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【02/04/07 (日) 】

イスラエルが西岸で激しい攻撃 自治区の完全制圧目指す
テルアビブでイスラエル軍の撤退求める平和集会
アラブ連盟緊急外相会議が決議採択
ローマでアラブ系の大規模デモ イスラエル製品の不買も
米大統領、イスラエル首相に電話で撤退要求
ベツレヘムの聖誕教会包囲でバチカンが打開策提案
<パレスチナ>ヨルダン川西岸の各都市で戦闘続く
<イスラエル首相>作戦完遂まで撤退せず 米大統領に伝える
<反イスラエル>世界各地で抗議行動激しく インドネシアなど
<パレスチナ問題>バーレーンでデモ 米大使館の車両に放火

アフガン国際治安部隊の展開延長を容認 仏国防相
偽米国債・米ドル所持の日本人2人を起訴 香港警察
米軍、湾岸地域の司令拠点のカタール移動を検討
初のクローン人間はアラブ人か 英紙報道

有本さん事件、ザグレブ「前線基地」から指令か
健保組合の運営、大幅自由化へ 厚労省と健保連が合意
「スパイ・ゾルゲ」近くクランクイン 篠田監督の集大成
イスラエルが西岸で激しい攻撃 自治区の完全制圧目指す

イスラエル軍は7日もヨルダン川西岸のパレスチナ自治区での激しい攻撃を続け、パウエル米国務長官の現地入りを前に自治区の完全制圧を目指す構えだ。モファズ参謀長は7日朝の閣議で3月29日からの軍事作戦でこれまでにイスラエル兵11人、パレスチナ人約200人がそれぞれ死亡したと明らかにした。ブッシュ米大統領の作戦停止の呼びかけにもかかわらず、イスラエルは作戦完了を最優先とする姿勢を崩していない。

 7日も西岸北部のジェニンとナブルス両自治区で激しい戦闘が続いている。パレスチナ通信によると、激戦となっているジェニン難民キャンプでは7日朝に60歳以上の3人を含むパレスチナ人5人が銃撃で死亡した。5日以降の死者はパレスチナ側35人、イスラエル兵6人。イスラエル軍筋は、同キャンプの軍事作戦は7日中に完了する見込みとしている。

 さらに7日には、イスラエル軍はパレスチナ武装勢力が潜んでいるとされる西岸最大の都市ナブルスの旧市街に入り、過激派の掃討作戦を続けている。パレスチナ筋は7日朝、イスラエルの武装ヘリコプターが市街地に向けてミサイルで攻撃を始めたとし、同日未明に3人が死亡したという。これまでの同自治区でのパレスチナ側の死者は30人に上る模様。

 また7日未明にガザ自治区南部のユダヤ人入植地近くでイスラエル軍との銃撃戦でパレスチナ人2人が死亡した。イスラエル軍はまた7日朝からラマラ周辺の村に戦車で侵攻しているという。

 イスラエル首相府は「パレスチナ民間人の巻き添えを最小限にするために、作戦が長引いている」と作戦継続を正当化している。モファズ参謀長は7日朝、軍放送で「作戦を完了しなければ、将来、(報復で)イスラエルの犠牲者が大勢出る」と語り、作戦の早期停止に反対する姿勢を表明した。


 一方、6日夕には、アラファト議長が側近や欧米の平和活動家らとともに監禁状態にあるラマラの自治政府議長府に、イスラエル軍戦車が対戦車ロケットを発射、議長のボディーガード4人が負傷した。議長は無事だった。イスラエル軍は議長府から銃撃があったためとしている。(22:16)

アフガン国際治安部隊の展開延長を容認 仏国防相

 アフガニスタンを訪問したフランスのリシャール国防相は7日、カブールでの記者会見で、国際治安支援部隊(ISAF)のアフガンでの展開期間について、「(6月に開かれる予定の)ロヤ・ジルガ(国民大会議)の後も2、3カ月間、現在と同じ規模で展開をする用意がある」と述べた。期間延長については、暫定政権のカルザイ議長がISAF参加各国に要請中だが、主要国で公式に容認する発言をしたのは初めてだ。

