アラファト議長、アラビア語で自爆テロ非難声明
米国務長官、ジェニン難民キャンプの状況に懸念表明
イスラエル軍、ジェニン近郊の9町村に侵攻
難民キャンプの遺体移動禁止命令 イスラエル最高裁
パレスチナへの国際部隊派遣検討を安保理に要請 国連
パウエル・アラファト会談が延期
ヒズボラ、迫撃砲攻撃
自爆テロで和平努力阻止できない 米大統領報道官
バスで自爆テロ、7人死亡 エルサレムの市場近く
初日に爆風、パウエル調停 議長の「武力放棄」が焦点
カブールの国際治安支援部隊に発砲、武装集団7人を拘束
ヘクマチアル派などが戦闘、6人死亡 アフガン
ベネズエラ政権崩壊に中南米諸国が反発
ペドロ・カルモナ氏が暫定大統領に ベネズエラ
インド・ロシア国防相会談 武器供給拡大に意欲
作家ら銀座で個人情報保護法案反対の仮装パレード
厚労省、健保のレセプト直接審査を解禁
みずほ、開業2日前からトラブル 混乱は起きないと判断
国交省、「経常JV制」導入 ゼネコン再編促す
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アラファト議長、アラビア語で自爆テロ非難声明
アラファト議長とパレスチナ自治政府は13日午後、パレスチナ通信を通じて、民間人を狙ったテロを非難する声明をアラビア語で出した。「とくに最近、エルサレムで起きた暴力行為」として、12日のエルサレムでの自爆テロを非難した。イスラエルとの停戦仲介にあたっているパウエル米国務長官が同テロの後、13日に予定していたアラファト議長との会談を延期し、会談をする条件としてテロ非難と暴力放棄を求める声明をアラビア語で出すよう求めていた。
声明によると、議長と自治政府は、「イスラエル人に対してであれ、パレスチナ人に対してであれ、政治的な目標を達成するために、民間人を標的としたあらゆるテロ行為を非難する」としている。
テロについては「個人によるもの、集団によるもの、国家によるものを問わない」とし、パレスチナ過激派による自爆テロの非難とともに、自治政府が「国家テロ」と主張しているイスラエル軍によるパレスチナ地域の占領や自治区への侵攻も非難する内容となっている。
アラファト議長がパレスチナ人による自爆テロについて「テロ」という言葉を明確に使ったのは初めて。これまでは「民間人への攻撃」というぼかした表現で非難してきた。(22:58)
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カブールの国際治安支援部隊に発砲、武装集団7人を拘束
カブールに展開している国際治安支援部隊(ISAF)によると、同市南西部で12日夜、パトロール中の英部隊が計約30人の武装集団から2カ所で銃撃を受け、応戦した。武装集団は逃走したが、ISAFの応援部隊が追跡し、7人を拘束した。警察関係者によると、7人は全員がハザラ人で、このうち5人は現職警官、1人は軍人だった。治安を乱すことを狙ったと見られている。
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米国務長官、ジェニン難民キャンプの状況に懸念表明
パウエル米国務長官は13日、イスラエル軍が激しく攻撃しているヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプの状況に懸念を表明し、米国が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に3000万ドルを支出すると発表した。いずれもアラファト・パレスチナ自治政府議長に紛争の収拾に向けた歩み寄りを促す狙いがあった。
国務長官は議長と会談するはずだった同日午前(日本時間午後)、エルサレムの米領事館に宗教指導者らを招いて会談。国連機関の職員らと昼食をともにした。その際、自治区の人権問題に懸念を示したほか、自爆テロの報復としてパレスチナに攻撃を加えているイスラエルが西岸での「過度の武力行使」を控えるべきだと語った。「最大限の抑制」も求めた。(22:16)
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イスラエル軍、ジェニン近郊の9町村に侵攻
