2001
11/24
11/24 3億ドルの無償供与表明へ=日パ外相会談始まる

 【イスラマバード24日時事】田中真紀子外相は24日午後(日本時間同日夜)、パキスタン外務省でサッタル外相との会談に入り、アフガニスタンの復興や人道支援策について意見交換した。会談では、田中外相がテロリズム撲滅に向けたパキスタンのこれまでの取り組みを評価する姿勢を改めて示すとともに、今後2年間で3億ドルの無償資金を供与する方針を直接伝達する。 (時事通信)
ジャララバードでビンラーディン一家の住居発見…英紙

 【ロンドン24日=土生修一】24日付の英紙インデペンデントは、アフガニスタン東部のジャララバード郊外でウサマ・ビンラーディン一家が先月上旬まで暮らしていた集合住居が見つかったと報じた。

 同紙によると、この住居はジャララバードから車で約20分の距離にあった。縦450メートル、横150メートルの敷地は高い壁に囲まれ、内部は多くの小部屋が狭い通路で結ばれて迷路のようになっていた。

 中庭にはマシンガンの弾薬などが散乱、書斎とみられる部屋には、地雷など武器に関するマニュアルや日本の航空電子関連メーカーのカタログがあった。(読売新聞)
北部クンドゥズ州でタリバン兵が大量投降

 反タリバン武装勢力「北部同盟」とタリバン兵との戦闘が続くアフガニスタンでは、北部クンドゥズ州でタリバン兵の大量投降があるなど、これまで続いてきたこう着状態打開の見通しが出てきた。一方、米軍は近く海兵隊を地上作戦に投入する模様で、米同時テロ首謀者と見られるウサマ・ビンラーディンの捕そく作戦も本格化する。

 【カブール24日=佐藤浅伸】「北部同盟」の報道官は24日、AFP通信に対し、同国北部クンドゥズ州で立てこもっているタリバン兵士のうち約1700人が北部同盟に投降し、同日午前11時(日本時間同日午後3時半)から撤退を開始したと明らかにした。

 報道官は、投降した約1700人のうちアフガン人は約700人と述べた。少なくとも報道官の情報が事実とすれば、相当数の外国人兵士も投降した可能性もあるが、アラブ人やパキスタン人、チェチェン人など約3000人の外国人兵はこれまで、身の安全が保証されないとして徹底抗戦を主張してきた。

 一方、南部のタリバン本拠地カンダハル戦線は依然、一進一退の展開が続いている模様だ。ロイター通信などによると、カンダハル州では、ザヒル・シャー元国王派のグルアガ元同州知事(パシュトゥン人)の率いる部隊が23日、米軍機の支援も受けて、カンダハルの南東約45キロのパキスタンからの補給路にある都市タフタプルを掌握した。しかしアフガン・イスラム通信によると、カンダハルの東約100キロにあるアルギスタン地区では、タリバン側が同元知事の部隊を撃退した。

 ◆海兵隊、24日にも南部に投入…米NBCテレビ◆

 【ワシントン24日=林路郎】米NBCテレビが24日伝えたところによると、アフガニスタンでの軍事行動のためインド洋に待機している米海兵隊約1500人が早ければ同日中にも、アフガニスタン南部へ突入し、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンとタリバンの最高指導者オマル師の捕捉に向けた作戦に乗り出す可能性がある。

 突入を計画しているのはインド洋上に展開する2隻の揚陸強襲艦ペレリュー、バターンで待機している海兵隊の「海外展開部隊」と見られる。

 同部隊は、テロ組織を対象とした特殊作戦のほか、他の特殊作戦で死傷した兵員の救出や墜落した航空機・ヘリなどの回収が専門。相当規模の同部隊が展開することは、米軍がビンラーディンらの捕捉に向けた作戦を本格化させることを意味する。(読売新聞)
<タリバン>住民抑圧の実態を報道 仏リベラシオン紙

 【パリ福島良典】仏紙リベラシオンは23日、アフガニスタンの首都カブールで同紙の特派員が目にした風紀取り締まり文書を元にタリバンによる住民抑圧の実態を報じた。

 同紙によると、カブールの「善行の振興と悪行の鎮圧のための省」で見つかったとされる文書には摘発の様子が詳述されていたという。同紙掲載の文書の一部は以下の通り。

 「2001年3月20日、住民がペルシャの新年を祝い、偶像崇拝の祭典のために墓参りをする計画があるとの情報を得て警戒。朝から夜までパトロールし、逮捕を執行した」

 「9月5日、祈祷とジハード(聖戦)の講義のため保安省第3局を訪問、職員2人を逮捕した。一人はひげが短すぎたため、もう一人は最後の祈祷を欠席したため」

 「10月1日、第2警察署で眠っていて祈祷をさぼった警官を投獄した。第11警察署では少年、カメラ、音楽のカセットテープ、麻薬を発見。少年と同性愛関係を持っていた2人を投獄した」

