2001
12/5
<アフガン爆撃>米兵巻き添え2人死亡、20人負傷 米国防総省

 米国防総省は5日、アフガニスタンのカンダハル北部で米兵2人が死亡し、20人が負傷したことを明らかにした。B52爆撃機による爆撃の巻きぞえとなったものだという。(毎日新聞)
北部同盟が閣僚の半数占める…ボン協議合意

 【ボン5日=宮明敬】タリバン政権崩壊後のアフガニスタン暫定政権樹立を目指して、ドイツ・ボン近郊で続けられてきたアフガン主要4派政治協議は9日目の5日朝(日本時間夕)、今後半年間の国家運営を担い、国際社会の復興援助の受け皿ともなる暫定行政機構の人選で合意、総選挙までの2年半の暫定統治の枠組みを定めた合意文書に調印して閉幕した。

 これまで正当元首として国連からも認知されて来た北部同盟指導者ラバニ氏らは今月22日、同行政機構に権力を移譲する。一方、国際社会は、この合意履行の環境を整えるため、多国籍軍の早期派遣と本格的復興援助を求められることになった。

 臨時内閣に相当する暫定行政機構は、土壇場で閣僚ポストが1つ増設され、計30人で構成されることになった。

 ポストの割り振りは、ザヒル・シャー元国王派内の人選のもたつきなどで完了しなかったため、調印された合意文書では、元国王派で最大民族パシュトゥン人の有力指導者、ハミド・カルザイ元外務次官を議長(首相に相当)にすることを明記するにとどまった。しかし、協議の中で、国土の80%を支配する北部同盟が閣僚ポストの約半分を占めめ、アブドラ外相、カヌニ内相、ファヒム国防相の3人が暫定行政機構でも同じポストに就くことで合意したという。

 カルザイ氏と同様3人はいずれも40歳代の若手指導者。タリバン政権時代の女性抑圧への反省から、女性2人が閣僚に起用された。

 暫定行政機構は、緊急国民大会議(ロヤ・ジルガ)開催まで国政を運営、同大会議で樹立される暫定政府が、その後1年半の「移行期」の統治にあたる。

 緊急国民大会議の開会はザヒル・シャー元国王が行うが、その参加資格決定などの召集準備は、来年1月22日までに設立される特別委員会(21人で構成)が行うことになった。

 今協議の議長役を務めたブラヒミ国連事務総長特別代表は調印式で、4派代表に「民族和解、人権尊重、善隣友好の新政府を築けるかどうかは、あなた方の(合意履行)努力にかかっている」と訴え、国際社会に治安維持と復興への支援を求めた。また、ホスト国ドイツのシュレーダー首相は「きょうは、内戦に明け暮れたアフガンの未来を開いた日だ」と合意を祝福した。(読売新聞)
米国と同盟国の先遣部隊、タジキスタン入り


 [ドゥシャンベ 5日 ロイター] アフガニスタンで軍事行動を展開している米国と、その同盟国の先遣部隊が、タジキスタンに配備された。
 タジキスタン外務省のサタロフ広報官が記者会見で語った。
 合意に基づいて配備された先遣部隊は、米兵21人とイタリア兵38人。5日中には、フランス兵186人も到着する見通しという。
 広報官によると、外国人部隊の役割は、救助活動や人道的活動に限られるという。ただ、配備予定の総人数は明らかにされていない。(ロイター)
北朝鮮がテロ事件の影響を否定、対米強硬姿勢示す


 [ソウル 5日 ロイター] 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の労働党機関紙「労働新聞」は、北朝鮮が米同時多発テロ事件に動じない唯一の国であるとの論説を掲載した。
 朝鮮中央通信社(KCNA)が報じた。
同紙は、テロ事件によって国際情勢が重大な危機に陥り、国際関係全体に激震が走る中、北朝鮮は依然動揺せず、事件の影響はないと主張した。
 同紙はまた、米軍がアフガニスタンを中心に対テロ戦争を展開していることから、米政府の”朝鮮全土制圧の野望”がうかがわれると指摘。米国が北朝鮮を攻撃した場合、「北朝鮮は(米軍を)最後の1人まで壊滅する」と警告した。
 同紙はまた、米国がテロ事件に乗じて北朝鮮を脅し、損失を与えようと試みるのは”愚かな妄想”であるとしている。(ロイター)
<北部同盟>暗殺された故マスード将軍をしのぶ集会 カブールで

