<パレスチナ情勢>レバノンのヒズボラが過激派との連携強化?
仏マルセイユの礼拝所でまた火災 反イスラエルの放火か
イスラエル大使の国外追放を検討 ヨルダン
平和運動家13人を拘束、パレスチナ議長府で40人盾に
「イスラエルは戦争中」 シャロン首相が宣言
アラファト議長を守れ 欧米の平和運動家議長府入り
イスラエルで自爆テロ3件 18人死亡、60人以上けが
議長府に突入、銃撃戦 アラファト議長の警護隊2人負傷
ブッシュ、アラファトに4年前の仕返し
ワシントン平和大行進に日本の若者参加 原水協が派遣
落雷で停止の原電東海第2原発、運転再開へ
3月の平均気温、95地点で観測史上最高記録更新
みずほ銀ATM障害の原因、接続コンピューターの不具合
自民の政党交付金152億円に 総務省決定
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<パレスチナ情勢>レバノンのヒズボラが過激派との連携強化?
82年の侵攻以来、レバノン南部を占領していたイスラエル軍が撤退してまもなく2年。イスラエルとレバノンの国境をはさみ、依然、小競り合いが続く。だが、レバノンではイスラエル軍追放の最大の貢献者としてイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ」が今も、住民から英雄視されている。イスラエルとパレスチナとの衝突が泥沼化する中、ヒズボラは同じ反イスラエル抵抗闘争という目標を掲げたパレスチナ過激派との連帯を深めているようだ。【レバノン南部・アルヒアム村で小倉孝保】
イスラエルとの国境に近いアルヒアム村の刑務所。レバノン軍が2年前まで、親イスラエル民兵組織「南レバノン軍」(SLA)が管理、抵抗運動に加わるレバノン人を収容していた。イスラエル軍撤退を機に解放され、今はヒズボラが当時のまま、見学者に開放している。
鞭打ち、電気いすの拷問が行われた部屋もあり、「収容されていた人は20日間で10分間しか太陽の光に当たることができなかった」といった説明書きがあった。見学の大学生は「ヒズボラがいなければ、自分もこの刑務所に入れられていたかもしれない」と語った。
アルヒアム村のハッサンさん(52)は、82年にイスラエル軍侵攻と同時にこの村を追われ、首都ベイルートで暮らしていた。イスラエル軍撤退と同時にここに戻り、荒れ果てたままだった自宅を建て直した。ハッサンさんは「ヒズボラだけが我々に自由を与えてくれた」と話す。
85年から96年までSLAの刑務所に収容された経験を持つヒズボラ戦士、チャイクさん(40)は「ヒズボラはイスラエルが無敵でないことを証明した。アラブのどの政府もできなかったことをやったのだ」と話す。
チャイクさんによると、ヒズボラの武力抵抗闘争は今もイスラエル軍が占領し続けるレバノン・シリア国境地帯の「シャバア農場」に対する攻撃に限定されている。だが、パレスチナ人組織とは密に連絡を取り合い、情報提供などで支援しているという。
パレスチナ解放機構(PLO)主流派「ファタハ」のレバノン地区最高幹部、アルマクダ氏も、軍事的な協力関係を否定しながらも「ヒズボラとは常に政治的接触を続けている」と語っている。
「ヒズボラの存在意義は反イスラエル闘争だ。イランやアラブ諸国からヒズボラへの財政支援もそれがあるからこそ来る。今は限定的な闘争だが、いずれ本格的にパレスチナでの闘争に加わる時が来る」(レバノン南部に詳しいジャーナリスト)との見方もある。
ヒズボラ政治部門幹部のヌール・エルディン師は、「パレスチナ人組織が攻勢に出ている現在の状況はかつてのレバノン南部と似ている。パレスチナの解放闘争が困難に陥った時にはヒズボラはあらゆる協力をする」と語り、パレスチナでの武力闘争も視野に入れ始めていることをにおわせた。
◇ヒズボラ アラビア語で「神の党」を意味するイスラム教シーア派民兵組織。イスラエル軍による82年のレバノン侵攻直後にレバノンで設立され、83年の在ベイルート米大使館爆破事件に関与し、国際的に知られるようになった。イランを拠点とする同名の組織との連携が指摘される。
消息筋によると、対イスラエル武装闘争では、資金面でイラン、武器供与面ではシリアの支援を受けているとされる。福祉活動や教育に力を入れて住民の支持を広げ、レバノン内戦(75年〜90年)後、初めて実施された92年のレバノン総選挙で14議席を獲得、その後もレバノン内政に確固たる影響力を持つ。党首のハッサン・ナスララ師の人気は高い。
