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【02/04/23 (火) 】

聖誕教会包囲問題で初協議 解決の可能性も
緒方貞子氏らジェニン調査団の陣容発表 国連事務総長
ジェニンでイスラエル軍が民間人殺傷 アムネスティ調査
米国務次官補がアラファト議長と会談
自治区ガザで銃撃戦、パレスチナ人5人死亡

欧州諸国、「ルペンつぶし」を期待 仏大統領選
反ルペン・デモ各地で続く フランス
アフガン治安部隊の指揮権、6月にトルコへ

かまぼこ食べて首都圏の64人が食中毒
「妻の同意あった」主治医弁護士が反論 「安楽死」問題
ヒト「万能細胞」からの血管づくりにゴーサイン 京大
福島県、全国初の核燃料重量税を新設 東電は猛反発
テレ朝の広瀬道貞社長も反対表明 メディア規制3法案
大阪高検前部長、暴力団組長とマンション売り戻す契約
前公安部長が落札後も組事務所に使用 口座に振り込みも
高度医療の82病院で「重篤」な医療事故387件
日本製紙と大昭和製紙の合併、正式発表
三菱ウェルファーマ、血液製剤事業を分社化へ
経営者4割が失業率6%台覚悟 景気100社アンケート
郵政2法案、自民党の事前承認抜きでも国会提出へ
元経団連会長の斎藤英四郎氏死去

聖誕教会包囲問題で初協議 解決の可能性も

 イスラエル軍放送によると、ヨルダン川西岸ベツレヘムの聖誕教会のパレスチナ人立てこもり問題の打開をはかるイスラエル軍とパレスチナ側の初めての協議が23日午後、ベツレヘム市内で行われた。アラファト議長がパレスチナ協議団に問題解決のために全力を尽くすよう指示しているとされ、解決に動く可能性も出ている。

 今月2日からパレスチナ人200人以上が立てこもり、軍が包囲している。中には宗教者や民間人とともに約30人の武装勢力がいるとされ、イスラエルは投降を求めている。


 教会内には重傷者を含む数人のけが人がおり、食料なども底をついているといわれる。23日午前中にアルメニア人修道士3人が屋根に上って脱出した。22日夕には、イスラエル軍と教会内のパレスチナ側の間で激しい銃撃戦があるなど、緊張が高まっている。(21:11)

欧州諸国、「ルペンつぶし」を期待 仏大統領選

 極右「国民戦線」のルペン党首が仏大統領選第1回投票に勝ち残ったことに対して、欧州諸国や欧州連合(EU)に怒りと困惑が広がり続けている。9月に総選挙を控えるドイツのシュレーダー首相は22日「ルペン氏に力を与えないことが欧州民主主義の利益だ」と表明。スペイン中道右派政権のピケ外相は「仏国民は決選投票で民主主義を再確認するだろう」と、ルペン氏つぶしへの期待を表明した。

 英首相府も「仏国民が過激主義を拒絶することを疑わない」との声明を発表。スウェーデンのペーション首相は「すべての民主主義国は極右と排外主義に対して団結を」と呼びかけた。

 EUの影響力拡大が国内政治への関心を失わせ、結果的に反EU、排外主義を掲げる極右の伸張を許したという指摘について、プロディ欧州委員長は「人々とEUの距離を縮めるため、民主主義的なやり方で欧州を再構築していく」と述べた。

 欧州各国が強い反応を示す背景には、移民排斥を主張する小政党に一定の支持が集まるという、共通の事情があるためだ。オーストリアの極右、自由党のハイダー前党首は、ルペン氏の勝利が移民問題に対する欧州の空気の変化を示すものだと位置付けた。


 また、ジョスパン仏首相と冷却した関係を続けてきたベルルスコーニ伊首相は「仏社会党は自分たちが直面している問題を理解できなかった」とし、欧州政治の流れが「右」に振れていることを示す選挙だったとの見方を強調した。(20:18)

反ルペン・デモ各地で続く フランス

 大統領選挙で極右政党、国民戦線のルペン党首が決選投票に進むことになったフランスで、反対デモが続いている。22日夜から23日朝にかけては、各地で高校生ら若者たちが街頭に繰り出した。

 報道によると、パリをはじめストラスブールやマルセイユなどの都市で計約10万人が参加した。パリでは、バスチーユ広場などに約1万人が集まった。デモ終了後も残った参加者の一部が火炎瓶などを投げて暴れ、機動隊との衝突も起きた。