 【カブール井上卓弥】反タリバン連合(北部同盟)の最高司令官で、9月に自爆テロで暗殺された故マスード将軍(当時49歳)をしのぶ集会が5日、カブール市内の約300のモスクで一斉に開かれた。タリバン撤退後、カブールでの追悼行事は初めて。

 代表的なワジル・アクバル・ハン・モスクでは同日朝から、北部同盟兵士数十人が見守る中、市民が次々と訪れた。

 「マスードは外国人テロリストからアフガニスタンを救うために戦った。自らは地位を求めず、女性を含むすべての人々が政府を決めることのできる道を開こうとしていた」

 将軍の功績と遺志を説くムラーの声が流れる中、市民は無言で祈りを捧げ、配られた「尊敬すべき勇士マスード」というパンフレットに見入っていた。

 将軍と11年間行動をともにしてきたというパンジシール出身の兵士、ダウドさん(23)は「悲しみを新たにしている。将軍とともにカブールに入る日を夢見ていた」と話した。(毎日新聞)
アフガン会議、カルザイ氏をトップとする暫定行政機構枠組みで合意


 [ボン 5日 ロイター] 国連によると、ボンで開かれているアフガニスタン代表者会議で、代表各派がパシュトゥン人指導者のカルザイ氏を議長とする暫定行政機構の大部分のメンバーについて合意した。
 国連のファウジ報道官はロイター通信に対し、「合意に達した。(この政権の)発足日は12月22日」と話した。(ロイター)
<暫定政権>議長にパシュトゥン人のカルザイ氏内定 国連筋

 【ボン森忠彦】アフガニスタンの暫定政権づくりを目指す代表者会議で各派は4日、暫定政権の内閣に当たる暫定行政機構の人選を行い、議長(首相)は最大民族のパシュトゥン人から出すことで各派が合意した。国連筋は同国南部のパシュトゥン人指導者、ハミド・カルザイ氏(46)が内定したと明らかにした。また、各派は共和制国家を目指す文言を合意書に入れることで一致した。

 カルザイ氏はザヒル・シャー元国王の側近で、反タリバン勢力の中心人物として、タリバン切り崩し工作などにあたっていた。

 各派は議長と5人の副議長、23人の議員を選出する方針で、順調に進めば5日午前にも参加4派代表者が暫定政権発足を定めた合意書に調印する。各派が暫定政権の合意書に調印すれば、各派は国連安保理に首都カブールなどの治安維持に当たる多国籍部隊の派遣を要請する。今週中にも安保理が開かれ、欧州やイスラム諸国からの部隊が数週間で現地入りする予定だ。

 国連は今月22日に暫定政権発足を希望しているが、依然、流動的だ。(毎日新聞)
<ボン協議>各派代表者会議で共和制国家を目指す文言を合意

 アフガニスタンの暫定政権づくりを目指す各派代表者会議で各派は4日、共和制国家を目指す文言を合意書に入れることで一致した。また、内閣に当たる暫定行政機構の人選を行い、議長(首相)は最大民族のパシュトゥン人から出すことで合意した。パシュトゥン人指導者、ハミド・カルザイ氏(46)が有力となっている。(毎日新聞)
米軍特殊部隊員、アフガンで負傷=CBS


 [ワシントン 4日 ロイター] 米軍特殊部隊の隊員1人がアフガニスタンで銃撃され負傷した。CBSテレビが報じた。
 しかし、同隊員は航空機で病院に収容され、容体も安定しているという。
 10月7日の米軍による対アフガン攻撃開始以来、米国人の犠牲者はこれまで、先月の拘置所での騒乱による中央情報局(CIA)職員1人の死亡が伝えられている。(ロイター)
米軍、アフガニスタン国外で軍事攻撃の可能性も=ブッシュ大統領


 [ワシントン 4日 ロイター] ブッシュ米大統領は、反テロ戦争拡大の一環として、米軍が、アフガニスタン国外で、軍事攻撃に踏み切る可能性がある、と述べた。
5日放映予定のABCニュースの番組「20/20」で述べたもの。
同大統領は、「攻撃は、極めて重要になる。他の場所でも軍隊を使用する必要が出てくるかもしれない」と発言。その上で、「米国民には、われわれが、あらゆる選択肢を検討していることを知ってもらいたい」と述べた。(ロイター)
アルカイダのメンバー12人がトラボラで死亡=北部同盟司令官


