2001
11/29
11/29 <アフガン会議>暫定議会の設置で合意

【ボン岸本卓也】アフガニスタンの暫定政権づくりを目指す同国各派代表者会議は29日、国連の提案した暫定政権の枠組みの中で議会に当たる「暫定評議会」の設置で基本合意した。難航する協議の中で同評議会だけでも大筋の合意を目指すことで各派が一致したことを受けたものだ。各派は評議会メンバーの候補者リストを提示するとともに議席数をめぐる交渉に入った。

 AP通信は、「暫定評議会」の設置で基本合意したことを受け、反タリバン連合(北部同盟)代表団筋が「これは重要な突破口となる」と述べたと報じた。

 国連が提案したボン会議での議題は(1)議会に当たる暫定評議会(2)内閣に当たる暫定行政機構(3)ロヤ・ジルガ(国民大会議)の招集――の3点。ボン会議ではこれらの機関の役割や規模、さらに各派に配分される人数や候補者選びが議論されることになっていた。

 国連筋の予想では暫定行政機構は20―23人。暫定評議会は15人程度という。このため、構成が小さい暫定評議会の検討から討議を優先することで合意し、詰めの協議を続けていたという。

 暫定評議会設置の合意にもかかわらず、その権力配分をめぐる各派の対立は必至とみられる。(毎日新聞)
<アルカイダ>爆破テロ犯息子の幹部を拘束か 反タリバン勢力

 【ワシントン布施広】29日付け米紙ロサンゼルス・タイムズは、ニューヨークの世界貿易センタービル爆破テロ(93年)に関与し終身刑の判決を受けたアブデルラーマン師の息子が、アフガニスタンの反タリバン勢力に拘束された模様だと報じた。

 ウサマ・ビンラディン氏が率いる組織「アルカイダ」のアハメド・アブデルラーマン幹部(35)で、アフガン国内でテロリスト訓練施設を運営していたという。拘束された場所などは不明。アハメド氏はビンラディン氏の居場所を知っている可能性があり、拘束が事実かどうか注目される。

 また、同紙は米当局者の話を引用し、アルカイダの主要メンバー20人のうち7人が米軍の空爆で死亡した伝えた。死亡者の中には同時多発テロの首謀者とされるモハメド・アテフ副官をはじめ、エジプト出身の「モハメド・サラ」「タリク・アンワル・アルサイード・アハマド」が含まれているとしている。

 空爆開始の時点で、アフガンにはビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」の戦闘員が4000〜5000人いたが、うち数百人は死亡、現在数千人が戦闘態勢にあるという。米当局者はアルカイダは大きな打撃を受けたが、なお米軍にとって危険な存在だと指摘している。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>オマル師住居近くに大型爆弾 タリバン幹部証言

 アフガニスタン南部の拠点都市・カンダハルのタリバン軍幹部で、けがの治療のためクエッタ入りした中佐クラスの指揮官が28日、毎日新聞社に取材にカンダハルでの詳しい戦況を明らかにした。カンダハルでは、激しい地上戦を繰り広げているほか、タリバン最高指導者オマル師の住居近くにも大型爆弾が投下されたという。(毎日新聞)
<タリバン>地元部族との交渉拒否を宣言 カンダハル明け渡しで

 【クエッタ(パキスタン中西部)井田純】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンは29日、南部の本拠地カンダハルなどの明け渡しを求めているパシュトゥン部族勢力に交渉拒否を宣言、カンダハルとパキスタン国境近くの要衝スピンブルダックから退去するように告げた。

 現地からの情報によると、タリバンは部族側に対し「もはや交渉の余地はない。タリバンはカンダハルとスピンブルダックを守るため、最後の血の一滴まで戦う」と表明した。交渉に臨んでいる部族勢力は、先週末、カンダハル―スピンブルダック間に位置するタリンコットで、投降を拒否したタリバン兵約170人を殺害したとされ、タリバン側が態度を硬化させたものとみられる。タリバン消息筋は「部族側との大規模な衝突に発展する可能性が強い」と指摘する。(毎日新聞)
米軍、アフガンの前線基地増設を検討

