2001
11/28
11/28 <アフガン暫定協議>多国籍部隊の受け入れ問題で対立

 【ボン岸本卓也】ボンで開催中のアフガニスタンの各派代表者会議は重要課題である多国籍部隊の受け入れ問題で、暫定政権を構成する4勢力に意見対立が生じていることが28日明らかになった。各派は同日から暫定行政機構の構成人数やポストの配分交渉に入るが、多国籍部隊の受け入れを担当する外務相や国防相などの重要ポストをめぐる争いが激しくなりそうだ。

 4勢力の中では、首都カブールを制圧した反タリバン連合(北部同盟)が暫定政権内で大きな発言力を持つと予想されている。北部同盟は軍事的な支配権が多国籍部隊の展開で弱まることを恐れ、外国人部隊の受け入れに消極的だ。しかも北部同盟はタリバン政権打倒の功績を理由に外相や国防相など外交や軍事の重要ポストを要求するとみられている。

 一方、ザヒル・シャー元国王を中心とするローマ・グループは多国籍軍部隊の導入に積極的だ。同派の交渉担当者のアミン・ファーハング氏はボンに到着後にドイツ政府に対してドイツ連邦軍を含む多国籍部隊の受け入れに賛成する方針を伝えたという。元国王のグループは自前の軍隊を持っていないだけに多国籍部隊を必要としている。

 残りのイランへの亡命者の「キプロス・グループ」とパキスタン在住のパシュトゥン人難民らの「ペシャワル・グループ」は、多国籍部隊の展開に強い反対はしていないといわれ、北部同盟が妥協すれば多国籍部隊の展開は実現するとみられている。

 多国籍部隊は国連主導となるだけに暫定政権づくりを仲介する国連代表団は北部同盟を懸命に説得している。ファウジ報道官は27日の会見で「多国籍部隊の展開は同国の安定に不可欠であり、暫定政権が誕生すれば多国籍部隊を受け入れることになるだろう」とボン会議で多国籍部隊問題の決着を期待している。(毎日新聞)
ビンラーディンら相手取りテロ犠牲者遺族が賠償請求

 【ニューヨーク27日=阪口忠義】世界貿易センターへの旅客機突入で犠牲となった2人の男性の遺族が、それぞれ米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンとテロ組織のアル・カーイダ、タリバンを相手取り、ニューヨーク連邦地裁に損害賠償請求訴訟を起こしていたことが27日、分かった。AP通信が報じた。遺族は、米政府などが凍結したビンラーディン一派の資産からの補償を見込んでいる。

 原告は、テロの犠牲となり亡くなった経営アナリストの遺族らで、先月と今月、提訴した。原告の代理人はAP通信に対して、「これは遺族が(テロリストに)反撃する手段であり、遺族は亡くなった者の尊厳を回復するために何か行動を起こしたかった」と話している。

 米財務当局によると、テロ事件の後、米国内外で凍結されているアル・カーイダとタリバン関連の資産は5600万ドル(約67億2000万円)以上になるという。(読売新聞)
アフガン政治協議、元国王中核の方向

 【ボン28日=秦野るり子】ドイツ・ボン近郊で開催されているアフガニスタンの主要4派政治協議は28日、2日目の協議に入った。初日の協議を経てザヒル・シャー元国王を暫定政府の母体となる暫定行政機構の中核に据える方向ではまとまりつつあるものの、北部同盟の中にはなお反対意見もあり、これを説得できるかどうかが焦点となっている。

 また、閣僚の役割を果たす同機構のメンバー(20―25人)配分については、アフガン再建における各派の力関係を決定付けることから、激しいせめぎ合いが続きそうだ。北部同盟は、国際社会の圧力が強いボンではなく、カブールで開催予定の次回協議まで合意を先送りしたいとの意向が強く、どこまで合意が得られるかは、なお、微妙な情勢だ。

 北部同盟代表のモハマド・ナティキ氏(ハザラ人)のスポークスマン、バハドリ氏が28日朝、本紙に語ったところによると、北部同盟を構成する3派のうち、ハザラ人とウズベク人は「元国王が暫定行政機構のトップとして唯一の選択肢」と判断し、元国王を受け入れに賛成している。だが、同同盟の中核であるタジク人のラバニ派は未だ反対の態度を崩していないという。

