2001
11/10
11/10 <パキスタン>イスラム原理主義政党のハク党首を自宅軟禁

 パキスタン当局は10日、イスラム原理主義政党「イスラム聖職者協会」のサミュル・ハク党首を北西辺境州の自宅で軟禁下に置いた。ハク党首は米国のアフガニスタン攻撃に協力する政府に抗議する9日の全国一斉ストを主導した原理主義者の組織「アフガン防衛評議会」の議長も務めている。(毎日新聞)
反タリバン勢力、ウズベク国境へ進撃

 【イスラマバード10日=末続哲也】ロイター通信によると、アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフを制圧した反タリバン勢力「北部同盟」のドスタム将軍部隊は10日、北方約35キロのウズベキスタン国境へ向けて進撃を開始した。タリバン政権が閉鎖していた同国との国境を開き、物資調達のための補給路を確保するのが狙いと見られる。

 一方、カブール北方では別の北部同盟部隊が同日、首都攻略をにらみながら前線に兵を増派した。米軍は同日、B52戦略爆撃機でカブール近郊のタリバン前線部隊にじゅうたん爆撃を行った。

 ◆マザリシャラフは北部同盟が完全制圧◆

 【イスタンブール10日=桜井考二】アフガニスタンの反タリバン勢力「北部同盟」のドスタム派幹部セルダル・ラフマノグル氏(37)(イスタンブール駐在)は10日、本紙に対し、マザリシャリフは北部同盟が完全制圧し、市内は平静を取り戻していることを明らかにした。

 同氏によると、タリバン部隊は主にマザリシャリフ西方のシベルガン方面に敗走した。ドスタム派は同市周辺で激しい戦闘を行っているという。(読売新聞)
<オーストラリア>与党が勝利宣言 保守連合政権は3期目に

 【シドニー堀内宏明】オーストラリアの総選挙が10日行われ、ハワード首相が率いる与党の保守連合が過半数を獲得し、勝利を宣言した。豪州の保守政権は96年以降3期目に入った。

 公共放送ABCの速報によると、10日夜現在、保守連合は下院150議席のうち過半数の77議席で当選確実となり、80議席に迫る勢い。野党の労働党は60議席後半にとどまりそうだ。ハワード政権は経済不振で劣勢にあったが、米同時多発テロの後にアフガニスタン派兵や不法難民阻止の強硬策を貫き、支持率を逆転させた。

     ◇    ◇

 多くの有権者が「保守」を選んだ背景には、テロ後の社会を覆う不安と近年の豪州の内向き志向が重なる。

 ハワード首相は豪軍のアフガニスタン派遣を発表した後に下院を解散した。「国家の安全」を公約し、政策の柱に「国境海域の警備強化」を上げた。だが、有権者にとっては「国境警備」が豪州に殺到するイラク人やアフガン人の阻止を意味することは明白だった。

 豪州沿岸に難民船が押し寄せ始めて約3年が経つ。首相は8月末、「不法入国の摘発」という名目で軍を出動させた。国民は喝采し、そこにテロの追い風が吹いて首相の支持率は急上昇した。

 首相が労働党から政権を奪還した96年以降、豪州を取り巻く環境は変わった。アジア経済は失速し、国際競争の激化と外国人の急増は社会に人種的な摩擦を生んだ。異文化と共存し、移民を促進する「多文化主義」は労働党政権が進めたが、多文化主義に距離を置き、外交面でも米英重視に転じたのがハワード政権の軌跡といえる。

 テロと難民が結びつけられた選挙戦は「人種偏見の政治利用」と批判されたが、労働党も明確な対案を示せず、票離れを恐れるビーズリー党首は「政権交代しても国境警備の方針は変えない」と迎合した。

 大事件の衝撃は社会を保守化させる。今回の選挙も典型になったが、その背後には世界の格差が広がり続けるグローバリズムの混迷がある。(毎日新聞)
米、テロ対策の外交にイスラムとの「対話」据える

 【ワシントン10日=貞広貴志】米国務省は9日、アフガニスタンでの軍事行動に対する支持が周辺国で低落しつつあることを受け、イスラム諸国などの市民との「対話」を強化する情報外交の新政策を発表した。

 広報担当のシャルロッテ・ビアーズ国務次官は、米政府の発信してきた情報が「ゆがめられたり、一面的な内容だったりした」として、新たに作成した広報用パンフレットを公表した。

