2001
10/22
10/22 アフガン出身米高官、テロを昨年末に予告

 【ワシントン22日=貞広貴志】米ホワイトハウスで、アフガニスタンを含むアラブ、中央アジア政策を統括するアフガン系高官の存在が注目を集めている。同時テロが起きる1年近くも前に「世界で最も暴力的なテロ」を予告し、タリバン打倒を呼びかけた国家安全保障会議のザイルマイ・カリザット大統領特別補佐(49)だ。

 同特別補佐は昨年末、米ランド研究所研究員時代、雑誌「ワシントン・クオータリー」で「ならず者国家の統合」と題する論文を発表。論文は、「テロ基地」としてのタリバンとの徹底対決や元国王を中心とする穏健派政権の擁立を提唱しており、ブッシュ米政権の方針を明示する文書として大きな関心を呼んでいる。

 カリザット氏は、今年5月にチェイニー副大統領らの推薦で大統領特別補佐としてホワイトハウス入り。米紙ワシントン・ポストは、論文で示した洞察力とあいまって、同氏を「テロに対するブッシュ政権の政策を立案する中心人物」と評する。関係者によると、北部同盟など反タリバン勢力の幹部と衛星電話などで頻繁に現地語で連絡を取り合い、当事者として積極関与しているという。

 カリザット氏はカブール生まれ。英語学校に通っていた際、アフガニスタン専攻の米人研究者に見いだされ、ベイルートのアメリカン大学とシカゴ大学に学んだ。1980年代から国務省、国防総省で勤務、クリントン政権で研究職に戻り、アフガン政策を含む言論活動を展開した。

 同氏は、同時テロ発生後はメディアなど外部との接触を絶っており、それがまた、アフガン政策の中枢に同氏が関与していることを物語る証左ともなっている。読売新聞からの取材や写真提供要請に対し、ホワイトハウスは「一切応じられない」とのみ返答した。(読売新聞)
ヘラートの病院被弾で最高100人が死亡=タリバンの駐パキスタン大使


 [イスラマバード 22日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバンのザイーフ駐パキスタン大使によると、アフガンの都市ヘラートに対する米国の空爆で被弾した病院では、最高100人が死亡した。
同大使が記者会見で明らかにしたもの。
同大使は、米軍がこれまでの攻撃で使用したことのない兵器を用いた、としているが、詳細については述べていない。
これより先、タリバン情報省のAbdul Hanan Himat氏はロイター通信に対して、「昨夜の空爆により、100人収容可能なヘラートの病院で50~70人が犠牲になった」と語っていた。
ヘラートは、首都カブールの西方約570キロメートルに所在する都市。(ロイター)
パレスチナ自治政府がPFLP軍事部門を非合法化

 【エルサレム22日=当間敏雄】パレスチナ自治政府は21日深夜、ゼエビ観光相暗殺事件で犯行声明を出したパレスチナ解放人民戦線(PFLP)の軍事部門を非合法化したと発表した。イスラエルが暗殺犯引き渡し要求などの「最後通告」を突き付けて以来、初めての公式対応だが、イスラエルは不十分として黙殺、ヨルダン川西岸パレスチナ自治区の主要都市の軍事封鎖を強化しており、危機打開の見通しは立たない。

 自治政府の治安当局は18日以来、アラファト自治政府議長の停戦令に違反したとしてPFLPの軍事部門活動家らの摘発を進め、これまでに約30人の身柄を拘束したが、非合法化の発表は今回が初めて。

 しかし、史上初めてパレスチナ人に閣僚を暗殺されたイスラエルは「言葉ではなく行動が必要」(ペレス外相)として強硬姿勢を崩していない。非合法化は、イスラエルの軍事攻勢をかわす戦術との疑念も強い。

 非合法化の対象も「アブ・アリ・ムスタファ旅団」となっているだけで軍事部門全体を指すか、は不明な上、暗殺作戦のゴーサインを出したとみられるサアダト議長ら政治指導部への言及がないのも不満だ。

