2001
11/4
11/4 カブール北方に北部同盟の滑走路が完成

 【イスラマバード4日=佐藤浅伸】AFP通信によると、アフガニスタンの実効支配勢力タリバンと内戦を続ける北部同盟は同国カブール北方約80キロの地点に滑走路を完成させ、4日、運用を開始した。

 滑走路は北部同盟の拠点パンジシール渓谷の入り口に位置し、タリバン軍との戦闘が続く前線まで数十キロ。全長500メートル超で、1か月余り前から米軍の協力の下、建設が進んでいた。滑走路の完成で、これまで陸路や小型ヘリでの空輸に頼ってきた物資、兵士の北方支配地からの輸送が容易になる。陸路は既に降雪で閉ざされており、冬季作戦もにらんだものだ。(読売新聞)
<アフガン攻撃>イタリア軍参加を表明 伊国防省

 イタリア国防省は4日、国会の承認があり次第、米軍主導のアフガニスタンへの軍事作戦にイタリア軍も参加するとの声明を発表した。ベルルスコーニ政権は以前から派兵の意向を持っており、国会は与党が多数派のため承認される可能性が高い。(ローマ共同)(毎日新聞)
タジク、米に3基地提供

 【タシケント(ウズベキスタン)4日=伊熊幹雄】ラムズフェルド米国防長官は3、4の両日、アフガニスタン北部と国境を接するタジキスタン、ウズベキスタンの中央アジア2か国を相次いで訪問し、対タリバン軍事行動への協力を要請した。タジキスタン政府は、これに対して、同国南部3基地提供の用意があることを表明し、米軍の空爆は、同国を拠点にする“北部戦線”が新たに開かれる見通しとなった。

 対象となる空軍基地は、いずれもソ連時代に使われていた。米軍はただちに、空軍専門家を送り、現状を調査する。同国のナザロフ外相は、基地使用の用途を限っておらず、対アフガン空爆出撃の可能性も含まれる。実現すれば、対タリバン攻撃は一気に戦線拡大することになる。

 中央アジア諸国ではウズベキスタンがすでに米軍に基地提供しているが、同国のカリモフ大統領は、4日のラムズフェルド長官との会談でも「人道目的、米軍救援目的に限る」との建前を崩さなかった。

 ラムズフェルド長官の歴訪は、3日のロシア訪問に続くもの。米軍の対タリバン空爆が1か月に迫る中でアフガニスタン北部攻撃強化の必要性も高まっており、会談ではその可能性が話し合われた模様だ。

 米軍はすでにウズベクに1000人以上の精鋭師団を、またタジクには救援活動専門の特殊要員を派遣して、後方支援体制を築きつつあった。しかし最近は、「北部同盟」と連動した形での、攻撃も増えており、今後はさらに両国を後方支援拠点として使う意向と見られる。(読売新聞)
<タリバン政権>「切り崩しは困難」 仏アフガン研究者が見方

 アフガニスタン研究の権威で、フランス外務省顧問を務める仏国立科学研のオリビエ・ロイ博士は3日、毎日新聞の電話取材で、米国とパキスタンが取り組んでいるタリバン政権切り崩し工作が難航している現状に関連し、「タリバン最高指導者オマル師が死亡しない限り、『穏健派切り崩し』は実現しない」との見方を示した。

 ロイ博士によれば、タリバン政権の政治、軍事決定に携わる「中枢部門」は「10人未満」で構成され、「中核」の中に穏健派はいないとされる。 同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏、99年にキルギスタンで国際協力事業団(JICA)の職員拉致事件を起こした「ウズベキスタン・イスラム運動」のナマンガニ氏も含まれるという。ナマンガニ氏は拉致事件後の昨年、「中枢に組み入れられ、現在はタリバン軍司令官だ」という。