 世論調査によると、投票率が最も低かったのは18歳から24歳の若者層。選挙を軽く考えた結果、手遅れになってからデモをしている若者も少なくないようだ。(19:48)
アフガン治安部隊の指揮権、6月にトルコへ

 フーン英国防相はこのほど、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)の指揮権が6月に、英からトルコへ引き継がれるとの見通しを議会に示した。トルコ軍指揮下のISAFに対し、米英や北大西洋条約機構(NATO)が全面的な協力を約束、リーダー交代の環境を整えた。

 国防相によると、トルコのエジェビット首相は今月初め、アンカラを訪れたアフガン暫定政権のカルザイ議長(首相)に、ISAFを率いる意思を伝えた。英国に対しても、6月交代は可能との見通しを示したとみられる。

 多国籍部隊の指揮に関して、トルコは懸念も示唆してきた。まず、十分な資金や装備を用意できるか。また、ISAFの展開をカブールから地方へ広げるとなれば、業務が格段に難しくなる、といった不安だ。

 これに対しては、欧米が支援を約束。さらに、国連安全保障理事会の常任理事国である米英仏が「ISAFの拡張は当面考えていない」と請け負い、説得した模様だ。

 一方、NATOのロバートソン事務総長は今月、ワシントンで講演し、トルコが指揮権を引き継いだ後、ISAFの作戦立案などを支援する意向を明らかにした。通常、欧州の防衛計画に携わる欧州連合軍最高司令部(SHAPE)の参謀たちを動員し、寄り合い部隊をまとめるのに苦労しそうなトルコ軍を手助けする考えだ。NATO側には、昨年以来の「対テロ戦争」で希薄だった存在感を高める狙いもある。


 英軍は当初、ISAFの指揮を2月下旬まで執る予定だった。しかし、後任として想定したトルコの準備が進まないなどの事情で、4月末まで任期を延長。今後、さらに2カ月をかけ、トルコへの引き継ぎを進める計画だ。(13:37)

緒方貞子氏らジェニン調査団の陣容発表 国連事務総長

 アナン国連事務総長は22日午後(日本時間23日未明)、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンで、イスラエル軍による住民虐殺があったかどうかを調べる国連現地調査団の陣容を発表した。団長は国連の様々な活動に携わってきたアハティサーリ元フィンランド大統領で、ほかに緒方貞子前国連難民高等弁務官ら4人が加わる。現地入りは近日中の予定。

 ほかのメンバーは(1)コーニリアス・ソマルガ氏(前赤十字国際委員会委員長)(2)ビル・ナッシュ氏(軍事アドバイザー)(3)ピーター・フィッシャー氏(警察アドバイザー)

 アナン氏は緒方氏が加わることについて「難民高等弁務官時代の業績は素晴らしく、今回も様々な貢献を期待している」と語った。


 調査団の派遣は安全保障理事会の決議に基づくもので、イスラエル政府は国連に対し調査団受け入れを表明している。しかし、ラーセン中東特使ら複数の国連高官については「パレスチナ寄り」だとして調査団に含むことを拒否する姿勢を見せており、国連側の対応が注目されていた。(01:28)
ジェニンでイスラエル軍が民間人殺傷 アムネスティ調査

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部・ロンドン)は22日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンでイスラエル軍が非戦闘員多数を殺傷し、戦争犯罪に関与した可能性があるとする調査結果を公表した。その上で、国連が設けた旧ユーゴスラビア戦犯法廷の例にならい、真相を解明する必要があると訴えた。

 アムネスティに派遣され、先週現地入りした英ダンディ大学のデリク・パウンダー教授(解剖学)は記者会見で、「イスラエル軍が民間人も狙って攻撃した証拠がある」と述べた。ジェニンの病院へ運び込まれた遺体を見たところ、サンダル履きの52歳の男性が胸を撃たれ死亡するなど、明らかに武装組織と無関係な犠牲者が見られたという。病院に置かれた21遺体の中には、女性3人も含まれていた。


 同教授らは「攻撃の規模から見て、発見された死体が少なすぎる。特に、負傷した民間人の所在をイスラエル当局は明らかにすべきだ」と語った。また、解剖学的な所見を積み重ねて犠牲者の死因を解明し、国際法廷で責任を追及する可能性を検討するよう提唱した。(00:09)


