2001
10/12
10/12 パキスタン各地で反米デモ、混乱広がる

 【カラチ(パキスタン南部)12日=新居益】米軍の対アフガニスタン攻撃が続く中、隣国パキスタンの各都市で12日、反米デモが一斉に行われ、最大都市カラチでは数百人のデモ隊が政府の庁舎を襲撃したほか、米国資本のファスト・フード店や車両に放火、警官隊が催涙ガスを発射するなどして混乱した。

 首都イスラマバード、アフガニスタンとの国境に近い北西部ペシャワルなど主要都市でも街頭デモが行われ、軍、警察当局が厳戒態勢を敷いている。

 12日は米英軍のアフガニスタン空爆開始後、初めての金曜礼拝が行われ、イスラム原理主義団体がタリバン政権やテロの首謀者ウサマ・ビンラーディンの支持者にデモを呼びかけた。

 ムシャラフ大統領は11日、各州知事や関係閣僚に対し、モスク(礼拝所)内での集会禁止を含む予防措置を取るよう、直接に指示し、デモが反政府行動に拡大しないよう警戒している。空爆後の反米デモでは、クエッタで9日、3人が死亡、5人が負傷したが、10日以降はデモは沈静化していた。

 【クエッタ(パキスタン西部)12日=源一秀】当地のクリケット競技場「アユブ・スタジアム・クエッタ」で12日午後、親タリバン派市民約2万人が米国の対アフガン空爆に反対する抗議集会を開いた。

 市民らは各地をデモ行進しながら同競技場に集結。会場では「米国に死を」「ムシャラフ(大統領)は売国奴だ」などと気勢を挙げた。抗議集会はタリバンとの関係が深い「ウラマ・イスラム協会」などが主催したもので、空爆後、パキスタン国内では最大規模となった。(読売新聞)
<アフガン攻撃>パキスタンで小泉首相を非難するプラカード

 「小泉もブッシュも犬だ」。パキスタン・ペシャワルで12日行われた米英軍の空爆に抗議するデモに、日本の小泉純一郎首相を非難するプラカードが登場し、非難のやり玉にあがった。これまで日本の首相への非難はなかったが、自衛隊がパキスタンに到着するなどの動きが地元紙で報じられ、それに対する反応もあるようだ。(毎日新聞)
<抗議行動>イスラム教国でマクドナルドなど襲撃相次ぐ

 アフガニスタンへの空爆開始後初のイスラム教の休日となった12日、イスラム教徒が多いアジア諸国に激しい抗議行動が広がった。米国文化を象徴するケンタッキー・フライドチキンが狙われ、治安当局との衝突も起きた。パキスタンの最大都市カラチでも12日朝、数百人の群集がマクドナルドなど米国系商店を襲撃した。(毎日新聞)
<北部同盟>アフガン前大統領「一般市民の犠牲なければ米支持」

 反タリバン勢力「北部同盟」の有力指導者のラバニ・アフガニスタン前大統領は11日、米軍のアフガニスタンへの攻撃について「短期的で一般市民の犠牲を生まなければ」支持すると述べ、作戦の長期化に否定的な見解を明らかにした。戦闘が泥沼化する事態を避けるため米国にくぎを刺したものとみられる。(毎日新聞)
インドネシア、アフガン空爆への抗議行動が拡大


 [ジャカルタ 12日 ロイター] インドネシア第2の都市スラバヤで、イスラム教の学生らがアフガニスタン空爆に反対する抗議デモを実施し、警察隊と衝突して少なくとも5人が負傷した。目撃者らが明らかにした。
 一方、首都ジャカルタでは、多数のイスラム教徒が金曜礼拝後に抗議行動を行う構えを見せている。
 少なくとも2つのイスラム過激派集団が、外国人を国外へ退去させるとの姿勢を示しており、抗議集会への参加を支持者らに呼びかけている。
 イスラム青年運動(GPI)によると、約1万人が抗議集会に参加する。
 一方、他の9つの組織も、抗議集会の開催許可を求めているという。
 (ロイター)
昨夜の攻撃でカンダハルで数十人が死傷、軍事基地も被害=タリバン


