2001
11/22
11/22 <タリバン>パキスタンが大使館の閉鎖決める 孤立決定的に

 パキスタン政府がイスラマバードのタリバン大使館の閉鎖を決めたことが22日、明らかになった。これまでタリバン政権を支援してきたパキスタンは既にタリバンとの事実上の断交を表明していたが、今回の措置で実態としても、外交関係は完全に断たれ、タリバンは国際的孤立が決定的となった。(毎日新聞)
<アフガン>外国人記者3人死亡 計10人が犠牲に

 【カブール中坪央暁】22日の国営イラン・ラジオによると、アフガニスタン東部の都市ジャララバードと首都カブールの間で21日午後、外国人ジャーナリスト3人が殺害された。北部同盟も報道を確認したが、ジャーナリストの国籍や犯人などは不明だ。

 アフガニスタンでは、11日にも今回と同様にジャララバードとカブールの間で、フランス人2人とドイツ人1人の記者がタリバン兵士の奇襲を受けて死亡したほか、19日にもオーストラリア人、スペイン人など4人の記者やカメラマンが犠牲になっており、アフガン攻撃開始後、殺された外国人ジャーナリストは1週間で計10人になった。(毎日新聞)
<中国>東トルキスタンテロ部隊の存在認める 外務省副局長

 中国外務省の章啓月・報道局副局長は22日、アフガニスタンのタリバン部隊に新疆ウイグル自治区のウイグル族が参加していると指摘されていることについて「東トルキスタンのテロ部隊だ」と存在を認めた。章副局長は「この部隊は国際テロ組織と連絡を持ち、すでに数百人がアフガンでテロ訓練を受けている」と述べた。(毎日新聞)
アフガン復興で協力を=欧州委当局者

 来日中の欧州委員会のギ・ルグラ対外関係総局長は22日、都内で記者会見し、この日行われた日・欧州連合(EU)次官級協議で、アフガニスタンの復興をめぐり日欧がどのような協力ができるのか話し合ったことを明らかにした。
 総局長は「EU加盟国と欧州委は今年、アフガンやパキスタンに対して人道援助を中心に3億ユーロ(約326億円)を拠出している」と述べ、既に同地域に多大な貢献をしていると説明。また、EUと日本のアフガン復興の取り組みに関して、「今後5、6年で何が必要とされるのか評価をした上で優先項目を決定し、双方が協力することが重要だ」と指摘。特に、来年1月に東京でアフガン復興支援会合が開催される予定であることから、同会合に向けて協力する考えを示した。 (時事通信)
タリバン、アフガン北部のクンドゥスで投降開始


 [ロンドン 22日 ロイター] 英スカイ・ニュースは、アフガニスタン北部の最後の砦であるクンドゥスで包囲されていたタリバン軍が投降を開始する映像を報じた。
同テレビは、クンドゥスの町外れから、ターバンを巻き、一部は武装した数百人規模の男性が反タリバン勢力である北部同盟に投降する準備を進めている様子を映している。
これより先に、クンドゥスのタリバン軍司令官、ムラー・ファイザル氏は北部同盟指導者らとの協議後、クンドゥズで包囲されていたタリバン軍の全部隊が投降することに合意したことを明らかにしている。(ロイター)
外相がパキスタンに出発

 田中真紀子外相は22日夜、パキスタンのムシャラフ大統領らと会談するため、成田発のシンガポール航空機でイスラマバードに向け出発した。23日に同国入りする。24日にサッタル外相と会談するほか、25日には同国内のアフガニスタン難民キャンプなどを視察する。大統領とは26日に会談し、27日に帰国する。 (時事通信)
タリバンの駐パキスタン大使館が閉鎖

 【イスラマバード22日=末続哲也】パキスタン政府は22日、アフガニスタンのタリバンに対し、在イスラマバード大使館を閉鎖するよう正式に通知した。これを受け、パキスタンにあったタリバンの大使館や領事館はすべて閉鎖された。

 パキスタンはタリバンを承認する唯一の国だったが、大使館閉鎖によって外交関係は完全に途絶えることになった。

 パキスタンは「タリバンの支配地域縮小に従い、外交関係見直しを継続的に行った」(カーン報道官)結果、今月に入り、カラチなど各都市のタリバン領事館が次々に閉鎖されていた。