 最後通告は、アラファト議長が、PFLPやイスラム原理主義組織ハマスなど「テロ組織」をかくまい支援していると指摘。「ビンラーディンをかくまうタリバンと同じだ」と決めつけたうえで、暗殺責任者の引き渡しや全ての「テロ組織」の非合法化に応じない場合、「自治政府をテロ支援組織と見なして必要な措置をとる」と警告した。

 イスラエルは停戦合意のたびに過激派摘発を求めてきたが、アラファト議長が野放しにしてきた結果、観光相暗殺を招いたと糾弾、「テロ掃討」を掲げる米国の対アフガニスタン軍事作戦の論理に便乗した形で、最大規模の軍事攻勢に出ている。議長が過激派抑止への断固とした措置を打ち出さない限り、危機回避は困難との観測が強い。

 ただ、イスラエルは「自治政府打倒の意図はない」(ベンエリエザー国防相)と主張、自治政府崩壊による混乱は望んでいない。ハマスなど過激派が代わって指導権を確立する恐れもあるためだ。シャロン首相は21日、ペレス外相らを米国に派遣するなど事態収拾の手掛かりを探る動きにも出ている。(読売新聞)
タリバンのオマル師、米軍に対する勝利を予測


 [イスラマバード 22日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバンの最高指導者、ムハマド・オマル師は、米国主導のアフガン攻撃に対し、勝利するとの予測を明らかにした。
アフガン・イスラム通信(AIP)が、オマル師が出した声明として伝えた。
オマル師の声明は、「わたしは、全能なるアッラーが、イスラム首長国(タリバン政府)に圧制的な米国政府に勝利させてくれることを望んでいる」としている。
AIPによると、オマル師は、カンダハルに近い場所で声明を発表した。この声明では、米軍主導の空爆や、世界各地の反米抗議中に死亡した者への哀悼も示している。(ロイター)
タリバン、カンダハル近郊でヘリコプターの破片を発見


 [イスラマバード 22日 ロイター] アフガン・イスラム通信(AIP)によると、アフガニスタンを実効支配するタリバン政権は、米国のヘリコプターの破片を発見したことを明らかにした。このヘリコプターは、南部のカンダハル近郊での週末の地上作戦に参加していたかもしれないという。
AIPによると、ぺシャワールに駐在するタリバンの領事は、「タリバンの最高指導者、オマル師の事務所から、彼らが米国のヘリコプターの焼けただれたタイヤや部品、血痕を発見したとの情報が入った」と話している、という。(ロイター)
米国軍、アフガニスタンで生物化学兵器を使用=タリバン政権


 [カブール 22日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権の情報省報道官は、米国軍を中心とする軍隊が、アフガニスタンで生物化学兵器を使用している、と表明した。
 同報道官が、ロイター通信に明らかにしたもの。
 同報道官は、「今日、ヘラートとカンダハルの医師と連絡をとったが、医師は、米国軍が攻撃に生物化学兵器を使用している証拠がある、と私に語った」と述べた。
 同報道官の発言を確認する情報は、これまでのところない。
 また同報道官によると、カンダハル北部にあるウルズガン州の州都タリンコットが前夜爆撃され、民間人18人が死亡、25~35人が負傷した。(ロイター)
特殊部隊の奇襲攻撃を継続

 【ワシントン21日=貞広貴志】米軍によるアフガニスタン軍事行動は米東部時間の21日午後(日本時間22日午前)、米同時テロの首謀者と見られるウサマ・ビンラーディンの拘束やテロ組織の壊滅を目指し、首都カブールや南部カンダハルなどへの空爆に加え、特殊部隊による奇襲攻撃が継続された模様だ。

 これに対し、アフガンを実効支配するタリバンは緊急閣議を開き、米軍の動きが鈍る冬季の到来を念頭に、住民を総動員しての徹底抗戦の方針を確認した。

 同日のAP通信によると、複数の国防総省当局者は、「特殊部隊による隠密作戦は続行している」と言明した。しかし、作戦の詳細や場所については明らかにしなかった。

 また、マイヤーズ統合参謀本部議長は同日、米ABCテレビとのインタビューで、「現在の目標は、テロ組織『アル・カーイダ』と彼らを支援するタリバンを掃滅することだ」と述べた。