 [カブール 4日 ロイター] アフガニスタンの反タリバン勢力、北部同盟のアリ司令官は、米軍の空爆により、ウサマ・ビンラディン氏率いるアルカイダのメンバー12人が、潜伏先とみられる国内東部の地下施設の内外で死亡した、と述べた。
 同司令官によると、東部主要都市、ジャララバードの南約55キロメートルに位置する山岳地帯、ホワイトマウンテンズのトラボラと呼ばれる洞窟密集地域に対して過去2日間に実施された空爆で、これらのメンバーは死亡した。
 同司令官は、ビンラディン氏の側近で、アルカイダのナンバー2であるアイマン・ザワヒリ氏が死傷者に含まれているとの報道を確認することはできない、と述べた。(ロイター)
アフガン南部砂漠地帯で1300人以上の米海兵隊が展開=国防総省


 [ワシントン 4日 ロイター] 米国防総省は、1300人以上の海兵隊員がアフガニスタン南部の砂漠地帯での展開を開始しており、タリバン勢力やアルカイダに対する警戒・攻撃作戦に従事していることを明らかにした。
 同省のクラーク報道官は記者団の質問に答え、海兵隊は各方面に展開し始めており、敵側の補給・通信網切断に寄与することになる、と述べた。
 同報道官はこれ以上の詳細には言及しなかったが、別の国防関係当局者はロイター通信に、海兵隊は特殊部隊とともに道路に監視体制を敷いており、ウサマ・ビンラディン氏やアルカイダ勢力が潜伏しているとみられる洞くつへの攻撃は仕掛けていない、と述べた。(ロイター)
アフガン部族勢力、2000人がタリバンと交戦の準備


 [カブール 4日 ロイター] アフガニスタン、ジャララバードの部族勢力の指導者、ハズラ・アリ氏のスポークスマンは、ウサマ・ビンラディン氏が潜伏しているとみられる東部の山岳地帯からタリバン勢力を駆逐するため、同部族の約2000人の志願兵が準備を進めていることを明らかにした。
同スポークスマンのアミン氏は、ジャララバードからロイター通信に対し、衛星電話を通じて、「ジャララバード・シュラ(評議会)は、地元の約2000人を機動させ、トラ・ボラからタリバンとその支持者を駆逐する」と述べた。
さらに、「現在、その地域に向かっている途中で、まだ戦闘は始まっていない。明日の朝にも始まる見通しだ」と述べた。(ロイター)
ミサイル迎撃成功 米が実験 2004年配備に向け加速

 【ワシントン3日平山孝治】米国防総省は三日(日本時間四日)、ミサイル防衛構想に基づく大陸間弾道ミサイル(ICBM)迎撃実験を実施し、成功したと発表した。実験はクリントン前政権の一九九九年以来五回目。ブッシュ大統領は二〇〇四年の初期配備を目指しており、今回の成功で計画をさらに推進していくことになる。

 ロシアや中国は同構想に強く反発、フランスやドイツなども慎重対応を求めており、反発は必至だ。

 国防総省によると、三日午後九時五十九分、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から敵のミサイルに見立てたICBM「ミニットマン2」を発射。二十二分後、約七千七百キロ離れた西太平洋クエゼリン環礁(マーシャル諸島共和国)の米軍基地から迎撃ミサイルを打ち上げ、ハワイ上空約二百三十キロの大気圏外で、ICBMの模擬弾頭を撃ち落とした。

 これで実験は、成功三回、失敗二回になった。ブッシュ政権下では七月に次ぐ成功。実験ではこれまで同様、ICBM弾頭から正確な位置を知らせる信号を発射前の迎撃ミサイルへ送り、命中しやすくした。国防総省は「今回の実験は(命中より)迎撃システム研究のため」としている。

 国防総省は、より高度なシステム構築を目指し、来年秋までに四―六回の実験を行う方針。また、迎撃基地は一カ所と定めたロシアとの弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の破棄・修正を求め、二番目の基地をアラスカ州に建設することも明らかにしている。

 実験は当初、十月下旬に予定されていたが、ブッシュ政権はアフガニスタンでの軍事行動のロシアの協力や核削減交渉にも配慮、延期していた。

■反テロ協調に影響も

 【ワシントン3日平山孝治】ブッシュ米政権は大陸間弾道ミサイル(ICBM)迎撃実験の成功を受け、ミサイル防衛構想を着々と進める方針だ。しかし、世界の多くの国の反対を押し切っての構想推進は、アフガニスタン攻撃などテロ一掃で構築した国際協力体制にも微妙な影響を与えそうだ。

 現段階のミサイル防衛構想推進については、米国内でも疑問視する声が根強い。一つは米経済が悪化する中で、一回の実験に日本円で百二十億円以上かかるという費用面。もう一つは、同構想について「ロシアや中国を念頭に置いたものではなく、イラクなどならず者のテロ支援国家からの攻撃に備えるもの」(ブッシュ大統領)と説明してきたことだ。

