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【02/04/09 (火) 】

イスラエル軍撤退改めて要求 米大統領
イスラエル撤退 なぜ、いまなのか 作戦継続の時間稼ぎ
トルカレム、カルキリヤからの撤退開始 イスラエル発表
モロッコ国王、米国務長官にきつい質問
イスラエルへの不満募る 国連安保理
アラファト議長の監禁状態緩和か イスラエル政府

英皇太后の葬儀、市民40万人見送る 君主制廃止派激減
決戦投票で敗れた大統領候補襲われ重傷 コスタリカ
ベネズエラでゼネスト突入 石油輸出落ち込む恐れ
米ネバダ州知事、拒否権発動 使用済み核燃料地中処分
小沢氏発言は「挑発的言論」 中国外務省が批判

郵政民営化禁止条項の削除方針は不変 小泉首相
大橋巨泉氏らがアピール 「巨悪と小悪を区別せよ」
英皇太后の葬儀、市民40万人見送る 君主制廃止派激減

 3月30日に101歳で死去したエリザベス英女王の実母、エリザベス皇太后の葬儀が9日、ロンドンのウェストミンスター寺院で営まれた。女王ら親族はじめ、欧州各国の王族や英連邦加盟国の指導者が列席、20世紀を生き抜いた英国現代史の証人に最後の別れを告げた。

 葬儀では、皇太后が生前に選んだ賛美歌が演奏された。ひつぎはこの後、ロンドン西郊のウィンザー城へ運ばれ、城内の教会墓地で亡夫の前国王ジョージ6世、2月に死去した次女マーガレット王女と並べ葬られる。ロンドンからの沿道では、約40万人が葬列を見送った。

 皇太后のひつぎは同日午前6時まで、議会内のウェストミンスターホールに安置された。前夜までに弔問に訪れた市民は約17万人。当初、「4日に及ぶ弔問期間は長すぎる」と懸念した政府の予想をはるかに上回った。女王は8日夕、テレビとラジオを通じてスピーチし、「多くの人が示してくれた敬意に、圧倒される思いだ。心から感謝する」と述べた。


 インディペンデント紙は9日、皇太后の死後、王室に寄せる国民の支持が高まった、とする世論調査結果を報じた。約1年前、34%に達した君主制廃止派が、先週末の調査では12%にとどまったとしている。(21:58)
決戦投票で敗れた大統領候補襲われ重傷 コスタリカ

 中米コスタリカで8日、前日の大統領選挙決選投票で敗北した野党国民解放党の候補ロランド・アラヤ氏(54)が、勝利した与党候補の支持者に襲われ重傷を負った。

 事件が起きたのは、首都郊外のアラヤ氏の両親の家。当選した与党キリスト教社会連合党の候補アベル・パチェコ氏の支持者たちが同党の旗を振りながら押し寄せ、家の外にいたアラヤ氏の息子たちがまず暴行を受けた。止めに入ったアラヤ氏は、頭を棒で強く殴られ倒れた。

 アラヤ氏は首都の病院に収容されたが、生命に別条はないもよう。アラヤ氏の息子らは軽傷。アラヤ氏の母親は、事件のショックで心臓発作を起こした。犯人のうち1人は駆けつけた警察に緊急逮捕された。事件の動機などは不明だ。

 前日の決選投票でアラヤ氏は有効投票の42%しかとれず、58%のパチェコ氏に大敗した。敗北が明らかになった早い時点でパチェコ氏に携帯電話をかけ、同氏の勝利を祝福した。自分の支持者には政治活動からの引退を表明した。それだけになぜ襲われたのか、不審がられている。


 病院にはアラヤ氏の叔父のモンヘ元大統領も駆けつけ、「コスタリカの伝統的な民主主義に敵対する行動だ」と犯行を強く非難した。(18:52)


イスラエル軍撤退改めて要求 米大統領

 フライシャー米大統領報道官は8日、イスラエル国防相がイスラエル軍を2自治区から撤退すると発表したことについて、「これは始まりだ」との声明を出し、他の自治区からも速やかに撤退するよう求める姿勢を示した。