 特殊部隊がテロ首謀者とされるウサマ・ビンラーディンを発見した際の対応について、「(反撃を受けて)守勢に立たされた時は、銃弾が飛ぶこともあるだろう」と述べ、ビンラーディン一派の殺害も辞さない強い姿勢を示した。

 ただ、「一派の司令機構の正確な場所はつかめていない」(マイヤーズ議長)のが現状。このため、米軍はこれまでの奇襲作戦で得た情報の解析を急いでいるほか、今後の特殊部隊の展開でも、電子偵察や上空からの精密攻撃に支援された小規模部隊による「ヒットエンドラン」奇襲をしかけるとともに、ビンラーディンの所在などに関する情報収集を重点に置く戦略と見られる。(読売新聞)
国境にアフガン難民6千人

 【チャマン(パキスタン西部)21日=源一秀】パキスタン西部のアフガニスタン国境の町チャマンで21日、米軍による軍事行動を逃れて押し寄せた約6000人のアフガン難民にパキスタンの国境警備隊などが発砲、双方に負傷者が出た模様だ。1日に押しかけた難民としては、米軍が今月7日に攻撃を開始して以来最大で、国境地帯は緊張と混乱の度を増している。

 米AP通信によると、この衝突で13歳の少年ら計3人が負傷した。また、22日付のパキスタン紙ドーンは難民5人が負傷したと伝えた。

 同町は、タリバンの本拠地アフガニスタン南部のカンダハルから近い。21日夕、チャマン検問所は米軍の空爆開始後初めて、国境を閉鎖し、病人を除いて難民の流入をシャットアウトした。この後、投石して抗議する難民と警備隊の間で小競り合いとなり、一部は鉄条網をくぐりぬけ、パキスタン領内になだれこんだ。米軍が特殊部隊を投入した奇襲地上作戦を敢行するなか、今後も難民が急増しそうだ。(読売新聞)
<アフガン情勢>露、タジキスタン、北部同盟の3首脳が共同声明

 【ドゥシャンベ(タジキスタン)福島良典】ロシアのプーチン大統領は22日、ドゥシャンベでラフモノフ・タジキスタン大統領、アフガニスタン・反タリバン連合(北部同盟)の有力指導者、ラバニ前大統領と会談した。プーチン大統領は、ロシアが北部同盟を正式な政権として承認し、軍事支援することを確認した。3首脳は、タリバン政権崩壊後の新政権づくりについて「全民族の参加」を呼びかけた共同声明に署名した。

 プーチン大統領は「北部同盟は国際的に認められた政権で、国民の自由のために戦ってきた。北部同盟を支援する立場はずっと以前から決まっている。軍事技術面などで、引き続き援助したい」と表明。ラバニ前大統領も「共闘してテロを根絶したい」と応えた。

 共同声明では、新政権への支援で「国連とすべての外国政府が関与すべきだ」としている。ただ、プーチン大統領は「タリバンを除く政権が安定している」と述べ、タリバン穏健派を取り込もうとしているパキスタンや米国に反対する立場を強調した。(毎日新聞)
タリバン緊急閣議、一般市民への武器供与決める

 【イスラマバード22日=森太】アフガニスタンを実効支配するタリバン政権は21日、カブールで緊急閣議を開き、米軍との地上戦に備え、携帯式対空ミサイルや重機関銃などの武器を一般住民にも供与し、住民総動員体制で徹底抗戦する方針を決めた。同政権のモタキ教育相がロイター通信に語った。供与可能な武器をタリバンがどの程度保有しているかは明らかになっていない。(読売新聞)
<アフガン攻撃>パキスタン国境に難民殺到 発砲で一時騒乱状態