 【ワシントン29日=林路郎】米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンの捕そく作戦を本格化させた米軍が、アフガニスタンの前線基地増設を検討していることが29日、明らかになった。山岳地帯の洞穴を転々とするビンラーディンの発見から捕そくまでを短時間に実行できるように、作戦効率を向上させるのが目的だ。フランクス中央軍司令官が29日付のニューヨーク・タイムズ紙との会見で明らかにした。

 米海兵隊は、カンダハルから約100キロの砂漠地帯での前線基地設営を完了しており、同司令官は「増設は今後の戦況次第」と語った。新たな前線基地が増設される場合は、ジャララバード南方の東部山岳地帯を中心とする可能性が大きい。米メディアがここ数日伝えるところでは、米軍はビンラーディンが同地帯のトラボラと呼ばれる一帯の洞穴に潜伏中との見方に傾き、監視を強化している。

 増設される基地では陸軍または海兵隊が中心に活動し、<1>偵察機、熱探知レーダー、通信傍受などによる索敵<2>敵の通行路での監視や人間の体温を探知して作動する対人地雷の投下<3>敵の潜伏先が特定できた場合の少数精鋭部隊による急襲や空からの攻撃支援――などに備えると見られる。

 米軍は、タリバンの拠点、南部カンダハルに対しては、連日の空爆に加えて、同市から伸びる道路を封鎖、補給を断つことで同市に立てこもるタリバン幹部・部隊を兵糧攻めにしつつ、ビンラーディンのテロ組織「アル・カーイダ」の幹部掃討作戦に必要な、潜伏個所などに関する情報収集を図っている。(読売新聞)
<ここはカブール>看護員の夢を再び



大きな瞳が印象的なシャミド・ハキオルさん(21、女性)が、タリバン撤退後、一番初めにしたことは国立保健専門学校への復学書類提出だった。「白衣の天使」になりたいという希望を抱いて看護学科に通った彼女は、タリバン統治下の5年間あきらめざるを得なかった夢を再び膨らませている。 

復学1週間目の28日朝。初めての授業は「早産」についてだった。ハキオルさんを含む8人の女子学生らは1冊の教科書を回しながら、妊娠と出産過程について学んだ。教師のカモル氏(40)は「タリバン統治下では男子学生の授業時間にも生殖器に関する説明は禁止されていた」とし、女子学生を再び教えられることを喜んだ。

タリバンが撤退したカブールには市民に対する抑圧がなくなり、新しい世界が徐々に開かれている。カブール市内の外国人専用宿舎インターコンチネンタルホテルの書店では、米同時テロ事件以後、世界的なベストセラーになった『タリバン』(アハメド・ラシッド著)など、これまでの禁書が中央に並んでいる。

書店のシャー・ムハマドさん(56)は「カブールからタリバンが撤退した後、秘密倉庫にしまっていた本を並べるようになった」とし「タリバン執権の5年間、数千冊の本を押収されたため、生計維持も厳しかった」と過去を振り返った。ムハマドさんは最近、外国報道陣らに一日に1000ドル分以上の本と地図を売る「特需」を享受している。

ソウルの清渓川(チョンギェチョン)を連想させるプレヘシティ街の電子製品商店街は、テレビとラジオを買いに来た住民でごった返している。タリバンがカブールに入城した2日後に中断されたテレビ放送が一日3〜4時間ではあるが再開され、ラジオからはこれまでとは違う音楽が流れる。タリバンはラジオ放送で大衆音楽と女性の声を禁止した。

英字新聞カブールタイムズは復刊に備えてテスト版印刷に入っており、タリバン統治下では「ヘワド」という名前に変えていた官営日刊紙は「アニス」という本来の名前に戻り、北部同盟の勝利を連日トップで載せている。

新しい変化の波にはタリバンが極度に嫌悪した商業主義も便乗している。扇情的なシーンが登場するインドのアクション映画を見せるビデオ店が次々と誕生し、カブール市内だけでも既に数十店が盛業中である。胸を見せた女優のポスターが壁を埋めるビデオ店は、5000アフガーニ(約30円)を払って入場した青少年で満員だ。

