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2001 10/20 |
10/20 | 中ロ首脳、アフガニスタン問題で早期の政治的解決を求める [上海 20日 ロイター] ロシアのプーチン大統領と中国の江沢民・国家主席が当地で会談し、米国主導の対アフガニスタン軍事行動が早期に終結し、政治的解決の段階に入ることを望む、との見解で一致した。 ロシアのグロモフ大統領報道官が記者団に明らかにした。 両首脳はまた、”国連の支援を得て、和平に協力する用意のある民族グループによって”アフガニスタンに政権が樹立されることを求める、という点でも一致した。(ロイター) |
タリバン、米軍ヘリを撃墜したと主張 [イスラマバード 20日 ロイター] タリバン政権の駐パキスタン外交官は、米軍がアフガニスタン南部を急襲した際、タリバン側が米軍のヘリコプター1機を撃墜したと述べた。 この外交官はロイター通信に対し、「タリバン軍はカンダハルから対空砲火を行い、米軍のヘリコプター1機を撃墜した」とし、「犠牲者は2人だけではなかった可能性もある」と述べた。 タリバン政権のムタキ教育相は先に、米軍ヘリが軍事作戦支援中にパキスタンで墜落したとの報道について、「タリバンが撃墜した可能性も排除できない」と発言していた。 |
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タリバン軍、米特殊部隊を撃退=タリバン教育相 [カブール 20日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権のムタキ教育相は、タリバン軍が、同国南部の拠点カンダハル西方を急襲した米特殊部隊を撃退した、と述べた。 同教育相は、「深夜0時頃、特殊部隊を乗せた米軍のヘリコプター数機がカンダハル西部のババサヒブ山中に着陸した」とし、「タリバン軍が直ちに急行して攻撃を行い、(米軍部隊は)逃げ帰った」と述べた。 同相はまた、タリバン側に死傷者は出ていないとし、空爆と同様、米特殊部隊による攻撃もタリバンに撃退された、と述べた。 (ロイター) |
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<アフガン攻撃>米特殊部隊と戦闘 タリバン政権が公式に確認 アフガニスタン・タリバン政権のモタキ教育相は20日、同国南部のカンダハル近郊でタリバン軍と米特殊部隊が戦闘を行ったことを公式に確認した。米CBSテレビなどは特殊部隊が軍用飛行場を攻撃したと報じたが、モタキ教育相は「タリバン軍は特殊部隊の撃退に成功した。タリバン側には死傷者はいない」と語った。(毎日新聞) |
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<米大統領>マレーシア首相ら5首脳と会談、支持求める 【上海・布施広】アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席中のブッシュ米大統領は20日、小泉純一郎首相を始めマハティール・マレーシア首相、ボルキア・ブルネイ国王ら5首脳と会談し、米国の「テロとの戦い」への支持を求めた。 マハティール首相は会談で、米軍のアフガニスタン攻撃で民間人の死者が出ていることに懸念を表明、ブッシュ大統領も「私も同じだ」と答え、標的選定と攻撃に細心の注意を払っていると説明した。 米高官によると、両首脳は「イスラム教徒と米国人が、いかにして自由や宗教、家族をめぐる価値観を共有するか」を話し合い、同首相は中東の紛争解決こそ長期的なテロ対策になり得ると主張した。 アフガン空爆に関して、イスラム諸国の首脳から強い批判が出ることも予想されたが、同首相は空爆停止などは求めず、米国へのテロ関連の情報提供に応じるなど協力的な態度を見せているという。 また大統領は経済関係者の会合で演説し、米国で起きた同時多発テロを「人道に対する犯罪」と位置付ける一方、テロとの戦いを少数民族迫害の口実にしてはならないと述べ、中国を暗にけん制した。大統領は19日の米中首脳会談後の共同会見でも、同じ趣旨の発言をしている。 大統領は「少数派民族は自分たちの権利が守られることを知るべきだ。教会や寺院、モスクは彼らのものだ」と語り、宗教弾圧が指摘される中国への批判をにじませた。(毎日新聞) |
