2001
11/3
11/3 <タリバン政権>米軍ヘリ撃墜、40〜50人死亡? 教育相語る

 タリバン政権のスポークスマンであるモタキ教育相は3日、中部ガズニ州で2日午後11時(日本時間3日午前3時半)ごろ、米軍のヘリコプター1機を撃墜し、米兵40〜50人が死亡したと語った。ヘリは、墜落した別の航空機の救助に向かっていたという。タリバン系のアフガン・イスラム通信が伝えた。(毎日新聞)
米大統領、ラマダン中の攻撃続行を表明

 【ワシントン2日=林路郎】ブッシュ米大統領は2日、ホワイトハウスで記者会見し、今月中旬から始まるラマダン(イスラム教断食月)中のアフガニスタンでの軍事行動について「敵は戦いをやめないし、我々もやめない」と述べ、続行の姿勢を明確にした。さらに「この作戦を遂行しているのは軍部だ。これは戦争であり、政治運動ではない」とも述べ、軍事作戦ではイスラム諸国への外交上の配慮よりも、軍部の判断を優先する考えを示した。(読売新聞)
米軍ヘリがアフガンで墜落、全員救出

 【ワシントン3日=林路郎】米国防総省によると、アフガニスタン国内で同国時間2日午後11時(日本時間3日午前3時半)ごろ、地上で体調の悪化した米兵を救出しようとした米軍ヘリコプターが悪天候のため着陸に失敗、機体は破損し、乗り組んでいた4人が衝撃で負傷した。負傷米兵はいずれも別の米軍ヘリに救われ、アフガン国外へ脱出した。

 事故は反タリバン勢力「北部同盟」支配地域内で起きた可能性が高い。また、体調の悪化した米兵とは、「北部同盟」との連携のために派遣された特殊部隊員ともみられる。タリバンなどによる部品入手を防ぐため、米軍F14戦闘機が墜落したヘリを爆撃、破壊した。

 一方、CNNテレビによると、タリバン支配地域と見られる区域上空を飛行していた米空軍の無人偵察機「プレデター」1機が、やはり悪天候のため墜落した。これらの墜落事故は、厳冬期に差し掛かったアフガニスタンでの地上及び低空での作戦行動がすでに難航していることを示すものだ。

 ◆タリバン側「米軍ヘリ撃墜」◆

 【イスラマバード3日=森太】アフガン・イスラム通信によると、アフガニスタン実効支配勢力タリバンの駐ペシャワル総領事は3日、米軍のヘリコプター2機が2日夜にアフガン中部ガズニ州でタリバンによって撃墜されたと語り、米軍のヘリが不時着したとの米側発表を否定した。現地では雪が降っており、詳しい状況はわからないという。(読売新聞)
<米国防長官>モスクワでプーチン大統領、国防相らと会談

 モスクワ入りしたラムズフェルド米国防長官は3日、プーチン大統領、イワノフ国防相らと会談し、アフガニスタン情勢などを協議した。プーチン大統領は「米露関係は全分野で対話が始まった」と述べ、特に国防・治安関係では先月のアジア太平洋経済協力会議以降、両国の立場が急接近したと説明した。(毎日新聞)
自衛隊の難民支援歓迎=「戦闘区域での活動」も期待−パキスタン大統領

 【イスラマバード3日時事】パキスタンを訪問している山崎拓自民、冬柴鉄三公明、二階俊博保守の与党3党幹事長は3日、カラチからイスラマバード入りし、ムシャラフ大統領と会談した。この中で同大統領は、アフガニスタンからの難民救援に関し「自衛隊のパキスタン国内での活動を全面的に支持する」と表明。現在、政府の米軍支援構想では想定していない、同国内における難民の救援活動に強い期待を示した。
 会談で三幹事長は、テロ対策特別措置法に基づく支援構想の一環として、カラチへの難民救援物資輸送を計画していることを説明。これに対し、大統領は「難民に対する支援はできるだけ多くのことをしてほしい。パキスタン国民は親日感情が強く、他国と違い日本の部隊が来ることを歓迎している」と強調した。3党幹事長が2日に視察した南部カラチの港湾施設についても「使用を歓迎する」と述べた。 (時事通信)
教会襲撃事件で原理主義活動家を逮捕

 【イスラマバード3日=森太】パキスタン東部パンジャブ州バハワルプルで先月28日、キリスト教徒ら16人が射殺されたテロ事件をめぐり、地元警察当局は3日、アフガンのタリバン政権と関係の深いテロ組織メンバーの男(26)を殺人容疑などで逮捕したことを明らかにした。

 男は、米国がテロ組織と認定しているパキスタンのイスラム原理主義テロ組織「ジェイシェ・モハマド」の活動家で、事件への関与を認める供述をしている。

 ジェイシェ・モハマドは、米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンと関係の深いパキスタンのテロ組織「ハラカトゥル・ムジャヒディン」から分派した組織で、インドのジャム・カシミール州の分離独立を目指している。先月1日、同州の州都スリナガルで26人の死者を出した自爆テロを起こした。(読売新聞)
<アフガン>タリバン政権もラマダン中の「聖戦」継続を決定 

 カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」は3日、タリバン政権の指導者オマル師の側近の話として、タリバン政権がラマダン中も米国との戦闘を継続することを決定したと伝えた。オマル師の側近は「この戦争はジハード(聖戦)だ。米国が攻撃を続ける限り、我々も攻撃を継続する」と述べた。(毎日新聞)
<パキスタン大統領>ラマダン中のアフガン攻撃に反対の姿勢表明

 パキスタンのムシャラフ大統領は3日、共同通信などと会見し、ラマダン中の米軍によるアフガニスタン攻撃について「イスラム諸国に否定的なインパクトを与える」と述べ、反対の姿勢を重ねて表明した。近くパキスタンを訪問するラムズフェルド米国防長官とムシャラフ大統領との間で厳しい意見調整が予想される。(共同)(毎日新聞)
<アフガン>義勇兵1000人以上がタリバン軍に合流

 【イスラマバード福原直樹】パキスタンのイスラム義勇兵1000人以上が2日、アフガニスタン入りし、タリバン軍に加わった。パキスタンのイスラム原理主義組織「スフィ・モハマッド」が2日、毎日新聞に明らかにした。同組織の呼びかけで、さらに数千人の義勇兵が越境の準備をしている、という。

 同組織の関係者によると、義勇兵は同国北西部のパラチナ―ミランシャ間の山岳地域を密かに通過、アフガニスタン国内東部のジャハラバードに到着。イスラムの「聖戦」のためにタリバン側に合流した、という。また、同地域ではさらに数千人の義勇兵が山岳地帯を通り、アフガン入りの準備を進めており、「数日内にもタリバンと合流する」という。同地域は、タリバンへの支持が強く、多くの女性が高価な衣類を寄付として差し出してもいる、という。

 同組織によるとタリバン政権は、25〜49歳の義勇兵の入国を許可。義勇兵は自ら武器を携帯し越境しているが、タリバン側も、入国後義勇兵に武器や食料などを義勇兵に渡している、という。(毎日新聞)
<アフガン>タリバンが反米連合結成へ 米に大きな打撃

 【イスラマバード澤田克己】アフガニスタン・タリバン政権の動向に詳しい消息筋は2日、イランに亡命中のヘクマティアル・アフガン元首相とタリバンが「反米連合」結成で基本合意したことを明らかにした。元首相は、旧ソ連軍とのアフガン戦争(79〜89年)でのリーダーの一人で、数万人の兵士を動員し得るという。両派の連合結成は、米国や反タリバン連合(北部同盟)に大きな政治的打撃となり、米英軍のアフガン攻撃作戦の遂行に支障を与えるのは必至だ。

 消息筋によると、元首相は最近、パキスタン北西部ペシャワルに特使2人を派遣してタリバン側と接触し、基本合意に達した。両者は現在、戦争終結後の権力配分などについて、詰めの協議を行っている。元首相は、タリバンの最高指導者オマル師と直接会って最終的な合意を交わす意向だ。

 同筋は「ヘクマティアル派の兵士は、タリバンに合流する準備を始めた。最終合意は近いだろう」と話している。

 ヘクマティアル派は最盛時10万人の兵力を誇ったが、タリバンの首都カブール制圧(96年)で元首相が亡命した後、活動停止の状態にあった。大半の兵士はアフガン国内に残留している。

 同派の現状には不明な部分もあるが、同筋は「数万人は動員可能だ」と語り、カブールやタリバンの本拠地カンダハルの防衛力が飛躍的に高まると指摘した。旧ソ連との戦いで鍛えられ、地形を知り尽くしたアフガン人ベテラン部隊は米軍にとって侮りがたい強敵となる。

 元首相は、タリバン、北部同盟の双方と反目してきたが、今回は「アフガン人と米国との戦い」と位置づけて、タリバンとの共闘に踏み切ったという。元首相は、タリバン指導部と同じ多数派パシュトゥン人だが、北部同盟は少数民族であるタジク人やウズベク人主導。消息筋は、タリバンとの共闘が元首相にとって「最後のかけ」だと語った。

 【イスラマバード福原直樹】アフガニスタンのタリバン政権がヘクマティアル元首相と「反米連合」結成で基本合意した背景には、民族間の確執から元首相が反タリバン連合(北部同盟)と長年、敵対関係にあったことがある。元首相としては北部同盟が政権奪回した場合、新政権に入れないので、「敵の敵」タリバンとの合従連衡により、最後の生き残りを図ったとみられる。数万人の兵力を擁するという元首相のタリバンとの連携は、タリバン崩しを狙う米国に大きな障壁になる。