 ロイ博士は「パキスタンが中枢の外にいる政権関係者やアフガン社会の中に根を張るパシュトゥン部族の長らを切り崩しても、タリバンの軍事的減退にはつながらない」とみる。

 また、ロイ博士は「パキスタン軍情報機関(ISI)にはビンラディン氏の支援組織『アルカイダ』の諜報員がおり、切り崩し工作などの極秘情報はタリバン側に流れている。先の第3勢力有力指導者アブドル・ハク氏の処刑はアルカイダの成果だ」と指摘した。それを踏まえ博士は「テロ予防を目的としたタリバンの壊滅には軍事攻撃以外に手はない」との見方を示した。(毎日新聞)
<パキスタン>最大のイスラム原理主義勢力総裁を自宅軟禁

 【イスラマバード澤田克己】パキスタン最大のイスラム原理主義勢力「イスラム協会」は4日、同協会のアフマド・カジ総裁が3日夜から、同国北西部ペシャワルで自宅軟禁されたと明らかにした。

 カジ総裁は、タリバン兵士を支援するためアフガニスタンへ入国しようとするイスラム教徒の義勇兵が集まる国境地帯で、この日予定された反米デモに参加するため、自宅を出ようとしたところを当局に阻止され、軟禁状態に置かれた。自宅は武装警官に囲まれているという。

 協会スポークスマンのカマール氏は毎日新聞に「原理主義の全勢力が参加するアフガン防衛評議会が近く全国で行う反政府デモを失敗させるのが目的だ」と指摘した。カジ総裁は抗議デモを全国で繰り広げるよう指示していたとされる。

 パキスタン政府は先月7日の米軍の空爆開始後、原理主義勢力による反政府運動の激化を警戒し、最強硬派であるイスラム聖職者協会のサミュル・ハク党首と、同名の分派党のファズド・ラフマン党首を自宅軟禁。ハク党首の軟禁は解かれたが、ラフマン党首は現在も軟禁されている。(毎日新聞)
米国防長官、パキスタン大統領と会談

 【イスラマバード4日=森太】ラムズフェルド米国防長官は4日夕(日本時間同日夜)、ウズベキスタンからイスラマバード入りし、同日夜、パキスタンのムシャラフ大統領や軍幹部と会談する。17日ごろ始まるラマダン(イスラム教の断食月)と本格的な冬入りを前に、アフガンでの新たな軍事作戦の内容を説明し、ラマダン中の作戦継続への理解を求めると見られる。また、パキスタン領内の基地の使用など軍事作戦への一層の協力も要請する見通しだ。

 ムシャラフ大統領は3日、報道陣に対し、ラムズフェルド長官との会談で、ラマダン前の作戦完了の可能性について話し合うことを明らかにした。会談ではまた、タリバン崩壊後のアフガニスタンの新政権構想や米国からパキスタンへの武器売却についても意見を交わすと見られる。(読売新聞)
米B52、タリバン前線部隊をじゅうたん爆撃

 【イスラマバード4日=森太】AFP通信によると、米軍は4日、アフガニスタン北東部のタリバン前線部隊に対して、B52戦略爆撃機で少なくとも爆弾100個を投下、これまでで最大規模のじゅうたん爆撃を行った。爆撃は同日朝、5時間にわたり、幅約50キロのタリバン前線に行われた。タリバン側の被害は不明。

 また、首都カブールでも同日未明、空爆が行われ、走行中のタリバンのトラックが米軍機の発射したロケット弾を受け、タリバン兵9人が負傷した。

 一方、ロイター通信は同日、カブールの援助団体関係者の話として、米軍の激しい空爆が続いたカブール北方のタリバン前線部隊で、タリバン兵200人から300人が負傷し、カブールの軍病院で治療を受けていると伝えた。死者は30人から50人と見られるという。(読売新聞)
<アフガン攻撃>地上戦、数週間以内に数千人規模で 英日曜紙

 【ロンドン岸本卓也】英日曜紙サンデー・タイムズは4日、米英両軍の数千人規模の特殊部隊が数週間以内にウズベキスタンからアフガニスタン北部に進攻する見通しだと報じた。進攻作戦の主目的はタリバン支配地域の難民の救援とされる。米英空軍の空爆や反タリバン連合(北部同盟)から援護を受け、最前線に食料、衣料、医薬品などの補給基地を設置するという。米英両軍は公式に、報道を確認していない。