 「テロのネットワーク」と題したパンフレットは、ウサマ・ビンラーディンの「米国人を殺せ」という発言もそのまま掲載してアラブの有識者の反論と対置させるなど、米国の一方的な言い分に終わらない工夫がこらされた。約30か国語に翻訳し、刊行物やインターネットで配布する。

 また、「イスラムとの対話」と名づけた評議会を設置、米国内のイスラム教系学者などと定期的に意見交換する方針も打ち出した。

 この日の会見は、広告業界トップの経歴で話題を呼んだビアーズ次官のデビュー会見ともなった。鮮やかなピンクのジャケットで登場した次官は「ターゲット層」「マーケティング」など業界用語を連発して新しい情報外交を説明した。(読売新聞)
要衝マザリシャリフ陥落で アフガン通貨が急騰

 【イスラマバード10日=末続哲也】ロイター通信によると、アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフが反タリバン勢力「北部同盟」に制圧されたことを受けて、首都カブールでは10日、同国通貨アフガニが10%以上急騰した。タリバン政権崩壊への期待感が強まったためと見られる。

 現地ではタリバン政権の崩壊がアフガン経済復興につながるとの見方が強い。通貨アフガニの対ドル相場は、9月上旬以前で約8万アフガニだったが、米軍などの軍事行動を受けて「アフガニ高」が一気に進み、今月9日に4万2000アフガニ、10日には3万7300アフガニになったという。(読売新聞)
<オーストラリア>総選挙で与党が過半数の勢い

 【シドニー堀内宏明】オーストラリアの総選挙が10日に投開票された。10日夜現在の公共放送ABCの速報によると、ハワード首相が率いる与党の保守連合は下院150議席のうち71議席で当選確実となり、80議席に達する勢い。野党の労働党は当確が60議席にとどまっている。

 豪州の保守政権は96年以降、3期目に入ることが濃厚になった。

 ハワード政権は経済の不振で劣勢にあったが、米同時多発テロの後にアフガニスタン派兵や不法難民阻止などの強硬策を貫き、支持率を逆転させた。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>マザリシャリフ陥落で米国内の不満緩和も

 【ワシントン吉田弘之】反タリバン連合(北部同盟)が9日、アフガニスタン北部のマザリシャリフを陥落したことは、タリバン政権に軍事、心理両面で打撃を与えただけでなく、長期化する空爆が「戦果を上げていない」とする米国内外の不満を和らげる効果がある。しかし米軍が同市を軍事拠点として使用するまでタリバン軍による反撃も予想され、米軍の地上作戦は正念場を迎える。

 パウエル米国務長官は9日、米ABCテレビのインタビューに「空軍力が決定的な力を発揮した」とマザリシャリフ陥落で米軍の戦略の正しさを強調した。

 ラムズフェルド国防長官は空爆の長期化について、ウサマ・ビンラディン氏とその支援組織「アルカイダ」の壊滅がアフガン攻撃の目標とし、記者会見のたびに国民に忍耐を求めてきた。こうした経緯から、米軍の空爆支援を背景としてたマザリシャリフの陥落は、米軍にとって大きな「目に見える戦果」となり米国内の世論に応える結果となった。

 また、ブッシュ大統領は今月中旬に始まるラマダン(イスラム教徒断食月)期間中も空爆を続行すると断言してきたが、パキスタンなどイスラム諸国からアフガン攻撃の早期終結を望む声が強まっていただけに、一定の戦果を上げる必要に迫らていたわけだ。

 今後の焦点はタリバン軍の反撃があるかどうかだ。マザリシャリフに近いウズベキスタンの基地などからの「陸の橋」を築く場合、補給路の安全が欠かせない。

 米統合参謀本部のスタブルビーム作戦副部長は9日の記者会見で「さらなる安全確保が必要になる」と述べ、そのために一定規模の地上軍の派遣の必要性を示唆したが、タリバン軍の戦力分析を含め慎重な対応が迫られる。(毎日新聞)
<国連総会>アフガン情勢などで一般演説開幕へ