 この点について元国王派代表団のアドバイザー、ハミド・シディグ氏は本紙に対し、「元国王にとって好ましい方向に議論は進んでいる」と語り、説得に自信を示している。

 一方、政治協議を主催する国連は、初日の協議の会場に元国王派でアフガン南部で戦うカルザイ司令官の電話をつなぎ、会場にメッセージを流すなど、露骨に元国王派を後押しし、協議をまとめようと図っている。

 しかし、例え、元国王を中核とすることで合意が得られたとしても、これを支えるメンバーの配分については、民族的には少数派のハザラ人グループが北部同盟内で挙げた戦果の“見返り”として「総数の25%を求める」(バハドリ氏)一方、元国王派やキプロス・グループは、「亡命中の欧米で得た知識が国家再建には不可欠」(元国王側近)と多くの割り当てを求めており、調整は難航を極めそうだ。(読売新聞)
アフガン南部で武装勢力がカナダ人記者誘拐

 【クエッタ(パキスタン西部)28日=新居益】AP通信などによると、パキスタンとの国境に近いアフガニスタン南部の町スピンブルダクで27日、カナダ人フリージャーナリスト、ケン・ヘクトマン氏(33)が武装勢力に誘拐された。武装勢力がタリバンの一派かどうかは不明。

 報道によると、パキスタン側国境の町チャマンで取材中の米紙USAツデーと英紙ガーディアンの記者が同日、地元住民から、「武装勢力はカネを渡さないと(ヘクトマン氏を)殺すと言っている」と告げられ、拘束された同氏のメモを受け取った。同氏は窓のない独房に入れられ、手足を縛られているという。

 ヘクトマン氏は、カナダの週刊誌モントリオール・ミラーの仕事で、10月上旬からアフガンとパキスタンで取材していた。(読売新聞)
<アフガン会議>暫定政権内閣のポスト配分交渉へ

 【ボン岸本卓也】ボンで開催中のアフガニスタンの暫定政権協議は2日目の28日、同国各派代表者が暫定政権の内閣に相当する「暫定最高評議会」(仮称)の構成人数やポストの配分をめぐる交渉に入る。初日に各派は早急に暫定政権をつくる国連構想に合意したが、「評議会」の構成は各派の権力配分を決めるものだけに交渉は難航が予想される。

 国連構想は「暫定最高評議会」を来年3月ごろまで継続し、その後は伝統的な協議機関「ロヤ・ジルガ」(国民大会議)を招集する。来年3月の時点で国内の治安が安定しない場合は「ロヤ・ジルガ」の招集を延期して「暫定最高評議会」を拡大した暫定行政機関に移行するというもの。

 ボン会議に出席した反タリバン連合(北部同盟)▽ザヒル・シャー元国王を中心とするローマ・グループ▽イランへの亡命者を主体とするキプロス・グループ▽パキスタン在住のパシュトゥン人難民らの「ぺシャワル・グループ」の4派は全会一致で国連構想に合意した。

 「暫定最高評議会」は15人から30人が予想される。内閣に相当することから各派別の閣僚数や、首相、外相、内相、国防相など重要ポストの配分に各派の要求がぶつかる。首都カブールを制圧した北部同盟が他の3派にどこまで譲歩できるかが、交渉成立のかぎとみられている。

 また、北部同盟のラバニ前大統領やザヒル・シャー元国王ら各派の実力者のポストが注目されている。元国王を「評議会」の閣僚とは区別して、国家元首のような国民統合の象徴的地位に迎える案が浮上している。その場合にラバニ前大統領らの処遇問題が論議されそうだ。

 国連はボン会議の前に「評議会」の各派の構成比率の素案を提示した。素案は北部同盟5▽ローマ・グループ4▽キプロス・グループ4▽ペシャワル・グループ3で割り当てる。国連はこの素案をたたき台にして各派の要求を調整することになる。(毎日新聞)
<中パ会談>アフガン情勢で意見交換

 新華社電によると、パキスタンのムシャラフ大統領は27日、イスラマバードを訪問中の王毅・中国外務次官と会談し、アフガニスタン情勢について意見交換した。大統領は会談の中で、江沢民国家主席のパキスタン訪問を招請し、王次官も江主席が来月予定されている大統領の訪中に期待していると伝えた。(毎日新聞)
米、地上作戦に重点を移す