 【イスラマバード澤田克己】パキスタン西部チャマンのアフガニスタンとの国境検問所付近に21日、パキスタン側へ逃れようとする難民約600人が殺到、制止しようとするパキスタンの警備兵に投石を始めたため、警備兵が威嚇射撃を行った。タリバン政権側の警備兵も発砲。この騒ぎで難民の少年(13)が被弾し重傷、警備兵2人も軽いけがを負った。この日チャマンを通過した難民は米英軍のアフガニスタン攻撃開始以来、最大の1日当たり約5000人となった。

 騒乱状態は約2時間続き、難民は有刺鉄線のさくをなぎ倒し、投石しながら数千人が強行突破したという。

 チャマンはタリバン政権の本拠地カンダハルに近く、空爆が激しくなるにつれて、難民の到来が急増している。パキスタン側は国境を封鎖しているため、周辺では約1万〜1万5000人が待機、検問所の審査のため数百メートルの難民の列ができている。警備の目を逃れ、周辺の山からパキスタン側に入る難民も1日1000人程度いるという。国連は国境の開放を訴えている。(毎日新聞)
<テロ対策>米統合参謀議長 軍事行動「アフガンはほんの一部」

 【ワシントン吉田弘之】マイヤーズ米統合参謀本部議長は21日、米ABCテレビとのインタビューで今回の軍事行動を「第二次大戦以来の幅広い戦いになる。アフガニスタンはそのほんの一部だ」と語った。議長は名指ししなかったが、イラクなどの「テロ支援国」も攻撃対象として視野に入れる考えを明らかにしたと言える。

 また議長は、同時多発テロでテロリストが大量破壊兵器使用へ踏み出したとの認識を示し、「テロと大量破壊兵器に対する世界規模の戦いとなる」と言明。軍事行動だけでなく金融、司法面など国力を総合した戦いが同時進行すると述べ、「数年間、場合によっては永遠に続く」と語った。

 議長はこれまでのアフガン空爆でウサマ・ビンラディン氏とその支援組織「アルカイダ」のテロ訓練キャンプのほとんどを破壊したと述べ、「近い将来、彼らがアフガンで訓練を行うことは出来なくなった」と述べた。(毎日新聞)
ビンラーディン所在32キロ四方に絞る…地上攻撃前

 【ニューヨーク21日=大屋敷英樹】米誌ニューズウィーク最新号(22日発売)は、米諜報機関が、米軍特殊部隊が対アフガニスタン奇襲地上攻撃に踏み切る数日前、米軍が最大の標的とするテロ組織指導者ウサマ・ビンラーディンの所在をアフガニスタン国内の32キロ四方まで絞りこんでいたと報じた。同情報機関の複数の首脳の話として伝えた。

 だが、この地域は洞窟やトンネルが多すぎ、ビンラーディンを追跡するのは不可能。このため、地上作戦は、空からのビンラーディン一派の攻撃をより確実にするため、正確な情報収集を目的に始められた。情報筋は「爆弾投下が今も好ましい方法だ」と述べている。(読売新聞)
<アフガン情勢>露大統領が北部同盟側と会談へ タリバン後巡り

 インタファクス通信は21日、ロシアのプーチン大統領、タジキスタンのラフモノフ大統領、反タリバン連合(北部同盟)を代表するラバニ前大統領の3者が22日夜タジクの首都ドゥシャンベで会談すると報じた。アフガンのタリバン政権後の暫定政権をめぐる協議が中心課題になり、共同声明が発表されるという。(毎日新聞)
アフガニスタンで、タリバン兵士500人が投降=北部同盟


 [ジャバルサラジ(アフガニスタン) 21日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権と対立する「北部同盟」は、同国北部の要衝マザリシャリフ近郊で、タリバンの兵士約500人が投降したことを明らかにした。
 マザリシャリフでは、米軍が2週間前にアフガニスタン全土で空爆を開始して以降、タリバンと北部同盟の激しい戦闘が続いている。
 北部同盟のアタ司令官の報道官は、ロイター通信に対し、マザリシャリフから衛星電話で、「昨夜、司令官10人を含め、約500人のタリバン兵士が、アタ司令官に投降した」と述べた。
 同報道官の話を確認する情報はない。また、投降した500人が、今後、北部同盟の兵士として戦闘に参加するかどうかも不明。 (ロイター)
プーチン大統領、タジキスタンで北部同盟指導者と会談へ