 「10月9日、道路を通行止めにして、ひげをたくわえていない者、たばこやラジオを所持していた者、車の窓に曇りガラスを使っている者を逮捕、投獄した」(毎日新聞)
<アフガン攻撃>首都陥落時の状況を語る パキスタン人義勇兵

 アフガンのタリバンの部隊に加わっていたパキスタン人義勇兵が24日、クエッタで毎日新聞の取材に応じ、首都カブール陥落からカンダハルへの撤退までの状況を語った。この義勇兵によると、15日に最高指導者オマル師がカンダハルで最高ランクの司令官を招集、すべての外国人義勇兵に対し帰国許可を出したという。(毎日新聞)
米特殊部隊にビンラーディン殺害の権限を全面委任

 【ワシントン24日=林路郎】アフガニスタンで活動している米軍特殊部隊が、中央軍司令部に指示を仰がずに、同時テロの首謀者と見られるウサマ・ビンラーディンの所在を確認次第、直ちに拘束・殺害を遂行できる権限を、全面的に与えられたことが分かった。現場部隊への作戦上の全権委任は米軍史上例がない。

 23日付の米紙ワシントン・タイムズによると、現地部隊への全権委任はフランクス中央軍司令官の判断。これまでの作戦で、現地部隊がビンラーディンの所在を突き止めながら、通常の攻撃に必要な国防総省や中央軍司令部の許可を求めたため、取り逃がした例が報告されており、全権委任にはこうした事態を避ける狙いがあると見られる。

 国防総省高官は同紙に対し、アフガン入りしている特殊部隊は過去2週間で、ビンラーディンのテロ組織「アル・カーイダ」やタリバンのメンバー数百人を待ち伏せなどの手段で殺害したと語った。だが、こうした作戦の詳細は国防総省にも報告されておらず、作戦は現地部隊の判断で進んでいることをうかがわせている。(読売新聞)
<アフガン復興>「あと1カ月が正念場」 大島・国連事務次長

 大島賢三・国連事務次長(人道問題担当)は24日、東京都内で毎日新聞と会見した。アフガニスタンへの国連の救援物資搬入について「冬が本格化するまでのあと1カ月が正念場だ。最善を尽くすが、すべての危機を回避するのは難しいのでは」と述べ、アフガンの避難民が依然、危機的な状況に置かれていることを強調した。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>「米兵少なくとも35人死亡」 パキスタン紙

 【イスラマバード福原直樹】パキスタンの英字紙ザ・ニューズは24日、アフガニスタン南部で米軍特殊部隊の少なくとも35人が死亡し、他の負傷兵とともにパキスタン中部のジャコババード空軍基地に運ばれたと報じた。米国、パキスタンとも、この情報を確認していない。

 同紙によると米軍は22日から、テロ組織アルカイダとタリバンの攻撃作戦を展開したが、タリバン側の奇襲を受け、撤退を余儀なくされたという。死亡した兵士らは、タリバン側の攻撃で孤立した模様だと同紙は伝えている。遺体は今後、10機の輸送機で米国に運ばれる予定という。(毎日新聞)
北部同盟、クンドゥズへの攻撃を再開=インタファクス通信


 [モスクワ 24日 ロイター] ロシアのインタファクス通信は、アフガニスタンの反タリバン勢力、北部同盟が東方から北部クンドゥズへの攻撃を再開した、と報じた。
 タロカン発の同通信電は、5000人規模の部隊がクンドゥズへの進撃を開始した、とする北部同盟の司令官の話を伝えている。
 また、タス通信はタジキスタン・ドゥシャンベの軍事筋の話として、北部同盟軍が事実上、戦闘なしにクンドゥズに入ったとしている。(ロイター)
<米大統領>アフガン攻撃長期化で国民に理解求める ラジオ演説

 ブッシュ米大統領は24日、土曜恒例のラジオ演説で「困難な時期が待ちうけている。戦いが早く、また、たやすく終わることはない」と述べ、アフガニスタン攻撃の長期化で国民に理解を求める。この日は感謝祭後の週末にあたるため、大統領は、テロ後、助け合いや寛容の伝統を示してきた米国民への感謝の言葉を述べる。(毎日新聞)
UNHCRへの追加拠出に前向き=アフガン国内避難民支援で−田中外相