 【ワシントン27日=林路郎】ラムズフェルド米国防長官は27日、フロリダ州タンパの中央軍司令部(CENTCOM)本部で会見し、アフガニスタンでの米軍の軍事行動について、「近い時期に(同時テロの首謀者とされる)ウサマ・ビンラーディン及び取り巻きの捕そくに向けた地上作戦に重点を移す」と述べ、空からの偵察・攻撃だけでなく、地上で積極的な追撃作戦を展開する方針を明らかにした。

 会見に同席したフランクス中央軍司令官は、ビンラーディンの潜伏先として、東部ジャララバードからパキスタン国境のカイバル峠一帯からカンダハル州にかけての山岳地帯とにらんでいると言明。長官は、米軍の地上部隊が潜伏先と見られる洞穴を洗い出し、接近戦により攻撃する考えを明確に示した。

 フランクス司令官は、アフガン南部に展開中の海兵隊が600人規模であることを明らかにし、最大1100人にまで近く増強すると語った。海兵隊は同日も続々と、占拠したカンダハル郊外の飛行場に増派部隊が到着。同飛行場では、地上作戦の拠点となる前線基地の設営が完了した。

 南部には海兵隊に加え、情報機関工作員や特殊部隊が展開。地上作戦にかかわる米国の戦力全体としては2000人規模にまで膨らむ可能性が出てきた。(読売新聞)
アフガンで生物・化学兵器施設?40か所以上発見

 【ワシントン27日=坂元隆】アフガニスタンでの軍事作戦を指揮するトミー・フランクス米中央軍司令官は27日の会見で、アフガニスタン国内で40か所以上にのぼる生物・化学兵器などの大量破壊兵器開発に関連する疑いのある施設を発見したことを明らかにした。

 施設の大半は、現在、反タリバン勢力「北部同盟」の支配下の地域にあり、施設内からはさまざまな化学合成物質が見つかった。しかし、それらの物資は肥料など、民生用物資の開発・製造にも使われるものであり、大量破壊兵器の開発にただちに結びつけることはできないという。

 米軍ではそれらの施設に対して徹底的な検査を行うっており、フランクス司令官は、検査結果が出るまでに少なくとも一両日以上かかるとの見通しを示した。司令官はまた、それらの施設が、核、生物、化学のうちどの兵器を開発していた疑いがあるのかについても、「すべての施設に必要な検査をしている」とだけ述べ明言しなかった。(読売新聞)
<反戦女子高生>嫌がらせで退学 米ウェストバージニア

 米ウェストバージニア州で「戦争反対」を訴えるTシャツを着て登校、反戦クラブの設立を呼び掛けて先月中旬に3日間の停学処分を受けた郡立高校2年ケイティ・シエラさん(15)が27日までに、同校を退学した。AP通信が伝えた。

 アフガニスタンへの米軍の攻撃に反対する行動に対し脅しや中傷、嫌がらせを受け、娘の身を案じた母親のエイミーさんが退学を決めたという。

 何人かの生徒がエイミーさんの車につばを吐きかけたほか、ケイティさんの友人の両親は学校帰りにケイティさんを車に乗せることを拒否。パナマ生まれのケイティさんに向かって「出身地へ帰れ」と書いたTシャツを着て嫌がらせをする生徒まで現れ、このTシャツには多くの生徒が署名したという。

 ケイティさんは「国難の時期に非常識な行動」と停学処分を受けた後、州地方裁判所に「憲法に保障する表現の自由を侵害された」と不服を申し立てたが、今月1日に却下された。その後、上訴したものの州最高裁は27日に訴えを退けた。(ワシントン共同)(毎日新聞)
<アフガン>ポスト配分めぐり交渉は山場へ ボン会議

 【ボン岸本卓也】ボンで開催されているアフガニスタンの暫定政権協議は各派代表者が28日から暫定政権の内閣に相当する「暫定最高評議会」(仮称)の構成人数やポストの配分をめぐる交渉に入る。初日の27日は各派が早急に暫定政権をつくる国連構想に合意したが、「評議会」の構成は各派の権力配分を決めるだけに交渉は山場を迎える。