 米国も、タリバンが拘束していた米独豪の民間活動団体メンバー8人が先に釈放されたのを受け、パキスタンがタリバンと意思疎通を図るのに不可欠だった大使館の閉鎖を求めていた。(読売新聞)
タリバンに対し、イスラマバードの大使館の閉鎖を命令=パキスタン外務省


 [イスラマバード 22日 ロイター] パキスタンは、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力、タリバンに対して、イスラマバードの大使館を閉鎖するよう命じた。パキスタン外務省のカーン報道官が記者会見で明らかにした。
同報道官は、「昨日、イスラマバードの大使館を閉鎖する決定が下され、今朝アフガニスタン側に正式に伝えられた」と述べた。
パキスタンは今週、北西部のペシャワルと南西部のクエッタにあるタリバンの領事館を閉鎖しており、イスラマバードの大使館はタリバンの最後の外交拠点だった。(ロイター)
<米軍>ビンラディン氏らの国外脱出を警戒 不審船舶を臨検

 【ワシントン布施広】ペース米統合参謀本部副議長は21日、パキスタン沖で米艦艇が不審な船舶を発見した場合、停船を求めて臨検を行っていると語った。同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏や支援組織「アルカイダ」の幹部らが、アフガニスタンからパキスタンを経て逃走するのを防ぐ狙いで、米軍は新たな無人偵察機も投入、監視体制を強めている。

 USAトゥデー紙によると、米海軍は20日にパキスタン沖での臨検実施命令を受けた。ペース副議長は21日の会見で、アフガン南部のカンダハルなどに「アルカイダ」メンバーが立てこもっていると指摘、「彼らの逃げ道の一つは船だ」と述べた。

 また、ラムズフェルド長官は同日、長距離偵察機「グローバル・ホーク」がアフガン領内で監視飛行を行っていることを確認した。同機は高性能カメラや赤外線センサーを搭載、高度約2万メートルから24時間監視が可能で、米中央情報局(CIA)の無人偵察機「プレデター」より長時間、広範囲の偵察ができる。山中で動く人などを探知するにはうってつけだ。(毎日新聞)
<ブッシュ米大統領>「アルカイダ幹部捜索は正念場」と演説

 ブッシュ米大統領は21日、ケンタッキー州の米軍基地で演説、アフガニスタン攻撃の推移に満足の意を表明しながらも「最も難しい段階が待ち受けている」と述べ、今後、ウサマ・ビンラディン氏や支援組織「アルカイダ」の幹部捜索は正念場を迎えると強調した。(毎日新聞)
<テロ大戦>タリバン1万人「報復殺害」の恐怖


タリバン軍の最後の拠点とされる北部都市クンドゥズ州で「血の殺りく戦」が繰り広げられるのだろうか。

1週間にわたりここで北部同盟軍に包囲されているタリバン軍が19日、国連に正式に無条件降伏の意向を表明したが、国連は「投降兵士の安全を保障できない」との理由から拒否、約1万人と推定される外国人兵らが無差別殺りくの危険に置かれている。

タリバンが北部同盟でない国連に対して降伏を提案したのは、降伏の過程で国連の保護を受けることで北部同盟軍による報復殺害の危険を避けようという計算からだ。しかしラムズフェルド米国防長官は「極烈分子である外国人兵を自由にさせると、再びテロの危険が生じる」と強く反対しており、国連はタリバンの降参要請を受け入れずにいる。

現在、タリバン軍はクンドゥズ州北部50キロの地点で北部同盟と交渉しているが、外国人兵らは交渉対象から除外されている。北部同盟のカーン司令官は「アフガニスタン出身のタリバン軍と違い、外国人兵士らは考慮の対象でない」との考えを示したうえで「彼らに残された道は降伏でなければ死だ」と伝えた。

このためクンドゥズに孤立した外国人兵らは、報復殺害の危険を顧みず北部同盟に投降するか、死を覚悟して最後まで戦うかのどちらかを選ばなければならない状況だ。最も多くの外国人兵を抱えるパキスタン政府は「追われるネズミにも穴を一つ開けるべきだ」と訴えているが、米国は20日、暗雲の中で砂ぼこりが舞うクンドゥズに対して空爆を続けた。 

