パウエル・シャロン3回目の会談 仲介工作ヤマ場に
「イスラエル軍の撤退は不十分」 EU・ロシア外相
記者の目前、戦車が威嚇射撃 ジェニン難民キャンプ
撤退を確約 イスラエル首相、米大統領と電話会談で
イスラエル軍、トルカレムに侵攻
シャロン首相、自治区の激戦地から一部撤退を表明
中東和平会議へのEUの参加要求 EU外相理事会
イスラエル軍がファタハ事務局長を逮捕 現地報道
米英軍、アフガンで新作戦「ターミガン」開始
イタリアで3大労組がゼネスト入り
シャナナ・グスマオ氏が大勝 東ティモール大統領選
台湾、60年代に小型核兵器で中国攻撃を検討
有事関連3法案制定に反対運動
「天狗裁判」で原告263人が追加提訴
住金の偽造株券見つかる 90年発見と同一の可能性
精神病新薬に重大な副作用 2人が死亡
NTT新首脳人事固まる
羽田再拡張、3工法を検討 最安で5300億円の工費
GEキャピタル、7千人を削減へ
NTT社長に和田紀夫氏
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パウエル・シャロン3回目の会談 仲介工作ヤマ場に
パウエル米国務長官は16日、パレスチナ紛争の収拾に向けてイスラエルのシャロン首相との3度目の会談を行った。イスラエル軍の一部撤退を表明した首相に全面撤退を促し、「中東和平会議」構想についても意見を交わす。17日に2度目の会談を予定しているアラファト・パレスチナ自治政府議長とは、停戦に向けた共同声明を発表する方向で調整中だ。長官は17日にエジプト経由で米国に帰国する意向で、仲介はヤマ場を迎えている。
パウエル長官は会談に先立ち、「前進していると思う。これからの24時間でさらなる進展を期待している」と記者団に述べた。
米政府筋によると、17日のパウエル・アラファト会談では、アラビア語と英語の「声明」を発表する方向で詰めている。AP通信によると、「停戦」という言葉は盛り込まれないが、「敵対関係の中止」には触れる見込みという。パレスチナ情勢が危機的状況から脱却しようとしていることを印象づける効果は期待できるものとみられる。
16日のパウエル・シャロン会談では、イスラエル軍のパレスチナ自治区からの「遅滞なき撤退」(ブッシュ米大統領)をパウエル長官があらためて促す。シャロン首相が提案した中東和平会議については、長官が「閣僚級」での開催を呼びかけたことについて理解を求める方針だ。
中東和平会議については、「対テロ」を前面に掲げてアラファト議長の排除をもくろむイスラエルと、パレスチナ国家の樹立に向けてアブドラ・サウジアラビア皇太子の包括和平案を協議する場を想定する自治政府、アラブ諸国のいずれもが、開催自体を否定してはいない。このため米国は、アラブ諸国の一部とすでに調整を始めている。(22:24)
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「イスラエル軍の撤退は不十分」 EU・ロシア外相
欧州連合(EU)外相理事会は16日、ロシアのイワノフ外相と中東情勢について協議、パレスチナ自治区からのイスラエル軍の撤退計画は不十分との認識で一致した。ヨルダン川西岸のジェニンやナブルスからの即時撤退が行われないことへの不満を表明したものだ。
イワノフ外相は記者会見で、パウエル米国務長官による調停工作について「双方がこの機会を逃さないでほしい」と語った。シャロン首相の提唱する中東和平会議については「反対ではないが、軍の即時撤退を求めた国連決議実行への関心が弱まってはならない」と述べた。
EU議長国スペインのピケ外相は「正しい方向へ進展しているが、不十分だ」と語り、全面撤退の早期実現を求めた。(22:02)
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米英軍、アフガンで新作戦「ターミガン」開始
アフガニスタンに駐留している米英両軍は16日、数日前から同国東部で、アフガンの地元部隊とともに、タリバーンとアルカイダの残存勢力を掃討するための新たな作戦行動を行っていることを明らかにした。AP通信などが伝えた。
全体の兵力規模は明らかではないが、英軍の規模は数百人という。
新しい作戦は、3月に東部のパクティア州で米軍主体で行った「アナコンダ」作戦以来の大規模な作戦で、英国防省によると、「ターミガン(ライチョウ)」作戦と名付けられた。82年のフォークランド戦争以来の戦闘行動という英海兵隊が参加している。(22:01)
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イタリアで3大労組がゼネスト入り