 声明は「(ブッシュ)大統領が述べたように、中東のすべての当事者に責任がある。大統領は全当事者が責任を果たすことを期待している」とし、イスラエル側にさらなる撤退を促す一方で、パレスチナ自治政府とアラブ諸国に反テロの努力を強化するよう求めている。


 これに先立ち、ブッシュ米大統領は8日、遊説先のテネシー州で、「繰り返して言う。私がイスラエル首相に言ったことは本気だ」と記者団に語り、自治区からの「遅滞なき撤退」を改めて求めていた。(16:10)

イスラエル撤退 なぜ、いまなのか 作戦継続の時間稼ぎ

 イスラエル軍がヨルダン川西岸のカルキリヤとトルカレムの2自治区から9日未明に撤退したのは、ブッシュ米大統領による再三の撤退要請を受けて、米国の顔を立てた形だ。「即時撤退」を実施してみせることで、ジェニン、ナブルスなど、なお戦闘が続いている自治区での軍事作戦を継続する時間稼ぎをする狙いと見られる。

 イスラエルは「米国の圧力ではない」として、あくまで両自治区での軍事作戦の終了に伴う撤退であることを強調している。その意味では、「聖誕教会」の立てこもりが続いているベツレヘムやアラファト議長を議長府に監禁しているラマラなどで、イスラエルが簡単に折れる可能性はなく、国際社会が求める全面撤退にはかなりの時間がかかりそうだ。

 またカルキリヤとトルカレム両自治区は、ともにイスラエル国境のすぐ近くに位置している。今回の撤退について、イスラエル軍は、軍が両自治区内から出て、自治区外からの封鎖を強める「再配置」としている。

 シャロン首相は8日の国会演説で「撤退後にテロを阻止するために緩衝地帯を設置する」としており、両自治区は将来的に、その緩衝地帯に包囲される形になる。両自治区の「再配置」は軍事的には次の段階に進んだことになる。

 イスラエルは今回の軍事作戦を「防護壁作戦」と呼んでいる。すべての自治区でパレスチナ武装勢力を制圧し、武器を押収し、さらに封じ込めることを目的とする。軍は3月29日に始めた作戦完了に、「4週間から8週間必要」としていた。


 軍は、作戦を中途半端に終えれば、パレスチナ側のテロの報復が起き、軍事作戦の意義が失われると恐れている。しかし、米国の圧力に全く背を向けるわけにもいかない。今後、パウエル米国務長官の現地入りなどをにらみながら、軍事作戦を「加速」させると見られる。時間の制約のなかで、民間人の犠牲を顧みない軍事強硬策がとられる懸念は逆に強まる。(14:02)
ベネズエラでゼネスト突入 石油輸出落ち込む恐れ

 南米の石油大国ベネズエラで9日、チャベス政権の国営ベネズエラ石油(PDVSA)への統制強化などに抗議し、労働組合の連合組織が24時間のゼネストに突入した。中東情勢の悪化で石油供給の不安が広がるなか、南米からの石油輸出も落ち込む恐れが出てきた。

 ゼネストはベネズエラ労働総同盟(CTV)の呼びかけで実施されたが、主な経営者団体、医師団体、カトリック教会なども賛同している。

 ゼネストの引き金は、政府によるPDVSAの人事への介入。チャベス大統領は7日、政権に批判的なPDVSAの幹部7人を更迭した。ベネズエラ労働総同盟(CTV)は政権がこの人事の取り消しなどに応じない場合、10日以降のスト続行も辞さない構えだ。


 カラカスからの報道は8日、PDVSAのストの影響で、パラグアナにある同国最大の精油施設の生産量が「5割減」と伝えた。しかし、政府は「生産も輸出も通常通り」と主張している。(13:57)

トルカレム、カルキリヤからの撤退開始 イスラエル発表

 イスラエル軍は9日未明、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区のうちトルカレム、カルキリヤから撤退を開始した。3月29日から始まった大規模侵攻で撤退は初めて。しかし、同軍は9日未明にヘブロン自治区の村ドゥラに戦車で侵攻し、ジェニン、ナブルス両自治区では攻撃を緩めておらず、ハーレツ紙(インターネット版)によると、8日夕までにほぼ制圧されたナブルスの旧市街では50人のパレスチナ武装勢力が死亡したという。

