2001
11/23
11/23 北部同盟内で主導権争い 「投降交渉」にラバニ派反発

 アフガニスタンの北部同盟軍は、23日もクンドゥズに立てこもるタリバーン軍への総攻撃を続けた。攻撃の指揮をとるのは北部同盟タジク系のラバニ派で、ウズベク系のドスタム将軍が進めたタリバーン軍との「投降」交渉に反発。同盟軍内の主導権争いが浮き彫りになった。

 アフガン・イスラム通信(AIP)によると、ラバニ派勢力は23日、クンドゥズを、周辺の3地点から挟み撃ちする攻撃を開始した。ラバニ派のカヌニ内相は、ドスタム将軍が22日にタリバーン側と合意したタリバーン兵の投降に納得せず、攻撃を指示したという。


 クンドゥズは、タリバーン勢力にとって、北部で最後に残った拠点で、タジキスタンと国境を接する要所でもある。隣接するマザリシャリフを支配するウズベク系のドスタム将軍は、タリバーン投降の交渉を通じて、クンドゥズに影響力を広げることを狙い、ラバニ派の反発を買ったとの見方が出ている。(23:04)

タリバーンと北部同盟、カブール西郊で戦闘

 アフガニスタンからの報道によると、北部同盟軍は22日、カブールの西約20キロにあるマイダンシャールのタリバーン軍を攻撃した。

 マイダンシャールは、カブールからカンダハルへの経路にある戦略上の要所。タリバーン側は、パシュトゥン人住民の加勢も得て、北部同盟軍を寄せつけなかったようだ。

 北部同盟はカブールを支配したが、この地を含む近郊の山岳地帯には、タリバーン兵が多数おり、徹底抗戦の構えを見せているという。


(23:00)

世界食糧計画がアフガン北部に小麦粉空輸

 世界食糧計画(WFP)は23日、タジキスタン南部から初めて、アフガニスタン北部のファイザバードに食糧援助の小麦粉約17トンを空輸した。天候が良ければ1日4便を往復させ、今後数週間で計2000トンの食糧を届ける予定。

 WFPによると、アフガン北部の遠隔地では27万人以上が緊急の食糧援助を必要としている。


(22:58)

パキスタンからアフガン入りの義勇兵3000人が不明に

 米軍から攻撃を受けていたタリバーンを支援するため、パキスタンからアフガニスタンに向かったパシュトゥン人部族の義勇兵約3000人が北部同盟との戦闘後に行方が分からなくなっている。心配する部族長らは23日、アフガンに使節を送り、北部同盟のラバニ氏らに捜索協力を頼むことなどを決めた。

 義勇兵は主に、アフガンと国境を接するパキスタン部族地区に住むマラカン族の出身。先月20日ごろ、20代から40代を中心とする約1万人が銃や手りゅう弾で武装し、アフガン東部のジャララバードに入った。その後、カブールやマザリシャリフ、クンドゥズなど各地に分散して北部同盟との戦闘に参加した。


 アフガン北部が北部同盟に攻略された後、義勇兵のリーダーは兵をまとめてパキスタンに戻ったが、現時点で約3000人の所在がつかめていないという。(20:55)

クンドゥズのタリバン、即時停戦・投降で一部同意

 【カブール23日=花田吉雄】アフガニスタンの北部同盟ウズベク人勢力の幹部が23日、本紙に語ったところによると、同勢力を率いるアブドルラシド・ドスタム将軍は、北部の戦略拠点クンドゥズに立てこもるタリバン部隊司令官から「即時停戦し速やかに投降する」ことへの同意を取り付けた。また、現地からの報道によると、この合意は、<1>アフガン人のタリバン兵は帰宅を許される<2>アラブ人など外国人部隊は逮捕の上、法廷で裁かれる――との条件を設けている。

 しかし、同幹部によると、合意はまだ、北部同盟全体の承認を受けておらず、ウズベク人とともに同盟を構成するタジク人、ハザラ人両勢力は、クンドゥズ制圧の功績をウズベク勢力に独占されることを警戒している。

 アフガン・イスラム通信は、「北部同盟部隊」が23日、タリバンを三方から攻撃、タリバン兵数百人が投降したと報道。この攻撃はウズベク人以外の北部同盟勢力によるものである可能性が高いとみられる。(読売新聞)
アフガンでの米軍事作戦参加の仏部隊5000人規模に

