2001
10/21
10/21 <米露首脳会談>ABM制限条約改廃に前向き姿勢 露大統領

 【上海・布施広】ブッシュ米大統領は21日、APEC閉幕後、上海市内でプーチン・ロシア大統領と会談した。アフガニスタン情勢とミサイル防衛構想が焦点となり、プーチン大統領はアフガン攻撃への理解を表明、ミサイル防衛構想に道を開く弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約改廃にも前向きな姿勢を示した。戦略核弾頭の大幅削減問題でも前進があった模様で、来月の首脳会談で包括合意が達成される可能性も出てきた。

 両首脳の直接会談は米同時多発テロ事件後は初めて。

 会談後の共同会見で、プーチン大統領はABM制限条約問題について「前進があった」と語るともに、「将来の脅威も考慮しなければならない」と述べ、改廃に含みを残した。

 またブッシュ大統領は「我々(米国)が戦略核弾頭の削減を検討していることをプーチン大統領に伝えた。ABM制限条約は冷戦時代にできたもので、時代遅れだ」と同条約改廃の必要性を改めて語った。

 米側はミサイル防衛配備に向け、今秋までに条約改廃への道を開きたいところで、プーチン大統領が来月訪米して行う首脳会談が一つの分かれ道になる。

 しかし、米側が離脱を表明した場合、アフガン情勢に関してロシアや中国の協力を得るのは困難になるため、ブッシュ政権は苦しい判断を迫られる。

 ブッシュ大統領は「プーチン大統領とテロの脅威に対する認識を共有した」とロシアの支持を評価したが、プーチン大統領は、ブッシュ大統領が計画するアフガンへの「数年」規模の軍事行動には難色を示したものとみられる。

 またタリバン政権崩壊後のアフガンの政治体制について、両首脳は新体制について突っ込んだ意見交換を行った模様だ。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>オマル師の息子が死亡 医師が証言 BBC報道

 【ロンドン笠原敏彦】英BBC放送は21日、タリバンの最高指導者、オマル師の10歳の息子が米国などのアフガン攻撃で死亡したと報じた。

 死亡した息子を実際に治療した医師の証言によるもので、最初にカンダハルへの攻撃が実施された7日夜、オマル師の息子は爆撃を受け、腹部に重傷を負った。医師が在籍する病院で手当てを受けたが、回復しなかったという。

 医師は現在、カンダハルを離れ、パキスタンに向け避難しているという。(毎日新聞)
米が地上作戦敢行を発表、ビデオ映像を公開

 【ワシントン21日=永田和男】マイヤーズ米統合参謀本部議長は20日、国防総省で記者会見し、アフガニスタン南部で20日未明(現地時間)、陸軍レンジャー部隊を含む特殊部隊が地上作戦を行ったことを公式に認めるとともに、作戦の模様を撮影したビデオ映像を公開した。

 議長によると、特殊部隊は落下傘で降下し、アフガンの実効支配勢力タリバンの指令施設や空港などを急襲。米同時テロ首謀者とされるウサマ・ビンラーディンの組織アル・カーイダ幹部の居場所などに関する情報の収集活動を行った。

 議長は「目標は達成された」と成果を強調した。投入部隊の規模など作戦の詳細への言及は避けた。

 国防総省筋によれば、特殊部隊は20日以降もアフガンの一部地域で秘密裏に地上作戦を行っている。(読売新聞)
<アフガン攻撃>ヘリも使い、低空から首都を爆撃 米軍

 【イスラマバード澤田克己】米軍は20日夜から21日にかけて、アフガニスタンの首都カブールへの空爆を続行した。AFP通信によると、7日の空爆開始後初めて攻撃用ヘリコプターを使用したほか、低空からの爆撃を実施した。米軍は一連の空爆でタリバンの防空能力を完全に奪ったと判断し、低空からの攻撃に踏み切ったと見られる。

 タリバン政権当局者は、空爆で民間人18人が死亡したと述べた。同当局者はさらに、西部ヘラートでは19日以降、50〜60人の民間人が犠牲になったと語った。

 一方、タリバンのモタキ教育相はロイター通信に対し、19日深夜から20日未明にかけての米特殊部隊との戦闘で「20〜25人の米兵が死亡したと確信している」と言明。同通信はさらに、タリバン当局者の話として、アフガン北部の戦略拠点マザリシャリフで、アフガン人5人が米国のためにスパイ行為をしたとして処刑されたと伝えた。(毎日新聞)
「お金、物資の援助も大切」 UNHCR千田さん講演

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 上下伊那の住民有志でつくる「へいわを求める市民連絡会・伊那谷」は二十日、米中枢同時テロ直後までアフガニスタンの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)にいた同事務所職員千田悦子さん(38)を招き、伊那市民会館で現地の話を聞く集会を開いた。