 [ドゥシャンベ 21日 ロイター] ロシアのプーチン大統領は、アフガニスタンに隣接するタジキスタンを訪問し、アフガニスタンの反タリバン勢力、北部同盟を率いるラバニ前大統領と会談する。
 タジキスタン当局者らによると、プーチン大統領はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が行われた上海からの帰途、ドゥシャンベに数時間立ち寄る。
 同大統領は、1996年にタリバンがアフガニスタンを制圧した際、政権を追われたラバニ前大統領とドゥシャンベで会談する。会談には、タジキスタンのラフモノフ大統領も出席する。
 ロシア政府は、プーチン大統領のタジキスタン訪問について肯定も否定もしていない。(ロイター)
<アフガン攻撃>穏健派切り崩せず パキスタン外相認める

 【イスラマバード春日孝之】パキスタンのサッタル外相は20日、複数の有力地元紙の編集局長と会見し、ムタワキル外相らアフガニスタン・タリバン政権穏健派勢力に対する切り崩し工作が、現段階で失敗に終わったことを初めて認めた。会見はオフレコで行われたが、関係筋が21日、毎日新聞に明らかにした。

 パキスタンは米国の支援を受け、タリバン政権崩壊後の「連合政権」樹立に向け、タリバン指導部の離反を働きかけてきた。パキスタン軍情報機関(ISI)筋はこれまでに穏健派の中核とされる同外相とザイーフ在パキスタン大使への工作が失敗したことを明かしており、外相の発言はこれを裏付けた形だ。

 タリバン指導部の結束はなお固いとみられる。(毎日新聞)
スパイ容疑でタリバン5人処刑
 アフガニスタン・タリバン政権の情報省当局者は21日、北部マザリシャリフで男性5人を「米国のためにスパイ活動をした」などの理由で「処刑した」と語った。


情報省当局者語る
 処刑されたのは「サブールとユスフという名前の司令官2人」と男性3人。容疑についてはスパイ活動のほかに「破壊活動、扇動」を挙げている。マザリシャリフはタリバン政権の北部の要衝で、反タリバン勢力「北部同盟」との内戦の最前線にあたる。

 今回処刑された5人の中に、不法入国とスパイ容疑で10日に身柄を拘束されたフランスの週刊誌「パリ・マッチ」のミシェル・ペイラール記者(44)が含まれているかどうかは不明。しかしタリバン側は同記者をスパイ罪で起訴し、特別法廷にかける方針を定めていたため安否が気づかわれている。同記者がジャララバード市内を引き回され、市民らに投石を受けたとの情報もあったが、10日以降の消息は確認されていない。

 同じくスパイ容疑で拘束されていた英国の女性記者イボンヌ・リドリーさん(43)は米軍の空爆開始翌日の今月8日に釈放され、無事に帰国している。

 タリバン政権の特別法廷では、スパイ罪の最高刑は死刑で、ほとんどが公開処刑となる。約1万人が集まったサッカー競技場で、ゴールポストに縛り付けられた受刑者が銃殺されたという例が報告された。殺人や強盗の場合は、被害者が自ら武器を取って処刑を行うこともあるという。死刑以外のむち打ち、手足の切り落としなどの刑の執行も公開される。

 公開処刑の残虐性は、人権無視と批判されることが多く、諸外国がタリバン政権を承認しない理由になっていた。
 
◆「地対空ミサイル500基保有」イラン紙報じる

 21日付のイラン紙エンテハーブによると、アフガニスタンのタリバン政権の情報機関当局者は同紙の電話取材に対し、米軍機の脅威となり得るタリバン側の携帯型地対空ミサイル、スティンガーを「500基保有している」と語った。