イスラエル軍は13日、新たにヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニン近郊のビルキンなどの9町村に戦車など数十台で侵攻、軍事地域に指定しパレスチナ住民に外出禁止を命じた。エルサレムで12日に起きた自爆テロに対する報復の一環として過激派の取り締まりを強め、一軒一軒家宅捜索してパレスチナ人の拘束を行っている模様だ。
ジェニン自治区では、難民キャンプで激しく抵抗を続けていたパレスチナ武装勢力が投降した後も、同軍が制圧を続けており、さらに軍事作戦を拡大したことになる。ビルキンはジェニンを見下ろす西側の丘の上にあって、外国報道関係者の取材拠点になっており、メディアの排除も狙いの一つと見られる。
自爆者を含め7人が死亡したエルサレムでの自爆テロで犯行声明を出したアラファト議長率いるパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの武装組織アルアクサー殉教者軍団が、13日午後、レバノンのヒズボラ系テレビを通じて、自爆した女性は西岸ヘブロン出身で、ナブルスのナジャフ大学の21歳の学生「アンダリーブ・ハリル」とする声明を出した。同日のイスラエル放送などはジェニン出身の女性(17)と伝えている。
イスラエル軍は西岸最大の都市ナブルスやジェニンはイスラエル国内でのテロを行う過激派の本拠としている。またビルキンなど周辺の村は、自爆者ら過激派メンバーが村々を抜けてイスラエル国内に入る通り道になっていたとして、自爆テロのネットワークの摘発を狙ったものとみられる。
またハアレツ紙(インターネット版)によると、同軍は13日、ジェニンとナブルスの中間にある町ツバスでナブルスのバラタ難民キャンプでのアルアクサー軍団の指導者を拘束したという。(21:20)
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ベネズエラ政権崩壊に中南米諸国が反発
ベネズエラのチャベス政権が事実上のクーデターで崩壊したことに対して中南米諸国の多くは反発している。中米コスタリカで開かれている中南米19カ国によるリオ・グループ首脳会議は、「憲法秩序の妨害を非難する」との共同声明を発表した。
中でもメキシコのフォックス大統領は「新たな選挙が実施されるまで新政権を承認しない」と明言。同会議に参加したアルゼンチン、パラグアイなど南米の大統領も、ベネズエラの新政権を「不法」と批判した。
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ペドロ・カルモナ氏が暫定大統領に ベネズエラ
チャベス政権が崩壊した南米ベネズエラで、経済団体の会長ペドロ・カルモナ氏(60)が12日、国家評議会の議長に就任した。同評議会はカルモナ議長を暫定大統領に指名し、就任式が行われた。同暫定大統領は次々に改革政策を打ち出し、年内に総選挙を、1年以内に大統領選を実施する計画も明らかにした。カルモナ議長自身は出馬しないという。
暫定政権は国家評議会が合議で運営する。25人のメンバーには財界や野党政治家、軍部などの有力者が顔を連ねている。カルモナ氏は「我々は船を安全な港に入港させなければならない。強権者の時代は終わった」と述べた。
カルモナ氏は直ちに議会を解散し、チャベス政権時代に生まれた99年憲法を廃止。正式国名「ベネズエラ・ボリバル共和国」を以前の「ベネズエラ共和国」に戻した。さらに、最高裁や検察当局、会計検査院など、前政権の司法、財政などの中枢を担った機関でチャベス政権に任命された人々を解任した。また、チャベス政権下で制定された大統領の権限を強化する「授権法」など48の法律を停止した。
一方で、チャベス政権が任命したロドリゲス検事総長は、チャベス氏は辞任を認めておらず国会も承認していないので、カルモナ氏の行為は憲法違反だと主張するなど、反発する動きもある。
チャベス氏は「盟友」としてきたキューバへの亡命を望んだが、反乱した軍部はこれを拒否し、同氏を軍基地内に監禁した。とりあえず11日の警官による市民への発砲事件の責任を問う姿勢だ。警察はチャベス政権時代の閣僚らの逮捕に乗りだし、チャベス氏の右腕と言われたラモン・ロドリゲス前内務法務相が逮捕された。
この日の地元紙は「喪に包まれた民主主義」の見出しを掲げ、警官の発砲に倒れた14人の市民を悼んだ。(10:54)