物を買おうとする住民たちが市場に集まるため連日物価は上昇、パキスタン・ルピーと米ドルがあふれて為替レートは1週間で10%以上も動いた。

市民らは毎日のように変革を繰り返すカブールの新しい姿を楽しんでいる。宗教という名の暴力で人間の欲求を支配しようとしたタリバンの試みは失敗に終わったのである。

李相彦(イ・サンオン)巡回特派員 < joonny@joongang.co.kr >


2001.11.29 14:33

ビンラディン氏とオマル師は生存、国内山岳地帯に潜伏=北部同盟


 [カブール 29日 ロイター] アフガニスタンの北部同盟スポークスマンによると、オサマ・ビンラディン氏は生存しており、パキスタン国境近くの東部山岳地帯か、もしくはカンダハル近郊の岩山に隠れているもようだ、という。
一方、タリバンの最高指導者オマル師も生存しており、自分を支持する原理主義者の兵士をアフガニスタン南部や東部に移動させている、という。
両者が隠れていると見られる具体的な場所について、同スポークスマンは、ジャララバードNangarhar地方のSafi Koh山岳地帯と、カンダハル周辺の山岳地帯の2カ所を挙げた。ただ、この情報源については明らかにしなかった。 (ロイター)
[
アフガン女性の政権参加求め、著名政治家らが断食へ


 [ブリュッセル 28日 ロイター] 今後のアフガニスタン政権への女性参加受け入れを訴えるため、ノーベル賞受賞者や著名政治家らを含む約4000人が来月1日、断食を行う。
 エマ・ボニーノ元欧州委員は、「女性に対し、事実上のアパルトヘイト政策が5年間行われていた。今こそ行動を起こす時だ」と述べた。
 断食には、ブット元パキスタン首相やガリ前国連事務総長、ノーベル平和賞を受賞した南アフリカのデズモンド・ツツ元大主教らも参加を表明しているという。(ロイター)
イラク攻撃の場合も可能=対米支援で官房長官

 福田康夫官房長官は29日の参院外交防衛委員会で、米国がイラクなどアフガニスタン以外の国を攻撃した場合の対応に関し、「テロ対策特別措置法によるテロの脅威除去のために実施する措置の対象国は特段の限定をしていない。イラクも入っている」と述べ、自衛隊による支援活動の続行は可能との認識を示した。小泉親司氏(共産)への答弁。
 杉浦正健外務副大臣も「テロ対策特措法に基づいて支援する米英軍の攻撃対象はアフガンに限っていない。イラクも除外されていない」と明言した。 (時事通信)
<カブール医療教育院>タリバンの抑圧で教具も不備

カブールの高級住宅街にある「中等医療教育院」は薬剤師・看護婦・医療技術者などを養成するアフガニスタンの国立保健専門学校である。タリバン政権時代にも同専門学校は男子学生らを教育してきたが、その水準は「医療教育院」という名前が恥ずかしいほど落後していた。

タリバンの宗教警察は、身体の模型・解剖図・人骨の標本など医療教育に必要な諸教具まで「不敬だ」として奪ってしまった。その代わり1週間当たり6時間ずつのコーラン授業を強要した。

タリバンが派遣した前院長が軍人らと共に逃走した今月13日、突然歯科学教授から院長になったイスマエル・アレピー氏(33)は「医学テキストと教具をそろえることから始めるべき」とし、外国に支援を訴えた。同氏はまた「タリバンが月給を適時に支給せず医師と看護婦らが隣の国に行ってしまったため、医療スタッフがかなり不足している」と説明した後、「新しく復学した女学生らは5年前に習った内容を全部忘れており、非常に心配だ」と述べた。

歯医学・放射線学・薬学・臨床病理学・看護学の5科からなる同校の学生数はおよそ800人。女性の大半が看護学を専攻し、最近およそ60人の女学生が復学した。

カブール=李相彦(イ・サンオン)巡回特派員


2001.11.28 23:04

<アフガン人画家>弾圧下でも絵筆、母国の再建と自由訴え

 【クエッタ(パキスタン南西部)亀井和真】アフガニスタン・タリバン政権下で弾圧された1人の画家が、隣国パキスタンで絵を描き続けている。絵画や写真を禁止する急進派イスラム原理主義勢力に祖国を追われたアジズラ・トクニさん(32)。異国で描く首都カブールの光景は米軍の空爆などで変わってしまったはず。だが「記憶の中では鮮明に残っている」と話すアジズラさんは、創作活動を通し母国の再建と自由を訴える。