イタリアの3大労働組合は16日朝から、全国一斉に8時間のゼネラルストライキに入った。政府が進めようとする雇用制度改革への反対を掲げるもので、同じ規模のゼネストは20年ぶり。政府も今のところ譲歩する様子はなく、労働争議が長引く恐れも出ている。
ゼネスト入りしたイタリア労働総同盟(CGIL)など3大労組の組合員は計約1000万人。鉄道など公共交通機関の多くが運休、空の便も国内線を中心に大幅に乱れた。学校や銀行、市役所なども閉まった。
改革の焦点は労働法18条の修正だ。現行法は、正当な理由なしに解雇された労働者に再雇用を求める権利を認めている。しかし政府は、会社が補償金を払えば容易にリストラできるよう変更しようとしている。
「硬直化した労働市場に流動性をもたらし、国際競争力を強める」というのが政府の説明だが、労組側は「労働者の権利を奪い、失業率を高めるだけだ」と真っ向から反対している。
ローマでは先月23日にも雇用制度改革に反対する100万人規模のデモがあった。しかし複数の世論調査によると、ベルルスコーニ政権は50%近い支持率を保っているため強気の姿勢だ。ゼネスト後はCGIL以外の穏健派2労組との交渉を優先させ、労組の共闘態勢を切り崩す作戦に出る可能性がある。(20:55)
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シャナナ・グスマオ氏が大勝 東ティモール大統領選
5月20日に独立する東ティモールの大統領選は16日、独立運動の最高指導者シャナナ・グスマオ氏(55)が、8割前後の得票率で当選を決めた。住民は、独立後の民主主義確立と住民和解の支柱となる指導者に厚い信任を与えた。憲法上の制約や最大政党、東ティモール独立革命戦線(フレティリン)との確執から、国のかじ取りは容易ではないが、グスマオ氏は住民の支持を背景に大きな発言力を得たといえる。
独立選挙委員会によると、同日午後7時(日本時間同)現在で、13県のうち中心都市ディリを含む12県の開票が終わった。投票総数37万8538票(投票率86・2%)のうち、33万6965票(有効32万5151票)分の結果が出ており、グスマオ氏の得票率は有効投票の約82%だった。対立候補の初期独立運動指導者、ザビエル・ドアマラル氏(65)の得票率は約18%にとどまった。
最終結果は17日正午に確定し、その後、グスマオ氏が勝利宣言する予定。大統領は5月20日に就任し、任期は5年。
制憲議会で88議席のうちの55議席を握るフレティリンは、グスマオ氏との路線対立から不支持を表明。一部では住民に対する選挙妨害の情報もあったが、選挙結果には大きな影響はなかった。
グスマオ氏は地元紙記者などを経て、インドネシアの侵攻を受けた75年から独立運動に参加。ゲリラ組織の司令官に就任し、後に東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)議長などを務めた。特定の党に偏らない挙国一致の運動を進め、住民のカリスマ的な支持を受けている。(20:17)
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記者の目前、戦車が威嚇射撃 ジェニン難民キャンプ
イスラエル軍の大規模侵攻でパレスチナ人が「虐殺」されたとの疑いが持ち上がっているジェニンの難民キャンプに15日入った。いたるところに戦車が陣取り、イスラエル軍がひっきりなしに巡回していた。武装勢力はすでに制圧されたが、報道関係者の立ち入りは厳しく制限され、被害の真相は明らかにされていない。(小森保良)
「止まれ! 止まれ!」。キャンプの南にある畑に足を踏み入れた途端、50メートルほど離れた場所にいる戦車から拡声機の声が響いた。記者は防弾チョッキを着ているが、足が踏み出せない。先に飛び出したカメラマンは威嚇射撃された。いったん戻ってオリーブの大木に身を隠しつつ、キャンプ南端にある民家にたどり着いた。
「イスラエル軍がここで何をやったのか、しっかり見て伝えてくれ」
ヌルディーン・オスートさん(45)の2階建ての家は、2日の侵攻後、間もなく砲弾を撃ち込まれた。2階は崩壊し、使えるのは1階の2部屋だけだ。
それでも、オスートさんの家に、キャンプの別の場所で住居を壊された親類や近所の人約30人が身を寄せている。キャンプ内の電気と水道は止まったまま。主な情報源はラジオだけだ。電話線が切断され、外との連絡は携帯電話が頼りだが、電池切れに悩まされる。自家発電機で充電している人が多いという。