 同軍は、西岸8自治区のうち最小のエリコを除く7自治区を制圧していた。今回の一部撤退で制圧自治区は五つになる。

 イスラエル国防省は、撤退の理由として、両自治区において、テロ施設の破壊やテロ首謀者の拘束など作戦が完了したためとしている。撤退は9日朝までに完了する見込み。しかし、両自治区の包囲は続けるとしている。

 11日のパウエル米国務長官の同国訪問を前に、米国の撤退勧告に配慮したものとみられる。

 一方ナブルスでは、迷路のように入り組んだカスバと呼ばれる旧市街に立てこもったパレスチナ武装勢力と激しい戦闘が行われ、砲撃などで街の建物などがかなり破壊された。パレスチナ人50人が死亡したほか、500人が投降したとしている。

 パレスチナ通信によると、ジェニン難民キャンプでは8日夕も、武装ヘリによるミサイル攻撃とキャンプを包囲した戦車からの砲撃が続いた。女性や子供数百人に自治政府機関などに移動するよう誘導しており、さらに大規模な砲撃を加える準備とみられる。


 国連パレスチナ難民救済事業機関のハンセン事務局長は、ナブルスやジェニンの難民キャンプへの無差別な砲撃を停止するよう求める声明を発表した。同軍の「無慈悲」な砲撃で、民間人に多くの死傷者が出ていると警告している。(13:31)
モロッコ国王、米国務長官にきつい質問

 パレスチナ調停で中東などの歴訪を開始したパウエル米国務長官は8日、最初の訪問国モロッコのアガディールでモハメド国王と会談した。現地から伝えられた情報では、国王は握手しながら長官に「まずエルサレムに行くことが重要なのでは?」と尋ねたという。

 パウエル長官がイスラエルのシャロン首相と会うのは今週末の予定。ブッシュ米大統領が、パレスチナ自治区に侵攻したイスラエル軍の撤退を求め、長官の派遣を決めてから1週間以上も後になる。アラブ側には、イスラエルが作戦を思い通りに実施するまでの時間稼ぎという疑念があり、国王の質問はズバリそこを突いた。


 長官は同行記者らに、任務を有効なものにするため、アラブ諸国の指導者たちの理解と協力を得ることが大事だと述べたというが、苦しい弁明とも受け取れた。イスラエルが一部撤退を決めたとの情報は、多少の助け舟になったかもしれない。(11:59)
イスラエルへの不満募る 国連安保理

 国連の安全保障理事会は8日、パレスチナ危機で非公式、公式の会合を開き、米国を含む全理事国がイスラエルに「遅滞なき撤退」を課した決議の即時履行を迫った。アラブ諸国は国際監視団の派遣を含む新たな決議案を提出したが、常任理事国を中心に「これ以上の決議は必要ない」(ネグロポンテ米国連大使)という声が多く、パウエル米国務長官の調停待ちの様相だ。

 午前の非公式会合ではイスラエルのランクリ大使、パレスチナのアルキドワ代表が別々に会場に入り、理事国と協議した。イスラエルに対しては米国代表さえも語気を強め、撤退を求めたという。

 2時間の「詰問」を受けたあと、ランクリ大使は記者団に「決議はイスラエルの撤退だけを求めているわけではない」と、パレスチナへもテロ停止の圧力をかけるよう求めた。


 アラブ側の新決議案は9日に検討される予定。(11:07)

アラファト議長の監禁状態緩和か イスラエル政府

イスラエルのペレス外相は8日夜、英BBC放送に対し、11日にイスラエル入りするパウエル米国務長官とアラファト議長の会談実現のため、議長の監禁状態を緩和する用意があると語った。会談場所は議長が監禁状態に置かれているラマラの議長府を考えているとした。