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難民キャンプの遺体移動禁止命令 イスラエル最高裁
イスラエルのハーレツ紙(インターネット版)によると、同国の最高裁判所は12日、イスラエル軍に対し、同軍の大規模侵攻で激戦となったジェニン難民キャンプからの遺体の移動を禁止する命令を出した。
また、検察当局に対して、軍が遺体を集団墓地に埋めたとパレスチナ側が指摘している疑惑についての調査を指示した。最高裁は、近く証人尋問を開く予定。
命令は、パレスチナ人権団体などの申し立てを受けて決定された。
パレスチナ側は、軍は惨状を隠すため、ブルドーザーを使って遺体を埋めたとしている。軍はこれを否定している。(10:31)
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パレスチナへの国際部隊派遣検討を安保理に要請 国連
アナン国連事務総長は12日、安全保障理事会の非公式協議に書簡を送り、パレスチナ危機の打開に向けて武装した多国籍部隊の展開を選択肢として検討するよう求めた。提案では国連の平和維持部隊編成には時間がかかり過ぎるとして、アフガニスタンの首都カブールの治安維持に当たる多国籍の国際治安支援部隊(ISAF)のような部隊を想定している。
武装した部隊の派遣はこれまでパレスチナ側が主張し、イスラエルが強く反対してきた経緯がある。この日、パレスチナのアルキドワ国連代表は「状況を深く理解した極めて重要な提案」と評価し、自ら役割を買って出る国々による部隊編成を急ぐよう求めた。一方、米国側はパウエル国務長官の和平調停の行方を見ることが優先として、アナン氏がこの時期に提案したことに不快感を示した。
安保理ではこれまで停戦監視団の派遣の可能性も論議されてきたが、国連報道官によると「事務総長は状況がここまで悪くなるとそれでは間に合わないと判断した」という。また同報道官はアナン氏にもまだ、多国籍部隊の具体的な考えがあるわけではないと念を押した。(10:08)
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パウエル・アラファト会談が延期
パウエル米国務長官のイスラエル訪問に同行しているバウチャー報道官は13日、パウエル国務長官とアラファト・パレスチナ自治政府議長が同日午前に予定していた会談を延期すると発表した。12日にエルサレムで自爆テロが発生したことから、少なくとも24時間は実施を見送り、「全体状況を見極める」(同報道官)構えだ。パレスチナ自治政府のアベドラボ情報相も13日、米側から延期すると通告があったことを認めた。
米政府高官の話によると、国務長官は12日夜、滞在しているエルサレムのホテルで同省の担当者たちと対応を協議した。国務長官は自爆テロ発生直後の12日午後、記者団に「会談は予定通り実施する」と述べていた。しかし、被害の深刻さに加え、アラファト議長にこの機会をとらえてテロを非難する声明を出すよう促す意味も込め、会談を延期したほうが調停工作のためになると判断したとみられる。
同高官はまた、パウエル・アラファト会談の見込みについて「日曜日(14日)もひとつの可能性だ」との見方を示した。
ただ、アラファト議長と会談することにはイスラエルのシャロン首相が「悲劇的な誤りになる」と難色を示している。米国内でも保守派を中心に議長への批判の声が根強い。このため会談の実施そのものを危ぶむ声も出はじめている。国務長官による現地での調停初日に起きた自爆テロは、ブッシュ政権にも重大な打撃を与えたといえる。
国務長官は12日、イスラエル北部を視察するためヘリコプターに乗り込む直前、自爆テロの発生を知らされ、離陸後に上空から発生現場を視認したという。(07:25)
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ヒズボラ、迫撃砲攻撃
イスラエル国境上の同軍陣地付近に12日、対戦車砲による攻撃があった。イスラム教シーア派組織ヒズボラが撃ち込んだとみられる。当時、パウエル米国務長官が国境付近を視察していたが、現場からは30キロほど離れた場所にいたという。