 【パリ22日=AFP時事】フランス国防省は22日、アフガニスタンでの軍事作戦に参加する仏軍部隊は5000人の規模となることを明らかにした。

 同省スポークスマンによると、2450人の部隊が原子力空母シャルル・ドゴールなど4隻の艦船で12月半ば、インド洋に到着するほか、空軍部隊約200人がキルギスかタジキスタンに駐留するなどとしている。

 同スポークスマンによると、仏軍は6日以降、ペルシャ湾やアラブ首長国連邦に海・空軍部隊2000人が駐留して米軍の後方支援に当たっている。(読売新聞)
<英外相>パキスタン大統領と意見交換へ アフガン政権問題で

 英国のストロー外相は22日、パキスタン入りし、23日にムシャラフ大統領と会談、アフガニスタンでの連合政権樹立に向け意見交換する。外相はパキスタンに先立ちイランを訪れ、ハラジ外相と会談した。アフガン情勢をめぐってはパキスタンとイランは対立関係にあり、双方の思惑を見極めたいとの狙いもありそうだ。(毎日新聞)
カブールに病院開設へ=ロシア

 【モスクワ23日時事】ロシア非常事態省のウォロビヨフ第1次官は23日の記者会見で、アフガニスタンの首都カブール市内に移動病院や人道物資の保管施設を備えた「人道援助センター」を来週にも開設すると発表した。
 同次官によれば、病院は約30床のベッドを備え、一般市民に対する医療措置を施す。同センターには医師を含む約90人の職員を派遣する。 (時事通信)
<ポーランド>軍部隊300人をアフガンに派遣 米の要請で

 ポーランド政府は22日、米国政府の要請を受け、最大300人の同国軍部隊をアフガニスタンに派遣することを閣議決定しクワシニエフスキ大統領も同日、部隊派遣を承認した。派遣期間は来年1月10日から半年間で対テロ作戦を任務とする陸軍の特殊部隊や対生物化学戦部隊、工兵隊、海軍輸送部隊などが参加する。(共同)(毎日新聞)
<クンドース>北部同盟は3方向から攻撃 タリバン系通信が報道

 タリバン系のアフガン・イスラム通信によると、アフガニスタンの北部同盟は23日、タリバン軍の北部の要衝クンドースに対し3方向から攻撃を行っていると伝えた。クンドース明け渡しをめぐり北部同盟のドスタム将軍派とタリバンの間で交渉が続く一方、北部同盟内の他派が攻撃を開始するなど足並みの乱れが出ている模様。(毎日新聞)
タリバン、オマル師のカンダハル健在を強調


 [イスラマバード 23日 ロイター] タリバンの最高指導者オマル師の広報官は、同師が隠れたとする22日の報道内容を否定し、同師がカンダハルで健在であることを強調した。
 パキスタンを本拠とするアフガン・イスラム通信(AIP)が報じた。
 広報官はAIPの電話取材で、「オマル師が隠れたとする報道は事実無根。同師はカンダハルに留まっており、兵士らと連絡を続けている」と述べた。
 先の報道によると、タリバンのある治安当局者がパキスタン国境に近いスピンボルダックで、”オマル師が代理人に兵士らの件を委任し、隠れた”と語ったとされる。
 広報官は、オマル師が代理人を指名したことを認めたものの、同師はカンダハルを離れていないとコメントしたという。(ロイター)
アフガンのマザリシャリフで400―600体の遺体を発見=赤十字国際委


 [ジュネーブ 22日 ロイター] 赤十字国際委員会(ICRC)は、アフガニスタンの反タリバン勢力である北部同盟が掌握した同国北部の都市、マザリシャリフで、400―600体の遺体が発見された、と明らかにした。
 ICRCのスポークスマン、Macarena Aguilar氏は、これらの遺体が処刑されたものなのか、あるいは11月9日に同地域が陥落する以前の戦闘で死亡したものなのかについては、コメントしなかった。
 同氏は、「400―600の遺体が発見され、300体を埋葬した。死因については申し上げられない」と付け加えた。(ロイター)
タリバンはまだ敗北していない=NATO事務総長


 [モスクワ 22日 ロイター] 北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長は、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンはまだ敗北していないが、最後には打倒される、との見解を示した。
 同事務総長は現在モスクワを訪問中。
 同事務総長はロシアのイワノフ国防相との会談後、記者団に、「タリバンは退却しているが、まだ敗北したわけではない。しかし、彼らは打ち負かされ、アルカイダとビンラディン氏はニューヨークや他所で行ったことの報いを受けるだろう」と語った。
 また、イワノフ国防相も、タリバンは「破壊されていない」と述べた上で、タリバンは依然としてアフガニスタンの約20%を支配している、と指摘した。(ロイター)
<米国務次官>イラク軍攻撃示唆 毎日新聞と会見

