2001
10/6
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<パキスタン>外務省と軍部に亀裂 米国への協力巡り 

 【イスラマバード春日孝之】パキスタン政府が、タリバン政権に対する米国の軍事行動に全面協力を表明している問題で、パキスタンの外務省と軍部に亀裂が生じ始めた。イスラム原理主義勢力も、反米一辺倒から反米と反政府デモへ転換する動きを見せており、パキスタン情勢は混迷を深めている。米国がパキスタンを前線基地として使用した場合、クーデターや内戦など最悪のシナリオを予測する声も出ている

 パキスタン軍事筋によると、外務省は、最大の外交課題であるカシミール問題解決に向けた支援を国際社会から取り付けたいとの立場から、米国への協力姿勢を全面支持している。

 軍総司令部も、米国への協力は「対インド戦略上必要」との認識で基本的には政府方針を支持している。だが、カシミールで対インド闘争を続けるイスラム原理主義勢力とタリバンの密接な関係が指摘されており、米国がパキスタンを前線基地化した場合、タリバン崩壊後、米国の対テロ戦争の矛先がカシミールに向けられる、との危機感を抱いているという。

 このため軍部は、米国に領空使用までは認めても、「パキスタンの土地」を使用することは認めないとの立場だ。

 一方、イスラム原理主義勢力は軍部強硬派の立場に近い。米国からの協力要請を抑えようと、各地で大規模な反米デモを展開してきたが、スローガンはあくまで「反米」だった。だが、ムシャラフ大統領は5日のブレア英首相との会談で、「要求のすべてに応える」姿勢を改めて表明。これに対し、最強硬派で知られるイスラム聖職者協会のファズド・ラフマン党首は6日、毎日新聞に対し、近く北西部ペシャワルで大規模な抗議行動を予定していると表明。反米・反政府デモに転換する可能性を示唆した。

 軍事筋は「米国の要求が許容範囲を超えればパキスタンは未曽有の混乱に陥る」と指摘している。(毎日新聞)
カブールに正体不明機、タリバンが対空砲で攻撃

 【イスラマバード6日=新居益】カブールからの報道によると、アフガニスタンの首都カブール上空を6日、正体不明の航空機が数回旋回し、タリバン軍が対空砲で攻撃した。この影響で、米英軍の攻撃を恐れる市民が一時パニック状態になった。

 タリバン政権幹部は米CNNテレビに対し、航空機は米国の偵察機との見方を示した。(読売新聞)
<中国>アフガン国境付近地区への外国人記者立ち入り禁止

 中国外務省は5日夜、アフガニスタンとの国境に近い新疆ウイグル自治区タシュクルガン地区への外国人記者の立ち入りを「安全上の理由」から禁止すると通知した。同時多発テロに絡む措置とみられる。同地区中心部からアフガニスタン国境までは約100キロで、パキスタンへの国際バスも発着している。(毎日新聞)
<米国務副長官>パキスタンのタリバン政権承認は「有益」

 アーミテージ米国務副長官は5日の日本人記者団との会見で、パキスタンがアフガニスタンのタリバン政権を承認しているのは、アフガン内に計8人のNGOメンバーらが拘束されているいる現状では「極めて有益」と語った。パキスタンが米国とタリバン政権の連絡役として、あえて断交表明を控えていることを示唆したものだ。(毎日新聞)
<米物資空中投下>今週末にも開始、戦闘の危険も AP通信

 AP通信は5日、米軍がアフガニスタン・タリバン政権支配地域の困窮住民のための支援物資空中投下を、早ければ今週末にも開始すると報じた。投下用輸送機を戦闘機が護衛するため、タリバン側の攻撃を受けて偶発的戦闘が起こる危険がある。また投下作戦の安全確保のため米軍が事前に先制空爆する可能性も指摘されている。(毎日新聞)
タリバン、条件付きでNGO8人の解放表明

 【イスラマバード6日=大内佐紀】アフガン・イスラム通信によると、タリバン外務省は6日、キリスト教を布教した容疑で逮捕した外国人8人について、「米国がタリバン政権とアフガニスタン国民への脅迫をやめるなら、釈放する用意がある」とする声明を発表し、8人の釈放と引き換えに、米国の武力行使を回避するための交渉を始めたい意向を示した。

 拘束されているのは、ドイツの民間活動団体(NGO)のスタッフで、ドイツ人4人、米国人とオーストラリア人が各2人。8月4日に逮捕され、9月初めに裁判が始まった。

 また、同通信によると、タリバンのザイーフ駐パキスタン大使は、先月28日にアフガンに不法入国したとして身柄を拘束された英国人女性記者について、「英外務省が釈放を求めてきた。6日か7日に釈放される」と語った。