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<アフガン攻撃>地上戦展開への言及避ける ブッシュ政権 【ワシントン佐藤千矢子】米軍特殊部隊がアフガニスタン南部のタリバン支配地域で地上戦を開始したことが明らかになった19日、ブッシュ政権は地上戦を展開中かどうかについての言及を公式には一切、避けた。空爆と違い、地上作戦の情報公開は、米兵の安全を脅かす危険性が高いというのが理由で、当面「だんまり」作戦が続きそうだ。 ラムズフェルド国防長官はこの日、ミズーリ州にあるB2爆撃機の空軍基地を訪問、記者団に地上作戦について聞かれ、「地上部隊はいつでも危険な状態にある」とだけ述べ、展開の有無については触れなかった。 また、スタフルビーム統合参謀本部作戦副部長も国防総省での会見冒頭、「地上部隊については作戦の詳細は一切、話さない。理由は明快だ。もし部隊が展開しているとしたら、彼らは最も攻撃を受けやすい立場にいるからだ」と断り、記者団から「国防総省高官の話に基づいた報道を否定するのか」と聞かれても「肯定も否定もしない」と突っぱねた。(毎日新聞) |
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<EU>米の軍事行動を支持 テロ対策宣言を採択 特別首脳会議 【へント(ベルギー北西部)森忠彦】欧州連合(EU)は19日、へントで特別首脳会議を開き、アフガニスタンへの軍事行動を支持し、タリバン政権崩壊後に国連主導の新政権を樹立することなどを盛り込んだテロ対策宣言を採択した。 宣言は、米国が続けている攻撃を改めて支持するとともに米同時多発テロの首謀者、ウサマ・ビンラディン氏とテロ組織「アルカイダ」を擁護するタリバン政権を非難した。 また同政権に代って「国連主導によるアフガン国民のための安定した合法政権」の早期樹立を求めた。国連と連携し、人道や復興のための支援で協力してゆくことを申し合わせた。 また米国などで広がる炭疸(たんそ)菌事件を重視、欧州の行政当局が警戒強化を図るとともに、欧州委員会に生物・化学兵器から市民を守るための対策プログラムの作成を求めた。 空爆参加後、初の首脳会議を終えたブレア英首相は「一連の攻撃に関して改めてEU全体の賛同を得ることができた」と評価。一方、議長のフェルホフスタット・ベルギー首相は空爆による市民への被害などにも考慮し、「攻撃、復興はアフガン市民の人権が最大限に尊重されるべき」と語った。(毎日新聞) |
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<日米首脳会談>米軍支援の具体策など協議 【上海・人羅格】小泉純一郎首相は20日、中国・上海市内のホテルで米国のブッシュ大統領と会談した。アフガニスタンへの米軍事行動を踏まえ、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンの和平・復興問題について協議し、首相は日本での復興会議開催も念頭に、積極的に関与する用意があることを表明する。首相はさらに、テロ対策支援法案の月内成立が確実になったことを受け、米軍支援に向けた態勢作りを進める考えを伝える。 会談の冒頭で大統領は「テロと戦う友人として心強い。日本は強いリーダーを持っている。もし首相がまた日本に招待してくださるなら行きたい」と述べ、首相は「テロに対して一緒に戦いましょう」と応じた。 首相が大統領と会談するのは、同時多発テロを受け緊急訪米した先月25日以来。首相は米軍によるアフガニスタンでの軍事行動に対する強い支持を直接伝え、自衛隊が米軍を支援するためのテロ対策支援法案が衆院を通過したことや、成立後の支援内容などについても説明する予定だ。 また両首脳は、アフガニスタンの和平・復興問題についても意見交換をする。ブッシュ政権は「タリバン後」の受け皿としてタリバン穏健派も加えた幅広い枠組みによる、国連主導の暫定統治を視野に置いているが、国連のブラヒミ事務総長特別代表は国連が前面に出ることに慎重姿勢も示している。日本は96年からアフガン和平・復興会議の日本開催を提唱しており、調整役として日本が果たす役割も議論されるとみられる。首相は新政権は「各民族が参加した広範で安定的な形が望ましい」との考えを伝え、特に復興への積極関与の意思を明らかにする考えだ。 さらに両首脳はテロ事件に伴い悪化している国際経済情勢についても意見交換する。大統領は日本経済が世界経済に占める重要性を強調し、不良債権処理への一層の努力を促すとみられる。首相は恐慌回避に向けた柔軟な政策対応を示すと同時に、構造改革路線を堅持する方針を改めて強調する見通しだ。(毎日新聞) |