 同国防相の前向きな発言は、アフガン国内の治安悪化を意識したとみられる。


 同国防相はこの日、カルザイ議長と会談し、ISAFの展開について協議した。だが、議長が要請しているカブール以外での展開については、記者会見で「望ましくない」と指摘。アフガン国軍の育成などを優先する考えを強調した。(21:43)

偽米国債・米ドル所持の日本人2人を起訴 香港警察

 香港の捜査当局は6日、3700億ドル(約50兆円)相当の偽米国債や8800万ドル(約118億円)相当の偽米ドル札を所持していたとして、日本人2人を含む4人を起訴した。起訴された日本人はナカモリ・シンリ被告(44)とモモハラ・マサヒデ被告(47)。

 当局によると、日本人らは今月3日、香港のホテルで額面5億ドルの偽国債740枚と古い1ドル札の額面を100万ドルと書き換えた偽札88枚を所持していたのが見つかり、現行犯逮捕された。ほかに米国など外国籍の3人と中国人、香港人1人ずつが逮捕された。


 香港紙によると、被告らは「友人から預かったもの。偽物だとは知らなかった」などと供述。また、被告の一人は中国広東省広州市のグループと取引する計画だったと話しているという。(20:50)

米軍、湾岸地域の司令拠点のカタール移動を検討

 サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地を湾岸地域の司令拠点として使用している米軍は、その機能をカタールに移すことを検討しているようだ。6日のワシントン・ポスト紙が報じたが、カタールの消息筋は同日、米側が決断すればカタール政府はいつでも受け入れる方針であることを確認した。カタールは95年に米国と結んだ協定で、武器類の事前集積を認めている。

 プリンス・スルタン基地は中東全域を管制できる施設を持つといわれ、米国はイラクを攻撃する時などの司令基地として重視している、とみられている。


 ところが、イスラム教の聖地を抱えるサウジアラビアでは異教徒の軍隊を導入したとして反発が根強いうえ、パレスチナ紛争でイスラエル寄りだとして反米感情が募っている。イスラエルのパレスチナ自治区侵攻に抗議して先週、サウジでは異例のデモが数カ所で起きたことが、米側に司令機能移設の検討を急がせたと同消息筋はみている。(20:43)
テルアビブでイスラエル軍の撤退求める平和集会

 ヨルダン川西岸で大規模な軍事攻撃を続けるイスラエル軍の撤退を求める平和集会が6日夜、イスラエル最大の都市テルアビブであった。「戦争はNO!」「再占領で問題は解決しない」。シャロン首相の強硬路線に異を唱える人たち約1万人の訴えが響いた。その一方、首相を支持する人々はデモの傍らで「テロリストは根絶しろ」と書かれたプラカードを掲げた。

初のクローン人間はアラブ人か 英紙報道

 世界初のクローン人間を妊娠させることに成功したとされるイタリア人医師セベリノ・アンティノリ氏について、7日付の英紙サンデー・テレグラフは、同氏が友人に対し、クローン人間づくりのために体細胞の核を提供した人物(父親)は「重要人物で裕福なアラブ人」と語った、と伝えた。

 同紙によると、アンティノリ氏は友人のイタリア紙テンポの科学担当記者に、クローン人間の作製計画について話した。父親の名前については明かさなかった。アンティノリ氏は豊富な研究資金を得て、あるイスラム教国で計画を進めているという。


 アラブ首長国連邦の地元紙は、同氏がアブダビでの講演会で「女性は現在妊娠8週間」と発表した、と報じていた。(19:48)

アラブ連盟緊急外相会議が決議採択

 アラブ連盟(21カ国と1機構)は6日、カイロで開いた緊急外相会議で、国連に対し▽パレスチナ自治区に侵攻したイスラエル軍の即時撤退を求めた安保理決議の履行を迫ること▽受け入れない場合は断固とした措置を取ること、を求める決議を採択した。


 決議には、パレスチナ人の正当な代表としてアラファト自治政府議長を支援し、自治区に国際監視団を送るよう安保理への働きかけを続けることも盛られた。一方で米国に対しては、イスラエルによる攻撃を対テロ戦争だと正当化せず、公平な仲介をするよう求めた。(19:19)

ローマでアラブ系の大規模デモ イスラエル製品の不買も

 パレスチナでの戦闘激化を受けてローマで6日、アラブ系の人々と左派政党の一部が「2つの民族、2つの国家」をスローガンに数千人規模のデモを行った。パレスチナへの強硬策を進めるイスラエルを孤立化させようと、イスラエル製品の不買運動も呼びかけ始めた。