 国連構想は「暫定最高評議会」を来年3月ごろまで継続し、その後は伝統的な協議機関「ロヤ・ジルガ」(国民大会議)を招集する。来年3月の時点で国内の治安が安定しない場合は「ロヤ・ジルガ」の招集を延期して「暫定最高評議会」を拡大した暫定行政機関に移行する。

 ボン会議に出席した反タリバン連合(北部同盟)▽ザヒル・シャー元国王を中心とするローマ・グループ▽イランへの亡命者を主体とするキプロス・グループ▽パキスタン在住のパシュトゥン人難民らの「ぺシャワル・グループ」の4派は全会一致で国連構想に合意した。

 「暫定最高評議会」は15人から30人が予想される。内閣に相当することから首相、外相、内相、国防相などの重要ポストの配分に各派の要求がぶつかる。首都カブールを制圧した北部同盟が他の3派にどこまで譲歩できるかが交渉成立のかぎとなる。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>ビンラディン氏の捜索を重点に 米国防長官

 【ワシントン布施広】ラムズフェルド米国防長官は27日、アフガニスタンでの軍事作戦が都市攻撃からテロリストの掃討に移ると述べ、ウサマ・ビンラディン氏とその組織「アルカイダ」の捜索を近く本格的に開始する方針を明らかにした。タリバンの本拠地カンダハル近郊には既に1000人近い海兵隊員が到着、特殊部隊と合同で捜索を行うとみられる。 

 一方、長官とともに会見した米中東軍のフランクス司令官は、米軍がカンダハル近郊とジャララバード周辺で、重点的にビンラディン氏を捜索していることを明らかにした。司令官は、この2地域に「非常に注意を払っている」と述べた。

 ジャララバード近郊の重点捜索地には、同市南西のトラボラも含まれる。トラボラには多数のアラブ人兵士が洞くつに立てこもり、ビンラディン氏もここに潜伏しているとの見方が強い。

 また米CNNテレビは27日、国防総省筋の話として米軍がタリバンの最高指導者オマル師の潜伏先とみられるカンダハル南東の施設2カ所を爆撃したと報じた。オマル師が死亡したかどうかなどは分かっていない。(毎日新聞)
マザリシャリフ捕虜収容所の銃撃戦で死者500人以上

 【イスラマバード28日=岡田滋行】北部同盟は27日、アフガニスタン北部マザリシャリフ近郊の捕虜収容所で、米、英軍の支援を受けた北部同盟とタリバン兵捕虜の間で起きた交戦で、タリバン兵約400人が死亡、北部同盟側も100人以上の死者が出たことを明らかにした。

 25日に捕虜による暴動が起きた同収容所に対し、米軍は空爆を行うなどして鎮圧に努めたが、タリバンが抵抗を続けたため、米英両軍が特殊部隊を投入し、激しい交戦となった。

 北部同盟司令官は27日、「暴動は鎮圧された」と発表したが、米国防総省は、「依然として3、40人のタリバン兵が立てこもっている」として、完全に鎮圧するまでにはなお、時間が必要との見方を示している。(読売新聞)
<ブッシュ米大統領>五輪停戦は約束せず IOC会長と会談

 【ニューヨーク野村隆宏】国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は27日、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談し、来年2月8日開幕のソルトレークシティ冬季五輪のテロ対策などについて話し合った。ブッシュ大統領は来月、国連に、選手の安全な五輪参加に協力を求める決議案を提出することを約束したが、AP通信によると、IOC側が求めた「五輪停戦」という言葉は同決議案に盛り込まない見通し。現在、米軍が行っているアフガニスタン攻撃の影響とみられる。(毎日新聞)
<ビンラディン氏>2500万ドルの懸賞金の効果は

 ウサマ・ビンラディン氏に2500万ドル(約30億円)という史上最高の懸賞金がかけられている。米軍がアフガニスタン内でまいた顔写真入りのビラは、まるで西部劇の「WANTED」ポスターのようでもある。捕捉作戦に、懸賞金の効果はあるか。 【五十嵐英美、祝部幹雄】