 [カブール 12日 ロイター] アフガニスタン南部のカンダハル地方で、米国による攻撃を受け、数十人が死傷したほか軍事基地が被害を受けた、という。
タリバンのBakhtar通信の責任者が、ロイター通信に明らかにしたもの。
 同氏は、「カンダハル地方のArghandabで、昨夜の攻撃で数十人が死傷した」と語った。また、軍事基地の被害の詳細については、明らかにしなかった。
(ロイター)
米国民、紛争拡大を懸念=調査


 [ワシントン 11日 ロイター] 米国人の3人に2人が、アフガニスタン国内の標的に対する米英両国の軍事攻撃が、米国や同盟諸国とアラブ・イスラム世界の間の紛争に拡大することを懸念していることが、ABCテレビの世論調査で明らかになった。
 調査は8、9両日、全米の成人約1009人を対象に電話で実施された。
 米英軍の対アフガン攻撃がアラブ・イスラム世界との紛争に拡大することを懸念しているとの回答は66%で、懸念していないの33%を上回った。
 調査ではまた、イスラム世界に良い印象を持っているとの回答が47%と半数を下回る一方、イスラム教について良く理解していないとの回答が65%を占めた。
 ただ、紛争の拡大を阻止するために米国は最大の努力をしているとの回答も69%に上った。
 
 (ロイター)
アフガン東部の村への米空爆、死亡者数は160人に=AIP通信


 [イスラマバード 12日 ロイター] アフガン・イスラム通信(AIP)は、米軍による空爆を受けたアフガニスタン東部のクラム村で、死亡者数が160人に達した、と伝えた。
 AIPによると、タリバン政権のスポークスマンは、「今のところ、160人の死体が収容された。大半は女性と子供だ」と述べた。
 AIPによると、クラム村では現在、タリバンや近隣の村人らが、死体の収容作業を続けている。数千の家畜も死亡した、という。

 (ロイター)
ブッシュ大統領、米国の子供にアフガン支援を呼びかける


 [ワシントン 11日 ロイター] ブッシュ米大統領は、飢えに苦むアフガニスタンの子供を支援するため、1人1ドルを寄付するよう全米の子供に呼びかけた。
 ホワイトハウスでの公式記者会見の最後に述べたもの。
 同大統領は、「アフガニスタンは戦闘に苦しんでいる。多くの子供は飢え、ひどい栄養不良の状態だ。3人に1人は孤児で、慢性的な栄養失調に苦しんでいる。冬が近付いている。いま行動すれば子供たちを支援できる」と説明。
 同大統領はその上で、車を洗ったり近所の芝刈りをするなどして1人1ドルを稼ぎ、寄付するよう米国の全ての子供たちに要請。”アフガンの子供のための全米基金”と記した封筒に1ドルを入れてホワイトハウスに送付するよう呼びかけた。
 集まった寄付金は、アフガンの子供向けの食糧や医薬品にあてられるという。(ロイター)
米軍400人がパキスタンに到着

OCTOBER 12, 2001 09:11
by 韓起興 (eligius@donga.com)


米国が数百人の米軍と攻撃用ヘリなど、各種の装備をパキスタンに配置し、アフガニスタンでの地上作戦を開始する最後の準備に取り掛かっている。

パキスタン日刊紙「セビョク」は11日、パキスタン官僚らの話しとして、「C130輸送機やヘリを含め、少なくとも15機の米軍機と多数の米軍がこの二日間、パキスタン南部のシンド州ジャゴババード空軍基地に到着した」と報じた。


同誌はこの米軍機がパキスタンで中間給油を受け、アフガニスタンへ急派されるとし、バルチスタン州パスニ空軍基地とデラガジカン、パンジグル、ワダルの4カ所の基地にも避難命令が出されていることから、近く米軍機による空襲が始まる見通しを示した。


米ワシントンポスト誌もこの日、「バルチスタンとシンド地方にある二個所の民間空港も米国の軍事作戦で使用できるよう許可を受けており、400人の米軍がすでに現地に到着した」と報じた。