 ボルトン米国務次官は21日、毎日新聞と会見した。次官はイラクがテロ組織を支援していると非難し支援をやめなければ「アフガニスタン攻撃が終わった段階で米国は対イラク政策を決める」と、軍事攻撃の可能性を示唆しながら強く警告した。また、同時テロと無関係でも「テロとの戦い」の対象になりうるとの立場を示した。(毎日新聞)
タリバン完全に孤立 在パキスタン大使館閉鎖 投降交渉が決裂 クンドゥズ

 【ワシントン22日平山孝治】パキスタン政府は二十二日、アフガニスタン・タリバン勢力に対し、イスラマバードのタリバン大使館閉鎖を命じた。ペシャワル、クエッタの両タリバン領事館閉鎖命令に続く措置で、パキスタンとタリバンの国交関係は全面的に断絶された。米CNNテレビなどが伝えた。

 タリバン勢力は米中枢同時テロ前まで、隣国パキスタンのほか、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)から承認を受け、それぞれと外交関係を保っていた。テロ後にサウジ、UAEが断絶を決定。今回のパキスタンの断絶で、国際社会から完全に孤立した形となった。ザイーフ大使らは一定期間内にアフガンに退去するという。

 一方、アフガン北部で唯一残るタリバン拠点クンドゥズ州では、タリバン軍が全面投降することで北部同盟側と停戦合意が成立した、と伝えられたが、最終合意に至らず決裂。CNNなどは、北部同盟側が総攻撃態勢に入った、と報じた。

 投降後、外国義勇兵を裁判にかけるかどうかなど、タリバン兵の処遇をめぐって主張が対立したためとみられる。

 クンドゥズをめぐっては当初、国連を仲介役とする停戦が模索されていたが交渉は難航、タリバンが孤立した状況に追い詰められており、武力衝突による住民被害の拡大が懸念されている。(西日本新聞)
<アフガン>タリバンが兵士の安全な帰還要求 反タリバン証言

 アフガニスタン北部の要衝クンドースをめぐり、タリバン部隊を包囲している北部同盟幹部は22日、投降に向けた最終交渉で、タリバン側が南部の本拠地カンダハルなどへの兵士の安全な帰還を要求していることを明らかにした。タリバンは21日、北部同盟との間で投降に原則合意、その後も交渉の詰めが行われていた。(毎日新聞)
<豪特殊部隊>「アフガン派遣は限定的」戦略政策研究所理事長

 ヒュー・ホワイト豪戦略政策研究所理事長は22日の会見で、アフガン攻撃に参加している特殊部隊について「6カ月以上の関与は難しい」と述べ、派遣が限定的なものとなる見通しを示した。「我が国の主な関心は東ティモールなどとの関係にある」と述べ、派遣が長期化した場合、米軍への協力が困難となる可能性を示唆した。(毎日新聞)
タリバンの駐パキスタン大使館が閉鎖

 【イスラマバード22日=末続哲也】パキスタン政府は22日、アフガニスタンのタリバンに対し、在イスラマバード大使館を閉鎖するよう正式に通知した。これを受け、パキスタンにあったタリバンの大使館や領事館はすべて閉鎖された。

 パキスタンはタリバンを承認する唯一の国だったが、大使館閉鎖によって外交関係は完全に途絶えることになった。

 パキスタンは「タリバンの支配地域縮小に従い、外交関係見直しを継続的に行った」(カーン報道官)結果、今月に入り、カラチなど各都市のタリバン領事館が次々に閉鎖されていた。

 米国も、タリバンが拘束していた米独豪の民間活動団体メンバー8人が先に釈放されたのを受け、パキスタンがタリバンと意思疎通を図るのに不可欠だった大使館の閉鎖を求めていた。(読売新聞)
<アフガン>外国人ジャーナリスト3人殺害と報道 当局は否定

 22日の国営イラン・ラジオは、アフガニスタン東部の都市ジャララバードと首都カブールの間で21日、外国人ジャーナリスト3人が殺害されたと報じた。ジャーナリストの国籍や犯人などは不明という。だが、地元当局と北部同盟はこの報道を否定している。(毎日新聞)
<アフガン>タリバン占拠で生活一変 米へ移住した女医が証言