外国人兵らは「ジハード(聖戦)」のため他国から駆けつけた極端的原理主義者であるだけに、決死抗戦の意志がタリバン軍よりはるかに強い。パキスタン人(40%)、ウズベキスタン人(20%)、アラブ人(10%)およびチェチェン人、中国人、ミャンマー人らからなる外国人兵のうち、約10%はアルカイダのメンバーと見られている。彼らは戦意を失ったタリバン軍を取り除いてクンドゥズ州戦線を掌握し、降伏しようとした数百人のタリバン軍を処刑するなど残忍な面を見せている。

姜賛昊(カン・チャンホ)記者 < stoncold@joongang.co.kr >


2001.11.21 23:01

<アフガン攻撃>仏首相 原子力空母のインド洋派遣を表明

 【パリ福島良典】フランスのジョスパン首相は21日、アフガニスタンに対する軍事行動の一環として、原子力空母シャルル・ドゴール(3万9680トン)を12月中旬にインド洋に派遣すると表明した。フランスはこれまでにフリゲート、偵察機などを派遣している。さらに16日、アフガン空爆へのミラージュ戦闘機投入を発表した。(毎日新聞)
ビンラーディンは生きて虜囚の辱め受けず…サウジ紙

 【カイロ22日=久保健一】サウジアラビア紙「アル・ワタン」(21日付)は、米同時テロ首謀者とされるウサマ・ビンラーディンが、米軍に潜伏先を突き止められた場合には、側近の銃撃で「自決」する手はずを整えていると報じた。

 イスラム原理主義勢力タリバンの投降者の供述をもとに欧米外交筋が同紙に語ったところでは、ビンラーディンは、もし米軍に包囲され逃亡が不可能になった場合には、自分を射殺するよう側近に指示しているという。同紙によれば、米側もすでにこの情報を得て、ビンラーディン拘束は非常に困難との認識を強めているという。また、ビンラーディンは、「自身の死後も対米テロを続ける」よう呼びかける遺言を収めたビデオも収録済みだという。

 同紙によると、ビンラーディンは現在アフガン南部カンダハル近郊の山岳地帯にある要塞化された隠れ家に潜んでいるという。(読売新聞)
ビンラーディンは生きて虜囚の辱め受けず…サウジ紙

 【カイロ22日=久保健一】サウジアラビア紙「アル・ワタン」(21日付)は、米同時テロ首謀者とされるウサマ・ビンラーディンが、米軍に潜伏先を突き止められた場合には、側近の銃撃で「自決」する手はずを整えていると報じた。

 イスラム原理主義勢力タリバンの投降者の供述をもとに欧米外交筋が同紙に語ったところでは、ビンラーディンは、もし米軍に包囲され逃亡が不可能になった場合には、自分を射殺するよう側近に指示しているという。同紙によれば、米側もすでにこの情報を得て、ビンラーディン拘束は非常に困難との認識を強めているという。また、ビンラーディンは、「自身の死後も対米テロを続ける」よう呼びかける遺言を収めたビデオも収録済みだという。

 同紙によると、ビンラーディンは現在アフガン南部カンダハル近郊の山岳地帯にある要塞化された隠れ家に潜んでいるという。(読売新聞)
北部クンドゥズ撤退、タリバンが合意

 【イスラマバード22日=岡田滋行】米CNNテレビは22日、アフガニスタン北部のクンドゥズで抵抗を続けていたタリバン兵が投降することで北部同盟と合意に達したと報じた。マザリシャリフで北部同盟のドスタム将軍と交渉しているタリバン軍司令官が記者団に明らかにしたという。

 交渉は22日朝も続けられており、投降の手順や時期などについて詰めの協議が行われている模様。タリバン軍司令官は、約1万人と見られる兵士がすべて投降するとしており、ドスタム将軍も交渉は成立したとの見方を示している。タリバン側はこれまで、投降にあたって国連や米国など第三者の立ち会いを求めていた。タリバンの外国人部隊の中には徹底抗戦を求める動きもあり、整然と撤退するかどうかは不透明だ。(読売新聞)
支援策でパキスタンと話し合いを=小泉首相

 小泉純一郎首相は22日昼、田中真紀子外相の同日からのパキスタン訪問について、「パキスタンは非常に重要な地域だ。アフガニスタン情勢、テロリストへの対応。ムシャラフ大統領も苦労しているし、日本もどういう支援策があるのかについて、外相としていろいろな話を聞きながら、よく理解していただきたい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。 (時事通信)
米大統領、アフガン国外への戦線拡大に意欲