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<日米首脳会談>米大統領 アフガン復興「日本の役割は大きい」 小泉首相は20日、上海市内で米国のブッシュ大統領と約40分会談した。両首脳は、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンの和平・復興問題について協議、大統領が「政治的安定、経済的復興について日本の役割は大きい」と述べ、これに対し首相は「いろいろ協力したい」と応じ、今後緊密に連携していくことで一致した。(毎日新聞) |
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ブッシュ米大統領「米兵2人の死は無駄にはならない」 [上海 20日 ロイター] ブッシュ米大統領は、アフガニスタンに対する軍事行動に関連してパキスタンで米軍ヘリコプターが墜落、兵士2人が死亡したことについて、2人の死は無駄にはならないと述べた。 上海で行われた小泉純一郎首相との首脳会談の最中に、記者団に述べたもの。 ブッシュ米大統領はまた、テロリズムとの戦いが長期に及び、”犠牲者が出る”可能性があるることを国民は理解していると思う、と述べた。(ロイター) |
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米軍、タリバンと地上交戦 【ワシントン19日=坂元隆】米主要メディアによると、アフガニスタンでテロ掃討を続ける米軍は米東部時間19日夕(日本時間20日朝)、陸軍レンジャー部隊などからなる特殊部隊をアフガン南部に投入、タリバン政権及びウサマ・ビンラーディン一派と初めて地上での接近戦を行った。 米軍はこれまで空爆主体の攻撃で制空権を掌握し、タリバン政権の弱体化を図ってきたが、今回の奇襲攻撃を第1波に、特殊部隊中心の限定的な地上戦で政権要人とビンラーディン一派幹部の排除を一気に目指すものとみられる。 AP通信などによると、アラビア海上の空母「キティホーク」からヘリコプターなどで出動した100人余りの米軍特殊部隊は、タリバンの拠点カンダハルなどのあるアフガン南部に降下。タリバンやビンラーディン一派の個別目標を数時間にわたって攻撃した。米CBSテレビによると、レンジャー部隊は落下傘で降下し、カンダハル郊外の空港を攻撃したという。戦闘員は上空に待機したヘリコプターなどでアフガン国外の基地に帰還した。戦闘で米兵に死傷者が出たとの情報もある。 米政府高官はCNNテレビに対し、地上戦の開始を今回の軍事行動の中で「重大な新段階」と位置付ける一方、「作戦は少数の兵士により限られた期間行われる」と述べ、湾岸戦争のような大規模な地上戦ではなく、あくまで特殊部隊中心の限定的な戦闘を想定していることを示唆した。 20日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、複数の米政府当局者の話として、米特殊部隊は別の攻撃目標に対する秘密作戦も行っていると伝えた。 米政府は戦闘員の安全を確保するため、地上戦の開始を公式には確認していないが、ラムズフェルド国防長官は19日、記者団に、「(米)軍の役割は、タリバンと(ビンラーディン率いるテロ組織)アル・カーイダが排除されたとき終了する」と述べ、軍事行動の終了時期を初めて具体的に示した。米政府高官は繰り返し「空爆では軍事行動の目的が達成できない」と述べており、特殊部隊による接近戦は今後も継続される見通しだ。 アフガン南部には、米軍特殊部隊がすでに潜入して情報工作などを進めており、タリバン要人などの具体的な攻撃目標の位置を特定しているものとみられる。また、アフガン北部では、米軍爆撃機や巡航ミサイルがカブール周辺のタリバン陣地の前線などを中心に連日激しい空爆を続ける中、反タリバン勢力の「北部同盟」が米軍特殊部隊の協力のもと進軍を続け、タリバンの南北からの挟撃を目指している。(読売新聞) |
