明かされたカバラ03:『苦難の道とトーラーと戒律の道』

KABBALAH REVEALED

アンソニー・コジネック
Anthony Kosinec


《 明かされたカバラ03:『苦難の道とトーラーと戒律の道』 1/3 》

 こんにちは。カバラリビールドにようこそ、トニー・コジネックです。
 前回は発達の力、欲求の発達について話しました。現実がどうやって人間を進化の道にそって突き動かすのかについて、上層世界(霊的な世界)と物質世界を定義する特質について、人間の認知方法の何が霊的な世界を見えなくさせ、それをより大きな現実にしているのかについて、欲求の発達を見てきました。
 肉体的な欲求には4つのカテゴリーがあり、創造の思考の目的とは被造物を創造し無制限の喜びに至らせるということから、クリエーターは喜びを使って被像物を進化させます。よって創造の思考から始まった進化は、欠乏感と満足感ですべてが表現されるのです。欲求は食料、性交、住処、家族といった動物的で単純なものから発達し始めます。
 そしてそれが満たされると欲求はもっと大きくなり、富への欲求に移行します。富とは動物的欲求を集めたものです。しかしそれも虚無に感じるようになります。なぜなら人間は常に何かに突き動かされ、それを美味しさのようなものとして感じ、それを獲得しようと近づくのですが、それを取得するとその美味しさが消えるためです。
 私たちを突き動かすものとは発達の力なのです。次に欲求は富から名声・権力・名誉へと移行します。それがいったん満たされるとまた虚無を感じ、次に知識欲へと移行します。いったん知識も虚無であると分かると、この世のもので自分を満足させるものがないと感じ、途方に暮れます。そしてちょうどその時から、まったく新しい、発達段階に到達できるようになります。
 その特別な欲求が「授与する意志」という特質で構成されているスピリチュアリティから心に入ってくると、人間の心のすべてが変化します。人間の心(“心”という言葉をカバラで使うとき、それは人の持つ全欲求の合計を表します)。この心はまだ物質界にある欲求でいっぱいです。まだカテゴリー1、2、3、4の部類です。
 この欲求はスピリチュアリティに到達したいという欲求で、“イスラエル”と呼ばれます。ヤシャーは“まっすぐ”、エルは“神”を意味するヘブライ語がその語源です。神と直接的に繋がりたいという欲求です。
 これらの肉体的欲求は世界の“諸国家”(ネーションズ)と呼びます。言い換えると物質的な世界の欲求です。発達の力・欲求は私たちに物質界の上にあるものを実際に感じたいと思わせるようにまでなりましたが それは無意識なことでした。しかしここから先は意識的に起きなくてはなりません。なぜならこの心の点はスピリチュアリティの、遺伝子、魂の胚のようなものであるからです。
 そして魂とは欲求のようなもので、心はこの欲求で満たされなくてはならないのです。それはこれらの肉体的欲求にかかわらず、全部を満たさなくてはなりません。言い換えると、私たちの持つすべての欲求が変化、又は正されなければならないということです。そしてこれらの欲求を正すことにより、神と直接的に一体化したいという欲求が満たされるのです、何故でしょうか?
 私たちの最初の状態ー魂の根源では“クリエーターと被造物”としてひとつに繋がっていました。実は創造のなかで存在するものはこれだけです。クリエーターと被造物だけです。ここで私たちは1つに結合した被造物として、クリエーターと一体化されていました。しかし創造の思考とは被造物を創造し、それを喜びで満たすということなので、これはたんにスタート地点ー体系(システム)の始まりにしかすぎません。
 そしてこの被造物の特質ー受取る意志が意図的に膨らみはじめ、この特質ー自己だけの為に受取るという欲求ーの膨張の結果として、クリエーターの特質(授与)と被造物の特質(受取)の間に差異が生じ、その差異は拡大しました。
 利己的な意図が膨張するにつれて1つに統合された最初の被像物ー“アダム・ハリション”(最初の人間という意味)と呼ばれる魂の集合体が世界の体系を中の125段階を下降し、エゴイズムを膨張させ魂が肉体を持ったように見える分断された状態にまで至りました。つまり、魂の集合体が粉々になり、60万の断片にまで分離したのです。
 その各部には原型の一部があり、それらは欲求でできています。そして、これはまだ過程の中間地点なので、私たちは、この壊れてバラバラになった集合魂の状態の中、お互いからの孤立、疎外、敵対心を感じます。それは互いを利用しようとする欲求です。そして物質界で過程は中間地点などでいずれこの欲求は是正されるのです。
 それはいつか世界の体系のなかを上昇し、クリエーターと結合した状態に戻ります。しかし全体が一度に戻る訳にはいかず、故意に60万個の部分にまで分断されたのです。そしてこの各部の中も同じように、613個の欲求に分離されました。つまりアダムハリションの中の個々の欲求は、613個の欲求で構成され、是正することができるのです。それが小さく分けられたからです。
 例えると大きな財宝をコイン一枚ずつ人に渡して分けるようなことです。の授与の特質が戻されると分かっていたからです。つまり、この心の点(授与の特質)が、その起源に戻されると信用されているため、再び財宝は一つに集められて戻されるということです。

 <2009.7.7 テキストファイル化>   


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