米国務次官補がアラファト議長と会談

 バーンズ米国務次官補(中東担当)は22日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラで、イスラエル軍によって議長府に監禁されているアラファト自治政府議長と会談した。イスラエル放送によると、国務次官補は23日にイスラエルのペレス外相と会談して帰国する予定。

 イスラエルのシャロン首相は現段階での軍事作戦終了を宣言し、軍は21日に西岸の大半から撤退した。しかし、テロ容疑者をかくまっているとする議長府と自治区ベツレヘムの聖誕教会周辺は包囲を解いていない。国務次官補は、これらの問題について両者と協議し、パウエル米国務長官による停戦調停再開への地ならしを図ると見られる。


(20:18)

自治区ガザで銃撃戦、パレスチナ人5人死亡

 パレスチナ自治区ガザにあるユダヤ人入植地で21日夜から22日朝にかけて、警備にあたるイスラエル軍とパレスチナ人の間で銃撃戦があり、イスラエル放送によるとパレスチナ人5人が死亡した。


 ガザ中部クファルダロム入植地付近では、パレスチナ自治警察官2人がイスラエル軍に撃たれて死亡した。イスラエル軍は、自治政府のアラファト議長が率いるファタハの武装部門アルアクサー殉教者軍団のメンバーだとしている。また、北部のネツァリムなどの入植地でも、近づいてきたパレスチナ人3人がイスラエル兵士に撃たれて死亡した。(19:57)

かまぼこ食べて首都圏の64人が食中毒

 神奈川県衛生部は23日、同県南足柄市のかまぼこ製造業「美濃屋吉兵衛商店」(鈴木守社長)の板付きかまぼこを食べた東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に住む1歳から83歳までの64人が下痢や発熱など食中毒症状を訴え、このうち男性(17)1人が入院した、と発表した。男性は快方に向かっている。

 患者の便や残っていたかまぼこからサルモネラが検出されたことから、同部は食中毒と断定。同社を23日から3日間の営業停止処分にした。


 かまぼこは、都内にある食品会社が13日に開いた記念祝賀会でおみやげとして配ったという。(22:44)

「妻の同意あった」主治医弁護士が反論 「安楽死」問題

 川崎市の川崎協同病院で、意識不明の患者の主治医が呼吸を補うための気管内チューブを抜き、筋弛緩(しかん)剤を投与したとされる「安楽死」事件で、主治医側の弁護団が23日、記者会見した。「チューブを抜いたのは家族の希望だった」と説明した。患者の死亡を前提に治療を中止したことの是非については、明言を避けた。患者の長男は、これまで「主治医からの説明はなかった」と話している。

 弁護士の説明によると、主治医は事件のあった当日の98年11月16日、呼吸状態をみるために一度、患者の口から気管チューブを抜いた。ところが、患者が苦しんだため再び挿管。それを見ていた患者の妻が「(チューブを)抜いてください」と申し入れたという。

 主治医は「チューブを抜くと最期になってしまう。ご家族の(意思の)確認が必要」と答え、その日の夕方、親族を集めて妻と患者の息子2人に説明した。質問や異議が出なかったので午後6時過ぎにチューブを抜いたが、患者が苦しんだため、その処置として鎮静剤や筋弛緩剤を投与、患者は死亡したという。

 患者の入院後、家族は病院側に患者の容体や、介護の人手などについて不安をもらしていた。主治医は家族に「九分九厘、脳死状態でしょう。植物状態となり安定すれば、いったん退院することもあり得る」などと説明したが、その後、患者は自発呼吸を続けている。

 これら一連の主治医の行為は、カルテや看護記録に記載されているという。

 主治医が患者を回復不能と判断した根拠については、入院後の意識の状態や呼吸などをみたうえでの診断、とした。チューブの抜管については他の医師の意見を求めず、主治医が単独で判断したという。

 治療中止が法的に問題がなかったかについて、弁護士は「詳細な事実関係が分からないと回答出来ない」と明言を避けたものの、「家族にとっては大変重い決断で、究極の選択。それを受けて主治医のやむにやまれぬ決断だった」と強調した。


 たとえ家族が延命を望んでいなかったとしても、安楽死が許される要件として東海大病院安楽死事件判決で横浜地裁が95年に示した「患者本人の意思がある」などの4要件は満たしていない。(21:34)
ヒト「万能細胞」からの血管づくりにゴーサイン 京大