パキスタンの幹部は「この空港が米特殊部隊の地上戦の活動に向けた準備施設として活用されるとの話しを聴いた」と述べたとワシントンポスト誌は報じた。


米国は10日夜(アフガニスタン現地時間)と11日の両日、アフガニスタン首都カブールとタリバーン根拠地のカンダハル、パキスタン国境都市のシャムシャドなどに対して、これまでの最大規模の空爆を開始するなど、地上部隊の投入に向けた攻撃作戦を繰り広げた。


米国はこの日、標的を以前の防空網の関連施設から地上軍兵力へと切り換え、タリバーン勢力の兵営、要塞、夜営地域などを集中攻撃したとし、防空壕や地下統制センターなどを破壊するため、2200キロ級「防空壕バスター弾」まで使用し始めた。


タリバーン側はこれまでの攻撃で民間人76人が死亡しており、ザラルラバドのイスラム寺院まで破壊されたと主張した。米国情報機関関係者はタリバーンの最高権力者オマール師の親戚2人と数人のタリバーン幹部も死亡したと話した。


一方、米中央情報局(CIA)はオサマ・ビンラディン氏がこれまでの5年間、タリバーン政権に1億ドルほどの現金と軍事支援を行い、タリバーン勢力の最大支援者になっており、このことから事実上、タリバーンを調整しているという内容の報告書を最近、ブッシュ米大統領に伝えたとされる。

米大統領「軍事行動すべて計画通り」

 【ワシントン11日=永田和男】ブッシュ米大統領は11日午後8時(日本時間12日午前9時)過ぎからホワイトハウスで記者会見し、7日に始まったアフガニスタンの実効支配勢力タリバンへの空爆について、「継続した軍事行動でテロリストを洞穴の隠れ家から追い出し、裁きにかける。軍事面でのすべての行動は計画通り進んでいる」と述べ、国民に成果を報告した。

 ブッシュ大統領は、同時テロ首謀者とされるウサマ・ビンラーディンについては「生死はわからない」と認め、一派を裁きの場に引き出すまでには「明日かもしれないし1か月か1年、2年先かも知れない」と語って、作戦が長期化する見通しを示した。

 泥沼化したベトナム戦争の二の舞いにならないかとの指摘については、「ベトナムで得た最も重要な教訓は、ゲリラ戦を通常部隊では戦えないということだった」と語って、空爆で防空施設を破壊した後で特殊部隊を送り込み、接近戦へと移行する方針を示唆した。

 アフガニスタンでタリバン政権が倒れた後の国のあり方については、米国として特定勢力を後押しすることに慎重な姿勢を示したうえで、「軍事行動終了後は国連にアフガニスタンの国づくりのための枠組み作りを任せるのが望ましい」と述べ、国連による暫定統治を支持する考えを示した。

 大統領は今回の戦争がイスラム教徒を敵視したものでないことを強調。ただ、イラクのフセイン政権については、「指導者は悪人だ。大量破壊兵器を開発していることも承知している」と述べ、核兵器などの開発を監視する考えを示した。

 またブッシュ政権が目指すミサイル防衛構想について、「必要性は9月11日の同時テロ以降一層増した」と語って引き続き推進する考えを示したが、推進の障害となる弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に脱退する可能性については明言を避けた。(読売新聞)
米国防長官「タリバン対空兵器は依然脅威」

 【ワシントン11日=林路郎】ラムズフェルド米国防長官は11日、報道陣に対し、アフガニスタンの実効支配勢力タリバンが保持する「対空兵器は依然脅威である」と述べ、制空権を掌握したとの従来の戦況評価を後退させた。週内までと見られた空爆がやや長期化し、ヘリを投入した低空からの対地攻撃作戦の実行に遅れが出る可能性もある。長官は、逃亡説も出ているウサマ・ビンラーディンについて、「アフガン国内にとどまっている可能性が高い」との認識を示した。

 同長官は、制空権掌握宣言後も米軍が空爆、ミサイル攻撃をむしろ強化している理由について、「米軍機への対空兵器の脅威が残存することを認めねばならない」と明言した。偵察衛星による確認の結果、より詳細な戦果に関する情報が得られたことと、タリバン側が戦力を移動させていることに伴い、新たな標的が出現したための戦況評価修正と見られる。