 パシュトゥン人のアジズラさんはカブール出身で、芸術大学の講師を務めるかたわら、油絵や伝統のミニアチュール(細密画)を描き、気鋭の作家として知られていた。

 しかし、96年にタリバンがカブールを制圧した際、アジズラさんのアトリエにタリバン兵らが押しかけ、それまで描いた絵画のほとんどを破壊・焼却した。アジズラさんは3枚の油絵だけを持ってパキスタンに逃れた。

 この時、教べんをとっていた教授や講師仲間は欧州や米国に渡ったが、アジズラさんは隣国で絵画を創作することでメッセージを発信しようと決意。クエッタに移り住み、難民生活を送りながら絵筆を取り続ける。

 代表作の「沈黙」は赤い糸で口を縫いつけられた男を描くことで、イスラムの教えを厳格に解釈するタリバンを非難。近作の「亡霊」では廃虚の中で上半身を失った男の輪郭で実体を失った母国を表現した。

 ピカソやゴッホ、モネらに影響を受けたというアジズラさんの作品にはこのほか、カブールのモスク(イスラム寺院)や夕暮れの街角などを題材にしたものも多いが「戦乱を経て多くは変わってしまったと聞いている」と嘆く。

 イスラム原理主義者の多いクエッタ周辺で個展を開くことは難しい。弟がアジズラさんの絵を売り歩いて生計を立てているが、原理主義者らによる嫌がらせが続く。アジズラさんは「間違った宗教政策、戦争は破壊でしかないが、芸術は創造。世界の人にアフガンの現実を知ってほしい」と日本など世界の国々での個展開催を願っている。(毎日新聞)
<テロ大戦>逃走者、ビンラディン氏の近況

米軍に猛追されているウサマ・ビンラディン氏は、4人の夫人と赤ん坊を含めた多くの子供を連れて逃走しており、自爆装置を携帯した最側近のボディーガードと24時間共に過ごしているとパキスタン軍情報機関(ISI)筋が最近、明らかにした。

毎日新聞がISI関係者の話を引用し、28日報道した内容によると、9月11日のテロ直後、ビンラディン氏に娘が生まれたという。ビンラディン氏には200〜300人のボディーガードがついてており、彼らは最先端の装備を携行した側近の警護隊、アラブ人で構成されたアルカイダ指導部、パキスタン、チェチェン、アフガン人で構成された支援組織などに分かれて、3重の警護網を張っている。

10数人からなる側近の警護隊は、米特殊部隊使用の物と同レベルの最新のレーザーガンと自動小銃を携行し、夜間は暗視ゴーグルを装着している。ISIの関係者はビンラディン氏がボディーガードに「米軍が突破したら、私を射殺しろ」と最近命令したと伝えた。

ビンラディン氏はタリバンなど外部組織とのあらゆる接触をアルカイダの支部組織に代行させ、2500万ドルの米国の懸賞金のため裏切りがあることを心配し、避難場所を提供するというパシュトゥン人の提案に一度も応じていない。

ビンラディン氏は死に備え、アフガンの別の地で活動中の側近を後継者に指名したという。<>

朴素ヨン(パク・ソヨン)記者 < olive@joongang.co.kr >


2001.11.28 21:42

米軍投下のアフガン支援物資が民家直撃、2人死亡


 [ワシントン 28日 ロイター] 米国防総省は、米軍機が27日にアフガニスタン上空から投下した食糧や毛布などの人道支援物資が民家を直撃し、女性と子どもが死亡したことを明らかにした。
 同省の声明によると、事故が発生したのは、ウズベキスタンとの国境に近いマザリシャリフの北東約193キロ付近で、米軍機がコンテナ輸送システムを使い、パラシュートを付けて投下した物資が、民家の上に落下した。
 フロリダ州の米中央軍司令部は声明で、民間人の犠牲者が出たことに遺憾の意を表明。支援物資の投下場所の選定は注意深く行われている、とした上で、事故原因の調査を開始する意向を示した。(ロイター)
<ミサイル防衛>12月1日に迎撃実験 米国防総省