 デモにはイタリア在住のシリアやモロッコ、イラクなどの出身者が家族連れで多数参加。通行人に配ったビラには不買の対象とする化粧品や冷凍食品、果物、ワインなどを商品名入りで列挙した。イスラエルの後ろ盾と見なす米国の製品にも不買運動を広げることを検討中という。(19:06)

米大統領、イスラエル首相に電話で撤退要求

 ブッシュ米大統領は6日、イスラエルのシャロン首相に電話し、パレスチナ自治区からイスラエル軍を「遅滞なく」撤退させるよう要請した。イスラエル軍が自治区に侵攻して以降、米大統領がイスラエル首相に撤退を直接求めたのは初めて。米政府当局者によると、これに対し、シャロン首相は「できるだけ早く作戦を終わらせる」と約束した。

 しかし、この首相発言の意味について、イスラエル首相府は「米側の希望を考慮し、西岸地区での攻撃完遂を早めるということだ」と述べ、即時撤退を考えているわけではないことを明らかにした。

 米側の撤退要請にはもともと明確な期限がなく、今後のイスラエル軍の行動が焦点となる。

 電話協議は、ブレア英首相との討議を踏まえて行われた。


 米政府高官によると、電話は約20分。大統領は首相に対し「情勢を沈静化させ、前に進まなければならない」と説得。パウエル国務長官の工作を成功させるためにも早期の撤退が必要だとした。(10:36)

ベツレヘムの聖誕教会包囲でバチカンが打開策提案

 ローマ法王庁筋は6日、ロイター通信に対し、パレスチナ人らが立てこもっているベツレヘムの聖誕教会をイスラエル軍が包囲している事態を受け、バチカンが打開策を提案していることを明らかにした。


 パレスチナ側が教会に武器を置いて退去するまでの数時間、軍はいったん包囲を解くという内容。現地駐在のバチカン外交当局者が双方に繰り返し説得しているが、今のところ進展はない。(00:12)

<パレスチナ>ヨルダン川西岸の各都市で戦闘続く

 【エルサレム井上卓弥】イスラエル軍は6日夜から7日にかけ、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンの難民キャンプとナブルス旧市街に武装ヘリや戦車を展開し、パレスチナ過激派への集中攻撃を加速させた。侵攻中の西岸各都市でも戦闘が続いた。パウエル米国務長官の来訪を控え、イスラエル側の軍事作戦は重要局面を迎えたとみられる。

 パレスチナ自治政府のラボ文化情報相は6日、「ジェニンのキャンプで少なくとも30人が殉教した」と述べ、自治政府は「ジェニンの虐殺」を止める措置を国際社会に要請する声明を出した。パレスチナ赤新月社によると、6日未明から夕方までに子どもを含むパレスチナ人少なくとも16人が死亡し27人が負傷した。

 イスラエル軍のモハズ参謀総長は7日朝の閣議で、先月29日の作戦開始以来のパレスチナ人死者が約200人、負傷者が1500人に達したと述べた。軍事作戦加速に伴ってイスラエル軍の被害も増加しており、5日からのジェニン、ナブルスでの戦闘では7人が死亡、合計死者数は11人となった。

 同軍は6日、西岸ヘブロン近郊の村にも戦車などで攻撃を開始。同日夕には、アラファト・パレスチナ自治政府議長が監禁されている西岸ラマラの自治政府議長府に砲撃を加えた。議長は無事だった。

 また、先月末から続くレバノンのイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ」のロケット砲攻撃に対し、北部国境周辺に兵力を集めているとの情報もある。(毎日新聞)
<イスラエル首相>作戦完遂まで撤退せず 米大統領に伝える

 【エルサレム岸本卓也】ブッシュ米大統領との電話協議でイスラエル軍のパレスチナ自治区からの即時撤退を拒否したシャロン首相は6日、侵攻作戦によって過激派活動家の逮捕や武器弾薬の押収が進んでいることを強調し、作戦の完遂までは撤退できないことを米大統領に伝えた。