 長官は具体的に、〈1〉旧ソ連戦期に米国がイスラム・ゲリラに供与し、タリバンに数十基が継承された携帯型対空ミサイル「スティンガー」〈2〉対空ミサイル及び大型の対空砲〈3〉最低1か所以上の防空陣地――を列挙。これらを徹底的に破壊する意向を示した。

 タリバン及びビンラーディンのテロ組織「アル・カーイダ」の幹部について長官は、「指揮・指令系統にかかわっている人間は標的である」と明言。強力な爆発力を持つバンカー破壊爆弾や、投下されると空中で複数に分裂し、地上で連鎖的爆発を引き起こすボール爆弾などが、タリバン幹部殺傷を狙って使われていることを明らかにした。

 そのうえで長官は、空爆対象をタリバンのミグ21型戦闘機、戦闘用ヘリ、軍用輸送機、戦車などにまで広げていることを明らかにし、空爆により可能な限りタリバン及びアル・カーイダの地上戦力を破壊する作戦方針を示した。(読売新聞)
アラブ系米国人の9割、同時テロに対する米大統領の対応を評価=調査


 [ワシントン 11日 ロイター] アラブ系米国人を対象に実施された世論調査で、88%が米同時多発テロ事件に対するブッシュ米大統領の対応を評価している一方、5人に1人がテロ事件後に差別を受けたと答えたことが分かった。
 調査は、米世論調査機関ゾグビー・インターナショナルが6―8日の3日間に、アラブ系米国人508人を対象に実施したもの。
 7日には米国がテロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏が潜伏しているとみられるアフガニスタンに対する空爆を開始している。
 また、テロリストをかくまったり支援している国に対する”全面的な戦い”を支持するとの回答が、69%に達した。
 一方で、同時テロ後に自分自身が差別を受けたとの回答が20%、差別を受けた人物を知っているとの回答も45%に上った。 (ロイター)
<アフガン攻撃>「市民の犠牲者やむなし」 米国防長官

 【ワシントン吉田弘之】ラムズフェルド米国防長官は11日の会見で、アフガニスタン空爆でアフガン国内で100人以上の死者が出たというタリバン政権の主張に対し「我々は市民を標的にしていない」と強調。しかし「(市民が)軍事に関係している場合は命を落とすことがある」とも述べ、空爆に伴う犠牲者が出ることはやむを得ないとの考えを示した。

 さらに、空爆では「あらゆるミサイルを使っている」と述べ、頑丈な地下施設などを攻撃する「バンカー・バスター」や、投下後に内部の小型爆弾が飛散し広範な目標物を破壊する「クラスター爆弾」を使用している事実を認めた。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>空爆の写真、ビデオテープなど公開 米国防総省

 【ワシントン吉田弘之】米国防総省は11日、アフガニスタン・タリバン政権の軍事施設などに対して行っている空爆前後の写真と、空爆の様子を録画したビデオテープを公開した。衛星写真の公開は9日に続き2度目。

 公開されたのは、北部マザリシャリフにあるタリバン軍連隊本部の空爆状況を撮影した写真など。同本部は数千人のタリバン兵が駐留、戦車、装甲車などが配備されているが、空爆後の写真では、メンテナンスビルなどがほぼ完全に破壊された様子がわかる。このほか、カブール近郊のレーダー基地や東部ヘラートの軍事飛行場の戦闘機、輸送機などが空爆で破壊された状況を示す写真も公表した。

 また、空爆の状況を撮影したビデオは、ミサイルが着弾した瞬間、巨大な火の玉が上がるなど、爆撃の激しさを物語っている。

 記者会見した米統合参謀本部のオスマン作戦立案官は「まだ爆弾効果判定の途中だが、満足している」と述べ、空爆が成功しつつあることを強調した。(毎日新聞)
<米同時テロ>「再度のテロ、数日内にありうる」 FBIが警告

 【ワシントン斗ケ沢秀俊】米連邦捜査局(FBI)は同時多発テロ事件から1カ月を迎えた11日、「米国内外の米施設に対する再度のテロが数日内にありうる」との内容の警告文書を発表し、国民に警察への協力を呼びかけた。最近入手した「確かな情報」に基づくという。FBIが一般向けにテロ警戒文書を出したのは事件後初めて。