 同氏は「タリバン独自に200基を配備しているほか(イラン亡命中のイスラム党党首)ヘクマティアル前首相からも供与を受けた」とし「前首相配下の軍指揮官は全員タリバンと共闘している」ことも明らかにした。

 米国支持を表明したパキスタンのムシャラフ大統領については「敵であり適切な時期に必要な行動を取る」と暗殺決行などの可能性を示唆した。

 またタリバンの最高指導者オマル師については「健在で士気もおう盛だ」と強調。ウサマ・ビンラディン氏の所在については「電話のない場所にいるため直接接触していない」と述べ、山岳地帯などに身を隠していることをほのめかした。

 
◆オマル師息子の死亡を認める 

 アフガニスタン・タリバン政権の最高指導者オマル師の息子(10)が、米軍の空爆で死亡したとの情報について21日、タリバンの医療施設で働いていた医師が証言、死亡を認めた。

 証言したのは難民としてパキスタン西部のチャマンに逃れたヌルハク医師。アフガン南部カンダハルにある医療施設で働いていた。

 空爆初日の7日夜、爆撃で下半身に重傷を負った息子を、オマル師らが病院に連れてきた。自宅近くが爆撃されたためといい、同医師らが手当てをしたが死亡したという。オマル師にはけがはなく、息子の遺体を引き取り、同日中に別の場所へ向かった。

 また同医師によると19日夜、米軍の地上部隊約200人がカンダハルのオマル師の自宅に侵入を試みて、タリバン兵と銃撃戦になった。双方の死傷者の有無などは不明だ。

可能であればビンラディン氏を生きたまま確保=米統合参謀本部議長


 [ワシントン 21日 ロイター] マイヤーズ米統合参謀本部議長は、米軍のアフガニスタンにおける軍事攻撃において、可能であればウサマ・ビンラディン氏の身柄を確保するとする一方で、必要であれば「銃弾が発射される」との見解を示した。
 ABCテレビとのインタビューのなかで述べたもの。
 ビンラディン氏は、9月11日に起きた対米テロ攻撃の容疑者と目されている。        同議長は、ビンラディン氏の処遇は状況によるとする一方で、「しかし、守勢にまわらなければならない状況であれば、銃弾は発射される。しかし、身柄を確保できるようであればそうする」と述べた。

米ロ首脳会談、ABM制限条約や核兵器削減についての協議で進展


 [上海 21日 ロイター] ブッシュ米大統領とプーチン・ロシア大統領は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催されている上海で首脳会談を行い、1972年の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約についての協議を進め、また保有核兵器の大幅削減を議論した。
 両大統領が共同記者会見で明らかにしたものだが、ミサイルの削減数などには言及しなかった。
 プーチン大統領は、アフガニスタンにおける米国の軍事行為について、「計算され適切な」措置であるとの見解を示した。また、ABM制限条約についての協議で進展があった、と述べた。 (ロイター)
<アフガン攻撃>辺境相に離反工作 パキスタン・米国

 米国とパキスタン両政府が、強硬派として知られるアフガン・タリバン政権のハッカニ辺境相に対し、政権からの切り崩し工作を行っていることが20日、分かった。パキスタン軍情報機関筋が毎日新聞に明かした。米パ両政府が、タリバン穏健派に対する政権離反工作が難航する中で、一気に「本丸」への切り込みを始めた形だ。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>北部同盟の前線基地で共同行動 米軍事顧問団

 【イスラマバード澤田克己】AFP通信は21日、反タリバン連合(北部同盟)のカヌニ内相の話として、米国の軍事顧問団が、アフガニスタン北部のパンジシール渓谷やマザリシャリフ近郊など3カ所の前線地帯で北部同盟と行動を共にしていると報じた。顧問団は各6〜10人規模で、軍事情報について協力しているという。

 ただ、内相は「米国は、反タリバン側地域への地上兵力投入は準備していない」と言明。カブール侵攻は北部同盟の独自作戦として行うことを強調した。(毎日新聞)