 【イスラマバード24日時事】田中真紀子外相は24日午前(日本時間同日午後)、イスラマバード市内で国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグランディ地域調整官と会談し、アフガニスタン難民への支援などに関し、約45分間にわたって意見交換した。
 席上、同調整官は現在のアフガン国内の情勢について「治安確保を行うことが国際機関の活動を支援していく上で重要だ」と指摘。その上でアフガン国内にとどまっている避難民に対し、支援を強化する考えを伝え、追加の資金拠出を近く日本政府に正式要請することを明らかにした。
 これに対し、外相は「承りました」と前向きに検討する考えを示した。 (時事通信)
北部同盟、攻撃中断でタリバン兵の投降猶予期間設ける


 [カブール 24日 ロイター] 分裂が伝えられるアフガニスタンの北部同盟は、クンドゥズに立てこもっているタリバン兵ら約1万5000人に対し、投降のための猶予期間を設けた。
 北部同盟のアブドラ外相が23日夜、ロイター通信に語った。
 ただ、北部同盟は24日午後までにタリバン側と何らかの合意が成立しなかった場合、攻撃を再開する方針。
 同外相は、タリバン側との交渉が順調に進展することへの期待感を示した上で、交渉が決裂した場合は軍事行動もやむを得ない、との考えを明らかにした。(ロイター)
反タリバン派部隊、カンダハル隣州に進軍

 【イスラマバード24日=奥村健一】米CNNテレビによると、アフガニスタン西部ヘラート州に拠点を置くイスマイル・カーン司令官は23日、同司令官の部隊が同日までに、原理主義勢力タリバンが支配権を維持するとされる南部ヘルマンド州に入り、同州の空港付近の2か所で戦闘を始めたと語った。

 同部隊は東隣のカンダハル州をうかがう構えだ。同司令官は北部同盟と共闘しており、これまでにカンダハル進軍の意思を明言している。(読売新聞)
<パキスタン>タリバン支援の義勇兵救出へ 航空機を派遣

 24日付の米紙NYタイムズ(電子版)によると、アフガン北部のクンドースで北部同盟に包囲されているタリバン勢力のうち、パキスタン人義勇兵を救出するため、パキスタン機が23日までにクンドースに到着した。北部同盟当局者が語った。しかし、米側はコメントを避け、パキスタン当局もノーコメントとしている。(毎日新聞)
米空爆続行、カンダハルに超大型爆弾投下

 【ワシントン23日=林路郎】米中央軍司令部(CENTCOM)によると、米軍は23日、タリバンとウサマ・ビンラーディンのテロ組織「アル・カーイダ」部隊が抗戦を続けるアフガニスタン北部クンドゥズと、タリバンの拠点都市、南部カンダハルなどで大規模空爆を続行した。

 同司令部は、カンダハルへの攻撃では22日までに、直径約500メートルの範囲内の地表の兵員、物体を吹き飛ばす威力を持つ1万5000ポンド(約7トン)級の超大型爆弾BLU―82(デイジー・カッター)を投下したことを明らかにした。

 同爆弾の投下を米軍が認めたのは11月上旬に続き3度目。同市周辺に立てこもるタリバン部隊の破壊と威嚇が目的。米軍は、タリバンが同市周辺に約500両の戦車を隠していると見て、洞穴やトンネルなどに対する集中空爆を続けている。

 クンドゥズのタリバン部隊と北部同盟の投降交渉について、米国政権内では、2000人前後と見られるアラブ系精鋭部隊が投降に応じるとは考えにくいとの見方が強く、交渉中も米軍は空爆を続ける方針だ。

 一方、東部ジャララバード近郊では、米軍特殊部隊が、アル・カーイダの元テロリスト訓練キャンプ内に化学兵器工場と見られる施設の存在を確認。米軍は22日夜、この施設を空爆した。同市周辺には、アル・カーイダのアラブ系メンバーの家族らが滞在する施設があり、ビンラーディンら幹部が不定期にこの施設を訪問するため、ビンラーディン捕捉を目指す米軍は一帯での地上の動きに対する監視を強めているという。(読売新聞)
「母国にはもう住む所ない」=収容解かれたアフガン人が訴え

 東京入国管理局に強制収容され、東京地裁の執行停止決定で拘束を解かれたアフガニスタン人の男性5人が24日、解放後初めて、東京都内で記者会見した。5人は「内戦が続くアフガンにもう住む所はない。日本に助けてほしい」などと訴えた。
 会見した5人を含むアフガン人9人は、米同時テロ事件後の10月3日、東京入管に強制収容され、同地裁に取り消しを請求。5人は執行停止が認められたが、残る4人の訴えは退けられ、東京高裁に抗告中。 (時事通信)
<サウジ副大臣>米のアフガン攻撃を批判 毎日新聞と会見