 あらゆる組織の細胞になる能力をもつヒト胚性(はいせい)幹(ES)細胞を使って血管を作り出す京都大学の研究計画が23日、文部科学省の専門委員会で認められた。これを受け、京大は来月にもES細胞を輸入し、研究を始める方針だ。国内では、人体組織をES細胞から作る計画の第1号となる。

 信州大も心筋づくりなどの計画を申請していたが、動物実験が不十分などの指摘があり継続審議となった。

 別の京大チームによるヒトES細胞づくりに続き、今回の計画が承認されたことで、傷ついた組織の修復をめざす再生医療研究にはずみがつきそうだ。

 計画によると、京大大学院の中尾一和教授(内科)らが、オーストラリアで作られたヒトES細胞を輸入し、血管を効率よく作る方法を探る。

 ヒトES細胞は生命の芽である受精卵を壊して作る貴重なものなので、むだに使われないように専門委員会は厳しく審査する。中尾教授らは世界に先駆けてマウスのES細胞で血管を作るなど十分な成果を上げており、ヒトES細胞を使う「科学的妥当性」があると判断された。

 京大チームによると、米国やオーストラリアではすでにこの種の研究が進められているが、血管での成功報告はない。

 また、使用予定の輸入ES細胞は、受精卵の提供者から適切なインフォームド・コンセント(十分な説明をした上での同意)を得て作られたものであることが確認され、「問題はない」とされた。

 京大の申請に含まれていた田辺製薬との共同研究(ES細胞の培養)については、田辺側の申請に基づいて今後議論する。


 文部科学相は委員会の報告を受け、計画がES細胞研究指針に合っていることを確認し、近く京大に通知する。(19:51)

福島県、全国初の核燃料重量税を新設 東電は猛反発

 福島県は23日、原子力発電所用核燃料の購入価格に課す核燃料税(法定外普通税)を現行の7%から10%に引き上げるとともに、核燃料1キロ当たり1万1000円を課税する重量税を新設する方針を明らかにした。電力会社に対する核燃料税は11道県で設けられているが、核燃料の重量に対する課税は全国初。原発を抱える他の各道県の税制にも影響を与えそうだ。

 これらの課税が実施されると、税額は核燃料購入価格の約16%に相当する。核燃料税は5年ごとに更新されており、県の試算によると、今年度から5年で130億円余りの増収となる見込み。


 県内で原発を10基運転している東京電力は「税率が2倍以上になる。到底受け入れられない」と猛反発している。一方、佐藤栄佐久知事は同日の記者会見で「茨城県東海村の臨界事故以来、防災対策をしっかりやらないといけなくなっている」と指摘。原子力災害に備えるためには必要不可欠との認識を示した。(19:10)

テレ朝の広瀬道貞社長も反対表明 メディア規制3法案

 テレビ朝日の広瀬道貞社長は23日の定例会見で、個人情報保護法案などのいわゆる「メディア規制3法案」について、「報道機関が必要な取材ができなくなる恐れがある。(これまでの取材手法について)我々が自ら反省すべき点はあるが、表現の自由、憲法にかかわることでもあり、新聞とも連携してあくまで反対を貫いていく」と語り、前日の氏家斉一郎・日本テレビ会長(民放連会長)に続き、法案に反対の姿勢を示した。


大阪高検前部長、暴力団組長とマンション売り戻す契約

 マンション購入をめぐる詐欺容疑などで逮捕された大阪高検前公安部長の三井環容疑者(57)は、共犯容疑で逮捕された山口組系暴力団組長の亀谷直人容疑者(55)との間で、亀谷容疑者側から1651万円で購入したマンションを2000万円で同容疑者に買い戻させる内容の契約を結んでいたことが23日、わかった。また、同様に逮捕された暴力団関係者が「三井前部長に女性を紹介して欲しいと頼まれた」と供述していることも判明し、大阪地検特捜部は裏づけを進めている。

 調べによると、亀谷容疑者は神戸市中央区のマンションの部屋を組事務所として使っていた。ここは親族名義になっていたが、抵当権を設定していたノンバンクの申し立てで、神戸地裁が96年に競売開始を決定した。三井前部長は昨年2月、この物件を落札した。前部長は、その後も組事務所として使い続けていた亀谷容疑者に買い戻させる契約を交わし、契約書も残っていた。