 【ニューヨーク上村幸治】9月11日の同時多発テロで延期された国連総会の一般演説が10日午前(日本時間同日深夜)、国連本部で開幕する。7日間の会期中、テロ撲滅やアフガニスタン情勢をテーマに、加盟189カ国と国連オブザーバーのパレスチナ自治区代表が演説。今年は47カ国の首脳(大統領、首相)や外相らが出席する予定だ。

 アナン事務総長は開幕演説で、同時テロに続き異なる文明間の衝突が起きる懸念もあると指摘。これを回避するため、貧困や紛争、病気に苦しむ人々に希望を与える必要があると述べる。

 米英軍のアフガン攻撃には直接言及せず、同国の一般住民やイスラム諸国への配慮を示す。またタリバン政権崩壊後に向けた国連の役割の重要性を強調し、各国の協力・協調を改めて促す。

 初日はアナン氏のほかブッシュ米大統領やムシャラフ・パキスタン大統領らが演説。田中真紀子外相に代わって日本政府代表を務める宮沢喜一元首相は11日(日本時間12日)に演説する。

 同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏が最近、ビデオ声明で国連を米国の手先などと非難した経過があり、国連とニューヨーク市警は異例の厳戒態勢をとっている。(毎日新聞)
米軍がタリバン前線への空爆再開、北部の要衝制圧後も休止なし


 [バグラム(アフガニスタン) 10日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権の対抗勢力、北部同盟が、北部の要衝マザリシャリフを制圧してから数時間も立たないうちに、米軍戦闘機が首都カブール北方のタリバン前線への空爆を再開した。
 ロイター通信のカメラマンによると、米軍のB52戦略爆撃機1機が10日未明、カブール北方約25キロに位置するタリバン前線の塹壕を爆撃した。
 同機は、北部同盟が掌握するバグラム空港から約200メートルほどの場所にある塹壕に15発の爆弾を投下したという。(ロイター)
<国連総会>アフガン情勢などテーマに一般演説

 9月11日の同時多発テロで延期された国連総会の一般演説が10日午前(日本時間同日深夜)、国連本部で開幕する。7日間の会期中、テロ撲滅やアフガニスタン情勢をテーマに、加盟189カ国と国連オブザーバーのパレスチナ自治区代表が演説。今年は47カ国の首脳(大統領、首相)や外相らが出席する予定だ。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>オランダも派兵の意向 NATO加盟国で5番目

 【ハーグ森忠彦】オランダのコック首相は9日、米国のアフガニスタン攻撃への軍事支援として1200人から1400人規模の部隊を派遣する意向を表明した。北大西洋条約機構(NATO)加盟国では英国、フランス、ドイツ、イタリア、トルコに次ぎ5番目の参加表明となった。

 首相によると、兵士のほか支援艦や戦闘機なども派遣する方針。兵士の活動は人道支援に限り、直接の攻撃には参加しない。またすでに現場地域へ偵察機を派遣させたという。(毎日新聞)
クリントン氏の娘、英の反戦集会を星条旗手に妨害

 10日付の英紙「タイムズ」は、英国オックスフォード大学大学院に留学中のクリントン前米大統領の娘、チェルシー・クリントンさんが、オックスフォードのタウンホールで8日に催されたアフガニスタン反戦集会に米国人仲間ら10数人のグループと一緒に乱入、集会を妨害したと報じた。

 同紙によると、500人が集まった集会が始まると、米国人グループが後方から星条旗を手に近付いてきたために、演説者たちはスピーチを一時続けられなくなった。

 チェルシーさんらは、集会参加者の1人が「マスメディアはアフガン市民への空爆の影響を考慮することを怠った」と述べると、「ニューヨークのテロの犠牲者を思い出せ」と大声でなじった。

 チェルシーさんはその後、シークレットサービスの護衛に付き添われて会場を去ったという。(読売新聞)
「兄弟とめい、目前で虐殺された」=全国8カ所で来日講演へ-アフガン難民男性