◆最高額を更新

 「ビンラディンと(側近の)アイマン・ザワヒリの居場所や拘束につながる情報に最高2500万ドル」。米軍は2人の顔写真が入った現地語のビラをマザリシャリフで約1万枚配り、カンダハル上空から約1万5000枚まいた。ラムズフェルド米国防長官は「懸賞金によってアフガン人は洞くつの中に這(は)い入り、ビンラディン狩りをするだろう」と話した。

 テロリストや犯罪者を捕らえるため米国務省は88年から「Rewards for Justice Program(正義の懸賞金計画)」を進めてきた。同省のホームページには今、「Most Wanted Terrorists(最高指名テロリスト)」として、ビンラディン氏とザワヒリ氏ら計22人のテロリストの顔写真が並ぶ。ビンラディン氏にはすでに98年の米大使館爆破事件で500万ドルの懸賞金がかけられていたが、今回はその5倍。金額の根拠ははっきりしない。米パイロット協会と米航空輸送協会も200万ドルの支払いを表明している。

 これまでにこの計画で捕らえられ、支払われた最高額は200万ドル。93年、ニューヨークの世界貿易センター爆破事件の実行犯、ラムジ・ユセフ服役囚のケースだ。パキスタンに潜伏中、情報提供があった。国務省によると、計画により7年間に22件の事件に対し計800万ドルが支払われた。同時多発テロ事件以降は約2万2000件の情報提供があったという。

◆FBIは50年代から

 米国では国内の事件でも情報提供に懸賞金を出すケースはよくある。米連邦捜査局(FBI)は50年以降、懸賞金つきの「10人の最高指名手配者」を公表してきた。ファッションデザイナー、ジャンニ・ベルサーチ氏殺害の犯人ら計468人がリストに載り、うち140人が市民の協力で捕らえられた。現在の手配者10人にはビンラディン氏も含まれており、ほかの9人にも5万〜100万ドルの懸賞金がかけられている。

 日本では、同僚ホステス殺害容疑で指名手配中の福田和子服役囚に愛媛県警などが100万円の懸賞金をかけ、時効寸前に逮捕された例がある。現在、オウム真理教特別手配の3容疑者に各200万円の懸賞金がかけられている。

 森本敏拓殖大国際開発学部教授は「懸賞金はまさに西部劇の発想。戦闘で米軍兵が亡くなるより2500万ドル払った方が得で、米国は北部同盟がビンラディン氏を連れて来るというのが一番よいと考えている」と話す。猿谷要東京女子大名誉教授は「2500万ドルはあまりに膨大な額でかえって周辺国の反感を買うと思う」と話している。(毎日新聞)
<アフガン>半ば廃墟のカブール動物園 大半の動物は死亡

 カブール市民の憩いの場だったカブール動物園が半ば廃墟となったまま開園している。90年代の内戦で施設が破壊され、かつてアフリカ大陸から集められたというゾウ、シマウマなど飼育動物の大半が死んだ。今ではライオンとクマが1頭ずつ、サル5頭のほかに鳥類や小動物が小さなオリに飼われているだけ。訪れる人もまばらだ。

 50年以上前のザヒル・シャー国王時代に開設された伝統ある動物園。シェロカ・オマル園長(48)は「内戦前までは金曜日(休日)になると親子連れでにぎわい、入場券をさばき切れなかったほど」と振り返る。

 国立の施設だが予算はなく、動物に与えるエサも不足している。「多くの人命が失われた中で、どうして動物が生き残れるでしょうか。冬場にまた何頭か死ぬでしょう」と園長は嘆いた。

 【カブール中坪央暁】(毎日新聞)
<アフガン>日本のNGOが緊急援助活動を開始 カブール

 日本の非政府組織(NGO)「ピースウインズ・ジャパン」は28日、アフガンで国内避難民を支援する緊急援助活動を開始した。統括責任者の大西健丞(けんすけ)さん(34)ら3人がすでに首都カブールに到着し、情報収集や国連機関との調整を行っている。タリバン政権崩壊後、日本のNGOのアフガン入りは初めて。(毎日新聞)
<パキスタン>タリバンと関係容疑で核科学者ら2人を再拘束

 パキスタンのクレシ大統領報道官は27日、タリバンとの関係が疑われて先月、一時拘束されていた核科学者ら2人を再拘束したことを明らかにした。当地の複数の報道機関が伝えたもので、拘束されたのは、パキスタンの核開発に関与したプルトニウム専門家、バシル・ウディン・マフムード氏ら。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>勝利宣言は時期尚早 露国防相