 同紙は英高官の話として伝えた。米英地上軍の補給基地は北部要衝・マザリシャリフの近郊に設置する。当初は救援物資の輸送をウズベキスタンから飛ぶヘリによる空輸で行う予定だったが、タリバンからの攻撃を受けやすいため中止した。だが、地上作戦もタリバン勢力との戦闘が予想され、米英両軍は北部同盟に最大限の援護攻撃を要請しているという。

 補給基地が築かれ、米英両軍が活動できる地域が広がれば、難民の救援を開始する。難民救援を作戦の最優先に掲げた理由として、米政府高官は「空爆による民間人犠牲者続出で失った内外の世論の支持を取り戻すため」と話しているという。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>首都カブール近郊などを空爆を続行

 米軍は4日もアフガニスタン攻撃を続行した。AFP通信などによると、北東部タジキスタン国境近くにあるタリバン前線部隊に対してはB52爆撃機による爆撃が朝から行われ、少なくとも爆弾100発が投下された。一方、カブールでは同日未明、米軍のロケット弾がトラックを直撃、乗っていたタリバン兵ら9人が負傷した。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>地上戦でパキスタンに協力要請へ 米国防長官

 【イスラマバード福原直樹】ラムズフェルド米国防長官は4日、イスラマバードを訪問し、パキスタンのムシャラフ大統領らと会談し、アフガニスタンのタリバン攻略に向けた両国の協力関係などを協議する。米政府筋によると、長官はアフガンでの本格的な地上戦に備え、パキスタン空軍の基地使用拡大など軍事面での一層の協力を要請するとみられる。

 一方、パキスタン側は今月中旬から始まるラマダン(イスラム教徒の断食月)期間中の空爆停止について議論したい意向。長官はラマダン中の空爆続行を決めたことに理解を求める方針だ。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>米軍領空通過で合意 タジク大統領と米国防長官

 周辺諸国を歴訪中のラムズフェルド米国防長官は3日夜、タジキスタンの首都ドゥシャンベでラフモノフ大統領とアフガン情勢について協議。長官は会談後、タジクがアフガン攻撃に参加する米空軍の領空通過を認めることで合意したと明らかにした。タジクはこれまで人道援助物資の輸送に限り領空使用を認めると表明していた。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>先月の地上作戦、米兵12人負傷か 米誌報道

 米誌ニューヨーカーは米軍がアフガニスタンで先月20日に行った地上作戦で、タリバン側の反撃に遭い、特殊部隊デルタフォースの隊員12人が負傷したと報じた。うち3人は重傷を負ったという。報道によると、戦闘は「タリバン側が優勢だった」(米高官)という。同誌の報道に対し、国防総省はコメントを控えている。(毎日新聞)
<テロ対策>米政府の対策に不信増 米誌世論調査

 【ワシントン布施広】米誌ニューズウィークが3日発表した世論調査によると、米政府が炭疽(たんそ)菌事件や新たなテロへの対策を「持っている」と答える人と「持っていない」とする人は、ともに46%で米国民の見方が真っ二つに割れていることが分かった。「持っていない」との回答は1週間前の調査より3ポイント増え、政府不信が募っていることをうかがわせた。

 また国外でのテロ対策を評価する人は72%と依然高いが、1週間前の75%、2週間前の78%から減り続けている。アフガニスタンでの軍事行動は「政府が言う通りうまくいっている」と答えた人は56%で、33%の人は政府発表に懐疑的だった。

 さらに大規模な地上作戦が必要と答えた人は40%に上り、10月上旬の37%から3ポイント増えた。空爆は目に見える成果を上げておらず、マケイン上院議員(共和党)らは大規模な地上軍編成を求めている。

 調査は1、2の両日、18歳以上の1001人を対象に電話で行われた。(毎日新聞)
「国境なき医師団」永井さん アフガン難民を語る
--------------------------------------------------------------------------------

2001/11/04

 イランでアフガニスタン難民のための医療活動に取り組んだ「国境なき医師団」の永井真理さんらと難民問題を考えるセミナーが三日、神戸市中央区加納町の神戸YMCAで開かれた。永井さんは「タリバンによる迫害が難民を増加させた」と指摘する一方、米軍機による食料や医薬品の投下を「今後の人道支援に悪影響を与える」と批判した。