 米同時テロ事件前、内戦下のアフガニスタンで起きたタリバンによる住民虐殺の生存者で、アフガン難民のアリ・アクバルさん(49)が13日、非政府組織(NGO)「アムネスティ・インターナショナル日本」の招きで来日する。2週間の滞在期間中、東北から九州までの8カ所を訪れ、タリバン兵士に親族を殺害されて隣国パキスタンに逃れるまでの生々しい体験を語る予定だ。
 アクバルさんの出身地はアフガン中部の町ヤカオラン。タリバンとその反対勢力「北部同盟」との間で争奪戦が続いている。アムネスティによると、タリバンがこの地区を占領した今年1月、300人を超える住民が数日間で虐殺された。アクバルさんもタリバン兵に連行された。
 「われわれをどうするのか」と聞くと、タリバンの士官は「虐殺する」「これは、ムラー・オマール(タリバンの最高指導者オマル師)からの命令だ。すべての男を殺す」と答えた。アクバルさんは、アムネスティ日本の関係者に、連行された時の様子を話している。タリバン兵に銃で肩から足まで殴られたが、結果的に殺害を免れた。しかし、自らの目前で兄弟や叔父、めいらが殺されたという。 (時事通信)
作戦上ならやむを得ない=ラマダン中の攻撃で官房長官

 福田康夫官房長官は10日午後、千葉市で記者会見し、米軍などが今月中旬からのイスラムの宗教行事であるラマダン(イスラム断食月)期間中もアフガニスタン攻撃を続行する方針を示していることについて「宗教的なことに影響を及ぼすことは必ずしもよくない」としながらも、「作戦というのであれば、やめろというべきではない」と述べ、軍事作戦上の理由であるなら攻撃はやむを得ないとの認識を示した。
 また、20日にもニューヨークで開催する方向のアフガンに関する「復興支援国会議」(仮称)について、「極めて大事であり、遠からず(日程などを)発表できると思う」と述べた。 (時事通信)
北部同盟、サレポル州全土を奪取=北部同盟内相


 [ジャバルスサラジ(アフガニスタン) 10日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権の対抗勢力、北部同盟のカヌニ内相は、北部同盟軍がサレポル州全土をタリバン軍から奪回したことを明らかにした。
 同内相はロイター通信に対し、「本日午前、サレポル州は(北部同盟)政府が勢力下に収めた」と語った。
 同内相はまた、アフガン北部とウズベキスタン国境のアムダリヤ川沿いの町、ハイラタンも掌握、閉鎖中の国境を早期に開放する意向を示した。(ロイター)
タリバン国防相、マザリシャリフ陥落認める


 [カブール 10日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権のアコンド国防相は、北部の要衝マザリシャリフが対抗勢力の北部同盟に制圧されたことを認めた。
 同国防相はロイター通信に対し、「マザリシャリフ市と空港は敵側の勢力下にある」と述べ、タリバン軍が現在、マザリシャリフ東方約60キロまで撤退したことを明らかにした。
 ウズベキスタンとアフガニスタンの首都カブールを結ぶ重要な補給路上にあるマザリシャリフの陥落は、米軍によるアフガニスタン攻撃開始以降、タリバンにとって最大の打撃となった。(ロイター)
タリバン後政権作りは米主導で…米大統領が明言

 【ワシントン9日=林路郎】ブッシュ米大統領は9日、訪米中のバジパイ・インド首相との共同会見で、「米軍が去るにあたってアフガニスタンに安定した政府が存在することが重要で、我々の目標の1つである」と語り、実効支配勢力タリバン崩壊後の政権作りを実質的に主導する方針を初めて明言した。反タリバン勢力「北部同盟」によるマザリシャリフ制圧を受け、米国としても軍事作戦と並行してアフガン新政権構想をインドなどとの協力のもとに進める考えを示したものだ。

 大統領は、アフガニスタンでの今後の米国の戦略目標として、新政権構想と、ウサマ・ビンラーディン率いる国際テロ組織「アル・カーイダ」幹部に「正義の裁きを加えること」を強調。同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンらの逮捕、暗殺を断念していないことを明らかにした。

 ブッシュ大統領は10、11日の両日、国連総会に出席し演説するほか、軍事作戦に全面協力しているパキスタンのムシャラフ大統領と会談。反テロ戦争に対する協力を国際社会に求め、パキスタンとは新政権構想について具体的な協議を行うと見られる。

 ただし、米国がすでに具体的な構想を持っているわけではない。パウエル米国務長官は9日、北部同盟がカブールへ進攻する展望について、「カブールの住民は北部同盟にとって友好的でない」と述べ、構想が固まらない段階で少数民族主体の北部同盟が首都へ進攻するのは時期尚早との考えを示した。(読売新聞)
20日にもNYでアフガン復興会議=日本側共同議長に緒方氏