キャンプの成年男性はほとんどが、イスラエル兵によって拘束された。オスートさんの家にも押し入ってきたが、部屋の隅に身を隠し、逃れたという。1万5千人いたキャンプに現在とどまっているのは、オスートさんらの推計で3千〜4千人。女性と子どもが圧倒的に多い。カーテンを閉め、イスラエル兵が去り、男たちの戻る日を心待ちにしている。
キャンプ内は、外出禁止令が出ているため、自由に歩くことはできない。家宅捜索も依然続いている。拘束後にキャンプの外で釈放された男たちも、同軍の命令で戻って来ることができない。
「いったい何人が殺されたのか、私たちにも分からない。キャンプ内を動くことができないからだ」と訴えた。
「あそこの一家8人は間違いなく全員が家の下敷きになっている」
オスートさんが、自宅から50メートルほど離れたがれきの山を指した。8人のうち1人は17歳の言葉の不自由な少年で、路上でイスラエル兵に頭を撃たれた。家族が自宅に連れ戻したその直後に家が砲撃を受け崩れたという。
その建物を目指した。発射音が連続して響く。最寄りの建物に飛び込まざるを得なかった。現場まであと30メートルまで迫ったところで、銃撃がさらに激しくなる。それ以上は進めなかった。
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イスラエル軍は「虐殺」を真っ向から否定している。立ち入り制限は「武装勢力の遺体に爆発物が仕掛けられており、その除去作業が終わらないため」という。パレスチナ側は「証拠を隠滅しようとしている」と非難している。
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撤退を確約 イスラエル首相、米大統領と電話会談で
ブッシュ米大統領は15日、イスラエルのシャロン首相に電話をかけ、首相がジェニンとナブルスからイスラエル軍を1週間以内に撤退させる方針を表明したことを評価した。そのうえで、多数のパレスチナ人が立てこもっている、ベツレヘムの聖誕教会での対立を解決することが重要との認識を伝えた。
フライシャー大統領報道官によると、電話での会話は約15分。首相は大統領に2自治区からの撤退を「確約」したという。
これに対し、大統領はヨルダン川西岸の自治区で生活するパレスチナ人の人道的待遇の改善を検討するよう首相に促した。
聖誕教会での籠城(ろうじょう)問題については、その解決がパウエル国務長官の緊急課題のひとつであると伝えたという。(13:44)
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イスラエル軍、トルカレムに侵攻
イスラエル軍は16日早朝、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区トルカレムに侵攻した。戦車数台と武装ヘリコプターが出撃し、武装組織の活動家の拘束が目的としている。同軍は9日にトルカレムから一時撤退したが、その後も攻撃を繰り返している。
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シャロン首相、自治区の激戦地から一部撤退を表明
イスラエルのシャロン首相は15日(日本時間16日)、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区で激しい戦闘が繰り広げられていた4都市のうち、ジェニンとナブルスから軍を撤退させると明言した。「テロの基盤」を根絶やしにするまで作戦を続けるとの強硬姿勢をとっていた首相が、米国の圧力で撤退の「時刻表」を一部とはいえ、初めて示した。ただ、監禁中のアラファト・パレスチナ自治政府議長への姿勢に変化はなく、危機収拾への展望は、なお見えない。
米CNNテレビの単独会見に応じ、明らかにした。ジェニンから「2〜3日」、ナブルスからは「1週間」以内に撤退するという。激戦地からの撤退は3月29日に侵攻を開始して以来、初めてとなる。
しかし、自治政府のアラファト議長が監禁状態にあるラマラ、多数のパレスチナ人が立てこもっている聖誕教会のあるベツレヘムでは、軍事作戦を続けるという。
イスラエル軍の侵攻にはブッシュ米大統領が今月4日、初めて撤退を要求。その後も「遅滞なき撤退」を何度も促した。仲介に乗り込んだパウエル国務長官もシャロン首相との2度にわたる会談で、強く求めた。
シャロン首相は自爆テロの対抗策として軍を侵攻させた当初から「テロ掃討作戦」には4週間から8週間かかると想定していた。ただ、パウエル長官が仲介の「シャトル外交」を本格化させた時期に米メディアを通じて撤退を表明した背景には「唯一の仲介者」である米国に柔軟姿勢を印象づける狙いがあったとの見方もできる。