 ところが、亀谷容疑者から振り込みがなかったため、契約は履行されなかった。

 三井前部長は同11月、亀谷容疑者の売買交渉の代理人で、詐欺などの共犯で逮捕された暴力団組員の渡真利忠光容疑者(40)の前科調書を取り寄せている。特捜部は、前部長が亀谷容疑者側に支払いを促すのに使う目的だった疑いもあるとみている。

 また、三井前部長は神戸市内の高級クラブなどで少なくとも十数回、渡真利容疑者から接待を受けていたという。

 暴力団関係者は特捜部の調べに対し、「女性の紹介を頼まれた。前部長は、ホテルで女性と会った」などと供述しているという。

 こうした度重なる接待や便宜は、亀谷容疑者らがマンションに居住し続けたいために買い戻し交渉を有利に進めたかったためだったと、特捜部はみている。


 三井前部長の口座にはマンションの取得後、亀谷容疑者側から数十万円が振り込まれた。特捜部は、所有権移転に伴って前部長が払う登録免許税や登記費用にあたるものではないかとみており、買い戻し契約との関連も調べる。(17:02)


高度医療の82病院で「重篤」な医療事故387件

 大学病院など高度な医療を担うと認定された全国82の特定機能病院で、00年4月から今年2月までの約2年間に院内の安全管理委員会に報告された医療事故が計1万5000件に上ることが23日、厚生労働省のまとめでわかった。注射液を過量投与したり、酸素ボンベと炭酸ガスボンベを間違えたりした「重篤な事例」が387件あった。医療事故などの同委員会への報告状況が明らかになるのは初めて。

 厚労省は82病院に、安全管理委員会の開催回数▽医療事故件数▽患者に重い被害が出た「重篤な事例」の件数▽間違いをしたが患者に悪影響が出なかったか、事前に間違いに気づいた「ニアミス」件数−−について報告を求めた。事故かどうかや「重篤な事例」「ニアミス」の判断は病院側に任されている。

 厚労省は「件数が多いことは、ミスを積極的に報告し、医療事故防止に真剣に取り組んでいるともいえる」としている。

 報告された医療事故件数の合計は1万5003件。最多が北里大学病院の2926件で、1000件以上がほかに2病院あった。一方、旭川医科大病院、浜松医科大病院がゼロとするなど、事故の認定に病院間で違いがあることをうかがわせた。

 「重篤な事例」では、「注射液の過量投与による心肺停止」(東京慈恵会医科大病院)や「薬剤の気管への誤注入」(東京大病院)、「筋肉注射すべき薬剤を静脈注射した」(和歌山県立医科大病院)、「異型輸血」(三重大病院)など、薬剤の誤投与が目立った。また、「手術後、病棟に搬送する途中、誤って酸素ボンベを炭酸ガスボンベに交換した」(兵庫医科大病院)、「左ひざの内側半月板損傷手術で左右を取り違えた」(杏林大病院)などもあった。このほか、体内へのガーゼなどの置き忘れ、ベッドからの転落、トイレでの転倒も複数あった。

 「ニアミス」件数は18万6529件(一部事故件数も含む)。最多の9197件(大阪市立大病院)をはじめ、5千件以上が7病院。最少は288件(日本大学板橋病院)だった。慶応大学病院は483件で、事故件数799件より少なかった。

 厚労省は安全管理委員会を「月1回程度」開催するよう指導しているが、10回以下が6病院あった。最多が大阪大病院の377回で、次いで東京医科歯科大病院の62回。最も少ないのは京都府立医科大病院の3回で、福島県立医科大病院(4回)、東海大病院、福岡大病院(7回)、北海道大病院、鳥取大病院(8回)と続いた。

 特定機能病院は、00年4月に医療事故などの安全管理委員会への報告が義務づけられたが、国への報告は義務づけられていない。3月に阿部知子氏(社民党)から質問主意書が衆院議長に提出され、厚労省は文部科学省とともに82病院すべてに報告を求めて集計。23日、答弁書を衆院議長に提出した。


 坂口力厚労相は閣議後の会見で「単純なミスで命にかかわるようなことが起きることは絶対に認められない」と語った。(11:02)