 日米両政府は10日までに、タリバン政権崩壊後のアフガニスタン復興問題について、関係国やアフガン国内各派が参加する「復興支援国会議」(仮称)を20日にもニューヨークで開催する方向で調整に入った。米軍などは今月中旬からのラマダン(イスラム断食月)期間中も攻撃を続行する方針であるため、アフガン復興への積極的な姿勢示すことで、アフガン国民やイスラム諸国の反発を和らげる狙いもある。
 会議の共同議長は、米側がパウエル国務長官、日本側が緒方貞子前国連難民高等弁務官(アフガニスタン支援首相特別代表)が務める見通しだ。また来年の第2回会合は東京で開催する方向だ。 (時事通信)
パキスタンで全国一斉スト、警官隊とデモ隊の衝突で4人死亡


 [サルゴダ(パキスタン) 9日 ロイター] パキスタンで、米軍主導の対アフガニスタン軍事行動を支持する政府を非難する全国一斉ストが行われ、警官隊とデモ隊が衝突して4人が死亡した。
 ハイダー内相がカラチで記者団に明らかにした。
 ストは、35のイスラム原理主義政党・団体で構成される「アフガニスタン防衛評議会」が呼びかけたもの。
 同内相によると、警官とデモ隊の衝突は、中部パンジャブ州ムルタンから150キロの鉄道駅で発生した。デモ隊が警察の車に放火したため、警官隊がデモ隊に発砲、デモ参加者3人が即死、警官3人を含む6人が負傷した。
 その後、負傷者の1人が収容先の病院で死亡したという。(ロイター)
<アフガン情勢>米高官「北部同盟から携帯電話で制圧連絡」

 米国防総省高官は9日、AP通信に、北部同盟から携帯電話で、マザリシャリフ全域を制圧したとの情報を得ていることを明らかにした。数多くのタリバン兵が同市から逃走、軍を離脱している兵士も続出しているという。米側も偵察写真で部分的な制圧を確認しているという。だが、高官は依然、事態は流動的との見方も示した。(毎日新聞)
カブール北方に北部同盟軍集結、進攻態勢整う

 【イスラマバード10日=森太】アフガニスタンの反タリバン勢力「北部同盟」のユスフ・カーン司令官は9日、AFP通信に対し、首都カブール北方約50キロのバグラム空軍基地周辺の前線に同日、北部同盟部隊の兵士数百人が戦車とともに集結し、カブール進攻の態勢が整ったことを明らかにした。一部の部隊はすでに十分な量の武器や燃料の補給を受けたという。

 タリバン精鋭部隊はカブールにつながる3本の道路を支配しているという。米軍は9日、この一帯のタリバン前線部隊に激しい空爆を行い、少なくとも11発の強力な爆弾を投下した。(読売新聞)
<アルカイダ>最高幹部が「ブッシュの発言はうそ」とビデオで

 アフガニスタンに潜むテロ組織「アルカイダ」最高幹部の一人で、ウサマ・ビンラディン氏の側近とされるアイマン・ザワヒリ氏は9日、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」を通してビデオで声明を発表。「アルカイダは壊滅状態でタリバンの隊列は乱れているというブッシュ米大統領の8日の発言はうそだ」などと語った。(毎日新聞)
<国連>アフガンで170万人の子どもが生命の危機に直面

 オルアラ・オトゥヌ国連事務総長特別代表は9日、米英軍の攻撃が続くアフガンで170万人の子供が飢えと寒さによる生命の危機に直面していると説明し、国際社会は長期的な視野で子供の救済に協力して欲しいと訴えた。また、同代表は、北部同盟も18歳以下の子供を兵士にしており、最近その数が増えていると批判した。(毎日新聞)
<国連特別会議>「文明の対話」呼びかける決議を採択し、閉幕

 国連「文明間の対話」特別会議は9日、紛争防止のために、異なる文化や宗教を持つ諸国間の対話促進を呼びかける総会決議を採択して閉幕した。会議では多くの国がテロ批判を展開したが、イスラム諸国の間からは米英軍のアフガニスタン攻撃によって一般住民に被害が出ていることを批判する声も出た。(毎日新聞)
<米インド首脳会談>バジパイ首相 アフガン攻撃全面支援を表明