 イスラエル国内の報道によると、29日から始まったヨルダン川西岸パレスチナ自治区への侵攻作戦について首相が報告した内容には、6日までにパレスチナ人過激派の逮捕者数が1500人以上に達し、過去のテロ事件の容疑者400人以上も含まれている。

 拘束した容疑者のうち約90人はイスラム原理主義組織「ハマス」の活動家で、容疑者の自宅などから多数の武器や弾薬類を押収したという。

 首相は「テロ防止に効果的な作戦だ」とし、作戦の続行について米大統領に理解を求めた。イスラエル軍幹部は記者会見などで「作戦は少なくとも4週間かかり、最長では8週間かかる」との見通しを述べている。(毎日新聞)
<反イスラエル>世界各地で抗議行動激しく インドネシアなど

 イスラエルがパレスチナ過激派の掃討作戦を強化する中、世界各地で、パレスチナ支持者による反イスラエル抗議行動が激しさを増している。ロイター通信などによると、インドネシアでは7日、顔を布で隠した数千人がデモに参加。イスラエル国旗を焼き、米国に対しシャロン・イスラエル首相を「戦犯」として裁くよう求めた。(毎日新聞)
<パレスチナ問題>バーレーンでデモ 米大使館の車両に放火  

 バーレーンの首都マナマで六日、イスラエルのパレスチナ自治区侵攻に抗議するデモがあり、暴徒化した一部のデモ参加者が米大使館の敷地内に侵入し複数の車両に放火した。米大使館側の警備員が催涙弾を発射して暴徒らを排除した。数百人のデモ隊の一部が敷地を取り囲む塀を乗り越えて侵入したという。(共同)(毎日新聞)
有本さん事件、ザグレブ「前線基地」から指令か

 83年に神戸市出身の有本恵子さん(当時23)が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)へ拉致されたとみられる事件で、拉致に関与したとされるよど号事件の元赤軍派グループが「前線基地」として使っていた民家が、旧ユーゴスラビアのザグレブ(現クロアチア首都)に残っていることがわかった。メンバーの元妻の証言では、この家は有本さん拉致の指令が出された現場である可能性が高く、日本の公安当局も把握している模様だ。

 民家は2軒あり、いずれもザグレブの象徴「聖ステファン大聖堂」を見下ろす高級住宅街にある。

 1軒は、れんが造りの2階建て。現在は地元の銀行員が借りている。向かいに住む年配の女性は「ここで生まれ育ったが、外国人がいたのは見たことがない」と話す。だが、この家に80年代によど号メンバーらが出入りしていた疑いが、関係者の調べで浮上している。

 もう1軒は、2軒はさんだ別の民家。高さ2メートルほどの石壁に囲まれ、やはり2階建て。石壁の多いこの付近で威容がきわ立つ。庭には木が多数あり、外からは中の様子はうかがえない。

 現在の住人の男性(70)によると、80年代、前の家主だったいとこが、北朝鮮外交官を名乗る人物に1階部分だけを数年間、貸した。約130平方メートルの室内には、台所とバス、トイレのほかに三つの部屋がある。家賃は今なら日本円にして約12万円と、地元の会社員の平均的月収の倍。当時でも相当の高級物件だったようだ。

 妻帯者や子供連れら、複数の家族が住んでいたという。男性は「人と顔を合わせるのを避け、地味な服装で暮らしていた。家主にすら接触したがらなかった」と話す。

 よど号メンバーの元妻八尾恵・元スナック店主(46)の証言によると、元妻は83年5月、ザグレブの前線基地で、リーダーの田宮高麿幹部(95年死亡)から「日本人獲得工作」の指令を受けた。その後、元妻はロンドンへ渡って有本さんに近づき、「仕事がある」などと勧誘。約束をとりつけてザグレブに戻った。

 どう「獲得」するかの相談は、在ザグレブ北朝鮮領事館のキム・ユーチョル副領事と、メンバーの安部公博容疑者(54)としたという。

 当時、基地には安部容疑者ら複数のメンバーが交代で常駐し、妻らも出入りしていたという。

 ザグレブに現在残る民家は、外観や契約時期などから、元妻の言う「前線基地」だった可能性が高い。民家は当時の北朝鮮領事館からは数キロ。有本さん拉致の指示や計画立案がなされたとみられる現場として、日本の公安当局も把握している。