 【ワシントン21日=貞広貴志】ブッシュ米大統領は21日、ケンタッキー州のフォート・キャンベル基地で陸軍空挺部隊向けに演説し、「アフガニスタンはテロとの戦いの始まりに過ぎない。アメリカとその友人を脅かすテロリストや、テロリストをかくまう国は他にもある。われわれは世界中の悪と戦い、勝利する」と語り、将来的に戦線をアフガニスタン国外へ拡大する構えを示した。

 ブッシュ大統領は演説で、テロせん滅に向け国内での再発抑止だけでなく、「敵に対し攻勢に打って出る」必要性を強調し、「彼らがどこに隠れ、どこで策略を練ろうとも、われわれはテロリストを攻撃する」と語った。

 ウォルフォウィッツ国防副長官も21日の記者会見で、「アフガニスタンでも、国外でもやるべき任務はある」とした上で、イラクについて「化学、生物、核兵器を自国で開発すると同時に、国際市場からも不法に入手しようとしている証拠がある」と述べ、イラク・フセイン政権への敵対姿勢を改めて示した。

 アフガニスタンでの大規模な戦闘が一段落したのを受け、ブッシュ政権高官からはイラクなど他の「テロ支援国家」に目を向ける発言が相次いでいる。ただ、ウォルフォウィッツ副長官は「当面は、アフガニスタンでの残った任務に集中する」とも述べており、戦線拡大はテロ首謀者とされるウサマ・ビンラーディンの捕捉などアフガニスタンでの作戦目的が達成された後となる模様だ。

 一方、ラムズフェルド国防長官は同日、アフガニスタン国内での作戦について「特殊部隊を大幅に増やしており、北部、南部とも様々な反対勢力とより広範で本格的な活動を展開している」と語り、洞窟などに潜伏していると見られるビンラーディン一派の発見のため、「陸上戦力を投入しなければならないだろう」との見通しを示した。(読売新聞)
米特殊部隊、ビンラディン氏捜索を強化=米国防長官


 [フォートブラッグ(米ノースカロライナ州) 21日 ロイター] ラムズフェルド米国防長官は、米軍特殊部隊がアフガニスタン国内の反タリバン勢力と協力し、ウサマ・ビンラディン氏と同氏率いる過激組織、アルカイダの捜索を強化していると語った。
 特殊部隊の国内基地としては最大規模のノースカロライナ州フォートブラッグ基地を訪問した同長官は、隊員らに対し、アフガンで展開中の隊員らが、タリバン拠点への空爆地点指定などで優れた成果を挙げていると称賛した。
 また、同長官は記者団に対し、「アフガン南部、北部の各勢力にさらに広く深く対処するため、特殊部隊の兵力を増強している」と語った。
 アフガンに展開中の米特殊部隊は、検問所設置のほか、ビンラディン氏の消息を探るための情報網構築、タリバンと連携する部隊の阻止などの活動を行っているという。(ロイター)
フランス、原子力空母をインド洋に派遣へ


 [パリ 21日 ロイター] フランスのジョスパン首相は、米軍主導のアフガニスタンでの軍事行動に対する支援として、12月中旬に原子力空母シャルル・ドゴールをインド洋に派遣すると発表した。
 アフガンでの軍事行動に関する閣議後、議会で発表したもの。
 同首相によると、ウサマ・ビンラディン氏や同氏率いる過激派組織アルカイダの幹部らによる、海路を利用した第3国への逃亡阻止を支援することが、派遣される空母の任務となる見通し。(ロイター)
<アフガン>復興費用は100億ドル 緒方・首相特別代表

 【ワシントン佐藤千矢子】アフガニスタン支援に関する首相特別代表の緒方貞子・前国連難民高等弁務官は21日、ワシントンで記者会見し、アフガン復興費用について「10年間で100億ドル(約1兆2300億円)かかる」との見通しが、20日のアフガン復興支援高級事務レベル協議で示されたことを明らかにした。

 緒方氏は、数字は非公式なものであると断ったうえで、「財源が足りないということはない。(100億ドルは)そんなに大きな額だとは思わない」と述べ、世界経済が減速するなか、各国が負担をしぶる動きに出るのをけん制した。

 20日の協議では、世界銀行、アジア開発銀行、国連開発計画(UNDP)の3機関が、今月末にイスラマバードで具体的なアフガン支援内容を検討する会議を開き、来年1月後半に日本で開催される閣僚級協議までに復興費用を提示することになった。(毎日新聞)
<アフガン>タリバンのカンダハル撤退 義勇兵が強硬に反対