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自爆テロで和平努力阻止できない 米大統領報道官
フライシャー米大統領報道官は12日、エルサレムで起きた自爆テロについて、パウエル国務長官の仲介工作の「妨害を企てるものがいることは明らか」と強く非難し、「ブッシュ大統領はこの攻撃で和平への努力を思いとどまることはない」と述べた。
同報道官は今回のテロで、大統領の停戦、和平への思いは一層強まったとし、すべての当事者にテロを放棄するよう呼びかけた。
また、イスラエルの対応については、自爆テロへの自衛は理解できるが、「テロ掃討」を目的にしたパレスチナ自治区への軍事侵攻は「長期的な和平の展望を暗くする」と述べ、シャロン首相に暗に自制を求めた。(01:07)
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バスで自爆テロ、7人死亡 エルサレムの市場近く
12日午後4時20分(日本時間同日午後10時20分)ごろ、エルサレム市西部のマハネエフダ市場近くに停車していたバス付近で自爆テロがあった。イスラエル・テレビによると、犯人を含む7人が死亡、70人以上が負傷し病院に運ばれたと伝えている。
パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの軍事部門アルアクサー殉教者軍団が犯行声明を出した。同テレビは、犯人はイスラエル軍の大規模侵攻で激戦地となったヨルダン川西岸ジェニン自治区出身の女性としている。
パウエル米国務長官とアラファト議長の会談が13日に予定され、停戦交渉への影響は避けられない見通しだ。
同テレビによると、犯人はバス停でバスに乗り込む間際に、爆弾を爆発させたらしい。市場は、12日夕から始まるユダヤ教の安息日を前に、食料品を買い求める人で混雑していた。バスの乗客や買い物客が巻き込まれたとみられる。
同国では、10日にハイファ近郊を走行中の路線バスで自爆テロがあったばかりで、犯人を含む9人が死亡している。(00:44)
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インド・ロシア国防相会談 武器供給拡大に意欲
ロシアのイワノフ国防相は11日、訪ロ中のフェルナンデス・インド国防相と会談し、「今後は両国による兵器の共同生産も可能だ」と2国間の軍事協力拡大に意欲を見せた。
インドはロシアから最新型のT90戦車などを大量購入、部品供給やライセンス生産の契約も結んでいる。イワノフ国防相は会談後の記者会見で「われわれは数年前から単なる売り手と買い手の関係ではなくなっている」と語った。(00:42)
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初日に爆風、パウエル調停 議長の「武力放棄」が焦点
シャロン・イスラエル首相とアラファト・パレスチナ自治政府議長という宿敵2人を仲介するパウエル米国務長官の調停工作は、現地での活動初日から自爆テロに見舞われた。ブッシュ大統領は事件後、テロに屈しない決意を示したが、その中東政策は政権内でせめぎ合う穏健派と保守派の微妙な均衡のうえにあるともいわれる。
エルサレムで12日、パウエル長官は短い会見中に何度か「ブッシュ大統領の」と口にした。しかし、ブッシュ政権はイスラエル軍のパレスチナ自治区からの撤退を求める一方で、シャロン首相を「平和の使者」(フライシャー報道官)と持ち上げもする。
保守派に軸足を置くブッシュ政権は、イスラエルの軍事行動を「自衛」と支持。アラファト議長を「テロリスト」と呼ぶ高官もいる。今秋の中間選挙をにらみ、政財界に影響力があるユダヤ系への配慮もあった。
しかし、米同時多発テロ後の対テロ戦でイラク攻撃も視野に入れるなかで「イスラエル寄り」と国際社会の非難が続出。アフガニスタンでの対テロ戦への協調すら揺るぎかねない状況に中東への積極関与に転じた。
アラファト議長を「交渉相手」とみる穏健派のパウエル長官は、表向き「最大限の裁量権」(同報道官)を与えられている。ただ、保守派の視線は厳しく、うしろから弾が飛んできかねない状況だ。しかも、活動初日の自爆テロである。