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<日米首脳会談>米軍支援の具体策など協議 小泉首相は20日、上海でブッシュ米大統領と会談した。タリバン政権崩壊後のアフガニスタンの和平・復興問題について協議し、首相は日本での復興会議開催も念頭に、積極的に関与する用意があることを表明する。さらに、テロ対策支援法案成立が確実になったことを受け、米軍支援に向けた態勢作りを進める考えを伝える。(毎日新聞) |
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米軍特殊部隊、1回目の地上作戦を完了 [ワシントン 19日 ロイター] アフガニスタンに侵入した米軍特殊部隊が1回目の地上作戦を完了し、同国を既に離れたことが明らかになった。 米政府関係者が匿名を条件に語った。 米陸軍レンジャー部隊を含む特殊部隊は、夜間にアフガニスタンに侵入し、数時間にわたって作戦を実行した。 現在は既にアフガン領空から退去したという。 作戦の内容や犠牲者の有無は明らかにされていないが、関係者は100人を上回る米兵が作戦に関与していると述べた。 米国防総省は20日、この作戦に関する記者会見を行う予定。 (ロイター) |
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<アフガン攻撃>地上戦開始 米特殊部隊が軍事施設急襲 米国防総省高官は19日、アフガニスタンに潜入中の米特殊部隊が現地時間の同日夜から20日朝にかけ、同国南部でタリバン軍事施設を急襲、地上での戦闘を開始したことを明らかにした。米CNNテレビは、部隊がタリバン軍と交戦したのか、死傷者がいたのかなど詳細は不明だとしている。(毎日新聞) |
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<アフガン攻撃>北部同盟に武器や現金を供与 米国防長官 ラムズフェルド米国防長官は19日、アフガンの北部同盟に対し、武器や現金を供与する方針を明らかにした。米軍は北部同盟が首都カブールを制圧した場合、「タリバン後」の政権作りに強い影響力を持つことになるため、直接手を貸すことに慎重な姿勢を取ってきた。今回の武器供与で、反タリバンの攻勢が強まるとみられる。(毎日新聞) |
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<アフガン攻撃>米特殊部隊が軍用飛行場を攻撃 【ワシントン吉田弘之】米CBSテレビは19日、米国防総省高官の話としてアフガニスタンに潜入中の米特殊部隊が同国南部のタリバン政権の軍用飛行場を攻撃したと報じた。部隊はこれまで偵察、情報工作のために潜入していたとされ、攻撃が確認されたのは初めて。特殊部隊による対テロ秘密作戦は新局面を迎えている。 CBSによると、飛行場を攻撃したのは100〜200人で構成された陸軍特殊部隊「レンジャー」と見られ、軍用飛行場を攻撃中という。タリバン軍との間で交戦があったかどうかは不明。 AP通信によると、攻撃が行われたのは現地時間の19日夜から20日早朝にかけて。特殊部隊は数時間にわたって戦闘を繰り広げた後、無事、アフガン空域を出て出撃した基地に戻ったという。 米政府当局者は特殊部隊の地上作戦について、「重大局面に入った」と語った。 アフガン南部ではこの他、別の特殊部隊が米中央情報局(CIA)によるタリバン政権の分断工作を支援。また北部では「グリーンベレー」が反タリバン連合(北部同盟)と接触し、タリバン地上軍に対する空爆の標的情報などを得ているという。(毎日新聞) |
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<アフガン攻撃>パキスタンで米ヘリ墜落 2人死亡 19日の米CNNテレビによると、パキスタンで米軍ヘリコプターが墜落、2人が死亡した。アフガニスタン攻撃とは直接関係がない活動中の事故という。(ワシントン共同)(毎日新聞) |