 アフガンのタリバンの最高指導者、オマル師が本拠地、カンダハルからの撤退拒否の方針を示していることについて、撤退交渉を続けるパシュトゥン系の地方軍閥・部族のスポークスマンは21日、「アラブ義勇兵の強硬な反対が背景」と語り、本拠地でもタリバンと外国義勇兵の間で内部対立が起きているとの見方を示した。(毎日新聞)
米大統領、対テロ戦争の拡大を警告


 [フォートキャンベル(米ケンタッキー州) 21日 ロイター] ブッシュ米大統領は、アフガニスタンにおける米軍の軍事作戦について、危険な段階に入ったと指摘するとともに、ウサマ・ビンラディン氏率いる過激派組織アルカイダとの戦いを他国へ拡大しなければならないとの考えを示した。
 対アフガン空爆が続く中、陸軍第101空てい師団が置かれているケンタッキー州のフォートキャンベル基地を訪問した同大統領は、「アフガニスタンは対テロ戦争の始まりに過ぎない」と強調した。
 アルカイダやタリバンの幹部らが山岳部の地下に潜伏していることから、同大統領は「作戦はまだ、最も難しい段階が残っている」と指摘。その上で、「これらの隠れ家は防備が固い上、命をかけて戦う狂信者らに守られている」とし、タリバン施設の破壊などと違って成功には時間がかかるとの見方を示した。
 同大統領はまた、アルカイダの一部が米特殊部隊の追跡を逃れて他国に逃亡する可能性があるとし、テロリストをかくまう国々は同罪とみなすとの警告を発した。
 同大統領は、特定の国名は挙げなかったが、アフガン国外に存在するアルカイダや他のテロ組織のメンバーに対しても先制攻撃を実施する可能性があることを示唆した。(ロイター)
<炭疽菌>アフガン国内でガラス瓶押収と発表 米統合参謀本部

 【ワシントン布施広】米統合参謀本部のペース副議長は21日、タリバン政権やウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」の生物・化学兵器開発疑惑に関連して、米軍がアフガン国内で「炭疽(たんそ)菌」と書かれたガラス瓶を押収したことを明らかにした。純粋な学問研究の可能性もあるが、米当局が兵器用開発との関連を調べている。

 副議長は瓶が見付かった場所は明らかにしなかった。カブール発AP通信によると、同市近郊の農業省研究所が炭疽菌の研究を続け、タリバン政権当局者が定期的に同研究所を訪れていた。研究所の関係者は、家畜のワクチン生成用の研究と語っている。研究所は米軍の空爆で破壊された。

 ペース副議長は「瓶には英語で『炭疽菌』と書かれていた」と述べたが、内容物が炭疽菌かどうかの分析は終わっていない。副議長は「我々は化学・生物兵器製造用に使われていた疑いがある施設のリストを持っている」と述べ、既にいくつかの疑惑施設を訪問、土壌サンプルなどを収集したことを明らかにした。

 アルカイダはサリン・ガスを製造していた疑いもあるが、副議長は「現段階では断定できない」としている。(毎日新聞)
ビンラディンの遺言ビデオ
「私が死んでも米国を攻撃せよ」
 米中枢同時テロの容疑者とされるウサマ・ビンラディン(44)が、自らの死後も米国への攻撃を続けるようイスラム教徒に呼びかける「遺言ビデオテープ」を収録したと、21日付のサウジアラビアの日刊紙「アルワタン」が報じた。米軍に包囲され逃げられなくなったら、自分を射殺せよと側近に命じているという。


包囲されたら「射殺せよ」とも
 確実に米軍による包囲網が狭まっているビンラディンは、すでに死を覚悟しているようだ。

 サウジ紙「アルワタン」によると、ビンラディンは米国や北部同盟に包囲され脱出できなくなった場合、自分を射殺しろと信頼できる複数の側近らに命じている。敗北は罪にあたるという理由からだ。アフガニスタンのタリバン政権から寝返った兵士らが、米情報当局者に伝えた情報とみられ、米国と欧州の外交筋が同紙に明らかにしたという。

 また、ビンラディンは自らが死亡しても、米国への攻撃を様々な場所で続行するようイスラム教徒に呼びかける「遺言」をビデオテープに吹き込み、死後にそのテープを公開することを指示しているという。これまで中東テロ組織の事情通も「最終的にビンラディンは、聖戦を続けるよう遺言を残して自爆する可能性が高い」と指摘していた。