 警告文書の全文は次の通り。

 「標的は特定されていないが、確かな情報から、政府は今後数日間に、米国内や海外の米国の利益に対する再度のテロリストの攻撃がありうると信じている。FBIは全地方警察に再び最高度の警戒態勢を取るよう警告した。異常や不審な行動について、FBIや地方警察に直ちに通報するよう、すべての人々に訴える」

 米司法省のタッカー報道官によると、警告のきっかけとなった情報は秘密扱いで、「この2、3日間に受けた」。FBIはこれまでに数回、地方警察にテロ警戒を求める文書を出したが、一般の人にも警戒を求めたのは初めて。報道官は「警察のこうした警戒について、国民が正確に理解するよう求めたい」と語った。(毎日新聞)
<アフガン攻撃>「少なくとも来年の夏まで続く」 英軍参謀総長

 【ロンドン笠原敏彦】英国のボイス軍参謀総長は11日の記者会見で、対アフガン軍事行動は少なくとも来年の夏まで続くとの見通しを示した。

 参謀総長は、タリバン政権がウサマ・ビンラディン氏を引き渡せば数日で終わるとの見方を示す一方、アフガン人が同氏の身柄を差し出してくる可能性も指摘した。(毎日新聞)
<イラン>「米国のごう慢な姿勢がテロの原因」 ハタミ大統領

 ハタミ・イラン大統領は11日、米国のアフガニスタン攻撃について、「米国のごう慢な姿勢こそがテロの原因を作っている」と非難した。ハタミ大統領はカナダの新任駐イラン大使との会談で、米国の姿勢を厳しく批判。さらに、大統領は「ごう慢さという点では、米国とタリバンは同じである」と指摘した。(毎日新聞)
空爆でアルカイダ幹部死亡
最強特殊爆弾バンカー・バスター投下
 米軍が、10日夜から11日未明にかけ、これまでで最大規模の攻撃で、タリバン政権の本拠地カンダハルをズタズタにした。米軍は11日朝もアフガニスタンへの空爆を実施し、5日連続の空爆。米政府当局者は、タリバンの最高指導者、ムハマド・オマル師(42)の親類2人を含む複数の幹部、ウサマ・ビンラディン氏(44)のテロ組織アルカイダの幹部らが10日までの空爆で死亡したと述べた。


米が最大空爆

11日、アラビア海の米空母エンタープライズの甲板で整備を受けるFA18戦闘攻撃機(AP=共同)  7日の空爆開始以来4夜目の米軍の攻撃は、激烈を極めた。B52爆撃機、F16戦闘機などカブール、カンダハルに飛来した戦闘機は4波にわたって猛爆撃。タリバンやアルカイダの地下司令部に向け、湾岸戦争でも使用された最強の特殊爆弾「バンカー・バスター」が投下された。

 すでにタリバンの空軍基地や防空システムの破壊は終了し、空爆は移動中の地上部隊や戦闘車両などを焦点にしている。タリバンと北部同盟がにらみ合う、北部の要衝マザリシャリフのタリバン軍も再空爆した。

 米CNNテレビによると、4夜連続の空爆で、タリバンとアルカイダには大きな人的被害が出た。7日の空爆でオマル師は自宅が空爆される15分前に逃亡、難を逃れたものの、タリバン政権幹部だった親類男性2人が爆死。アルカイダ中堅幹部数人も死亡したという。

 タリバン首脳としては、最高幹部の一人で空軍司令官を兼任していたマンスール航空・観光相や、軍将軍らの爆死も一部で伝えられている。すでにオマル師に次ぐ絶対的NO2だったモハメド・ラバニ氏も4月に病死。「(1994年の)タリバン創設メンバーは激減しつつあるが、神学生の集まりであるタリバンは極力、動揺を抑え、いまだ危機的状況を回避している。大混乱するとしたら、オマル師が死んだ時」と、訳書「タリバン」などがある龍谷大法学部の坂井定雄教授は分析する。