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<EU>米の軍事行動を支持 テロ対策宣言を採択 特別首脳会議 EUは19日、特別首脳会議を開き、アフガニスタンへの軍事行動を支持し、タリバン政権崩壊後に国連主導の新政権を樹立することなどを盛り込んだテロ対策宣言を採択した。宣言は、米の攻撃を改めて支持するとともに同時テロの首謀者、ウサマ・ビンラディン氏とテロ組織「アルカイダ」を擁護するタリバン政権を非難した。(毎日新聞) |
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アフガン北部同盟、タリバンの休戦案を却下した=同盟内グループ幹部 [ペシャワル(パキスタン) 19日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバンは、前線を越えて使節を派遣し、対抗勢力である北部同盟に休戦を申し入れたが、北部同盟側はこれを拒否した。 北部同盟内のHezb-I-Wahdat Shiaグループの指導者であるKharim Khalili氏が衛星電話を通じてロイター通信に明らかにした。 同氏は、「数人の使節団が最近、カブール近郊の前線に近い地域で北部同盟の幹部と会った。(タリバン側の)提案は、我が方と休戦し、(米国が主導する)攻撃に共同で戦うことだった」と述べた。 さらに同氏は、「この提案は拒否された」と述べた。(ロイター) |
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米国防総省高官、特殊部隊のアフガン潜行を確認 [ワシントン 19日 ロイター] 米国防総省の複数の高官は、アフガニスタン国内に特殊部隊を潜行させたことを確認した。 こうした特殊部隊の1ユニットは通常、12人あるいはそれ以下の兵士で構成されており、今回の特殊部隊の派遣で、アフガニスタンに対する攻撃があらたな局面を迎えた可能性がある。(ロイター) |
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国連事務総長特使と米国務副長官がアフガニスタン情勢について協議 [ワシントン 19日 ロイター] ブラヒミ国連事務総長特使とアーミテージ米国務副長官は、タリバン政権崩壊後のアフガニスタン政府をどのようにまとめるかについて、協議を開始した。 国連と米国政府は、広範な基盤を持つ政府が望ましいとの見解で一致しているが、国連平和維持活動の役割などについて意見を異にしているという。(ロイター) |
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<アフガン攻撃>地上作戦展開 賭けに出た米政権 アフガニスタン南部のタリバン政権支配地域に米軍が特殊部隊を投入したことが明らかになり、焦点は空爆から地上作戦に移行した。ウサマ・ビンラディン氏とその組織「アルカイダ」のメンバーを追いつめるだけでなく、タリバン政権の打倒をも視野に入れている。しかし、戦闘で米兵に死者が出ることも十分に予想され、地上作戦はブッシュ政権にとって大きなかけだ。今後の作戦の狙いと、想定される軍事行動の内容を分析する。 米国防総省はこれまでの空爆作戦では写真やビデオ映像を公開したが、米兵の危険が大きい地上作戦では情報を隠す方針だ。どこで何が起きているのかわからない「見えない戦争」が続く。米兵の戦死者が増えれば、今は戦争支持の米世論が変化する可能性もある。 18日の会見でラムズフェルド国防長官は、「空からだけでは十分な損害を与えられない。隠密作戦も含めたあらゆる能力を動員しなければならない」と、特殊部隊投入の必要性を認めていた。 さらに「圧力をかけ、敵が動くしかないように仕向ける。かくまっていた人々が離反したり、本人が危険と感じれば、動き出す。そうなればわれわれが見つける」と今後の作戦の筋道を述べた。 ビンラディン氏らは山岳部の洞穴などに隠れて所在が特定しにくいとみられる。このため米軍はビンラディン氏を支えるタリバン政権を先に排除しようとしている。