 インドのバジパイ首相は9日、ホワイトハウスでブッシュ大統領と会談し、アフガニスタン攻撃に対するインドの全面支援を表明した。また「タリバン後」のアフガン新政権について、「広範な基盤」を持ち「すべての隣接国に友好的」である必要性を強調、アフガン再建に向けて米印が協力することを確認した。(毎日新聞)
 [バグラム(アフガニスタン) 10日 ロイター] 目撃者によると、アフガニスタンの首都カブールに近い北方の地点で、北部同盟が数百人規模の兵士と戦車を結集させている。また、北部同盟の複数の司令官は、数時間内にもカブール進攻に踏み切るとの見通しを示した。
 ロイター通信のカメラマンは、約800人の北部同盟兵士が戦車4台と重火器40門を携えて前線に向けて行軍しているのを目撃した。同時に米軍の戦闘機が上空を飛行し、北部同盟が掌握したバグラムの飛行場を見渡せる位置にあるタリバンの拠点に爆弾を投下しているという。
 北部同盟の複数の司令官は、現地時間午前2時にタリバンの拠点に対する攻撃を開始する予定だ、と語った。(ロイター)
北部同盟、要衝マザリシャリフに突入

 【イスラマバード9日=森太】アフガニスタンの反タリバン勢力「北部同盟」のウズベク人部隊を率いるドスタム将軍は9日夜、米CNNテレビに対して、北部同盟の部隊が同日午後、北部の要衝マザリシャリフに突入したと語った。

 将軍は「私は今、マザリシャリフを見おろす丘の上にいる」と述べた。北部同盟スポークスマンは、AFP通信に対して、同盟部隊が同日、同市中心部から西方約10キロの空港を完全に制圧したことを明らかにした。

 突入が事実とすれば、米軍による対タリバン攻撃が10月7日に開始されて以来、北部同盟が、アフガニスタン内の重要拠点に初めて進攻したことになる。

 北部同盟は首都カブールと主要道路で結ばれたマザリシャリフ攻略を目指して、米軍機の支援を受けて、タリバン部隊と攻防を続けていた。

 北部同盟がマザリシャリフを押さえれば、アフガニスタンに隣接するウズベキスタンからの軍事物資の供給が可能になり、対タリバン攻勢に弾みがつくと見られる。ウズベキスタンには、米第10山岳師団など米軍部隊がすでに配備されており、米軍と北部同盟の協力にもプラスになる。

 一方、タリバン部隊は北部と西部で分断されることになる。

 ドスタム将軍はCNNテレビに対して、タリバン兵は負傷した一部の兵士を除いてマザリシャリフを撤退し、東方に向かったとしている。

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 【ワシントン9日=貞広貴志】アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフに北部同盟が進攻したとの情報について、米国防総省広報は9日、「現在、現地から情報を収集中で、事実関係の確認はできない」とコメントした。(読売新聞)
「脱・自衛」の行方注目 海外メディア一斉報道 自衛艦派遣

 米軍のアフガニスタン攻撃の後方支援に向け、日本がインド洋への自衛艦派遣に踏み切った九日、各国メディアは一斉に出港の様子を伝えた。「戦時」としては初の自衛隊の海外出動。テロ根絶への日本の協調姿勢を米国や同盟国は歓迎、アジア諸国も比較的冷静に見守った。ただ、海外派遣を「軍拡」として懸念する声もアジアでは根強く、今後の活動内容次第では強い反発を生む可能性をはらんでいる。

■米 国

 バウチャー米国務省報道官は八日(日本時間九日)の記者会見で「派遣を感謝し歓迎する。日本側と緊密に連絡を取り、協力していきたい」と述べた。米政府は、テロ対策特別措置法成立の際も「強固な日米同盟の表れ」とする大統領声明とパウエル国務長官声明を発表、日本の後方支援とアフガニスタン難民援助に強い期待を寄せている。

 米メディアも自衛艦派遣を報道。CNNテレビは、自衛艦が長崎県・佐世保基地を出港する映像を放送しながら「非戦闘行為でのサポートだが、後方支援のため日本が自衛艦を出動させるのは初めてだ」と伝えた。

 (ワシントン・平山孝治)