 イワノフ露国防相は27日、アフガンで展開されている軍事作戦について「反テロ作戦は第1段階」と述べ、勝利宣言をするのには時期尚早であるとの立場を表明した。また、ソ連軍のアフガン侵攻に従軍した経験を持つレベジ・クラスノヤルスク州知事(元将軍)は同日、苛酷な戦いが長期間続くとの見通しを明らかにした。(毎日新聞)
米軍、タリバン指導者らがいる施設に爆撃=ラムズフェルド国防長官


 [タンパ(米フロリダ州) 27日 ロイター] アフガニスタンに展開する米軍が、イスラム原理主義勢力のタリバンとテロ組識アルカイダの指導者らがいるカンダハル南東の施設に爆撃を加えた。
ラムズフェルド米国防長官が、タンパにある米中央軍司令本部に出向いた際、明らかにしたもの。
同長官は、同行記者団に対して、「それは明らかに指導者らのいる区域だった」と語った。同本部は、アフガニスタンでの戦争を統制している。
同長官は、「そこにいた者は、だれでもそこにいなければよかったと思うだろう」と述べた。
同長官は、爆撃を受けた際、その施設にだれがいたかは把握していない、と語った。(ロイター)
国際援助、アフガンだけの問題ではない=欧州委員


 [ブリュッセル 27日 ロイター] 欧州委員会のニールソン委員(人道援助担当)は、アフガニスタンにおける危機的状況が、世界の他の貧困地域における援助の必要性から注意を逸らさせる結果になってはならない、との見解を示した。
 同委員は、国連主催で国際援助の喚起をテーマにした会合で、「現在は、誰もがアフガニスタン国民が置かれている悲劇の存在を知っている」としたうえで、「しかし、他の地域、例えばアンゴラなど、弱い人々が置かれている同様に悲劇的な状況はどうだろう。誰か必要な措置を取っているのだろうか」と述べた。
 国連のアナン事務総長は前日、洪水、干ばつ、疫病、戦争などの被害者3300万人を援助するため、25億ドルの資金援助を呼びかけた。(ロイター)
対アフガン攻撃支援の自衛隊艦艇、28日にボンベイ入港へ=インド政府


 [ニューデリー 27日 ロイター] テロ対策特別措置法に基づき、米軍が主導するアフガニスタン攻撃の後方支援を行うため、日本からインド洋に向け出港した3隻の自衛隊の艦艇は、28日にボンベイに入港する予定。
インド外務省の報道官であるニルパマ・ラオ氏は、記者団に対し、日本政府がこの日、給油や補給作業のための入港の許可を要請した、と述べた。(ロイター)
英政府、対アフガン軍事行動の他国への拡大は支持しない=外務閣外相


 [ロンドン 27日 ロイター] 英政府は、9月に発生した対米同時多発テロ攻撃に関与した証拠がない限り、米国がアフガニスタン以外にも軍事行動を拡大することは支持しない意向を明らかにした。
外務省のブラッドショー外務閣外相は議会で、「この軍事行動は、9月11日の大量殺人に関与した勢力に対象を絞ったものだ。国家が関与していた証拠がないうえ、そうした証拠がない状況では、軍事行動の目的はこれまで通りだ」と述べた。(ロイター)
アフガン・タリバン、リビア慈善団体に降伏仲介を要請


 [チュニス 27日 ロイター] リビアの最高指導者であるカダフィ大佐の子息が運営する同国の慈善団体は、アフガニスタン・タリバン勢力の複数の高官が先週、降伏についての仲介を求めてきたことを明らかにした。リビア国営通信が報じた。
 この団体、カダフィ・インターナショナル・チャリティー・オーガニゼーションは、この降伏の仲介要請を受け入れる代わりに、国連と赤十字国際委員会に助力を求めたほか、アフガニスタン内のアラブ人兵士の帰国支援を要請したという。
 同団体は声明で、「閉鎖される1日前の11月20日付けで、パキスタンのアフガニスタン大使館からのメッセージを受け取り、仲介とアフガニスタン内のアラブ系兵士とタリバン兵士の武装解除の監視を求めてきた」とした。(ロイター)
アフガンのマザリシャリフで戦闘が継続=ラムズフェルド米国防長官