 サウジアラビアのタゥフィーク・アルレディリ・イスラム指導省副大臣はこのほど、毎日新聞と会見し、米軍を主体とするアフガニスタン攻撃について「国内全てのイスラム教指導者が反対している」と批判した。ラマダン中の攻撃続行を受け、聖地メッカ、メディナを抱える「イスラムの盟主」として拒否の姿勢をアピールした。(毎日新聞)
<アフガン>タリバンが兵士の妻子を人質に 米紙報道

 23日付の米ワシントンポスト紙は、アフガニスタン・カンダハルでタリバン強硬派や外国人義勇兵がアフガン人兵士の降伏や脱走を防ぐため兵士の妻子を人質にとっている、と報じた。人質の妻子の警備担当で嫌気がさしてパキスタンに戻ったパキスタン人義勇兵3人の話として伝えた。(毎日新聞)
米軍、22日もアフガニスタンの洞くつやトンネル攻撃を継続=国防総省


 [ワシントン 23日 ロイター] 米国防総省は、最高70機に及ぶ長距離爆撃機と戦術戦闘機が前日22日、アフガニスタンの洞くつやトンネルを攻撃したことを明らかにした。
 米国防総省のスーザン・ハンセン報道官は、「昨日、アルカイダやタリバンに対するアフガニスタンでの軍事行動が引き続き実施された」と述べた。
 米国はまた、世界のイスラム教徒の支援を得るため、宣伝活動も進めており、タリバンやテロ組織アルカイダが実行したとみられる「テロリストの残虐行為」の詳細を発表した。
 この活動には、アフガニスタン南部のカンダハルや北部のクンドゥズでのパンフレットの散布、ウサマ・ビンラディン氏や同氏側近幹部の捕捉につながる情報について、最大2500万ドルの報奨金の提供などが含まれている。
 また、報道や軍事情報を活用し、古くは1996年までさかのぼってタリバンやアルカイダによる22件の残虐行為の情報を開示した。(ロイター)
オマル師はカンダハルで健在=スポークスマン


 [イスラマバード 23日 ロイター] アフガニスタン、タリバンの最高指導者オマル師のスポークスマンは、同師が隠れたとする22日の報道内容を否定し、同師がカンダハルで健在であることを強調した。
 パキスタンを本拠とするアフガン・イスラム通信(AIP)が報じたもの。
 同スポークスマンはAIPの電話取材で、「オマル師が隠れたとする報道は事実無根。同師はカンダハルに留まっており、兵士らと連絡を続けている」と述べた。
 先の報道によると、タリバンのある治安当局者がパキスタン国境に近いスピンボルダックで、”オマル師が代理人に兵士らの件を委任し、隠れた”と語ったとされる。
 同スポークスマンは、オマル師が代理人を指名したことを認めたものの、同師はカンダハルを離れていないとコメントしたという。(ロイター)
<カンダハル>明け渡し交渉は難航 元国王派幹部明かす

 アフガニスタンのザヒル・シャー元国王派幹部のアハマド・カルザイ氏は22日、毎日新聞の取材に応じ、反タリバンの多数派パシュトゥン諸部族がタリバンに要求しているカンダハルの明け渡しに向けた交渉が難航、武力衝突に発展する可能性が高いと指摘した。カルザイ氏は、交渉決裂の可能性が高まっていることも認めた。(毎日新聞)
<アフガン>タリバン撤退で犯罪急増 相次ぐ外国メディア襲撃

 反タリバン勢力が支配を拡大したアフガニスタンの地方部で治安が悪化、国連や外国報道陣への襲撃事件が相次いでいる。タリバンが5年前に台頭した背景には民族、軍閥各派の抗争による治安の乱れがあったが、タリバン撤退で犯罪が増えるという皮肉な現象だ。

 国連報道官によると、西部ヘラート州で19日、世界食糧計画(WFP)の輸送車列が武装兵士に止められ、食料185トンが奪われた。同日には東部の要衝ジャララバードとカブールを結ぶ道路で外国人記者四人が殺害された。各地で強盗も相次いでいる。

 反タリバンの中心勢力、北部同盟は首都制圧に際し、90年代前半のような治安悪化を防ぐため、特別訓練を受けた精鋭部隊約三千人を治安維持に送り込み、カブール市内では平穏が保たれている。

 しかし、地方では北部同盟の統制下に入らない地元武装勢力がタリバンの去った権力の空白を埋めており、統制の取れた治安維持能力に欠ける上、自ら犯罪行為を行っているとの見方もある。

 厳罰主義のタリバンの治安機構を恐れる必要がなくなった犯罪集団にとり、本格的に輸送が再開された国連の支援物資や、高価な通信、映像機材を運ぶ報道陣の車は絶好の標的だ。(カブール共同)(毎日新聞)