アラファト議長に「指導者であり続ける最後のチャンス」(クリントン前政権のデニス・ロス元中東特使)という現実を突きつけ、アラビア語で「テロ放棄」を宣言させることが、いま何より求められる。13日の会談が、調停の行方を決めそうだ。(00:09)
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ヘクマチアル派などが戦闘、6人死亡 アフガン
アフガニスタンのカブール近郊で12日、ヘクマチアル元首相派とされる勢力と、元国王を支持する勢力との衝突が起きた。AP通信などによると、銃や対戦車砲を使った戦闘で、元首相派の6人が死亡、2人が負傷した模様。現場はカブールの南西にある要衝マイダンシャールの近く。元首相派のムザファルディン氏と、元国王派のナンギャライ氏の部隊間で起きたという。
元首相派は今月初め、暫定政権に対する武装蜂起を企てたとの容疑で、多数が逮捕された。(00:00)
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作家ら銀座で個人情報保護法案反対の仮装パレード
「純一郎ヨ、祖父サマガ泣イテオルゾ!」と大書したのぼりを掲げ、個人情報保護法案に反対するユニークな仮装パレードが13日、東京・銀座であった。
同法案などメディア規制3法案に反対する、ノンフィクション作家やジャーナリストのグループ「個人情報保護法案拒否!共同アピールの会」が主催。作家の吉岡忍、久田恵、有田芳生各氏らに加え、マスコミ労組員、インターネットでの呼びかけに応じた一般の人など計400人(主催者発表)が参加した。
自由民権や護憲のために闘った人や言論弾圧で落命した人の顔写真を掲げた「葬列」もあり、その中には大正時代の普選運動指導者だった小泉首相の祖父、又次郎氏の写真も。主催者の一人、作家の吉田司さんは「純一郎を選ぶか、又次郎を選ぶかだ。私はためらいなく又次郎を選ぶ」と、同法成立阻止を訴えた。(18:54)
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厚労省、健保のレセプト直接審査を解禁
厚生労働省は、サラリーマンらが加入する健康保険組合による診療報酬明細書(レセプト)の直接審査を今月中にも解禁することを決めた。また、健保組合が診療内容を確認するために患者や医療機関に質問や調査をしてもよいことを確認する通知を出した。健保組合が、医療費の不正な請求や無駄づかいなどをチェックする機能を高め、無駄を排除するのが狙いだ。
レセプトは医療機関が医療費を請求するために作成する書類。これに基づき健保組合は医療費を支払うが、その内容に誤りがないかどうかの審査と実際の支払いは、旧厚生省の指導で、48年から特殊法人「社会保険診療報酬支払基金」に委託することが事実上義務付けられてきた。
それが今回の決定で、医療機関と健保組合が合意すれば、健保組合が直接、審査、支払いすることができるようになる。厚労省は併せて、支払いをめぐるトラブルが起きた時の紛争処理ルールを医療機関と健保組合の間で事前に決めておくことや、患者の個人情報の保護を徹底することなども指示する。
厚労省はまた、医療機関側が直接審査に合意しない場合でも、健保組合が患者や医療機関に診療内容などについて質問や調査ができることを明示した通知も出した。質問・調査はこれまでも制限されていたわけではないが、現実には「基金を通してほしいと、医療機関に拒否されることが多い」と健保側の不満が強かった。今回の通知は健保組合が独自に情報収集できることを改めて確認したものだ。
直接審査の解禁で健保組合は、レセプト1件につき116.2円(4月審査分から)という支払基金への委託料を、自前の事務処理や民間への業務委託などで節約する道が開ける。また、調査・質問の「お墨付き」を得たことで、患者が受けた覚えのない内容が記載されていた場合などの医療機関への再確認が容易になるほか、患者への調査をもとに医療機関に関する情報を集め、組合員に提供することなどもしやすくなる。
ただ、日本医師会は直接審査に「医療費を支払う利害関係者に公平な審査ができるのか」と強く反発し、合意しないよう会員に指示していることなどから、実現は当面、限られた医療機関になるもようだ。