 [タンパ(米フロリダ州) 27日 ロイター] ラムズフェルド米国防長官は、アフガニスタンの北部、マザリシャリフで戦闘が継続している、と明らかにした。
マザリシャリフでは北部同盟勢力と米国による爆撃で、アルカイダの捕虜による反乱が鎮められた。
同長官はワシントンからタンパに向かう機内で同行の記者団に対し、「マザリシャリフでは依然、戦闘が続いている」と述べた。タンパで同長官は、米中東軍司令官のトミー・フランクス陸軍大将と会談する予定。
ラムズフェルド長官は、「今もなお武器を有し、抵抗しているのは少数になっているとみられており、今日中に鎮圧されると予想されている」との見方を示した。(ロイター)
<ビンラディン氏>死を覚悟 後継を指名 逃走生活判明

 【イスラマバード春日孝之】アフガニスタンで米軍に追跡されているウサマ・ビンラディン氏の警護体制や逃走方法など同氏を取り巻く最近の状況が27日、分かった。パキスタン軍情報機関(ISI)筋が毎日新聞に明らかにした。米同時多発テロの首謀者とされるビンラディン氏は、米軍の包囲網が狭められる中、すでに死を覚悟し、後継を指名したという。

 同筋によると、ビンラディン氏は4人の妻や多くの子供と逃走生活を続けている。同時テロ後に生まれた娘も一緒だ。十数人のアラブ人ボディーガードが、米特殊部隊使用の物と同レベルの最新のレーザーガンと自動小銃を携行、夜間は暗視ゴーグルを装着し、警護する。

 ボディーガードの外周にはアラブ人だけで構成する「アルカイダ」指導部が取り巻く。その周囲を、さらにパキスタン人やアフガン人、チェチェン人などのアルカイダ支援組織のメンバーが固めている。一団は総勢200〜300人だ。

 ビンラディン氏の指令は、アルカイダ指導部が同氏と連絡を取りながら行う。タリバンやISIなど外部組織との接触は、すべてアルカイダ支援組織が取り次いでおり、外部からアルカイダ指導部と直接接触することは不可能だ。

 逃走範囲は、タリバンが今も支配下に置くカンダハル、ヘルマンド、ザブル、ウルズガンの4州内で、昼夜を問わず移動し、同じ場所に連泊することはない。宿泊は地中貫通爆弾(バンカーバスター)を回避できる山岳部や地中に造った洞くつの中だけだ。

 移動は、一団が数キロもの範囲に拡散しながら行う。ビンラディン氏は通常、四輪駆動車で動くが、変装して一定区間を徒歩で移動することも多く、米軍の偵察や通報者の存在を極度に警戒している。

■自爆装置携え これまでにパキスタン側の複数のパシュトゥン人部族から「避難場所を提供する」との申し出が寄せられた。だが、米国は所在特定につながる情報に2500万ドル(約30億円)の懸賞金を提示しており、ワナを恐れて一度も応じていない。「タリバン支配地域を出ることは死を意味する」と同氏は考えているという。

 今月半ば、米軍の空爆でアルカイダ・ナンバー2のアテフ氏が死亡し、ビンラディン氏の一団も別に移動中、空爆にさらされた。アルカイダ支援組織のパキスタン人数人が死亡したが、同氏は無傷だった。

 タリバン部隊は現在、ビンラディン氏の警護から離れている。タリバンの最高指導者オマル師と直接連絡を取り合っているかは不明だ。オマル師は同氏に「あなたが殺されたら、我々の士気は一気に下がる。米軍と遭遇しても交戦せず、逃走だけを考えてほしい」と要請しているという。

 だが、ビンラディン氏は今や外部からの補給路を事実上断たれ、死を覚悟している。アフガン国内で別行動中の側近を後継者に指名しており、護衛や息子に「(アルカイダ指導部の防衛網を)米軍が突破したら、私を射殺しろ」と命令。ボディーガードの一人は自爆装置入りブリーフケースを携えている。(毎日新聞)
アフガン4派協議始まる