 またイスラエル放送によると、イスラエル政府は8日夜、アラファト議長がエレカット地方行政相ら停戦交渉を担当する4人の自治政府幹部と会談することを認めた。先に米国のジニ中東特使が提案した停戦合意のための妥協案について協議するとみられる。


 会談するのは、地方行政相のほか、ムハンマド・ダハラン・ガザ自治警察長官、マフムード・アッバスPLO執行委員会事務局長、アフマド・クレイ自治評議会議長。(10:41)

米ネバダ州知事、拒否権発動 使用済み核燃料地中処分

 米ネバダ州のグィン知事は8日、原発の使用済み核燃料の地中処分地として同州のヤッカマウンテンを適地とする連邦政府判断を拒否すると発表した。連邦議会が議決すれば知事の拒否権を覆すことができるが、知事は法廷闘争も辞さない構えで、決着の見通しはついていない。

 ヤッカマウンテンは、ラスベガスの北西約130キロ、ネバダ核実験場の西側にある。民生用原発(103基が稼働中)の使用済み燃料や、軍の高レベル放射性廃棄物など7万トン以上を10年ごろから1万年にわたって保管する計画。地下約300メートルに当初100年は通路をふさがないままで保管し、放射性物質の漏れがないかなどを監視。問題がなければ、完全に埋設する。


 米国は日本と違い、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理はせず、民生用原発の使用済み燃料は政府が引き取ることになっている。87年以降はヤッカマウンテン1カ所に絞って埋設処分の安全性などを調査してきた。米国の使用済み燃料は現在、原発敷地内を中心に31州131カ所に分散して4万トン以上が保管されており、年に約2000トンずつ増えている。(10:18)

小沢氏発言は「挑発的言論」 中国外務省が批判

 新華社電によると、中国外務省の章啓月・副報道局長は8日、自由党の小沢一郎党首が中国の軍備増強を牽制(けんせい)する発言をしたことに対し「挑発的な言論だ。中日国交正常化30周年を祝う中、このような無責任な発言は中日両国人民の友好的な要求に完全に背いたものである」と述べ批判した。

 小沢氏は6日、福岡市内での講演で「中国は超大国になろうと軍事力増強にいそしんでいる」とし、会見した中国当局者に対して「(日本が)核兵器を作るのは簡単だ」などと述べた、とされる。


郵政民営化禁止条項の削除方針は不変 小泉首相

 小泉首相は9日、中央省庁等改革基本法にある「(郵政)民営化等の見直しは行わない」との条項を削除するという方針について「変わっていない」と語り、改めて片山総務相に指示する考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は昨年12月、郵政民営化論議を本格化させるため、片山総務相に同条項を削除するよう指示した。片山総務相は9日の記者会見で、「(首相は同条項について)『あってもなくてもいい』みたいなことを言われたようだ」と語り、指示を撤回したという受け止め方を示していた。


 しかし、首相は「どういう形でもいいから、民営化を行わないという今までの条項は削除するように考えておきなさい。堂々と民営化の議論が行われるようにしなさいと(片山総務相に)指示してある」と強調した。さらに「党内反対はわかっていますよ。自民党は変わらなきゃだめだ。(片山総務相に)会ったら、民営化できるように、民営化議論が自由にできるように、考えなさいと言っておきます」と、改めて指示する考えを示した。(20:55)

大橋巨泉氏らがアピール 「巨悪と小悪を区別せよ」

 故三木武夫・元首相夫人の三木睦子、前参院議員の大橋巨泉、漫画家の石坂啓、評論家の佐高信の各氏らが9日、東京都内で記者会見し、「護憲政党叩(たた)きが何を生むか」と題するアピール文を発表し、「巨悪」と「小悪」の区別の必要性を訴えた。


 アピール文は、社民党の辻元清美・前衆院議員による秘書給与流用問題に触れ、「いま、異常なまでの社民党つぶしが仕掛けられています」と指摘。「小泉首相は、今国会で、有事法制という名の戦争法制の推進、メディア規制三法の制定を明言しています。このために邪魔になる社民党をつぶしてしまおうというのではないでしょうか」と懸念を表明した。また、土井たか子氏の党首辞任の必要はないとしている。(18:13)