 【ワシントン布施広】米国防総省は28日、延期していたミサイル防衛システムの迎撃実験を12月1日に行う方針を固めた。AP通信によると、今回の実験は、ロシアとの弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約に違反するものではないという。

 ミサイル防衛の迎撃実験は7月中旬以来行われていない。7月の実験では標的破壊に成功し、ブッシュ政権は秋以降、ABM制限条約に抵触する実験も強行する構えだった。しかし、アフガニスタン攻撃などでロシアとの協調態勢を保つ必要が生じ、実験を控えていた。

 今月13〜15日まで行われた米露首脳会談では、同条約の改廃問題で歩み寄れなかった。7月に続いて12月1日の迎撃実験が成功した場合、ブッシュ政権はミサイル防衛開発への自信を深め、条約脱退の方向へ傾くことも予想される。(毎日新聞)
北部同盟、多国籍軍を拒否

 【ボン29日=鶴原徹也】ドイツのボン近郊で開かれているアフガニスタン主要4派政治協議は2日目の28日、北部同盟を主導するラバニ派が多国籍軍受け入れを拒むなど非妥協的な姿勢を鮮明にした。

 北部同盟の代表団を率いるカヌニ内相(ラバニ派)は同日の記者会見で、在ローマのザヒル・シャー元国王を暫定行政機構のトップに据えようとする国連の構想を事実上拒否する意向を表明。さらに、国連がもう一つの焦点とする、治安回復のための多国籍軍派遣受け入れについて、「我々は外国の部隊を必要としない。脅威があれば、アフガン人で部隊を組織する」と明確に反対した。

 そのうえでカヌニ内相は「(ボン協議の続く)今後2、3日間では合意できない。最終合意はカブールで図りたい」と述べ、ボン協議での“各論合意”は不可能との見通しを示した。

 内相発言は、今協議不参加のラバニ氏の姿勢をそのまま反映したものだ。

 一方、元国王派によると、4派は28日夜、北部同盟と元国王派各5人、ペシャワル・グループ、キプロス・グループ各1人が委員会を作り、メンバー200人程度の暫定評議会(議会に相当)の構成や人選の協議に入った。(読売新聞)
マザリシャリフ暴動でCIA工作員死亡…米当局認める

 【ワシントン28日=林路郎】米中央情報局(CIA)のテネット長官は28日、アフガニスタン北部のマザリシャリフ近郊の要さいで25日起きたタリバン兵捕虜の暴動の際に死亡したと伝えられた米国人が、CIA工作員だったことを明らかにした。米当局が、アフガンで戦闘に巻き込まれて米国人が犠牲になったのを認めたのは初めて。

 死亡したのは、海兵隊出身で「マイク」のニックネームを持つ作戦部所属のジョニー・スパン氏(32)。長官は28日、職員向けにスパン氏の死亡を発表。その後、同氏の任務、経歴、人柄をつづった異例の声明を国民向けに発表した。

 声明によると、スパン氏は、北部同盟により拘束されたタリバン兵の尋問にあたっていた。タリバン幹部、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンの動静や潜伏先の情報収集が目的だったと見られる。(読売新聞)
<アフガン攻撃>捕虜暴動でCIA要員死亡 米初の戦死者報告

 米中央情報局(CIA)のテネット長官は28日、アフガニスタン北部のマザリシャリフ郊外の収容所で25日に起きたタリバン兵捕虜による暴動でCIA要員1人が死亡したと発表した。アフガニスタン攻撃での米国側死者はヘリコプター事故で2人死亡した例はあるが、戦闘での死者が報告されたのは初めて。 (毎日新聞)
<アフガン>援助物資が民家直撃、子どもらが死亡 米軍発表

 【北米総局】米フロリダ州の米軍当局者は28日、米軍機がアフガニスタンで投下した援助物資が民家を直撃、女性と子どもが死亡したと発表した。援助物資投下については、受け取ろうとした市民が地雷を踏む危険性が指摘されていたが、投下そのものによる被害が確認されたのは初めて。

 事故は27日、北部マザリシャリフの北約190キロにあるウズベキスタンとの国境の村で起きた。小麦や毛布、防寒用具などをまとめた援助物資を入れ、パラシュートを付けて輸送機から投下されたコンテナが、民家の上に落ちたという。女性や子どもの年齢や性別などは不明。