 【ボン27日=宮明敬】タリバン支配終焉(しゅうえん)後のアフガニスタンの政治的枠組みを話し合う同国主要4派政治協議(国連主催)が27日、ドイツ・ボン近郊のペータースベルク迎賓館で始まった。協議では、暫定政府の構成や治安回復のための多国籍軍受け入れ問題での合意を目指す。米軍の支援を得て武力でタリバン政権を打倒した少数派3民族(タジク、ウズベク、ハザラ人)連合の北部同盟が、国際社会や在外アフガン人グループ3派の要請にどこまで柔軟対応するかが成否のカギを握るが、国連のファウジ報道官は「政治協議の後には、ボン、東京でのアフガン復興支援会議が控えている」と語り、経済支援策をてこに政治的妥協をまとめる戦術を示した。

 同報道官によると、各派代表団は午前中の協議で、協議日程を3―5日間とすることで合意した。また、暫定政府と、議会に相当する暫定評議会の存続期間を来春開催予定のロヤ・ジルガ(国民大会議)までの3―6か月とし、ロヤ・ジルガで承認される憲法制定までの新たな統治機構の存続期間を2年とする案が議題に上っていることを明らかにした。

 協議に参加したのは、北部同盟のほか、ザヒル・シャー元国王派(ローマ・グループ)、亡命知識人らの「キプロス・グループ」、パキスタン在住難民らを代表する「ペシャワル・グループ」の3派。北部同盟から1人、元国王派からは2人、女性が代表団に加わった。

 北部同盟のカヌニ代表(内相)は、午前中の協議で、「我々は23年間、敵と戦ってきた」と存在感を誇示する一方で、暫定政府で他派と権力を分かち合う用意も表明した。

 北部同盟にはロシア、イラン、元国王派には米国、キプロス・グループにはイラン、ペシャワル・グループにはパキスタンと、各代表団には周辺諸国や大国の影響力が指摘される。だが、協議の議長役を務めるブラヒミ国連事務総長特別代表は冒頭のスピーチで、「アフガンの新時代を築く歴史的決定と責任を担うのは、周辺国や国連ではなく、アフガン人自身である」と語り、周辺国の干渉と内戦の歴史に自らの手で終止符を打つよう、各代表団に訴えた。

 また、ホスト国を代表してあいさつしたフィッシャー独外相は「アフガンでの人道援助を円滑に進めるためにも、治安問題を解決する政治的意思をここ(ペータースベルク)から発してほしい」と語り、暫定政府づくりとあわせて、多国籍軍の受け入れに前向きな姿勢を示すよう要請した。(読売新聞)
<アフガン>日本NGOがカブールに到着 

 日本の非政府組織(NGO)ピースウィンズ・ジャパンの日本人スタッフ3人が27日、避難民向けの食糧支援などのため、カブールに到着した。北部同盟がカブールを制圧してから、日本のNGOの邦人メンバーがアフガンに入ったのは初めて。日本政府のアフガン復興支援の調査を兼ねて、外務省の事務官も同行した。(共同)(毎日新聞)
<アフガン>カンダハル南約90キロに拠点 米軍

 アフガニスタンの原理主義勢力タリバンに対して攻勢を強める米軍は27日、本拠地カンダハル攻略へ向け、同市の南約90キロの地点に拠点を築いている模様だ。クエッタのアフガン人部族勢力筋などによると、カンダハル市の南東約40キロのタクタプルでは、パシュトゥン系部族武装集団が道路や橋を制圧した。(毎日新聞)
捕虜収容所の投降兵暴動で調査要求 アムネスティが米に

 国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは28日、アフガニスタン北部カライジャンギにある北部同盟の捕虜収容所で起きたタリバーン投降兵による暴動の原因などについて、北部同盟や米軍に対し緊急に調査するよう求めた。

 暴動は25日午後、アフガン北部のクンドゥズから連行されたタリバーンの投降兵が、捕虜収容所で北部同盟兵の武器を奪ったことから始まったとされる。投降兵には外国人義勇兵も多く、約700人が戦闘で死んだ。


 アムネスティは、北部同盟や米軍に対し、暴動時の北部同盟による投降兵の扱い、さらに空爆など米軍の暴動鎮圧の対応について調査し、結果を公表するよう求めた。(20:33)