また、撤退を表明したジェニンでは難民キャンプでの死者数をめぐってイスラエルとパレスチナが対立。シャロン首相は「虐殺」との指摘を会見で「うそだ」と否定したが、国際社会の視線は厳しさを増している。
今回の一部撤退表明を自治政府のエレカット地方行政相は、即時全面撤退を求めている自治政府や国際社会を無視したものと非難した。
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パウエル長官に同行しているバウチャー報道官によると、長官は16日午後にシャロン首相と3度目の、17日午前にはアラファト議長と2度目の会談を準備中という。(11:05)
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中東和平会議へのEUの参加要求 EU外相理事会
欧州連合(EU)外相理事会が15日、ルクセンブルクで開かれ、パウエル米国務長官の調停工作を強く支持する一方、イスラエルのシャロン首相が提案した中東和平会議構想が実現した場合、EUの出席を求めていくことで合意した。
和平会議へのアラファト議長の出席問題では、議長出席が開催の前提との声が出る一方、閣僚級会議となった場合には必要ないとの意見もあり、アラブ諸国やパレスチナ側などの反応を見極めることになった。
会合は、パレスチナ自治区からのイスラエル軍の完全撤退を改めて求めたが、一部の国から出ていたイスラエルへの経済制裁要求については、パウエル長官の調停工作の妨げにならないよう、議論が先送りされた。(10:29)
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イスラエル軍がファタハ事務局長を逮捕 現地報道
イスラエルテレビと軍放送によると、同軍は15日、パレスチナ自治区ラマラで、アラファト議長が率いるパレスチナ解放機構(PLO)主流派のファタハ本部事務局長でパレスチナ自治評議会議員のマルワン・バルゴーティ氏(42)を拘束した。ファタハの各自治区にある支部を束ねる存在で、武装部門にも強い影響力があり、00年秋に始まったパレスチナのインティファーダ(民衆蜂起)で指導的な役割を演じた人物だ。
イスラエル放送は「パレスチナのテロの中心人物」と報じた。
昨年9月にイスラエル法務省が同氏が武装部門の対イスラエルテロにかかわった疑いで逮捕状を出していた。3月29日にイスラエル軍がラマラに侵攻して以来、姿を隠していた。アラファト議長府に近い友人の家で見つかったという。
イスラエルだけでなく、自治政府も大胆に批判し、清廉な人柄とともに民衆に強い人気があった。(01:56)
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台湾、60年代に小型核兵器で中国攻撃を検討
台湾が60年代初め、金門島への中国軍の攻撃に反撃するため、米国製小型核兵器による中国沿岸地域への攻撃を検討していたことが明らかになった。台湾の夕刊紙・聯合晩報が14日、機密解除された国防部の文書をもとに報じた。台湾国防部も検討の事実を認めた。
同紙によると、中国から約2キロの金門島に設置された曲射砲で核兵器を発射し、対岸のアモイ市の中国軍部隊や艦隊などを攻撃することを検討したという。だが、米国側が市民の犠牲を懸念したほか、核兵器を配備すればソ連が中国への軍事援助を強化する可能性があるとして計画に反対し、実現しなかったという
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有事関連3法案制定に反対運動
有事法制の制定に反対する陸海空港湾労組20団体などは16日、東京都千代田区の衆参議員会館前の歩道で、抗議行動を行った。
衆参議員会館前の歩道には「有事法制に反対」などのプラカードや旗を掲げた労組や市民団体、宗教団体の人々約500人が並んだ。
集会には、民主党や社民党の国会議員らもかけつけた。民主党の佐々木秀典代議士は「小泉氏は備えあれば憂いなしと言っているが、こんな備えをすれば憂いは増すばかりだ。今度の法案には、全党一致で反対できるように努力したい」と話すと、参加者らから大きな拍手が起きた。
「帰国するたびに日本は悪くなっている」。パレスチナで平和行進中、イスラエル軍の威嚇射撃で負傷した清末愛砂さん(30)が東京・日比谷の野外音楽堂で開かれた有事法制反対集会に飛び入り参加し、3000人の聴衆を前に非暴力直接行動の必要性と有効性を訴えた。