 米国に移住したアフガニスタン人の女医、シャムさん(35)=仮名=がタリバン政権下での女性の生活について毎日新聞の電話取材に答えた。

 シャムさんの父はカブール大教授、母は小学校教師。妹、弟とも医学生という、恵まれた一家だったが、96年にタリバン勢力がカブールを占拠した直後から生活は一変した。父は大学閉鎖に伴い、「おまえなど用はない」と追い出された。

 シャムさんはまず、トラック、徒歩などで山岳地帯を越えてパキスタンに逃亡。仕事を見つけた後、家族を呼びよせた。「タリバン政権下ではとても生きていけなかった」と話す。

 ブルカと呼ばれる全身を覆うベールは元々、アフガン各地でみられたが、タリバンが権力を握った後は、女性の意思にもかかわらず、強制された。また、学校に行くにも男性の同伴なしに外出するは禁じられた。食料調達に出かけた未亡人が規則に違反したという理由で棒でなぐられたり、教師など社会生活の一端を担っていた女性が仕事を奪われた。草を食べて飢えをしのぐ女性もいるという。

 だが、女性たちは衣類の下などに教科書を隠して家々を訪ね、子供たちにひそかに読み書きを教える地下活動を続けている。非合法学校が発覚し、家に火を放たれ、亡くなった人たちもいるそうだ。

 「女性が人間らしく生きられるよう、国際社会は圧力をかけ、支援してほしい」とシャムさんは訴えた。

 アフガンでは20年以上に渡る内戦で男性の多くが死亡、成人人口の60%〜70%が女性だ。(毎日新聞)
11/22 タリバン軍投降の話し合い決裂、クンドゥスは武力で奪回へ=北部同盟


 [カブール 22日 ロイター] アフガニスタンの反タリバン勢力である北部同盟のカヌニ内相は、同国北部の都市クンドゥスで包囲されているタリバン軍の投降についての話し合いが決裂した、と述べるとともに、タリバン軍に対する武力攻撃を開始したことを明らかにした。同相はあすまでにクンドゥスを制圧したい、としている。
 同相はロイター通信とのインタビューで、「われわれはクンドゥス問題を交渉を通じて解決しようと試みたが、武力による解決を余儀なくされた」と述べた。
 また、「現在、われわれの部隊が進撃している。あすまでにクンドゥスを確保したいと願っている」と語った。
 これより先に、北部同盟のドスタム将軍やクンドゥスの一部タリバン軍司令官らは、マザリシャリフでの両者の協議後、クンドゥズで包囲されていたタリバン軍の全部隊が投降することで合意した、と述べていた。(ロイター)
<アフガン>おびえるタリバン兵士 難民キャンプをルポ

 【スピンブルダック(アフガニスタン南東部)亀井和真】タリバン支配地域の難民キャンプで、おびえるタリバン兵士を見た。米軍の空爆など最近の戦火に追われ、パキスタンとの国境付近まで避難してきたものの、最低限必要な水や食料にも事欠く難民たち。助ける力もないタリバンに不満を募らせ、兵士に怒りをぶつけるのだ。

 スピンブルダックからタリバンの本拠地カンダハルに通じる幹線道路。両側の砂漠地帯に新しい難民キャンプが広がる。イスラム圏やアラブ諸国の非政府組織(NGO)などから贈られたテントがひしめくが、毛布や布をつなぎ合わせただけのものも多い。

 2日前にキャンプに到着したという男性は「カンダハルへの空爆で何もかも失った。ここに来ても何もない。どうしろというんだ」と怒りながら迫ってきた。同行していたタリバン兵士は「ここは危ない。もう行こう」と促した。

 少し離れた別のキャンプの入り口には「対米戦争難民キャンプ」の看板があった。タリバンが設置したが、テント以外の水や食料などの物資は支給されないという。難民たちは井戸の掘削機を共同購入し、2週間の作業で地中約100メートルまで掘り下げたが、水は出ない。現場にいた男性は「深刻だが、信じて掘り続けるしかない」とため息をついた。

 16歳でタリバン軍に加わったという兵士(19)は「難民は怒っている。キャンプには足を踏み入れない方がいい。我々も投石されることがある」と首をすくめた。2年前にアフガン国内を取材した経験があるジャーナリストは「こんなにおびえたタリバンを見るのは初めてだ」とつぶやいた。(毎日新聞)