権支持の放棄を誘う作戦と見られる。

 米軍は開戦以来、「大統領の軍隊」である共和国防衛隊を武装ヘリや空爆でたたき、徹底抗戦の余地を与えない戦術をとった。防衛の最大の山場と見られたカルバラで米軍がメディナ機甲師団の防衛線を突破した時も、ほとんど抵抗はなかった。国際空港の攻防でも共和国防衛隊の抗戦は限定的だった。すでに空爆によって装備は半減していると英軍事筋は推定する。

 首都内の守りは、大統領への忠誠心が高い1万5000人の共和国特別防衛隊が担う。そのため、道幅も広く、米軍の戦車部隊が動き回りやすい西岸を放棄し、抵抗の拠点を東岸に移す戦術を取る可能性がある。東岸は戦車の通れない狭い路地が迷路のように走る繁華街やバザールがあり、装備で劣るイラク側のゲリラ戦には適している。

 さらに東岸の密集する住宅地が抗戦の場となれば、民間人の犠牲が大きくなるのは避けられない。 (04/07 21:37)



「フセイン政権は終わりに近い」 英国防相
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 フーン英国防相は7日記者会見し、フセイン政権は終わりつつあるとの認識を示した。米英軍はフセイン大統領と息子たちの所在はつかんでいないとしながらも、「政権は終わりに近い」と語った。

 一方で国防相は「政権が倒れても抵抗がなくなるわけではない」と指摘。共和国防衛隊の戦力は半減したが、民兵らを相手とした「困難で危険な時期」は続くとの見通しを示した。

(04/07 21:33)



イラク軍司令官や兵士128人、クルド側に投降
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 イラク北部クルド人自治区のクルド愛国同盟(PUK)筋は7日、朝日新聞に対し、数人の司令官を含むイラク軍兵士128人がクルド側に投降したと明らかにした。同筋によると、イラク軍は米軍の激しい空爆を受け、モスル、キルクークに向けて後退を続けている。

 また同筋は、イラク政府がキルクーク市当局に、人口統計に関する資料をすべて焼却するよう命じたと述べた。フセイン政権は、油田地帯の要衝キルクークから、クルド人やトルクメン人を強制移住させ、同市の「アラブ化」政策をとっていた。

(04/07 21:03)



トルコ、イラン、シリアが戦後協議 米英主導を牽制
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 イラク周辺国のトルコ、イラン、シリアが、外相を相互に派遣してフセイン政権崩壊後を見すえた協議を始めた。米英主導の戦後体制づくりを牽制(けんせい)する意図と見られる。同時に、国内に少数民族としてクルド人を抱える3国が共同歩調をとり、イラクのクルド人が独立に近い地位を占めるのを阻止する狙いもある。

 イランのハラジ外相は6日、アンカラでトルコのギュル外相と会談した。記者会見でハラジ外相は、「イランとトルコは同じ懸念を持っている。イラクの将来は近隣諸国との協議抜きには決められない」と強調した。

 また、クルド問題については「イラクの領土的統一が維持されねばならない。この点で米国が誤れば、手痛い影響に見まわれるだろう」と述べた。

 ギュル外相は、13日にダマスカスを訪問してシリアのシャラ外相と会談すると明らかにした。

 湾岸戦争後、フセイン政権の管理を離れて、事実上の自治を実現しているイラク北部のクルド人は、フセイン後に連邦制を主張。より独立国に近い地位を得ることを模索している。トルコ、イラン、シリアは、こうした動きが国内のクルド人の分離独立運動に火を付けることに神経をとがらせている。

 ただ、トルコ軍がイラク北部のクルド人自治区に大量の部隊を送り込む構えを見せたことに対して、イラン側は懸念を表明している。シリアが一時、トルコで武装独立闘争を続けるクルド労働者党(PKK)を支援するなど、互いのクルド勢力を外交カードとしてきた側面もあり、3国の立場は必ずしも一枚岩ではない。

(04/07 21:02)



イラク元国防相死亡か フセイン大統領のいとこ

 フセイン大統領のいとこで、「ケミカル・アリ」と呼ばれていたイラク南部の軍司令官アリ・ハッサン・アルマジド将軍の遺体が、バスラの自宅で見つかった。AP通信が7日、英軍情報として伝えた。フーン英国防相は同日、「死亡した可能性は高いが、最終確認はできていない」と話した。将軍は国防相も務めたフセイン大統領の側近中の側近で、「イラクの生物・化学兵器の責任者」として米英軍から命を狙われていた。