英国の大学院に留学中の清末さんは、パレスチナに侵攻するイスラエル軍に非暴力で抵抗・抗議する外国人市民による「国際連帯運動」に参加。今月1日、ベツレヘム近郊で戦車の威嚇射撃銃弾の破片を右足に受け、手術のために14日、帰国したばかり。
つえをついて演壇に立った清末さんは「少しでも力で抵抗すれば、ますます撃ってくる」とパレスチナの現状を説明。発言後、記者に対しても「軍の暴力に立ち向かうには憲法9条などに表れている非暴力平和主義でじっくり取り組むしかない」と話した。(22:31)
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「天狗裁判」で原告263人が追加提訴
首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の建設予定地になっている東京都八王子市の住民らが国と日本道路公団を相手取り、道路約5・5キロの建設差し止めを求めている「高尾山天狗(てんぐ)裁判」で16日、住民ら263人が東京地裁八王子支部に追加で訴えを起こした。1次提訴と合わせて、原告は1322人と自然保護団体7団体になった。
訴状によると、トンネルやジャンクション建設は、国定公園高尾山や国の史跡八王子城跡、生息する動植物など豊かな景観と生態系を破壊し、住民の健康に影響を与える、としている。今回の原告には、すでに始まっているトンネル工事の影響で井戸水が枯れた、とする住民1人が加わった。
高尾山天狗裁判は00年10月、住民に加えて高尾山やオオタカ、ブナなど自然物が原告となって提訴したが、同支部は昨年3月、自然物による訴えは却下した。(20:08)
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住金の偽造株券見つかる 90年発見と同一の可能性
東証1部上場の住友金属工業の偽造株券(1000株券)が80枚見つかり、東京証券取引所は16日、証券会社などに注意を呼びかけた。
住金によると、偽造株券は90年夏に大量に出回り、偽造された約5000枚のうち約2000枚が押収された。今回も井げた形のすかしがなく、登録証印が不鮮明などの特徴が共通しており、この一部とみられる。
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精神病新薬に重大な副作用 2人が死亡
精神分裂病の新治療薬「オランザピン」(商品名「ジプレキサ」)を飲んでいる患者9人に血糖値が急激に上昇し糖尿病性昏睡(こんすい)を発症するなどの副作用が起き、うち2人が死亡したことが明らかになった。厚生労働省は16日、輸入販売元の日本イーライリリー(本社・神戸市)に対し、緊急安全性情報を出すなどして医療機関に注意を呼びかけるよう指示した。
厚労省によると、当初同社から12人の血糖値上昇が報告された。その後の調査で3人は薬との因果関係が薄いと判断された。また別に1人が死亡しているが、定められた用量の2.5倍が使われていたことがわかり副作用症例から除外された。
同社は添付文書に新たに「警告」欄を設け(1)糖尿病性昏睡などの重大な副作用が起きる場合があり、患者の血糖値を十分観察する(2)副作用について、患者や家族に十分に説明し、高血糖による症状が現れれば使用をやめる−−を明記するなどの措置をとった。
さらに同社は、糖尿病専門医による精神科医への啓発とともに、患者や家族に注意を呼びかけることを明らかにした。
オランザピンは新世代の薬と期待される。幻覚や妄想を抑えるほか、従来の薬が効きにくい抑うつ状態などにも効果があると同時に、これまでの薬では避けることが難しかった、ふるえやこわばり、歩行異常などの副作用が少ないとされる。
同社によると、オランザピンは96年に米国で発売され、日本のほか世界84カ国で約800万人に使われている。日本では昨年6月に販売され、年末までに約13万7000人が使ったという。
これまで海外では重い副作用が約300例発生し、うち36人が死亡しているとみられている。
こうしたことから厚労省は、添付文書の「使用上の注意」欄に糖尿病や高血糖の副作用があることを記載し、市販後の調査を十分に行うことを同社に指導していた。(19:49)
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NTT新首脳人事固まる
NTTは16日、和田紀夫副社長が社長に昇格するのに伴い、地域電話会社のNTT東日本の井上秀一社長(64)が退任し、後任に三浦惺副社長(58)が昇格する人事と、NTT西日本の浅田和男社長(62)が退任し、後任に武内道雄副社長(57)が就く人事を固めた。6月の株主総会後の取締役会で正式に決める。
