今のところ猫族八匹何事もなく順調に育っているが、これから歳月を経るに従って様々な運命模様が展開されていくことだろう。「生きものは死ぬからペットを飼わないことにしている」といった言葉をよく耳にする。そんな時に「あんたも生きものじゃないの?」と言うと、ちょっと戸惑い一様に「それもそうだね」と笑い出す。それでいて自分が「生きものである」ということを、その時点ではっきり認識しているのかどうか?疑わしくなることがある。心のどこかで『自分だけは死なない』もしくは『今のところ急に死ぬことはない』と思っているようなフシがあるのではないか・・・自分を含めての自問自答だが・・・そう思える。今年の夏、私より一つ年上の従兄が急死した。最愛の妻や子供たちを残しての突然死であったが、その子供たちは自立できるぐらいの年頃になっていたのが不幸中の幸いでもあった。それでも思春期とあって、父親を亡くした喪失感は耐え難いものであったに違いない。
私の父が急死したときもそうだった。いったい何が起こったのか?まだ若かった私が、途方に暮れていたのを鮮明に思い出すことが出来る。そんな中で儀礼的な葬儀だけが進められ、悲しんでいる余地を与えないほど弔問客の対応に追われていた。葬儀を終えたあとも、そうした慌しさの余韻に疲れ果て脱け殻のようになっていたのを記憶している。不謹慎だが「ホッとした」というのが正直な気持ちだった。それからしばらくして、仕事に向かう車中からほんの一瞬ではあったが、父によく似た人を見かけた。その時初めて父を失ったという喪失感に襲われた。突然の悲痛に心が締め付けられ、涙が溢れた。父が死んだときには「おまえが殺したようなものだ」と責められ、母が死ぬ直前には「あんたは母親が死ぬのを待ってんだろ?」という言葉を投げかけられた。そうして決まって云われたことは「もうこの会社も終わりだな」であった。いったいこの人たちに私の何が分かっているのだろう?その後、何度か知人の葬儀に参列し、遺産相続の醜い争いや陰口に遭遇してきた。従兄の死にも同じ親戚から「あそこは付き合いもなかったんだから、葬儀に行く必要もないんだ」といった声を耳にした。人間の死という厳粛たるべき場面においての、人間どもの密かで陰険な囁きには耳を覆いたくなる。
生きることだけに生きているような猫族たちを見ていると、欺瞞に満ちた人間社会のありようも見えてくる。野良猫ペロの死にも、私のささやかな感謝を込めて小さな葬儀を捧げた。夏の日の夕暮れに「五木の子守唄」を歌いながら涙した小さな小さな葬式のことを・・・私は決して忘れない。忘れられていいのは私であり、私の死であり、もはや人間社会でいうところの墓はまったく望まない。夏が過ぎて秋がやってきている今、ビワの木の根元に埋められているペロもすっかり土に溶け込んだであろうことを想像して・・・ビワの根に吸われたペロの命が、そのビワそのものとなったことを確信している。人間はまた人殺しを合法化した戦争を始めようとしている。そんなことは知ったこっちゃない偽善的平和な人々の只中にあって、少なくとも人殺しを容認することだけは拒むことの信念を保っていきたい。私は戦争を望まない。それでも望まない戦争は起きるようであれば、真っ先に私を殺してほしい。殺戮を合法化する有事法制の欺瞞に、殺されないために殺すよりも、殺されることで自分の意思表示としたい。
午後、磨きの予定を変更して再び下地調整を繰り返している。下地の段階で手を抜いたため、仕上げに苦労したことを思い出したためだ。比較的粗い中目パテで凸凹を埋め、さらに細目パテで平面に慣らしていく。この段階で平面にしておかないと、仕上げの艶出しで些細な凹凸がくっきり浮かんできてしまう。傷ひとつ付けられないし、空気中に漂う埃すら大敵になる。ときに苦痛に感じられる仕事のこと、そんな時にはあえて感情を押し殺してひたすら作業に没頭することを心がけている。誰が見ていようと見ていまいが、自分の手がけた仕事だけが全てを物語る。仕事に嘘はつけない。手抜き作業は自分に嘘をつくことでもある。かつてせっかく仕上げた製品に猫の足跡がついていたことがあった。乾燥していない時に猫の毛でも付着すればやり直すことになる。そんなことを知ってか知らずか、今日も猫族たちが作業中の私に纏わりついている。
【視聴予定】
■19:00-20:54 テレビ朝日 緊急指令!!これマジ!?世界のふしぎと戦うぞ
▽ついに決着・アポロ月面着陸ヤラセ(秘)騒動疑惑の元宇宙飛行士にデビ夫人が突撃取材▽史上最強の気功パワーシベリアの猛獣トラを倒す▽中国の古代恐竜&トルコのUFO激写
■21:00-21:54 TBSテレビ 世界・ふしぎ発見!「砂漠が花園に・南アフリカ奇跡の変身10日間」
8000万年進化の魔法&人間樹
■22:20-23:00 NHK総合 地球に乾杯「オーストラリア桟橋物語」
▽暮らしと自然に解け合う架け橋
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