 外務省声明は一方で、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンについては、「いかなる証拠も我々には提示されていない」と、引き渡しを拒む立場を改めて表明した。(読売新聞)
タリバン、米国の食糧投下案を非難し陸路輸送を求める


 [イスラマバード 6日 ロイター] アフガニスタンを実効支配しているタリバン政権は、米国が検討している食糧の空中投下計画をプロパガンダであると非難し、救援物資輸送のために道路網は開かれていると述べた。
 外務省は声明で、食糧投下計画はアフガン国民の敵意を緩和するための策略であると指摘。そのうえで、米国はアフガン国民だけでなく、全イスラム教徒を敵視していると述べた。(ロイター)
アフガン偵察の衛星を発射

 【ワシントン6日=林路郎】アフガニスタンの軍事情勢監視が目的と見られる米軍のKH11型偵察衛星が5日、米カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から打ち上げられた。空軍は打ち上げに関して一切のコメントを控えている。

 米軍は、アフガニスタンへの軍事行動を起こす際、ビンラーディン一派やアフガン支配勢力タリバンの動きを詳細に監視する必要がある。特に、ゲリラ的に行動するタリバンは山岳地帯に多くの隠れ場所があり、「米軍の安全確保には、解像度の極めて高い衛星写真による情勢分析が欠かせない」(軍事筋)とされる。(読売新聞)
タリバン、拘束している外国人職員解放も


 [イスラマバード 6日 ロイター] アフガニスタンを実効支配しているタリバン政権は、米国が同国に対する軍事行動の威嚇を止めたら、身柄を拘束している8人の援助団体職員を解放する可能性があることを示唆した。
 アフガン・イスラム通信が外務省の声明として伝えた。
 外務省当局者はロイター通信の電話取材に対し、そのような解決策もあり得ると述べた。
 身柄を拘束されているのはドイツを拠点とする民間援助団体の職員で、アフガン国内でキリスト教を布教したとして8月上旬に逮捕されている。(ロイター)
空自輸送機、那覇基地に到着=給油と隊員の休養で

 アフガニスタン難民へ救援物資を輸送するため、愛知県の小牧基地を出発した航空自衛隊所属のC130輸送機が6日午後、最初の経由地の空自那覇基地(那覇市)に到着した。
 輸送機6機は6日午後4時から、約10分置きに次々と同基地に着陸。間もなく、機体の点検と給油が行われた。各機のハッチは開けられたが、輸送物資は降ろされなかった。隊員らは同基地で1泊し、7日午前、次の経由地フィリピンのマニラへ出発、同日はタイのウタパオに1泊する。 (時事通信)
「第2次テロ」への懸念強まる=米メディアが相次ぎ報道

 【ワシントン6日時事】ニューヨークとワシントンを狙った米同時テロ事件への報復として、米政府がアフガニスタンに対する軍事行動の準備を進める中、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏とその組織による米国を対象とした「第2次テロ」への懸念が一段と強まっている。
 5日付のワシントン・ポスト紙は、情報機関当局者が議会メンバーに対し、米国がアフガンを攻撃した場合、「100%」の確率でテロが起きると説明したと報道。NBCテレビも同日、米国がビンラディン氏に報復すれば、「米国の象徴的な軍事あるいは民間の標的」への「第2波のテロ攻撃」を米国は覚悟すべきだと国防総省が警告していると伝えた。 (時事通信)
アフガン、「米地上軍投入時には第2のベトナム化も」

OCTOBER 06, 2001 09:49


当時、アフガニスタンに投入されたソ連軍兵力のうち、タジキスタン出身は約1万5000人。タジク人がアフガン人口の4分の1を占めていたため、彼らは主に情報収集や通訳などの分野に集中配置された。タジキスタンには今も約8000人のアフガン参戦勇士が生存している。

当時下士官として参戦したアリモフ・スホロフショ参戦勇士会長や連帯情報参謀だったバリー・サピョルベコフ予備役大尉(スラブ大学歴史学教授)、小銃手のラフミディン・ラフモノフなどの参戦勇士らは、一様に「米国が地上軍を投入すれば、その瞬間からソ連軍の前轍を踏み、アフガンは第2のベトナムと化すだろう」と警告した。