 約八十人が参加。千田さんは、アフガン国内で難民化する人が五百万―五百五十万人、国外に出る人が二百万人と予想されているとし、「国境まで来る人は、体力があったり、お金がある人。国内で行き場がなくなって、待機している人たちが心配」と話した。

 テロ事件の前から干ばつによる餓死も懸念されており「お金、物資の援助も大切だと思う。長い間住めるテントなど、技術開発でも日本にできることがある」と指摘。米英の攻撃開始後にUNHCRがアフガン初期支援に必要としている資金五千万ドルのうち、まだ千二百万ドルしか集まっていないと語り、寄付への協力も求めた。

 UNHCRへの寄付は郵便振替で「口座番号00140―6―569575 HCR協会アフガン難民」へ。

 千田さんは同夜、下伊那郡高森町でも講演。二十一日午前九時から松本市勤労者福祉センターで開く集会でも話す。

APEC首脳会議、反テロ声明を採択へ


 [上海 21日 ロイター] 現在開催中のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、あらゆる形のテロ行為に反対し、協力体制の強化によって容疑者らの身柄拘束を図るとの声明を発表する。
 ロイター通信が入手した反テロ声明案で明らかになった。
 APECに加盟する21の国・地域の指導者らは、協議終了後に同声明を発表する予定。文面の一部は今後修正される可能性もある。
 声明案は、当初案より踏み込んだ内容となっているが、米英軍によるアフガニスタンでの軍事行動や、米同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏には言及していない。(ロイター)
米特殊部隊、アルカイダ幹部らの身柄は確保していない


 [ワシントン 20日 ロイター] アフガニスタンで地上戦を展開している米特殊部隊だが、米同時多発テロ事件の首謀者とされるオサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」と、タリバン政権幹部の身柄確保には至っていない。
 マイヤーズ統合参謀本部議長によると、地上戦は“テロリスト”とタリバン政権支配地域を標的としており、タリバンの最高指導者オマル師が生活している場所も含まれている。
 また、特殊部隊はタリバンの拠点カンダハル近くの司令部と、アフガン南部の軍用飛行場にも攻撃を加えたことを明らかにした。
 一方で、パキスタン国境地帯で米軍ヘリが墜落したのは事故とし、ヘリを撃墜したというタリバンの主張を否定した。(ロイター)


カブールに米特殊部隊か、米軍飛来情報

 【イスラマバード20日=森太】アフガニスタンの首都カブールで20日夜、米軍のヘリコプターと見られる航空機に対し、同国の実効支配勢力タリバンが対空砲を発射した。AFP通信の特派員が目撃した。

 同日午後8時(日本時間21日午前零時半)過ぎ、上空を低速で飛行する航空機の音が聞こえ、タリバンは即座に対空砲火を開始したという。また、ロイター通信は、目撃者の情報として、ヘリコプターかプロペラ機と見られる航空機1機が2度、カブール市内上空を旋回し、タリバン側の戦車が同市内を移動していると報じた。米特殊部隊が20日未明に続いて地上戦を再開した可能性もある。

 ◆空爆も続行◆

 【ワシントン20日=長谷川由紀】米CNNテレビによると、アフガニスタン南部のカンダハル周辺で20日夜も米軍爆撃機などによる激しい空爆が断続的に続いている。米国防総省高官によると、空爆には海軍戦闘機数十機のほか空軍爆撃機も参加している。

 同省高官がAP通信に語ったところでは、20日未明にカンダハルで行われた地上接近戦と並行して、国内の別の場所でも特殊部隊が作戦行動を展開した。

 カンダハル付近の地上戦は米陸軍レンジャー部隊などの特殊部隊が近郊の空港やタリバン軍の兵舎などを攻撃したと見られ、その後、ヘリコプターで撤収した。国防総省高官はヘリはすべて帰還したとしている。(読売新聞)
アフガン復興に積極的役割を
21日放送のNHK番組・日曜討論で、安倍官房副長官は、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンの復興に積極的な役割を果たしたいという考えを示し、復興会議を日本で開くためにもテロ撲滅行動に貢献する必要があると述べました。

<アフガン攻撃>タリバン兵20人死亡か 米特殊部隊奇襲で

 21日付の英日曜紙オブザーバーは、軍事筋の情報として、アフガン南部カンダハル近郊ババサヒブ村などでの米軍特殊部隊との戦闘でタリバン政権軍兵士約20人が死亡、と報じた。落下傘で降下した特殊部隊員が奇襲、タリバンの司令部を破壊した。同村にはオマル師が最近建てた家があるが、オマル師の姿はなかったという。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>特殊部隊2隊員、負傷 米が投入認める