■欧 州

 欧州メディアは八日(日本時間九日)、「第二次大戦以降、戦時としては初めて日本が海外に派兵する」と日本の防衛政策の転換を伝えた。

 英BBC(電子版)は、アジア太平洋ニュースのトップで紹介。自衛艦の行動は、情報収集など非戦闘支援に限られることを説明するため、Q&Aのコーナーを設け、憲法の規定や「専守防衛」の意味などを分かりやすく解説。また「日本は湾岸戦争の際に金銭的貢献のみで兵力を派遣せず、国際的な批判を受けた」と、日本政府が派遣に踏み切った背景を示唆した。

 ロイター通信は、佐世保から特派員電で自衛艦の様子を報告。「日本のリーダーたちは、湾岸戦争時の外交のまずさを繰り返さないよう一生懸命だ」と伝えた。

 (パリ・坂井政美)

■中 国

 中国国営通信新華社は九日、自衛艦の出港を「初の海外派遣。さらに大きな艦隊を派遣する序幕」と東京発で報じ、強い関心を示した。

 自衛隊の海外派遣や役割強化について、中国外務省は「歴史的要因もあり非常に敏感な問題。慎重に行うよう希望する」と繰り返し要請。江沢民国家主席も「アジアの人々には警戒心があることを理解してほしい」と懸念を示していた。

 ただ、今回の派遣が反テロ国際協力の一環であることから、中国は強硬には反対しにくい立場。同日夜のテレビニュースは出港を報じなかったが、新華社電は佐世保で抗議デモがあったことを伝えた。中国は、活動の拡大や派遣の常態化をけん制していくものとみられる。 (北京・中川茂)

■韓 国

 韓国では政府のコメントはなく、自衛隊海外派遣に批判的なマスコミも現時点で論及はなく、冷静な反応をみせている。

 政府レベルでは金大中大統領が「憲法の枠内で」と条件をつけながら反テロでの自衛隊派遣について「理解する」と明言していた。一方、マスコミは「軍事大国化の道を開く」との論調を繰り返してきた。

 韓国政府、世論は、中国と同様に、自衛艦の実際の活動状況を注視しながら、動いていくことになるとみられる。

 (ソウル・田代俊一郎)

■パキスタン

 自衛隊にアフガニスタン難民支援の役割を期待し、カラチ港の使用を認めたパキスタン政府は、派遣に歓迎の意向とみられる。ただ、米軍空爆に対して同国では九日、抗議のゼネストが全土であり、死者が出る暴動に発展。自衛隊の米軍支援が鮮明になれば、矛先が日本に向かう恐れもある。

 今月中旬からのラマダン(イスラムの断食月)中も空爆が継続される見通しとなり、反米感情は高まっており、ムシャラフ大統領はフランス、英国、米国を歴訪中。各国首脳に空爆長期化への懸念を表明している。

 一方、多数のイスラム教徒を抱えるインドネシアやマレーシアで米国への抗議デモが繰り返されており、日本の在外公館や企業に対する抗議行動が活発化する恐れがある。 (バンコク・野尻勝彦)(西日本新聞)
<米露首脳会談>核軍縮・軍備問題で合意目指す 13日から

 ブッシュ米大統領とプーチン・ロシア大統領の米露首脳会談が13日から米国で行われる。ホワイトハウスと、テキサスの牧場にあるブッシュ大統領の自宅が協議の場となる。同時多発テロへの対応を通じて急接近した米露両国は、この首脳会談で核軍縮・軍備管理問題で合意を目指す。テロやアフガン攻撃も主要テーマとなろう。(毎日新聞)
パキスタン各地で反米デモ、3人死亡…AFP通信

 【イスラマバード9日=新居益】パキスタンの全国各地で9日、イスラム教の金曜礼拝の後で、アフガニスタンに対する米英軍による武力行使に抗議して、大規模なデモが行われた。AFP通信によると、首都イスラマバードの南西500キロのパンジャブ州デラガジハーンでは、イスラム原理主義政党の支持者約5000人がデモを行い、4人の警察官を人質にとった上、高速道路と鉄道を占拠したため、警官隊と銃撃戦となり、3人が死亡、警官を含め8人が負傷した。

 また、パキスタン北西部ペシャワルや南部カラチなどでは、タリバン支持者のデモに対し、警官隊は鎮圧のため催涙弾を発射した。

 治安当局は9日早朝までに、全国各地で500人以上の活動家を事前拘束、礼拝後の抗議行動の沈静化に努めていた。(読売新聞)