 同紙によれば、米国政府もビンラディンを生きたまま捕そくして特別軍事法廷にかけるよりも、死亡してから発見した方がいいと考えているという。ただ、ビンラディンは数か月は潜伏できる態勢を整えており、アフガン山中を逃げ続け、ゲリラ戦で米軍に徹底抗戦する可能性は高い。

 また、米国防総省のスタッフルビーム米統合参謀本部副部長は20日の会見で、ビンラディンが「既に爆死した可能性がある」ことを明らかにした。同副部長はビンラディンの居所について「まだアフガン国内にいるのではないか」と話す一方、米軍が続行中の洞くつへの空爆攻撃で「すでに死亡している可能性も排除できない」と話した。

 米当局者が公の場でビンラディンの死亡の可能性について言及したのは初めて。ビンラディンの暗殺・捕獲作戦が最終段階に入っているとの見方も浮上している。
 
◆タリバン撤退拒否 カンダハル「死守する」

 タリバン政権の最高指導者オマル師のスポークスマンは21日、同国南部のスピンブルダクで記者会見し、タリバンが本拠地カンダハルとその周辺地域を「死守する」と述べ、交渉による撤退には絶対応じないとの強硬姿勢を明確に示した。

 また、ビンラディンについては「どこにいるか全く分からない」と語り、オマル師に関しては「タリバンの支配地域内にいる」と健在であることを強調。「カンダハルからの撤退を決定したことはない」とし、本拠地放棄を決めたとの報道は間違いだと指摘した。

 タリバンが地元勢力への支配権の移譲を拒否した背景には、各地から撤退したタリバン軍がカンダハル州など南部に集結、まだ戦線を維持できるとの判断が働いたとみられる。一方で、米英や反タリバン勢力と最後まで戦い抜き、全滅も辞さないことを明確に打ち出したといえる。

 
◆捕獲作戦は長期戦に 米軍の冬季訓練も本格化

 アフガニスタンでウサマ・ビンラディンの掃討作戦を展開している米軍当局者は20日、冬のアフガン山岳地帯での長期戦も視野に入れ、厳しい自然環境を想定した訓練を実施していることを明らかにした。

 米国防総省などによると、訓練はカナダ国境に近いバーモント州の陸軍訓練施設で行われている。アフガンに展開中の陸軍レンジャー部隊などの特殊部隊も訓練を受けたという。兵士は、弾薬に加え簡易ストーブやテント、燃料を詰め込んだ重さ40キロ以上の背嚢(はいのう)を背負い、雪に囲まれた厳冬の環境下で、雪崩対策や測量など1日15時間の特訓を2週間の日程で続けている。

 ライフルなどの武器は、低温の外気から暖かい室内に持ち込むと結露の影響で故障する場合もある。手投げ弾などの爆発物は雪上では破壊力が低下することなどの知識が教え込まれる。

 冬の山岳戦では、兵士はカムフラージュ用の白い防水戦闘服を着用。食料を入れる容器も白色で、モミの茂る山林地帯では白と黒が交ざった戦闘服を採用する。雪崩に遭遇した場合、救助隊に居場所を知らせる緊急信号を発信する装置も身に着ける。通常は兵士1人当たり1日3600キロカロリーの食料を摂取するが、体力を消耗する冬場は4500キロカロリーが用意されるという。

 訓練施設の幹部将校は「兵士があらゆる気象条件の下で戦闘する方法を教えている」と話している。

 
ビンラディン氏情報への報奨金、広く分配される可能性=米国防長官


 [ワシントン 21日 ロイター] ラムズフェルド米国防長官は、ウサマ・ビンラディン氏らの発見、拘束につながる情報に対する報奨金2500万ドルについて、有力情報提供者に広く分配される可能性を示唆した。
 同長官は、ノースカロライナ州へ向かう機中、記者団に対し、アフガニスタン国内の多くの人々から既に、ビンラディン氏などに関する情報が寄せられていると指摘した。
 米国は、パシュトゥー語とダリ語で報奨金の詳細を説明したビラを作成。米国防総省によると、20日だけで20万枚をアフガン国内で投下したという。(ロイター)
米軍機の攻撃、南部カンダハルや北部クンドゥズが中心