前公安部長が落札後も組事務所に使用 口座に振り込みも

 マンション購入をめぐる詐欺などの疑いで逮捕された大阪高検の前公安部長、三井環(たまき)容疑者(57)は、高知、愛媛、岡山、兵庫、大阪など5府県以上でマンションの部屋など不動産16件を所有し、これまでに家賃で少なくとも500万円の収入を得ていたことが22日、大阪地検特捜部の調べでわかった。また、事件の舞台となった神戸市中央区のマンションは前部長が落札した後も、神戸市の山口組系暴力団組長亀谷直人容疑者(55)が組事務所として使い、組長側から前部長の口座に数十万円を振り込んでいた。

 特捜部は、前部長が所有する不動産からの賃貸収入による所得を申告していない可能性もあるとみて調べを進める。

 調べによると、所有する16件の大半は競売物件で、前部長が検事として赴任した土地にあるものが多いという。

 前部長は松山市出身で高知地検次席検事になった88年ごろから競売物件の取得を始め、これまで十数年間にわたって転売したり賃貸ししたりしていたという。

 また特捜部は、亀谷容疑者ら3人の組関係者を共犯の疑いで逮捕した。調べでは、三井前部長は昨年、それまで亀谷容疑者の親族名義だった同マンションを1651万円で落札した。同マンションは組事務所として使われ、前部長が昨年7月に神戸市中央区役所にこのマンションへの転入届を出した後も、今年初めまで亀谷容疑者が住み続けていたという。前部長は、このマンションに住まなかったのに、住んだ場合に適用される登録免許税の軽減47万5400円を受けた。

 調べに対し三井前部長は「住むつもりだった」「いずれ弁護士事務所として使うつもりだった」などと供述しているという。

 三井前部長の口座には同マンションの取得後、亀谷容疑者側から現金数十万円が振り込まれた。特捜部は、所有権移転に伴って本来は前部長が払うべき登録免許税や登記費用でないかとみて調べる。


 また、前部長は昨年2月以降、大阪高検の公安部長室で、亀谷容疑者の代理人を務めていた組員の渡真利忠光容疑者(40)=共犯容疑で逮捕=と数回会っていた。神戸市のクラブでも複数回、接待を受けていたこともわかった。(00:27)

日本製紙と大昭和製紙の合併、正式発表

 製紙大手の日本製紙と大昭和製紙を抱える持ち株会社、日本ユニパックホールディングは23日、印刷用紙などの洋紙事業を再編するため来年4月1日に両社と販売会社の3社が合併し、新「日本製紙」を設立すると正式発表した。段ボールの原紙となる板紙事業でも、「日本大昭和板紙」を設立。製造と販売部門を一体化する。日本ユニパックの新社長に三好孝彦・現日本製紙社長が昇格する人事も内定した。

 昨春に事業統合し、洋紙、板紙ともに販売部門では統合が進んでいた。遅れていた製造部門の統合に踏み切り、洋紙と板紙をそれぞれ一つの会社の傘下に置いて管理費や物流費などを削減する。


 洋紙事業では、日本製紙と大昭和製紙の合併で製造部門を一体化。板紙事業では、日本板紙(東証1部上場)と販売会社を合併し、その下に生産子会社として日本板紙の4工場と大昭和製紙の製造部門の一部、日本製紙グループの東北製紙(秋田市)を置く。(20:20)

三菱ウェルファーマ、血液製剤事業を分社化へ

 旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)が製造・販売した血液製剤フィブリノゲンがC型肝炎を引き起こしたとされる問題で、三菱ウェルファーマは23日、血液製剤事業を分社化し、他の製薬メーカーの資本参加をあおぐ方針を固めた。すでに国内外数社に資本参加を打診している。薬害エイズ事件に続いてC型肝炎も社会問題化し、単独では事業リスクを担えないと判断した。

 人間の血液を使う血液製剤事業には、未知のウイルスが混入して薬害を起こす危険性がつきまとう。このため、三菱ウ社は血液製剤事業を他社に売却することを探っていた。だが、フィブリノゲン被害の表面化で売却は難しいと判断。いったん分社化した後に資本参加を求める方針に転換した。新会社は6月の株主総会で承認を得て、10月をめどに設立する。


 三菱ウ社の血液製剤事業の売上高は、総売上高の2割、約450億円。このうちフィブリノゲンの売上高は1000万円前後とされる。フィブリノゲンは旧ミドリ十字が最も多く販売した86年度売上高は4億5000万円だった。(15:11)