 米軍特殊部隊がアフガニスタンに潜入、タリバン軍施設に対して行った奇襲攻撃について、マイヤーズ米統合参謀本部議長は20日、国防総省で会見し、米陸軍特殊部隊「レンジャー」などがタリバン軍指揮施設などに攻撃を加えたことを認めた。特殊部隊がパラシュートで降下した際、隊員2人が負傷したという。(毎日新聞)
<米・パキスタン政府>タリバン辺境相に離反工作 ISI筋情報

 【イスラマバード春日孝之】米国とパキスタン両政府が、アフガニスタン・タリバン政権のハッカニ辺境相に対し、政権からの切り崩し工作を行っていることが20日、分かった。パキスタン軍情報機関(ISI)筋が毎日新聞に明かした。

 同辺境相は強硬派として知られる。ホスト州などウサマ・ビンラディン氏が潜伏している可能性が高いアフガン南東部3州の統括司令官で、同氏の安全確保を任された最高責任者でもある。

 米国とパキスタン両政府は、タリバン穏健派に対する政権離反工作が難航する中で、一気に「本丸」への切り込みを始めた形だ。

 ハッカニ辺境相は、ソ連侵攻で始まったアフガン戦争(79〜89年)時代、米中央情報局(CIA)とISIの支援を得てゲリラ戦を戦った。このため、両情報機関は当時のパイプを利用して辺境相に接近、最近パキスタン入りした同相への働きかけを始めた。

 しかし、ISI筋は「辺境相は今のところ離反を拒否している。タリバン指導部の結束は固い」と明かした。(毎日新聞)
イスラエル軍侵攻、パレスチナ側死者16人に

 【エルサレム20日=当間敏雄】イスラエル軍は20日未明、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区トゥルカレムとカルキリヤに戦車などで侵攻、複数の拠点を占拠し、両都市を封鎖した。侵攻時の交戦などでパレスチナ人4人が死亡した。イスラエルは17日のゼエビ観光相暗殺事件後、パレスチナ自治政府に犯人引き渡しなどを求める最後通告を突きつけて西岸の主要都市に次々と侵攻している。

 パレスチナ人の死者は18日以来、16人に上っており、再燃した武力衝突はさらに激化する様相。アラブ・イスラム諸国の反発は必至で米国の対アフガニスタン軍事行動への深刻な障害となる懸念も出てきた。

 イスラエル軍は戦車や装甲車など約40両でトゥルカレムに侵攻、小銃などで反撃したパレスチナ警官ら2人が射殺された。カルキリヤでもイスラム原理主義組織ハマスの活動家が自宅前で撃たれるなど2人が射殺された。軍は同時に両都市でアラファト自治政府議長の親衛隊「フォース17」のメンバーら4人の身柄を拘束した。

 両都市への侵攻でイスラエル軍はラマッラ、ベツレヘムなどを含め西岸地域の主要都市の大半を抑えて、周辺部での駐留を続けている。駐留地域はすべて自治政府が治安権も握る「完全自治区」で、パレスチナ側は「再占領だ」として激しく反発している。

 イスラエルのシャロン首相は21日に閣議を開いて今後の具体的対応を詰める方針。最後通告は暗殺犯や過激派の摘発に応じなかった場合、「自治政府をテロ支援組織と見なして必要な措置を取る」としている。

 パレスチナ治安当局は20日までに、観光相暗殺事件で犯行声明を出したパレスチナ解放人民戦線(PFLP)活動家20人以上を逮捕した。実行犯が含まれているかは不明。自治政府は最後通告を拒否するとして、責任者の身柄引き渡しには応じていない。(読売新聞)
<アフガン攻撃>空爆続く タリバン、北部同盟に共闘呼びかけ

 【イスラマバード小松健一】地上での軍事作戦を開始した米軍は20日未明から、断続的にアフガニスタン空爆を続行した。タリバン政権の軍情報当局者はAFP通信に対して、タリバンの本拠地カンダハル、首都カブール、西部ヘラートなどが爆撃され、少なくとも29人の民間人が死亡した、と語った。

 また、反タリバン連合(北部同盟)が攻勢をかけている北部のサマンガン州では、米軍機がタリバン軍部隊などの前線基地を爆撃した模様だ。米軍の空爆が、地上戦の展開をにらみながら北部同盟の支援に移行しつつあるとの観測も流れている。

 タリバン政権のスポークスマンを務めるモタキ教育相はロイター通信に対して、「北部同盟とタリバンが和解して米国と戦う共同戦線を築く時が来た」と語り、北部同盟に共闘を呼びかけていることを明らかにした。(毎日新聞)