 88年、反乱を起こしたクルド人勢力を、化学兵器で虐殺したとされる。異名の元にもなった。

 同通信などによると、米英軍は殺害を狙って5日、バスラ市内の将軍宅を空爆した。当初、将軍の消息はわからないとしていたが、実は死亡を確認していたという。

 同将軍の死亡確認が、6日に英軍がバスラ制圧に乗り出した理由の一つだったという。将軍は50代だったとされる。

(04/07 20:03)


イラク南部バスラで略奪 アルジャジーラが伝える
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 カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは7日、「イラク南部の都市バスラで行政施設や病院が略奪に遭っている」と報じた。現地に駐留する英軍の目の前で、盗んだテレビ、じゅうたん、照明器具などを台車に乗せて市内の通りを移動する男たちの映像を流した。

 バスラにいる同局のリポーターは「英軍が略奪を放置すれば、略奪対象は一般家庭や商店に広がり、市民同士の殺し合いに発展するかもしれない」と話し、現地が無政府状態になりつつあると指摘した。

(04/07 19:43)


イラク側、米軍の首都中心部占拠を否定 情報相会見

 イラクのサハフ情報相は7日午前(日本時間午後)、バグダッド市内で記者会見し、米軍の戦車部隊がバグダッド中心部に侵入していないと主張、大統領宮殿などの制圧についても否定した。

 サハフ情報相は「こちらこそ敵を制圧した。敵を全員排除する。侵略者の声を信じないで欲しい」と語った。

(04/07 16:06)


WHO、バグダッド市民の健康危機を警告
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 世界保健機関(WHO)の報道官は6日、アンマンで記者会見し、米英軍が包囲網を強化、爆撃を続けているバグダッドでは500万人近い市民の健康が危機にさらされていると警告した。

 報道官は「連日の爆撃で医療インフラは破壊され、負傷者は急増している。病院は患者であふれているのに、医薬品の補充は困難だ。今後数日でさらに事態は悪化、極めて深刻な状態に陥ることを懸念している」と語った。

 報道官によると、鎮痛剤や抗生物質、インスリンなどの薬のほか、外科用の医療器具などが不足している。

(04/07 13:07)



フセイン大統領、TVで「首都防衛のために戦え」
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 イラク国営テレビは6日、フセイン大統領が軍幹部や長男ウダイ氏、次男クサイ氏らと協議するテレビ映像を放送した。アナウンサーは大統領が「所属部隊を離れた兵士は、可能な別の部隊に加わり首都防衛のために戦え」と命じたと伝えた。米英軍との戦闘で、イラク軍部隊の組織が寸断されていることを大統領自身が認めたうえでの命令とみられる。

 撮影場所は不明。同テレビは5日も側近らとの会議に出席した大統領の映像を流した。 (04/07 11:46)



イラク軍の死者、最大で3000人 空港や首都攻防戦

 米中央軍のウィルキンソン報道官は6日、イラクの首都バグダッドと周辺でのイラク側死者数は2000〜3000人とフランクス司令官に報告があったことをAP通信に語った。3日夜から始めた国際空港の攻略から5日の市街地侵攻までの通算推定で、開戦以来、米側が公表した一地域での死者数としては最多だ。

 とくに5日の侵攻では相当数が殺害された模様だ。米陸軍第3歩兵師団に従軍したニューヨーク・タイムズ記者の報道によると、米部隊は、沿道の民間人にまぎれて襲う民兵らを次々に銃撃、米兵らは「道路脇に数え切れないほど横たわった人々」「イラク兵だけでなく市民も巻き込んだ死と破壊」を目撃した。

 3時間、40キロにわたって侵攻した指揮官の一人は「1000人以上が死んだ」と語った。中央軍のブルックス准将も6日、「どの交戦も一方的で、かなりの破壊があったのは間違いない」と述べた。

 中央軍報道官は死者数に絡み、「戦闘規模を過大にとるべきではない」と説明。沿道の一部では市民が歓迎したことも強調したが、従軍記者らの報道では、死者に民間人も含まれているのは確実とみられる。6日の侵攻でも、「イラク側の数百人が死傷したようだ」と米指揮官の一人がAFP通信に語った。

 戦闘はまだ首都中心部では起きていない模様だが、バグダッドからの情報では、すでに数千人が脱出したとされる。市街戦の拡大に伴い、市民の動揺は次第に拡大するとみられる。 (04/07 01:28)