 米軍は遺憾の意を発表した。米国防総省によると、アフガンへの攻撃開始以来、約190万個の援助物資を投下しているという。(毎日新聞)
アフガン代表者会議、暫定機構の詳細を協議へ


 [ボン(ドイツ) 29日 ロイター] ドイツ・ボンで開催中のアフガニスタン各派の代表者会議は「暫定行政機構」の設置で基本合意し、29日の協議で、その詳細の検討に入る。
 暫定行政機構は、当面の暫定政府の役割を担うもので、2年以内の選挙実施への道を開くことが期待されている。
 北部同盟代表団を率いるカヌニ内相の側近はロイター通信に対し、「暫定行政機関の設置で合意に達したが、骨格などについては明日29日に協議する」と述べた。
 同内相によると、暫定行政機構を構成する人数や人選について協議する予定で、29日に詳細について合意する可能性があるという。
 (ロイター)
<アフガン会議>本格協議はカブールで 国連特使

【ボン岸本卓也】ボンで開催中のアフガニスタン各派代表者会議に出席した仲介役のベンドレル国連事務総長特使は28日、記者会見で「結論を急げば失敗する」と、継続協議の可能性を示唆した。反タリバン連合(北部同盟)のカヌニ内相も既に「合意の困難な問題は帰国後の次期会合で協議する」と述べており、本格的な協議はアフガニスタンの首都カブールでの会議に持ち越される見通しが強まった。

 北部同盟やザヒル・シャー元国王を支持するグループなど4勢力は、会議初日の27日に各派連立による暫定行政機構の設置を含む国連提案のガイドラインに同意した。しかし、カヌニ内相やベンドレル氏の発言は各派の主張の隔たりを短期間で埋めるのは難しいことを改めて印象づけた。

 各派が奪い合うことになる暫定行政機構の閣僚ポストの人数や配分について、ベンドレル特使は「まだ話し合っていない」と述べた。さらに「急いで決めても代表者らが帰国後に派内の反対に遭えば壊れる」と、厳しい交渉は慎重に進めることを強調した。

 ベンドレル特使はザヒル・シャー元国王について「出席者の広範な支持を得ている」と述べ、元国王が国家元首的な地位に就く可能性を指摘した。しかし、カヌニ内相は「協議中の暫定政権内での地位に就くことはない」と元国王の早期復権を否定した。カブールを制圧した北部同盟は暫定政権で大きな発言力を持つと予想されるだけに、内相の固い態度が合意への道の険しさを示した。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>マザリシャリフに「緊急対応部隊」を配置 米軍

 米当局者はアフガン北部のマザリシャリフ近郊に数十人規模の「緊急対応部隊」を配置、イスラム原理主義勢力タリバンの反撃に備える方針を明らかにした。AP通信によると、ウズベキスタンに駐留する米陸軍山岳師団から20人前後が投入される見通しだ。山岳師団は捜索・救助などの人道支援を目的に派遣されていた。(毎日新聞)
<アフガン会議>今週末にも協議打ち切りへ

 ボンで開催中のアフガン各派代表者会議に出席した北部同盟のカヌニ内相は28日、記者会見で「合意の困難な問題は帰国後の次期会合で協議する」と語り、今週末にも協議を打ち切る意向を示した。仲介役の国連のベンドレル国連事務総長特別代表代理も「結論を急げば失敗する」と、継続協議の可能性を示唆した。(毎日新聞)
米国のいかなる攻撃に対しても防衛の用意ある=イラク副大統領


 [バグダッド 28日 ロイター] イラクのラマダン副大統領は、米国のいかなる軍事攻撃に対しても自国を防衛する用意ができていると述べたうえで、イラクは大量破壊兵器を保有しておらず、ウサマ・ビンラディン氏との関係もないとあらためて指摘した。
 同副大統領は、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラのインタビューで、「われわれは、米国の邪悪で根拠のない攻撃を常に予想している。(米国のいかなる攻撃にも)対決する準備は、常に整っている」と語った。
 ブッシュ米大統領は26日、対テロ戦争は大量破壊兵器を製造している国も対象にしているとして、イラク政府に対し、武器査察団を受け入れるよう求めた。
 これに対してラマダン副大統領は、同国は大量破壊兵器を保有していないとし、国連が対イラク経済制裁を解除するまで査察団の再入国は認めない、と述べた。
 同副大統領はまた、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンや、ウサマ・ビンラディン氏との関わりを否定した。(ロイター)
ヨルダン・サウジ両国王、中東問題を協議