 タリバン側は、オマル師と、ビンラディン氏の「無事」を主張し続けているが、米軍の包囲網は狭まりつつある。米国防総省は完全に制空権を握ったという判断から、作戦の第2段階であるグリーンベレーやレンジャーなど特殊部隊投入に向け、兵員輸送ヘリコプターや最新鋭武装ヘリ、MH53Jペーブ・ローの展開準備をスタート。ウズベキスタンなど周辺国の空軍基地から発進。アフガン国内に着陸するコースの見極めを進めている。

 「米軍の第一段階の攻撃対象はアルカイダだ」とパウエル国務長官。米軍のアフガンでの地上戦準備は一両日中にも完了。連日のように主要幹部を失うビンラディン氏とオマル師が“袋のネズミ”となる瞬間が刻一刻迫っている。

 ◆バンカー・バスター 正式名・GBU28。地下施設破壊爆弾として使用される特殊兵器。F25戦闘機に搭載され、遠隔操作で敵側地下施設を直撃する。重さは2トン。地下30メートルまで潜ることが可能で厚さ7メートルの強化コンクリートも破壊する爆発力を持つ。過去、湾岸戦争、ユーゴ紛争などで使用された。
 
オマル師「戦え」

 英BBC放送によると、アフガニスタン・タリバン政権の最高指導者、オマル師は10日、米国によるアフガニスタン攻撃に抵抗するため、世界のムスリム(イスラム教徒)に対しアフガン市民を支援するよう呼び掛けた。オマル師は「強い信仰を持つすべてのイスラム教徒は、断固として利己主義的な力(米国)に対して行動すべきだ」と述べた。

 米軍によるアフガニスタン攻撃が始まって以来、オマル師が公式にコメントするのはこれが初めて。BBC放送は、オマル師が生きているのを国民に知らせる狙いもあったとみている。

 
カンダハルなどを空爆

 アフガン・イスラム通信によると、米軍は11日朝、アフガニスタン・タリバン政権の本拠地、カンダハルなどを空爆し18人が死亡。10日夜の首都カブール攻撃ではミサイルが民家を直撃するなど、計20人が死亡したと伝えており、これで、攻撃開始からの死者数は225人前後に達したことになる。

 


タリバンのオマル師の義父と息子が死亡=アフガン難民


 [クエッタ(パキスタン) 11日 ロイター] 米軍によるタリバン政権の最高指導者、オマル師の自宅に対する攻撃で死亡したとされる2人は、同師の10歳の息子と、義父であるという。
 カンダハルからパキスタンに逃れた住民が明らかにした。
 住民によると、爆弾がカンダハル市内のオマル師の自宅に命中したのは、同師が家を出た直後だったが、家族はほとんど家の中にいたという。
 タリバンのザイーフ駐パキスタン大使は、オマル師の家族が死亡したとの情報について、確認も否定もしなかったが、「アフガニスタン人はすべて彼の親戚だ」と述べた。(ロイター)
新疆独立グループは国際テロ組織、打倒目指す…中国

 【北京11日=石井利尚】中国外務省の孫玉璽・副報道局長は11日の記者会見で、イスラム系民族が多数居住する新疆ウイグル自治区で独立を目指し活動する「東トルキスタン運動」を構成する各組織について、「反政府活動を行う国際テロ組織」とみなし、米国などと協力して組織打倒を目指す方針を明らかにした。

 これは、「国際テロ」根絶を旗印にした米軍のタリバン攻撃を容認することで、国内の分離・独立運動封じ込めの国際環境を手に入れたことを受けての動きだが、人民解放軍や警察力に頼る自治区の統治が一層強硬になる懸念が出てきた。

 孫副局長は「いくつかの『東トルキスタン運動』組織は、国際テロ組織と連携し、国内外で爆破や暗殺、毒物散布、誘拐や強盗を行った。中国だけでなく、あらゆる地域の脅威だ」と述べた。また、「同組織への反対は、世界平和と安寧のためで、(中国が米同時テロ後に表明した)国際テロ反対闘争の重要な一部だ」と断じた。

 10日の「中国新聞社」電によると、自治区の区都ウルムチの杜建錫・公安局長は「テロと民族分裂活動に厳しく取り締まる」と述べ、10月から12月まで徹底摘発をする方針を表明。同市では今年以降、「民族分裂勢力の幹部、テロ犯罪・宗教過激勢力メンバー」210人が逮捕されている。(読売新聞)