 [ワシントン 21日 ロイター] 米国防総省は、過去48時間のアフガニスタン国内での米軍機による攻撃対象が南部のカンダハルを中心に、トンネル、洞窟や敗走するタリバン勢力と武装集団アルカイダに向けられていることを明らかにした。
 国防総省のマグロー報道官は、攻撃は「ラマダン(断食月)でも中止しない」と述べた。
 同報道官は、おもにカンダハルやアフガン南部が攻撃対象となっており、21日の攻撃ではタリバン勢力の北部拠点であるクンドゥズも目標となった、とした。
(ロイター)
タリバン拘束の国際団体職員、銃を向けられたことも=雑誌


 [ベルリン 21日 ロイター] ドイツのスターン誌は、アフガニスタンで拘留されていた国際援助団体の職員の1人、ドイツ人のマルグリット・ストレブナーさんに、タリバンの兵士が、ふざけて銃を向けていた、と報じた。
 スターン誌によると、ストレブナーさんは拘留されていたカブールで椅子に座らされ、タリバン兵士は近距離からストレブナーさんに向けて発砲したという。
 同誌は、「タリバンは彼女に発砲し、50センチほど的をずらしたという」と報じている。スターン誌は拘留されていた8人の国際援助団体”Shelter Now”職員のうち、誰が情報源かについては明らかにしていない。
 また、同誌は、もう1人のドイツ人職員、ゲオルク・タウブマンさんが、拘留されていた刑務所の状態に衝撃を受けたと述べたことを明らかにしている。タウブマンさんは、服役者が拷問にあうなど、「中世にいるようだった」と述べたという。(ロイター)
【フィリピン】反テロ軍事支援を提案、米が首脳会談で

米国を訪問していたアロヨ大統領は20日(フィリピン時間21日)、ブッシュ米大統領と初の会談を行った。ブッシュ大統領は、フィリピン政府によるイスラム過激派の掃討に対して軍事支援を行うことを約束した。ブッシュ大統領は、会談終了後にアロヨ大統領と共同記者会見に臨み、合同軍事演習などを増やすことで両国軍のつながりを強化することを確約。「テロリストがどこに存在しようとも、われわれは戦っていく。(テロとの)戦争に勝つために、各国と協力していく」とコメントした。
さらにブッシュ大統領は、イスラム過激派アブサヤフ掃討に協力する意向を表明。「軍事支援」として約1億米ドルを提供するほか、国防省への物資とサービスに1,000万米ドル、国軍の反テロ作戦強化に1,000万米ドルの支援を行うと約束した。米政府はアブサヤフを、9月11日に起きた同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディン氏と関連のある組織とみなしている。
ワシントンのホワイトハウスの発表によると、米政府による軍事支援には資金援助のほかに、接近戦に備えた攻撃用ヘリコプターUH1型『ヒューイ』と、パトロール機、M16型ライフルなどの提供が含まれるという。
レイエス国防相によると、アロヨ大統領は先に米国から戦闘用ヘリコプターAH1型『コブラ』12機とC130型輸送機4機を譲り受けたいとの意向を示していたという。
米軍は先月、アブサヤフの掃討作戦を支援するため、テロ対策専門家十数人をミンダナオ島南部のサンボアンガ市に派遣した。ただ今後、米軍の地上特殊部隊がアブサヤフ撲滅作戦に参加するかどうかについて、ブッシュ大統領は「フィリピンの大統領が決定すること」として、要請があれば派遣する可能性もあることを示唆した。
一方、アロヨ大統領は両国政府がテロ組織の撲滅に向け今後も協力していくことを表明した。45分間におよぶ会談の中では、世界各国に対する反テロ・キャンペーンを共に行っていくことで合意したという。
これに対しブッシュ大統領は、アロヨ大統領のテロに対抗する毅然とした姿勢に個人的な感謝の意を表明。また、アフガン攻撃に伴い、旧米軍の飛行場や港の使用許可などの支援を決めたフィリピン政府の対応を歓迎した。
■貿易優遇措置を提案
ブッシュ大統領はさらに、フィリピンに対して、◇10億米ドルに上る貿易上の優遇措置、◇森林保護のために融資した4億3,000万米ドルの債務軽減、◇貧困撲滅と経済成長のための資金2,900万米ドルの支援――などを実施するよう議会に提案すると約束。国軍とゲリラ組織の戦闘が激化するミンダナオ島には今後、2倍の援助を行いたいとの意向を示した。
このほかホワイトハウスは、1億5,000万米ドル分の農産物輸出の保証と、4,000万米ドル相当の食料援助、米国の民間投資会社を通じた2億米ドルの融資を行うことを表明した。(NNA)
カンダハル「死守する」とオマル師の報道官

