2001
10/31
10/31 米軍空爆で民間人ら1500人犠牲 タリバーン側声明

 アフガニスタン・タリバーン政権の在パキスタン大使館は31日、米軍の空爆でこれまでに民間人を中心に1500人の犠牲者が出たとする声明文を発表した。「米軍は明らかに民間人のいる居住地域を狙っている」として米国を激しく非難した。


 記者会見したザイーフ大使は「勇気あるアフガン人が自国のことでだれかが干渉することを許すことはない」と述べ、国連を中心に関係国の間で「タリバーン後」の政権の枠組み協議が重ねられていることについて強く反発した。(23:03)

イスラエル軍、ハマスの軍事部門幹部をミサイルで殺害

 イスラエル軍は31日朝、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ヘブロンでイスラム過激派ハマスの軍事部門の幹部を武装ヘリコプターのミサイル攻撃で殺害した、と発表した。この幹部は入植者殺害にかかわったとされ、さらにイスラエル国内での自爆テロを実施したハマスの軍事部門に加入していたという。


 また、イスラエル軍は31日未明、西岸北部のジェニン自治区に侵攻し、イスラム聖戦の活動家6人を逮捕した。軍の声明では「自爆テロに出撃する直前の2人が含まれている」とする。(22:14)

タリバーン、国連特別代表との会談を拒否

 アフガニスタン・タリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は31日の記者会見で、パキスタンを訪問中のブラヒミ国連事務総長特別代表からの会談打診を拒否したことを明らかにした。だが、国連関係者によると、「タリバーン側から会談の要請があったが、日程調整がつかなかった」と述べている。


 ブラヒミ氏側からタリバーン側に打診があり、ザイーフ大使がタリバーン最高指導者のオマール師と相談した上で、断ったという。大使は「国連は中立的ではなく、米国の手先だ。米国の攻撃をやめさせることが最重要なのに、国連は沈黙したまま、米国を支えている」と非難した。(21:11)

海上保安庁と比沿岸警備隊が合同訓練 海賊とテロ対策で


 東南アジア地域での海賊とテロへの対策強化のため、日本の海上保安庁とフィリピン沿岸警備隊が31日、マニラ湾沖で合同訓練を行った。これまで、海上保安大学校の留学生受け入れや意見交換などは行われたことがあるが、両国による本格的な合同訓練は初めてだという。

 訓練では、日本船に見立てた比巡視船が海賊に襲撃されたという想定で、日本から派遣された巡視船みずほ(61人乗り組み)が追跡。武装した海上保安庁の隊員が船上に展開した。


 比沿岸警備隊によると、海賊の活動は特に、東南アジアで活発化しているという。昨年4月には東京で海賊対策国際会議が開かれ、海上保安庁とアジア各国による合同訓練が合意された。これまでに、インドやマレーシアなどで行っている。(20:44)

米軍が「赤新月」の診療所爆撃、13人死亡 AFP通信

 アフガニスタン南部のカンダハル近郊で31日未明、赤新月社(イスラム教国の赤十字社に当たる組織)の診療所が米軍機に爆撃され、13人が死亡した。診療所の医師の話としてカンダハルからAFP通信が伝えた。

 首都カブール近郊のタリバーン側と反タリバーン勢力がにらみ合う前線でも同日、米軍機が攻撃を加え、バグラム空軍基地近くの二つのタリバーン側の陣地に対して激しい爆撃が行われた。目撃者の話によると、B52爆撃機による攻撃とみられ、それぞれの陣地に30〜50回の爆撃を行ったという。


 診療所への爆撃について、タリバーン側に招待された記者団に負傷した医師が語ったところによると、31日午前4時30分に爆撃があった。死亡した13人の中には患者や診療所のスタッフが含まれていた。医師自身空爆で負傷したと話し、頭や右手、左足に包帯をまいていたという。(20:37)

ビンラディン氏、昨年ドバイのアメリカン病院に入院?

 31日付仏フィガロ紙は、オサマ・ビンラディン氏が今年7月、アラブ首長国連邦のドバイにあるアメリカン病院に入院していたと報じた。同氏はその場で米中央情報局(CIA)のスタッフと接触していた可能性もあるという。AFP電によると、病院側は報道を否定した。

 同紙や仏ラジオが病院関係筋の話として伝えたところでは、同氏は7月4日、主治医や看護士、側近のエジプト人アイマン・ザワヒリ氏に似た男性らとともに、パキスタンからドバイに到着。腎臓結石を専門とする医師の診察を受け、14日まで入院した。

 病室をサウジアラビアからの訪問者ら多数が見舞った。アラブ首長国連邦駐在のCIA代表者もいたという。


 同氏が腎臓病を患っているとの情報は以前からあり、同紙によると、96〜98年に治療のため何度もドバイを訪れた。同氏については米国を敵視する以前の80年代、CIAとの密接な関係が取りざたされていた。(20:11)

同じ黄色の食糧と爆弾間違えないで 米軍、ラジオで警告

アフガニスタン北部のタハール州で22日、米軍が投下した黄色の食糧パックを開けようとする子供たち=AP


黄色く塗られた集束爆弾の不発弾=米国科学者連盟提供


 「アフガニスタンの皆さん、ご注意下さい。我々が落としている黄色い四角の包みは食糧ですが、黄色い缶の方は爆弾です」――対アフガン空爆と並行し「人道支援」を掲げた食糧投下作戦を続けている米軍が、上空を飛ぶ電子作戦機からのラジオ放送で、こんな警告を流し始めた。

 米軍はアフガン空爆でタリバーン部隊を攻撃するため、「クラスター(集束)爆弾」を使っている。その表面が黄色に塗られているため、同じように目立つ黄色の食糧パックと勘違いした住民が不発弾を拾おうとして起爆、犠牲になりかねない、という。

 米国防総省が30日、朝日新聞に対し、警告放送の内容を明らかにした。

 「黄色い1日分の人道食糧を投下しています。プラスチックで四角く包装され、中には栄養のある、イスラム教の律法にのっとった食べ物が入っています」「食糧を投下しているのとは別の地域に、我々は集束爆弾を落としています。着弾しても爆発していない可能性があります。黄色ですが缶状をしています」

 「最近空爆された地域で、正体不明の黄色い物体に近づく時には注意して下さい」


 食糧投下作戦は、飢餓が心配されるアフガンの民衆に、「合衆国国民からの贈り物」(包装紙の表書き)を届けるためだったが、自軍の爆弾との塗り分けまでは考えていなかったようだ。(19:25)

赤ちゃんに「オサマ」「ビンラディン」名流行 タイ南部

 イスラム教徒の多いタイ南部で、赤ちゃんに「オサマ」や「ビンラディン」と名付ける親が増えているという。マレーシア国境にあるヤラー県では、出生届を受け付ける職員が「男の子にも女の子にも多く、流行になっている」と話す。

 仏教国・タイのイスラム教徒は全人口の約4%。米国によるアフガニスタンへの攻撃で市民が犠牲になっていることに抗議して米国製品の不買運動を呼びかけるなど、対米感情は悪化している。


 ヤラー県職員によると、イラクのサダム・フセイン大統領や、リビアの最高導者カダフィ氏にちなんだ名前も目立つという。(18:58)