 [リヤド 28日 ロイター] ヨルダンのアブドラ国王はサウジアラビアを訪問し、ファハド国王と中東問題を協議した。
 国営サウジ通信(SPA)が伝えた。
 両国王は、”イスラエル軍が続けているパレスチナ住民への攻撃”について意見を交わしたほか、中東和平プロセスやアフガン問題を協議した。
 パレスチナ自治政府のアラファト議長は25日、米特使の訪問受け入れを前に、両国王およびエジプトのムバラク大統領と会談している。
かなりの数のタリバン幹部、パキスタンに逃亡=米CBS


 [ニューヨーク 28日 ロイター] 米CBSテレビの「イブニングニュース」は、アフガニスタンのイスラム原理主義組織タリバンのかなりの数の幹部がパキスタンに逃亡したと報じた。軍情報機関のトップや、少なくとも2人の大臣が含まれているという。
 CBSによると、あるタリバンの大臣は匿名で、タリバン最高指導者オマル師の”無分別で危険な方法”にうんざりしたと述べた。(ロイター)
米大統領、テロ容疑者引き渡し問題でスペイン首相と会談


 [ワシントン 28日 ロイター] ブッシュ米大統領は、訪米中のスペインのアスナール首相とホワイトハウスで会談し、スペイン当局が先に逮捕した米同時多発テロ事件の容疑者8人の引き渡し問題などについて協議を行った。
 同首相は会談でブッシュ大統領に対し、米国内での裁判のための容疑者引き渡しについて、必要があれば検討する、との考えを示した。
 一方、ホワイトハウスは、近日中に引き渡しを要請するとの考えは示さなかった。
 スペイン政府はこれまで、米国に死刑があることなどを理由に、米国への容疑者引き渡しは不可能、との姿勢を示唆してきた。
 しかし、同首相は今回、米国からの要請があれば引き渡しを検討すると述べ、態度を和らげた。
 両首脳は会談後、記者団に対し、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏と同氏率いる組織アルカイダを裁くための世界の取り組みで、両国は完全に協力体制にある、と述べた。
 同首相はまた、必要であればスペイン軍部隊をアフガニスタンに派遣する意向も示した。(ロイター)
タリバンとアルカイダ、指揮系統が寸断=米国防総省


 [ワシントン 28日 ロイター] 米国防総省は、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力、タリバンやアルカイダの幹部とそれぞれの兵力との指揮系統の寸断が進んでいる、との見解を示した。
同省のスタッフルビーム報道官は、記者団に対し、タリバンの幹部らは無線や他の方法を用いて、兵力の指揮を試みているが、一部の通信経路は完全に断ち切られている、と述べた。
また、同報道官は、開始以来2カ月となる米軍主導のアフガニスタンにおける軍事行動は、現在、タリバンやアルカイダの指揮系統を切断し、ウサマ・ビンラディン氏やアルカイダを標的にするものである、と述べた。(ロイター)
アフガンにもジュネーブ条約は適用される=赤十字


 [ジュネーブ 28日 ロイター] 国際赤十字は、捕虜の虐殺などについての報道が相次ぐアフガニスタンについて、ジュネーブ条約が順守されなければならない、との見解を示した。 
 第2次世界大戦後に、民間人や降伏兵士保護などを目的として成立したジュネーブ条約では、内戦ではなく主に2カ国以上の国家間の衝突が対象となっている。
 しかし、同条約では、即決処刑、殺害、拷問などが禁じられている。アフガニスタンはこれを1956年に批准した。
 赤十字国際委員会(ICRC)の法律アドバイザーであるキャサリン・デマン氏は、「この条項は、北部同盟、タリバン、アルカイダなどにも適用される」と述べた。(ロイター)
米大統領と国連事務総長、アフガニスタン向け救済支援を約束