「タリバンに対抗する武装勢力への支援」(ニューヨーク・タイムズ紙)が特殊部隊の狙いと伝えられるのもこのためだ。「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」戦略である。 また、特殊部隊がタリバン軍の配置や武器の情報を集めれば、より正確な空爆も可能になる。湾岸戦争ではイラクの移動式地対空ミサイルの位置を探るため特殊部隊が投入された。 しかし現状では、アフガン領内に米軍の前線基地がなく、特殊部隊への弾薬・物資補給はかなり困難だ。滞在は短期間にとどめ、潜入と撤収を繰り返す可能性もある。湾岸戦争型の本格的な地上軍の進撃は想定していない。「隠密作戦」が成果をあげるには時間がかかりそうだ。 【ワシントン中井良則】 米メディアによると、特殊部隊が投入されたのはタリバン政権の本拠地カンダハル付近。当面の目的は米中央情報局(CIA)によるタリバン政権切り崩し工作の支援とされており、この工作も特殊部隊の活動も「敵ののど元」を突く形で進むことになる。 また、出撃基地になったのは、アフガン南方にあたるパキスタンのジャコババードなど2空港だった可能性があると、ニューヨーク・タイムズ紙は伝えた。 パキスタン政府は、自国内の空港が攻撃基地に使われることはないと強調してきた。しかし、アラビア海に展開中の空母キティホークからアフガンまで、特殊部隊が使うヘリで飛ぶには途中で給油が必要だ。また、米軍の展開が伝えられるウズベキスタンからアフガン南部に飛ぶには、数千メートル級の山岳地帯を越えなければならない。カンダハルに近く、目立たないパキスタンの基地をひそかに使った可能性はある。 米国防総省高官は今後の作戦について「誰も知らない驚くような武器を使う」とワシントンポスト紙に語っている。一つの「候補」は、「RQ1プレデター」だ。低空を飛ぶ無人偵察機として知られるが、一連のアフガン空爆の中で、実戦では初めて対戦車ミサイルを発射したことを18日、国防当局者が認めた。空爆初日の7日、タリバン政権の最高指導者オマル師の居住施設を狙った可能性が高いとされる。 米軍はこうした武器を駆使して、ビンラディン氏ら「アルカイダ」メンバーやタリバン幹部を追い詰めるとみられる。 米軍は先週、イスラム教の休日の金曜日には空爆を一時休止したが、19日は爆撃を続けた。作戦を急いでいるようだ。 11月中旬になるとアフガンの山岳地帯は深い雪に覆われる。特殊部隊の動きを鈍らせるだけでなく、偵察衛星による画像解析度も落ち、正確な情報が得られなくなる恐れがある。その意味でも、今の時点での特殊部隊投入はギリギリの選択だったと言える。 【ワシントン吉田弘之】 軍事評論家、岡部いさく氏の話 特殊部隊投入の情報は既に流れていた。米当局がやっと認めた背景には、空爆が2週間近く続き「何をやっているのか」という国内の不満をぬぐう意図もある。 4〜5人ずつで行動する特殊部隊は、タリバン軍の兵士を捕らえるなどしてビンラディン氏の行方の手掛かりを得るのが最大の任務だ。情報収集方法がきめ細かくなり、作戦は新たな段階に入ったといえる。同氏の所在を突き止めた段階で空てい部隊などを大量投入し、作戦は山場を迎える。 投入は南部だけでないとみるのが自然だ。ここ数日は、戦闘・攻撃機で細かい目標をピンポイント爆撃している。情報収集が進んでいる証拠だ。 雪山で足を取られるのはむしろタリバン軍だ。米軍は圧倒的な機動力を誇り、冬でも優位は変わらない。(毎日新聞) |
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<アフガン攻撃>米特殊部隊、カンダハルに展開 タリバンを偵察 【イスラマバード安達一成】パキスタン駐在の国連担当官は19日、米軍特殊部隊がアフガニスタン・タリバン政権の本拠地があるカンダハル南郊で少なくとも16日に展開を完了していたと毎日新聞に明らかにした。特殊部隊の人数は不明だが、既にカンダハル周辺を拠点に情報収集作業などを行っている模様だ。 担当官は、7日の空爆開始後、パキスタン政府・軍と国境周辺での治安対策協議を続けており、パキスタン軍筋から特殊部隊展開の情報を得たことを示唆した。 