▲ソ連軍はなぜ失敗したか〓ソ連軍は、初めは特功作戦でカブールを掌握した後、40の軍を投入し主要都市と幹線道路を掌握した。ムジャヘディンとの戦闘にはアフガン政府軍を立てて支援に徹した。しかし、政府軍が敗走を重ねるや大規模の兵力を追加投入し、直接ムジャヘディン掃討に乗り出した。今から思えばこれは誤りであった。地上に移動するソ連軍は峡谷で奇襲攻撃や地雷に遭い、大きな被害を受けた。米国がムジャヘディンに移動式スティンガー地対空ミサイルを供給したことで、ヘリコプターまでも危険となり、ソ連軍は至る所で孤立した。


▲戦争の展望〓タリバーンは真っ向からの勝負を避け、山岳地帯を拠点として粘り強くゲリラ戦を繰り広げるだろう。アフガンの戦士たちは、数十kgの兵器を担ぎながら山を平地のように速く登れる。山岳地帯で装甲車とタンクが無用となれば、米軍が果たして数千mの高さの高山地帯を徒歩で移動できるかは疑問だ。また、ソ連のような統制社会でも、犠牲者が増えれば反戦世論が高まり、結局は撤収する結果となった。米国が、果たして犠牲が多い長期戦を行なう覚悟ができているだろうか。


▲米軍はどう戦うべきか〓先ず、攻撃目標を正確に把握しなければならない。アフガンは人口密集地域が少なく、正確に爆撃しなければ效果がない。主要目標に打撃を与えるという限られた目的以外には、地上軍を投入しないのが最善の戦略だ。地上戦はタリバーンと戦う北部同盟軍を支援する方向で進めなければばならない。米軍が地上軍を派遣すれば、とりわけ自尊心と独立心の強いアフガン人を刺激して、より大きな抵抗を呼び起こす恐れがある。タリバーンに反対する勢力も「米軍タンク」がアフガンに侵攻する瞬間に考えを変え、米国に対抗して武器を持つかもしれない。ソ連も数十年の間アフガンを支援して良い関係を保っていたものの、軍隊を派遣して激しい抵抗にぶつかった経緯がある。

「第2次テロ」への懸念強まる=米メディアが相次ぎ報道

 【ワシントン6日時事】ニューヨークとワシントンを狙った米同時テロ事件への報復として、米政府がアフガニスタンに対する軍事行動の準備を進める中、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏とその組織による米国を対象とした「第2次テロ」への懸念が一段と強まっている。
 5日付のワシントン・ポスト紙は、情報機関当局者が議会メンバーに対し、米国がアフガンを攻撃した場合、「100%」の確率でテロが起きると説明したと報道。NBCテレビも同日、米国がビンラディン氏に報復すれば、「米国の象徴的な軍事あるいは民間の標的」への「第2波のテロ攻撃」を米国は覚悟すべきだと国防総省が警告していると伝えた。 (時事通信)
タリバンのオマル師、英国人記者の釈放を命令=AIP


 [イスラマバード 6日 ロイター] アフガン・イスラム通信(AIP)によると、アフガニスタンを実効支配するタリバン政権の最高指導者オマル師は、同国に不法入国したとして身柄を拘束していた英紙サンデー・エクスプレスの記者、イボンヌ・リドリーさんの釈放を命じた。
 AIPがタリバンのザイーフ駐パキスタン大使の話として報じたところによると、リドリーさんは6日か7日に釈放される。
 ザイーフ大使からの確認は得られなかった。(ロイター)
空自輸送機6機、難民支援物資載せパキスタンへ


パキスタンへ向けて出発する航空自衛隊員(愛知・小牧基地で)
 
 アフガニスタン難民の支援物資を載せた航空自衛隊輸送機C1306機が6日午後1時、愛知県・小牧基地を出発、パキスタンに向かった。

 輸送物資は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から要請された10人用テント315セットや毛布200枚、ビニールシート75枚など計36トン。同日正午に同基地内で「難民救援空輸隊」の編成完結式を行った後、1番機が飛び立った。

 沖縄、タイなどを経由して9日(現地時間同日午前3時50分)にイスラマバード空港に到着の予定。先遣隊の報告では「空港周辺は平穏」だが、不測の事態も予想されるため、140人の空輸隊員は防弾チョッキを着け、一部隊員は短銃(計40丁)を携行する。荷降ろしで空港にとどまる約6時間は、パキスタン軍が警戒に当たる。緊張の輸送任務となりそうだ。

 30歳代の隊員は「PKO協力活動で海外派遣は定着しているので、胸を張って任務を遂行する」と決意をにじませた。小牧に戻るのは12日という。(読売新聞)
<米軍事行動>山岳師団1000人展開を否定 ウズベク大統領