 [ワシントン 28日 ロイター] ブッシュ米大統領と国連のアナン事務総長は、アフガニスタンの破壊された多くの地域で状況が不安定になっているにもかかわらず、アフガン人に対する救済援助の安定した供給を確実にすることを断言した。
 両者は、アフガニスタンの人道上の危機を協議するためにホワイトハウスで会談した。アフガニスタンでは750万人もの国民が、20年以上にわたる戦争や3年間の深刻な干ばつ、経済崩壊といった累積的な影響から打撃を受けている。
(ロイター)
<アフガン>オマル師「持ち場を死守しろ」とラジオで指示

 【クエッタ(パキスタン中西部)井田純】ロイター通信は28日、タリバンの最高指導者オマル師が、タリバン兵士などにラジオで「持ち場を死守しろ」と呼びかけたと報じた。オマル師はメッセージの中で、兵士らに「占領地を放棄せず戦え」と要求。さらに「これは部族間の問題ではなく、イスラムの問題だ」と発言したという。タリバンの最後の拠点カンダハルを放棄せず、「聖戦」続行を求めたものとみられる。

 一方、同通信によるとカンダハルとパキスタン国境の間にあるタクテポルの争奪戦で先週、部族集団がタリバン兵士160人を処刑したと報じた。(毎日新聞)
アフガン政治協議、元国王中核の方向

 【ボン28日=秦野るり子】ドイツ・ボン近郊で開催されているアフガニスタンの主要4派政治協議は28日、2日目の協議に入った。初日の協議を経てザヒル・シャー元国王を暫定政府の母体となる暫定行政機構の中核に据える方向ではまとまりつつあるものの、北部同盟の中にはなお反対意見もあり、これを説得できるかどうかが焦点となっている。

 また、閣僚の役割を果たす同機構のメンバー(20―25人)配分については、アフガン再建における各派の力関係を決定付けることから、激しいせめぎ合いが続きそうだ。北部同盟は、国際社会の圧力が強いボンではなく、カブールで開催予定の次回協議まで合意を先送りしたいとの意向が強く、どこまで合意が得られるかは、なお、微妙な情勢だ。

 北部同盟代表のモハマド・ナティキ氏(ハザラ人)のスポークスマン、バハドリ氏が28日朝、本紙に語ったところによると、北部同盟を構成する3派のうち、ハザラ人とウズベク人は「元国王が暫定行政機構のトップとして唯一の選択肢」と判断し、元国王を受け入れに賛成している。だが、同同盟の中核であるタジク人のラバニ派は未だ反対の態度を崩していないという。

 この点について元国王派代表団のアドバイザー、ハミド・シディグ氏は本紙に対し、「元国王にとって好ましい方向に議論は進んでいる」と語り、説得に自信を示している。

 一方、政治協議を主催する国連は、初日の協議の会場に元国王派でアフガン南部で戦うカルザイ司令官の電話をつなぎ、会場にメッセージを流すなど、露骨に元国王派を後押しし、協議をまとめようと図っている。

 しかし、例え、元国王を中核とすることで合意が得られたとしても、これを支えるメンバーの配分については、民族的には少数派のハザラ人グループが北部同盟内で挙げた戦果の“見返り”として「総数の25%を求める」(バハドリ氏)一方、元国王派やキプロス・グループは、「亡命中の欧米で得た知識が国家再建には不可欠」(元国王側近)と多くの割り当てを求めており、調整は難航を極めそうだ。(読売新聞)
アフガン南部で武装勢力がカナダ人記者誘拐

 【クエッタ(パキスタン西部)28日=新居益】AP通信などによると、パキスタンとの国境に近いアフガニスタン南部の町スピンブルダクで27日、カナダ人フリージャーナリスト、ケン・ヘクトマン氏(33)が武装勢力に誘拐された。武装勢力がタリバンの一派かどうかは不明。

 報道によると、パキスタン側国境の町チャマンで取材中の米紙USAツデーと英紙ガーディアンの記者が同日、地元住民から、「武装勢力はカネを渡さないと(ヘクトマン氏を)殺すと言っている」と告げられ、拘束された同氏のメモを受け取った。同氏は窓のない独房に入れられ、手足を縛られているという。

 ヘクトマン氏は、カナダの週刊誌モントリオール・ミラーの仕事で、10月上旬からアフガンとパキスタンで取材していた。(読売新聞)