 「国家ではないテロ組織」による米中枢同時テロの発生で、大規模な防衛構想より、足元を見つめた計画が先決との議論も噴き出している。

 さらに技術面の問題もある。今回の実験は模擬弾頭から迎撃ミサイルに正確な位置情報を送信、命中しやすくしていた。今後は迎撃ミサイルをかく乱するおとり弾頭を増やしたり、位置情報の送信なしで弾頭を撃ち落とせるかなどの実験も必要だが、技術的保証はまだない。

 同構想と絡むロシアとのABM制限条約の破棄・修正問題は、先の米ロ首脳会談でもロシアが反対、継続協議になった。テロ対策では、ロシアや中国なども米国の要請で協力姿勢を維持している。しかし、協力を求める一方で、ミサイル防衛構想については“聞く耳を持たない”との米国の対応を、各国が容認し続けるかどうかには疑問符がつきそうだ。(西日本新聞)
アフガン復興支援NGO会議、11日から東京で

 アフガニスタン復興を支援する世界のNGO(民間活動団体)が、今後の活動のあり方を協議するため、11日から東京で3日間、「アフガニスタン復興NGO国際会議」を開く。農業、教育、保健医療分野の再建のほか、道路などインフラ整備や地雷除去などについて議論し、来年1月に日本政府が議長国となって開く閣僚級の復興支援会議に向けて提言を取りまとめる。カンボジア復興に貢献した明石康・元国連事務次長が基調講演を行う。

 主催は、緊急人道援助活動ネットワーク「ジャパン・プラットフォーム」(本部・東京都世田谷区)。会議には、アフガニスタンのNGO27団体、日本のNGO約60団体のほか、欧米からの出席も予定されている。(読売新聞)
<アフガン>支援策協議する東京会議 NGO27団体が参加へ

 アフガンの復興支援策をNGOが協議する「アフガニスタン復興NGO東京会議」の主催団体は4日、東京都内で会見し、11日から13日まで開催される同会議に、アフガンのNGO27団体の代表が出席することを明らかにした。東京会議は国内NGOや政府、経済界が組織する「ジャパン・プラットフォーム」が主催する。(毎日新聞)
<アフガン>アルカイダのナンバー2、ザワヒリ氏が空爆で負傷か

 現地からの報道によると、アフガニスタン東部ナンガルハル州のモハマド・ザマン司令官は4日「アルカイダ」のナンバー2、アイマン・ザワヒリ氏が3日の米軍の空爆で負傷したと語った。ザワヒリ氏はアルカイダの思想的、理論的な指導者で、死亡した可能性もあるという。死亡していれば、アルカイダには大きな打撃となる。(毎日新聞)
<アフガン政権協議>最終調整でラバニ氏の扱いが協議対象に

 【ボン森忠彦】アフガニスタンの各派代表者会議は4日、各派が3日に基本合意した暫定政権の合意書案の最終調整を続けた。この中で、国連が認めた「大統領」の地位にある反タリバン連合(北部同盟)のラバニ氏の扱いが協議対象となった。暫定政権ではラバニ氏の地位は保証されない代わりに、同氏の功績をたたえる文言を合意書案に明記することで各派が同意した。

 ラバニ氏は「私に野心はない」と発言する一方で、国連仲介で開かれたボン会議を「象徴的な結果しか出ない」などと協議の進展に水を差す発言を繰り返している。このため、ブラヒミ国連事務総長特別代表やフィッシャー独外相がカブールにいるラバニ氏に電話で、協議に協力するように説得を続けている。

 暫定政権の合意書案では暫定行政機構(内閣)の議長(首相)が最高権力者になる。議長には南部パシュトゥン人のハミド・カルザイ氏らの名前が挙がっている。国連は首相に最大民族のパシュトゥン人から選出されることを希望している。

 このため、タジク人のラバニ氏が暫定政権で首相などの指導的地位に就けない見通しとなった。ブラヒミ特別代表らの説得でラバニ氏は抵抗を弱めているという。また、北部同盟内部でカヌニ内相ら若手指導層が台頭し、ラバニ氏の発言力は低下している。

 国連筋によると、閣僚を選ぶ作業は「煮詰まっている」という。連立政権に参加する北部同盟など4派は合計約100人の候補者を登録した。選考は4派別の勢力配分を考慮するだけでなく、出身部族、宗教、性別、経歴などを総合的に勘案する。女性も数人入閣することで一致している。(毎日新聞)