カンダハルにはタリバン政権の中枢機能があり、最高指導者オマル師や、ウサマ・ビンラディン氏と同氏のテロ組織「アルカイダ」幹部の動向を知る手がかりとなる情報が得やすい。特にタリバン軍幹部らがカンダハルからパキスタン国境に避難しているとの情報もあり、カンダハル周辺が特殊部隊の重要拠点となったとみられる。 パキスタン政府情報筋は、同国南西部バルチスタン州のダルバンディン、カラーンの両軍事基地で先月25日前後から軍用機が集結し、軍需物資を運んでいた、と言明した。ダルバンディン基地周辺はここ数日間、パキスタン治安当局によって厳戒態勢が敷かれている。米軍は地上作戦のため、アラビア海上の空母とダルバンディン基地を結ぶルートを確保した可能性がある。(毎日新聞) |
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<アフガン攻撃>米特殊部隊 カブール近郊で破壊工作 米FOX 【ワシントン吉田弘之】米FOXテレビは19日、アフガニスタン国内に投入された特殊部隊は3チームで構成され、その一つは首都カブール近郊で偵察、破壊工作に携わっていると報じた。他の2チームは南部カンダハル付近で米情報当局によるタリバン政権の分断工作を支援しているという。米メディアは、近く大規模な特殊部隊の展開があると予測している。 またAP通信は、パキスタン当局者が米政府から得た情報として、特殊部隊はウサマ・ビンラディン氏とそのテロ組織「アルカイダ」に対し攻撃と退却を繰り返す作戦を繰り広げる見込みだと報じた。同当局者はカブール北部の反タリバン連合(北部同盟)支配地域に1週間以上前から特殊部隊が潜入していることも明らかにした。 一方、ライス米大統領補佐官(安全保障担当)は19日朝、複数の米テレビのインタビューに応じ、特殊部隊投入の事実確認は避けながら、「大統領はテロに勝利するため、軍事力を含めた国力のすべてを投入する考えだ」と語った。(毎日新聞) |
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<アフガン支援>援助物資ペシャワル出発 福岡NGO パキスタンとアフガニスタンで医療援助活動をするNGO(非政府組織)「ペシャワール会」(事務局・福岡市)のアフガン援助用の食料が19日朝、トラック7台に積まれてペシャワルを出発した。空爆以降、アフガンへの食料援助は世界食糧計画(WFP)が行っているだけで、民間NGOが独自に援助物資を運ぶのは初めて。(毎日新聞) |
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<ビンラディン氏>伊で指令書公開 核、生物化学兵器に言及 【ローマ井上卓弥】「イスラム教徒はパキスタンに習って核兵器を、そして生物化学兵器を保持するべきである」――。イスラム原理主義テロ組織「アルカイダ」を率いるウサマ・ビンラディン氏が98年5月、パキスタン初の核実験成功の直後に戦闘員にあてた指令書の内容が18日までに、イタリア北部トリノ地裁上訴審でのアラブ系過激派の公判で公開された。 伊紙レプブリカなどによると、指令書は98年8月、ケニアとタンザニアで起きた米大使館爆弾テロ事件の捜査過程で英治安当局が押収し、トリノでの公判のために伊司法当局に提供した。パキスタンの核実験(5月28日)の翌日にあたる日付が記され、1000以上の関連文書とともにフロッピー・ディスクに収められていたという。 両テロ事件の首謀者とされるビンラディン氏はこの中で、パキスタンの核実験成功を「イスラム世界初の核兵器保持」とたたえ、「神(アラー)の敵(米国)に立ち向かうために力を蓄えることは、イスラムの同胞に課せられた責務」と主張。核兵器と生物化学兵器保持の重要性を訴え、「戦士はしかるべき時期を待て」とテロ実行の指示を待つよう呼びかけた。 また、別の文書では、タリバン統治下のアフガニスタンを米国が「テロ支援国家」に指定したことに触れ、「行動の正当性が裏付けられた」とタリバン政権を賞賛している。一連の文書は、同市内で武器や金塊を保持して逮捕されたアラブ系容疑者が米大使館爆弾テロに関与したことを裏付ける証拠として法廷に提出された。(毎日新聞) |
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