 北部同盟はタジク人のラバニ前大統領派、ウズベク人のドスタム将軍派、ハザラ人のイスラム統一党派に分かれる。これら3派のうち、ヘクマティアル元首相は、ラバニ前大統領派とは犬猿の仲で、両者を初め各派の連合でできた暫定内閣成立半年後の94年1月、強硬派の元首相は前大統領派への攻撃を開始。内戦は泥沼化し、その後のタリバン政権の登場を招いた経緯がある。

 この対立には、元首相がタリバン同様、アフガンの多数派民族パシュトゥン人であるのに対し、前大統領らの北部同盟がいずれも少数民族出身という背景がある。著名なアフガン研究家ザイダン氏によると、アフガンの「主流」であるパシュトン人は、歴史的に外敵に一致団結して立ち向かう伝統があるといい、今回の動きもこの流れに沿ったものだ。

 一方、隣国パキスタンとイランが「反米同盟」を黙認できるのも事実だ。タリバンを支援してきたパキスタンは、北部同盟とは敵対関係にある。さらに同国は米国の要請で、非タリバン・非北部同盟の「第3勢力」の結成に動いたが、その中心人物、アブドル・ハク氏の処刑によって難航している。国内のタリバン支持派の動きも強く、パキスタンは「現在、静観するしかない」(政府筋)という状況だ。

 イランは北部同盟を支持してきた。しかし、米が支援する北部同盟が政権を握り隣国に親米政権ができるのをイランが避けたいのは間違いない。

 タリバン陣営切り崩しが挫折する中、タリバンとヘクマティアル派の「反米連合」結成は、米国にとって大きな誤算であり、アフガン情勢を泥沼化させる契機になりそうだ。(毎日新聞)
ビンラディン氏と支持者を必ず捕らえる=ブッシュ米大統領


 [ワシントン 2日 ロイター] ブッシュ米大統領は、米国は必ずアフガニスタンでウサマ・ビンラディン氏と同氏を支持する武力組織を捕らえる、との誓いを新たにし、空爆作戦が包囲網を縮めている、と述べた。
 同大統領は、「アフガニスタンにおける作戦では進展している。ゆっくりとだが確実に、敵の周りの網を締めている。敵の通信や防衛、潜伏を一段と困難にしている。そして彼(ビンラディン氏)とその支持者を捕らえる」と述べた。(ロイター)
タリバン、国連と国外の無線交信再開を傍受を条件に許可


 [イスラマバード 2日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権は、カブール市内の国連事務所に対し、国外との無線交信再開を許可したが、同政権による傍受を条件とした。
 国連の報道官、ステファニー・バンカー氏が明らかにした。
 バンカー氏は、記者会見で、「交信は、週6日、午前8時から午後4時まで再開され、タリバン関係者によって傍受される」と述べた。
 タリバン政権は、10月7日に米軍が空爆を開始して以来、国連の通信機器の使用を禁じていた。(ロイター)
<米軍ヘリ>悪天候でアフガン領内に不時着 4人負傷

 【ワシントン布施広】米国防総省によると、米東部時間2日午後1時半(日本時間3日午前3時半)ごろ、特殊部隊を乗せてアフガニスタン領内を飛行していた米軍ヘリコプターが悪天候のため不時着、機体を損傷し4人が負傷した。

 別の米軍ヘリが現場に向かい、乗組員をアフガン領外に運び出した。損傷した米軍ヘリは、タリバン政権側に渡るのを防ぐため、米空母セオドア・ルーズベルトから発進した戦闘機によって破壊された。

 米軍ヘリが不時着した場所などは明らかでないが、特殊部隊をアフガン領内の拠点に運ぶ途中だったとみられる。米統合参謀本部のスタッフルビーム副作戦部長は同日、降雨が軍用ヘリの作戦を難しくしていると語っていた。

 アフガン領内には現在、100人前後の特殊部隊員が駐留し、空爆の標的選定などを支援している。ラムズフェルド国防長官は1日、特殊部隊の規模を3〜4倍に増やすと述べ、近く特殊部隊をアフガン領内に増派する方針を示していた。

 しかし、冬に向かうアフガンは天候が変わりやすく、視界も悪いため、米軍は空爆と輸送活動の両面で厳しい状況に直面している。アフガン空爆の開始以来、悪天候による米軍ヘリなどの事故が公表されたのは初めて。(毎日新聞)
<北部同盟>要衝都市・マザリシャリフのタリバンに攻勢かける

 反タリバン連合(北部同盟)関係者は3日、アフガン北部の要衝都市マザリシャリフと周辺地域を支配するタリバンに対して、北部同盟が2日夜、攻勢をかけたと述べた。関係者によると、北部同盟はタリバン兵士約300人を捕虜として捕らえ、タリバン側から約400人が北部同盟側に寝返ったという。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>B52の空爆再開 首都カブール付近

 アフガニスタンからの報道を総合すると、米軍は2日夜から3日朝にかけて、アフガンの首都カブール付近で爆撃を再開した。爆撃機B52などが反タリバン連合(北部同盟)の支援のため、タリバンが占拠する丘陵地帯や、首都北方の空港付近を空爆したとみられる。(毎日新聞)