 旧ユーゴスラビアの情報機関によると、旧ユーゴは共産圏の中では西側諸国に近い国の一つだったため、共産圏のスパイ活動が盛んだった。


 北朝鮮のザグレブの領事館は、クロアチアの旧ユーゴからの独立が各国から承認され始めた92年初頭までに閉鎖された。北朝鮮は当時、ザグレブを欧州の活動拠点とし、よど号グループはその助けを受けながら活動していたとみられる。(11:07)

健保組合の運営、大幅自由化へ 厚労省と健保連が合意

 大企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合(約1700組合、約3300万人)の運営について様々な規制を設けている国の「事業運営基準」について、厚生労働省と健康保険組合連合会(健保連)が、抜本的見直しで合意し、協議を始めた。規制を大幅に減らし、組合が独自に行う医療費補助の制限を撤廃するなどして、組合の自主性を高めることを目指す。今年度中に結論を出し、03年度から実施したい考えで、個々の組合の財政状況の違いで事業内容の格差が拡大すると予想される。また、最低実施基準がある人間ドックなども協議対象になるとみられることからどこまで緩和するかが今後の焦点になる。

 協議は、健保連側の要望に厚労省が応じ、今月から始まった。小泉内閣のもとで加速している規制緩和の流れに加え、医療制度改革の議論の中で保険者の機能強化を求める声が高まっていることから、健保組合が事業運営を柔軟にできるようにする方向で双方が一致した。

 事業運営基準は60年に設けられた。組織体制や運営、付加給付の上限や医療費補助の制限、保健事業の内容など全般について細かく規定している。罰則はないが、健保組合を行政指導、監督する目安になっている。健保側には「自分たちの保険料で運営しているのに、はしの上げ下ろしまで指導されている」などの不満がくすぶっていた。

 見直し論議では、付加給付の種類や支給額の制限、自己負担への還元金の限度などについては、自由化する方向となりそうだ。全国の健保組合のうち約9割は今年度の経常収支が赤字の見通しだ。規制を大幅に緩和することで、財政健全化への取り組みを促す狙いも厚労省、健保連双方にある。

 ただ、人間ドックや成人健診などに設けられている最低実施基準が廃止されると、財政状況が悪い組合がやめてしまう可能性がある。また、現在の基準では自己負担への還元金はどの病院を受診しても受けられるが、自由化されると、組合にとって医療費支払額が安くてすむ病院に患者を誘導するため、特定病院を受診した場合のみに還元金を支払うようにすることもできる。こうした自由化には医療側から強い反発が予想される。


 一方、厚労省は診療情報などの個人情報保護のように、健保組合が守らなければいけない事項については罰則を設け、むしろ規制を強化したい考えだ。(03:08)

「スパイ・ゾルゲ」近くクランクイン 篠田監督の集大成

 篠田正浩監督が映画人生の集大成として取り組む「スパイ・ゾルゲ」が、本格的な撮影に入る。正式クランクインを2日後に控えた4日、映画の衣装をまとった主要キャストが監督とともに会見し、作品への思いを語った。

 第2次大戦前夜の日本を揺るがした国際スパイ事件を、海外ロケや大規模なCGを交えて描く大作だ。「歴史は過去の出来事を語ることではなく、今の人間が発見すること」と篠田監督は語る。

 ソ連の対日諜報(ちょうほう)工作を担ったリヒャルト・ゾルゲを演じるのは、「トゥームレイダー」の敵役が印象的な英国出身のイアン・グレン。監督がインターネットで「ゾルゲそっくり」の写真を見つけ、出演を依頼した。

 「伝えるべき歴史を描いた脚本に引かれた。命懸けで信念を貫いた男の役なので、身が引き締まる思いがする」とグレン。

 ゾルゲの協力者の元朝日新聞記者尾崎秀実(ほつみ)を演じる本木雅弘は、「目の前の大きなブラックホールに飛び込めるかどうか、まだ不安」と緊張した面もち。

 篠田監督は、この映画の後は監督業を離れ、後進の育成に回るという。首相夫人役で夫の引退作品を飾る岩下志摩は「長年言い続けて来た作品だけに、妻としても心から成功を祈っている」。出演の合間に自らカメラを回し、メモリアルビデオと作るという。

 西日本を縦断するロケの後、上海、ベルリンでも撮影し、来年2月に完成する予定。