経営者4割が失業率6%台覚悟 景気100社アンケート

 景気の底入れ感にもかかわらず、産業界が経営のスリム化・効率化に向けたリストラを一段と強めていることが、朝日新聞社の主要100社景気アンケート調査でわかった。主要企業の経営者の4割が今年、完全失業率が6%台に乗ると予測しており、厳しい雇用情勢が当分続きそうだ。

 調査によると、約5割の企業が従業員の過剰感を持ち、なんらかの雇用調整をしている。採用の凍結・削減、賃金カットなどのほか、2割近くが希望退職を募っている。雇用調整の理由は「価格低下、販売減」(山本一元・旭化成社長)や「売り上げ、市況の低迷に伴う業績悪化」(鮫島章男・太平洋セメント社長)で、やはりデフレが背景だ。

 さらに「市場ニーズへの対応」(高谷卓・富士通副社長)、「事業構造改革に伴う余裕人員」(石津進也・旭硝子社長)、「世界的競争にさらされている繊維部門の一部縮小」(岡田勲・東洋紡専務)など、産業構造転換への要請がリストラに拍車をかける。「競争本格化への対応」(南直哉・東京電力社長)と、地域独占を続けてきた業界も例外ではない。


 今年度の従業員を「増やす」企業は6社だけで、「減らす」が48社にのぼる。02年度の失業率の見通しも、現状の「5%台」が53社、「悪化し6%台(超)」が42社と、厳しい。「有効求人倍率が落ちており、1年ずれて失業率が上がるだろう」(藤木保彦・オリックス社長)、「成熟経済としては常時このぐらい出るのでは」(岡田東洋紡専務)など、淡々と受け止めている経営者も少なくない。(22:21)

郵政2法案、自民党の事前承認抜きでも国会提出へ

 小泉首相は22日、今国会の最重要課題とする郵政2法案を自民党の事前承認手続き抜きでも26日に閣議決定し、国会に提出することを決めた。郵便事業の民間参入に反発する自民党郵政族も今後党内議論を続けることを条件に提出については受け入れる。法案提出後も党内手続きが続くため、審議日程がずれ込み、今国会で一括成立できない可能性も出てきた。

 郵政2法案は、03年4月に「日本郵政公社」を発足させる郵政公社法案と、郵便事業への民間企業の全面参入を認める信書便法案。首相は郵便事業への民間参入を将来の郵政3事業民営化につなげる構想を描いてきた。

 これに対し、自民党総務部会は「民間参入を認めれば、競争で公社経営が苦しくなり全国一律のサービスが崩れる」と反発。同部会幹部や郵政相経験者らの22日の会合で、23日の部会でも法案を承認せず、提出されても党内論議を続ける方針を確認した。

 こうした情勢を踏まえ、首相は22日の党役員会で「26日には閣議決定させてもらう」と明言。この後、山崎拓幹事長と官邸で会談し、党の事前承認がなくても法案を提出することで合意した。

 山崎氏は会談後、「(党の)了承は得られなくても政府に提出権があることは確認するまでもない。(出すかどうかは)政治決断だ」と記者団に語った。一方で、「内容の了承が得られないので、法案の取り扱いについて協議する」とも述べ、党内手続きが終了するまでの審議見送りや、反発が強い信書便法案の切り離し審議などの可能性も示唆した。


 党の承認抜きで法案が提出されれば、政策決定の一元化論議にも影響を与えそうだ。(03:03)

元経団連会長の斎藤英四郎氏死去

 経団連名誉会長(元会長)で新日本製鉄名誉会長の斎藤英四郎(さいとう・えいしろう)氏は22日午前4時11分、心不全のため、東京都内の病院で死去した。90歳。通夜、密葬は近親者のみで行う。喪主は未定。お別れの会を開くが、日取りは未定。自宅は東京都渋谷区広尾4の1の18の808。連絡先は東京都千代田区大手町2の6の3の新日鉄総務部。


 三菱鉱業を経て1941年に新日鉄の前身の日本製鉄に入社。新日鉄の副社長だった77年、富士製鉄出身の社長が急逝したため、後任の社長に昇格、81年に会長に就いた。86年5月、同じ新日鉄出身の稲山嘉寛・経団連会長の推薦で、第6代の経団連会長に就任。90年12月まで務めた。翌年から長野オリンピック冬季競技大会組織委員会会長を務めた。(19:30)