支払基金が扱うレセプトは年間7億6000万件(00年度)。1件の審査時間は平均十数秒と言われ、99年には支払基金のチェック後に健保側が独自に点検、同基金に再審査を求めたレセプトから161億円も多く請求されているミスが見つかった。総務省は今年1月「審査費用に見合う効果を上げていない」と審査の甘さ、非効率性を指摘。経済団体や健康保険組合連合会が直接審査の解禁、保険者への調査権付与などを求めていた。(14:38)
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みずほ、開業2日前からトラブル 混乱は起きないと判断
口座振替で混乱が続くみずほフィナンシャルグループで、システムの不具合が営業開始2日前の3月30日から発生していたことが13日、明らかになった。
みずほのシステム部門は、遅れは出ても営業開始日の今月1日中には処理が可能と判断。持ち株会社みずほホールディングスの前田晃伸社長らトラブルを知らされた経営陣も、すでにシステムの移行作業に入っており、統合計画を先送りすることは不可能として、予定通り稼働させたという。
みずほはシステムの完全復旧を待って、経営責任を明確化する方針。
みずほは今月1日の再編・開業に備え、3月29日の深夜からシステムの移行作業に入った。口座振替についても、1日朝に300万件という大量の引き落としを控えていたため、引き落としの前段階までの作業を30日から進めていた。
ところが、この段階で口座振替を委託する企業から持ち込まれたデータに、支店コードなどの誤りが大量にあったことから、データの振り分け作業に遅れが生じていた。
みずほは13日段階で約40万件にのぼる口座からの引き落としの遅れを、週明けには解消したいとしている。ただ、データの修復が必要になるなど作業に時間がかかるものが多く、休日返上で作業を続けている。
週明けの15日は、いわゆる「5・10日(ごとうび)」で決済が集中するほか、18万人近い東京都職員の大半の給与振り込みなども予定されている。都職員の給与は指定金融機関であるみずほ銀行を通じて各職員の口座に振り込まれる。みずほによると、これまで口座振り込みには大きな問題は起きていないが、混乱が生じないよう万全を期す、としている。(19:46)
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国交省、「経常JV制」導入 ゼネコン再編促す
大型ゼネコンが同じ組み合わせで年間を通じて公共事業を受注する「経常共同企業体(JV)」制度を国土交通省が今年度から導入し、その適用第1号として経営統合予定の三井建設と住友建設が名乗りを上げることが、明らかになった。建設市場が縮小しているのに業者数が多すぎるといわれるゼネコン業界の再編を促す狙いだ。
経常JVは、公共事業を請け負う資格審査について参加企業の技術力や資金面の点数が合算されることで、単独では無理な大型工事の入札にも加われるなどの利点がある。経常JVを組んだ企業は少なくとも1年間、道路やビルなどの建設工事を一緒に請け負う。ほかの企業とはJVを組めず、合併企業に近い扱いになる。
国交省が経常JV制度を導入するのは、ゼネコンの再編がなかなか進まないからだ。業界では、統合すると入札に参加する機会が減り「1足す1は2にならない」といわれる事情もある。
実際、建設投資が84兆円とピークだった92年度に52万社あった企業数は、01年度は70兆円を割り込んだのに59万社に増えている。株式公開企業だけで100社以上ある。昨年来の一連の不良債権処理でも整理・統合はあまり進んでいない。
国交省は経常JV制度のほか、経営統合した企業に対して単独の場合よりも、入札参加の資格審査の点数を加算する制度を導入したり、会社分割の場合も実績をそのまま引き継げるようにしたりすることで、統合の機運が高まることを期待している。
三井と住友の両社は、経常JVで共同事業の利点が確認できた場合、間接部門などが重複する持ち株会社による経営統合ではなく、合理化効果が大きい合併を軸に交渉を進める方向だ。両社の経営統合に合流する計画のフジタは、不良資産を切り離すための会社分割の行方が定まっていないため、当面JVには参加しないとみられる。(14:36)
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