 【イスラマバード21日=奥村健一】アフガニスタンからの報道によると、タリバンの最高指導者オマル師の報道官は21日、南部カンダハル州で外国人記者団と会見し、「オマル師はカンダハルにとどまる宗教的義務がある。我々はカンダハルから撤退せず、支配地域を死守する」と述べた。ウサマ・ビンラーディンの居所については「連絡がなく、分からない」と語った。(読売新聞)
ビンラーディン、アフガン東南部に潜伏か

 【ニューヨーク21日=本間圭一】21日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、国防総省高官の話として、米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンの所在地は、タリバンの本拠地カンダハルから東部ジャララバードにかけてのアフガン東南部とみられると報じた。

 同高官は米軍が目標とするビンラーディン拘束・殺害について、所在地が特定された場合に、地上部隊が追加的に派遣されるとした上で、「数日中に地上部隊の任務が実行される可能性がある」と語った。(読売新聞)
<ビンラディン氏>米軍が捜索てこ入れで約1500人投入を検討

 【ワシントン布施広】アフガニスタンのタリバン政権は崩壊したが、ウサマ・ビンラディン氏の所在は相変わらずつかめない。米軍は捜索てこ入れのため約1500人の海兵隊投入も検討し始めた。捕捉は果たして時間の問題なのか、なお難航を続けるのか。

 ●どこにいる?

 国防総省のスタッフルビーム作戦副部長によると、アフガン全土の4分の3はタリバン支配下を離れた。「投げ縄の輪を絞っている」(ブッシュ米大統領)▽「網をかぶせつつある」(ライス大統領補佐官)という発言は、隠れる場所が少なくなったとの認識に立っている。

 だが、ラムズフェルド国防長官はビンラディン氏らの頻繁な移動を指摘し「狭い範囲に封じ込めたと考えるのは、捜索の難しさを誤解している」と語る。自然の洞穴が無数にあるアフガンには、ソ連軍の侵攻(79年)以来の紛争で掘られたトンネルも多い。しらみつぶしの捜索は至難の業だ。しかもビンラディン氏はアフガンの地形をよく知っている。

 同氏の潜伏先について米政府筋は10月上旬「カンダハル北東近郊にいるという情報を得た」と毎日新聞に語った。反タリバン連合(北部同盟)のアミン在米代表は10月31日の会見で「(カンダハル北方の)ウルズガン州で10月中に目撃された」と述べている。

 かつて滞在したスーダンや父親の出身地イエメン、イラクなどへの逃亡も取りざたされている。

 ●あの手この手

 米中央情報局(CIA)は対戦車ミサイルを備えた無人偵察機でアフガン領内を捜索。私服の工作員が情報を集めているとの説もある。空軍はゲリラ戦に使うAC130を3機増やし、低空監視を強化した。地上では捜索活動中の特殊部隊数百人に加え、海兵隊員1500人が近くアフガン入りする可能性が強い。

 しかし特殊部隊と海兵隊を合わせても2000人程度では、広範囲の捜索は難しく、有力情報を入手して電撃的な攻撃を行うパターンが中心。その意味で情報収集が極めて重要になっている。

 米軍は地元民の情報提供に期待して、先週末から米軍機を使ったラジオ放送で「あなたの援助により、我々はテロリストを裁きにかける」と呼びかけている。ビンラディン氏らの所在特定につながる情報に2500万ドル(約30億円)の懸賞金を用意。同氏と「アルカイダ」のザワヒリ幹部の顔写真を載せたチラシをマザリシャリフで約1万枚配り、カンダハルでは米軍機から約1万5000枚をばらまいた。(毎日新聞)
仏がアフガン対応で空母「シャルル・ドゴール」派遣

 【パリ21日=池村俊郎】ジョスパン仏首相は21日、原子力空母「シャルル・ドゴール」を護衛艦船とともに来月中旬をめどに、アフガン危機対応のため、インド洋海域へ派遣することを明らかにした。仏政府による本格的な攻撃兵力の同海域派遣は初めて。首相が議会下院で表明した。(読売新聞)