 【モスクワ石郷岡建】ウズベキスタンのカリモフ大統領は5日、米軍第10山岳師団の兵士約1000人が同国に展開するとの報道について、「憶測、うわさだ」と否定した。

 同大統領はこの日のラムズフェルド米国防長官との会談後、「アフガニスタンへの地上作戦および空爆への基地として、ウズベキスタンの基地が使用されることには反対する」との同国の立場を説明した。

 大統領は、ウズベク政府は首都から500キロ離れた飛行場を米軍のヘリおよび輸送機の使用のために提供するが、人道目的および救出・捜索作戦に限られると指摘した。(毎日新聞)
テロ攻撃にビンラディン氏が関与した証拠がある=パキスタン大統領


 [イスラマバード 5日 ロイター] パキスタンのムシャラフ大統領は、自身を含めパキスタン政府は9月11日の対米同時多発テロ攻撃にウサマ・ビンラディン氏が関与していることを示す十分な証拠があると考えている、と述べた。
 ムシャラフ大統領は、ブレア英首相との会談後の記者会見で、「私自身、そしてパキスタン政府も、テロリストの行動とウサマ・ビンラディン氏の関連性を示唆する証拠があるものと考えている」と述べた。
 そのうえで、「しかしながら、われわれはこうした証拠の詳細な内容について、判断を下そうとしているのではない。アフガニスタンの現状と将来起こりうる事態について、お互いの懸念を理解したことに満足している」と述べた。(ロイター)
米に空港使用容認、対アフガン武力行使に反対=ウズベキスタン大統領


 [タシケント(ウズベキスタン) 5日 ロイター] ウズベキスタンのカリモフ大統領は、米国がアフガニスタン国内で活動する際には、ウズベキスタンの軍用飛行場1カ所の使用を容認する、と述べた。ただ、この使用は人道目的の活動、もしくは捜索・救助活動に限定するという。
 カリモフ大統領はまた、隣国アフガニスタンに対するあらゆる武力行使に対して同国は反対する、と述べ、米国の特殊部隊がウズベキスタンを経由して展開することは容認しない、と語った。
 ラムズフェルド米国防長官との共同記者会見で述べたもの。(ロイター)
<アフガン軍事行動>「作戦開始の決定、数週間後に」 仏国防相

 【パリ福島良典】6日付仏紙ルモンドによると、リシャール仏国防相は対アフガニスタン軍事行動について「作戦開始の決定は下されておらず、参加国の数も決まっていない。それが分かるのは数週間後だろう」との見通しを示した。

 仏軍はフリゲートと補給艦の2隻を米軍の後方支援に投入する。仏原子力空母「シャルル・ドゴール」は7月から修理中だが、国防相は4日、ラジオ・インタビューで「シャルル・ドゴールは数週間以内に配備される。現在の(アフガンをめぐる)危機も数週間では終わらない」と述べ、空母の作戦参加の可能性を示唆した。(毎日新聞)
<米同時テロ>「実行犯のアフガン渡航記録を入手」 米タイム誌

 米週刊誌タイムの電子版は5日、米中枢同時テロとウサマ・ビンラディン氏の組織アルカイダを結びつける最大の証拠として、米中央情報局(CIA)が実行犯のアフガニスタン渡航記録などを入手していると報じた。情報当局者の話として伝えた。

 ニューヨークの世界貿易センタービルに突入した旅客機を乗っ取り、犯人のリーダー格とされるモハメッド・アタ容疑者ら実行犯数人が、アフガニスタンのアルカイダのキャンプを訪れたことが、渡航記録や送金記録などで確認されたという。訪問は99年末ごろとみられる。

 当局者は、アタ容疑者がキャンプでアルカイダの幹部と会談し、相手はビンラディン氏の副官アイマン・ザワヒリ氏とみられると指摘した。

 米政府が同盟国に提示したビンラディン氏の事件関与を示す証拠は、事件直前の電話記録などを含むとされる。だが、同誌はアタ容疑者らの渡航記録が「最も決定的な証拠」と指摘。各国がビンラディン氏の関与を認めた大きな要因としている。(ニューヨーク共同)(毎日新聞)
<人道支援>アフガン国民に2億フランを決定 仏国際協力相

 フランスのジョスラン国際協力・フランス語圏担当相は5日、仏ラジオなどのインタビューで、アフガニスタン国民に対する約2億フラン(約34億円)の人道支援を決めたと述べた。アフガン各地への食糧配給援助と現地で活動する非政府組織(NGO)、国際機関に対する支援にあてられる。(毎日新聞)