 永井さんは昨年九月から今年四月までイラン東北部のマシャドで内科医として活動した。ソ連がアフガニスタンに侵攻した一九七九年以来、増え続ける難民が郊外に約十万人住むという。

 永井さんの活動期間に難民が急増。五百七十家族に聞き取り調査をした結果、出国の理由は▽「タリバンの迫害を恐れてきた」56%▽「干ばつ」21%▽「内戦の被害に遭った」11%―だった。

 イランに来た難民の大半がタリバンとは民族、宗派が異なる。「タリバンでも反タリバンでもないが、内戦の最前線に住み、双方から迫害を受けた」という。

 国境なき医師団は、米軍の空爆に「中立」を保っているが、米軍機による食料や医薬品の投下については中止を求めている。「必要な人に届いたか確認できない。とくに医薬品をでたらめにまくのは危険。また、右手で銃、左手で食料を突きつけるような“援助”は人道援助にも不信を招く」と永井さん。

 会場には約百四十人が詰め掛け、関心の高さをうかがわせた。永井さんは「テロ事件の後、アフガン難民が急に発生したわけではない。マスコミに取り上げられず、忘れられていた。世界には、ほかにも忘れられた難民がいる。目を向けてほしい」と呼びかけた。
ビンラディン氏、米政府を支持するイスラム教徒らを非難


 [ドバイ 4日 ロイター] 米同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏は、米政府の支持者はイスラム教にとって反逆者であると述べ、米国主導のアフガニスタン空爆が始まって以来、最も強硬に、西側諸国に対する聖戦を全世界のイスラム教徒らに呼び掛けた。
 カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが、ビンラディン氏の新たなビデオ声明を放映したもの。
 同氏は、ブッシュ米大統領が主導するキリスト教徒の”十字軍”に抵抗することがイスラム教徒の義務であると述べた。
 また、コーランを引用しつつ、全世界のイスラム教徒12億人に対し、自分の味方につくよう説得を試み、「本来この戦いは宗教戦争だ」と語った。
 ビデオ映像の同氏は傍らにAK−47型ライフル銃を置き、迷彩服を着用。顔色は悪かったが、最後には感極まった様子を見せていた。
 ビデオの具体的な収録日時は不明。(ロイター)
<北部同盟>「タリバン後のPKO展開不要」 国連大使

 【ニューヨーク上村幸治】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)のラバン・ファハディ国連大使は2日、毎日新聞と会見し、タリバン政権崩壊後のアフガンに国連平和維持活動(PKO)を展開する計画が中断していることを明らかにした。大使はまた、タリバン崩壊後、首都カブールを「非武装地帯」とし、警察部隊が治安維持を担う案に、米国をはじめ反タリバン連合、ザヒル・シャー元国王ら関係当事者が同意したと述べた。

 大使は国連の協力を求めながら、「あくまでアフガン人の国内民族による政権作りを目指す」と述べ、それが軌道に乗れば「PKOは必要ない」との立場を強調した。

 大使はまた、新政権へのタリバン穏健派取り込みを主張していたパキスタンが最近になって取り込みを断念、タリバン完全排除の方向で動き始めたと説明した。紛争当事者間の停戦合意が前提とされるPKO案は「実施困難」との見通しを示した。これはタリバン崩壊後も戦闘が続く恐れがあることを踏まえたものだ。

 さらに、大使は戦後のカブールの治安維持について、軽武装の警官約3000人程度で可能と述べ、警官の訓練開始に向けた作業に既に着手していると明らかにした。

 同時に大使は、タリバン内で多数派を構成するパシュトゥン人については「新政権参加を歓迎する」とも述べ、パシュトゥン人有力指導者のリストを作成済みと語った。

 タリバン政権崩壊後のアフガン全土の治安維持や新政権創設に対する国連協力について、大使は「戦況などを見ながら話し合う」と述べ、今後も関係当事者間の協議が必要との認識を示した。(毎日新聞)