三浦氏と武内氏はともに事務系。事務系と技術系とのたすき掛け人事を見合わせ、グループ会社の副社長クラスの中でも実務能力にすぐれていると評価されている50代の2人を抜てきする。
一方、携帯電話のNTTドコモの立川敬二社長(62)と、長距離・国際通信のNTTコミュニケーションズ(コム)の鈴木正誠社長(60)は留任する見通し。グループの中でも国際・ブロードバンド(高速大容量通信)戦略を進める両社については、戦略立案から実施までを率いてきたトップ2人がとどまることで現行路線を推進する。(22:57)
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羽田再拡張、3工法を検討 最安で5300億円の工費
羽田空港再拡張事業工法評価選定会議(座長=椎名武雄・日本IBM最高顧問)は16日、多摩川河口付近に建設予定の4本目の滑走路の工法について各業界団体から意見を聞き、3種類の工法が候補にあがった。
(1)鉄製の箱(メガフロート)を並べて係留する浮体工法(2)従来型の埋め立て工法(3)基礎くいの上に床板を並べる桟橋工法の3つ。埋め立て工法の場合は多摩川の流れを妨げないよう、桟橋工法を一部併用する。
各団体が示した建設費は、浮体工法が最も安い5300億円ながら、維持費は597億円と最も高かった。工期は3工法とも2年半程度だ。最終的には、国土交通相が工法を決定する。
3月下旬の初会合で「早期着工、早期完成」を強調した扇千景国交相は今月上旬、民放の番組で「いちばん早いのはメガフロート」と、浮体工法採用に前向きな発言をしている。(22:36)
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GEキャピタル、7千人を削減へ
米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)は15日、年内に金融子会社GEキャピタルで7000人を削減すると発表した。削減数はGEキャピタルの約7%、GEグループ全体でも約2%に相当する。
GEキャピタルは45カ国で消費者金融、リース、保険などを手がけ、グループの利益の4割を稼ぐ収益の柱。過去10年間に400件以上の買収で急成長したこともあり、抱える従業員が急増し、00年後半からこれまでに約1万9000人を削減している。今回も「インターネットの活用などによる経営効率化の一環」(広報担当者)としている。
GEグループは11日、今年1〜3月期の決算が四半期ベースで約8年ぶりの減益となると発表したが、それ以来、株価が大幅に下落するなど、高成長路線の限界が指摘されており、「コスト削減を加速する狙い」(米証券アナリスト)とみられている。(21:16)
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NTT社長に和田紀夫氏
NTT持ち株会社は16日、6月で在任6年となる宮津純一郎社長(66)が取締役相談役に退き、後任に和田紀夫副社長(61)を昇格させる人事を固めた。今後、総務省や官邸との最終調整に入り、5月の決算取締役会で内定する。
和田氏は99年7月の再編前の旧NTTで労働部長を務めるなどおもに労務畑を歩み、持ち株会社では副社長としてNTTグループの経営戦略を担当、宮津社長を支えてきた。とくに地域会社の東日本、西日本の社員計約10万人を5月に賃金の低い新設地域子会社へ転籍させる大規模な合理化策を推進し、グループ内の構造改革にめどをつけた。
NTTの社長人事はこれまで「技術系」「事務系」のたすきがけが恒例で、技術系だった宮津氏の後任には、グループ会社首脳を含めた事務系の複数幹部を念頭に宮津社長が人選を進めてきた。16日にも宮津社長が片山虎之助総務相に新社長の人事を報告するとみられる。
次期社長をめぐっては、長距離・国際のNTTコミュニケーションズ(コム)の鈴木正誠社長(60)や携帯電話のNTTドコモの立川敬二社長(62)=技術系=も候補にあがっていた。しかし、両社長とも海外企業への投資で多額の評価損を出すなど、国際戦略の成果を今のところ出せず、立て直しを進めている。
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和田 紀夫氏(わだ・のりお)京大経卒、64年日本電信電話公社(現NTT)入社、92年取締役、97年常務。NTTが4社に再編された99年7月から持ち株会社副社長。(12:57)
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