ロケット弾による越境攻撃などでイスラエル軍兵士に犠牲者が続出し、99年7月、バラク・イスラエル首相(当時)が「レバノン南部からの1年以内の撤退」を表明。これを受け、ヒズボラが攻勢を強めたため、イスラエル軍は00年5月に撤退を前倒し実施した。【樋口直樹】(毎日新聞) |
仏マルセイユの礼拝所でまた火災 反イスラエルの放火か
フランス・マルセイユで1日未明、ユダヤ教の礼拝所「シナゴーグ・オールアビブ」が全焼した。けが人はなかった。イスラエルのパレスチナ攻撃に反発しての放火とみられる。フランスではイスラエル軍によるパレスチナ自治政府議長府への攻撃以降、ユダヤ教関連の施設が攻撃される事件が相次ぎ、シラク大統領は警備を強化するよう政府に指示した。
現場にはガソリンがまかれた跡があったという。同シナゴーグには昨年も、手投げ弾が投げ込まれる事件があった。
シラク大統領は「反ユダヤ主義がフランス人の間で広がっているとは思わない。ただ、緊張の高まりは深刻に受け止める必要がある」と語った。
リヨンのシナゴーグに車が突入したり、ストラスブールのシナゴーグに火がつけられたりする嫌がらせが相次いでいる。仏ユダヤ教長老会議は3月31日、ナチスがドイツでユダヤ人虐殺を始めた38年のクリスタル・ナハト(水晶の夜)になぞらえ「政府の無策によって新たな水晶の夜が始まろうとしている」と警告していた。(21:56)
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イスラエル大使の国外追放を検討 ヨルダン
アラブ連盟のムーサ事務局長は1日、エジプトとヨルダンがイスラエルへの抗議措置を取る可能性があると表明した。アンマンの外交筋によるとヨルダン政府は、イスラエル軍のパレスチナ自治区侵攻が続けばイスラエル大使の国外追放を含む措置を検討しているという。アラブ諸国の中では両国だけがイスラエルと国交を結んでいる。
イスラエル軍がパレスチナ自治政府のアラファト議長の議長府を直接攻撃した先月29日以来、エジプトのカイロをはじめ主な都市で学生を中心にデモが続き、1日も各地で数千人が集まった。集会ではムバラク大統領に対し、イスラエル大使追放、アラブ首脳会議が28日に採択したイスラエルとの和平提案拒否などの要求が掲げられた。
ヨルダンでは1日、イスラム政党イスラム戦線が「イスラエルの暴挙に対するアラブ諸国の沈黙」を非難し、経済関係の断絶などを求める声明を出した。レバノン北部のトリポリでは31日、2万人以上という、当地ではかつてない規模の抗議デモがあった。(21:00)
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平和運動家13人を拘束、パレスチナ議長府で40人盾に
アラファト議長が閉じこめられているヨルダン川西岸ラマラの議長府に入った欧米の平和運動家ら約50人のうち、13人が31日、アラファト議長との会談後イスラエル軍に身柄を拘束された。AFP通信が運動家らの話として伝えたもので、拘束された中にフランスの反グローバリズム運動家ジョゼ・ボベ氏も含まれている。ボベ氏は99年に南仏のマクドナルド店舗を襲撃したことで知られる。
拘束された以外にも約40人の運動家が「人間の盾」になるとして、議長府内にとどまっているという。(13:19)
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「イスラエルは戦争中」 シャロン首相が宣言
イスラエルのシャロン首相は3月31日夜、テレビを通じて国民に向けて演説し、「イスラエルは戦争の下にある」と宣言した。それに先だって同首相は治安閣議を開催し、軍事作戦の拡大を決めた。31日夜にはイスラエル軍がカルキリヤ自治区に侵攻し、制圧した。AP通信によると、1日早朝にはベツレヘムにも戦車が入った。
シャロン首相は演説の中で、「我々は反テロ戦争を強いられている。(パレスチナの)テロの基盤を破壊することに一切容赦しない」と、軍事的な強硬路線を強調した。また、アラファト議長について、「平和への障害であり、中東全域の安定をまひさせる」と非難した。
イスラエルテレビによると、治安閣議では28日に承認された大規模な軍事作戦の次の段階について協議し、西岸とガザの他の自治区に作戦を拡大、強化することが決まったという。
31日夜、イスラエル軍はカルキリヤ自治区に約100両の戦車部隊で侵攻し、自治区のほぼ全域を制圧した。市内の電話は切られ、水道も止まったという。市内で銃声がしているという。
イスラエル軍は31日午後、ラマラ自治区を「軍事地域」に指定し、住民には外出禁止令をしいて、一戸ずつを家宅捜索し、過激派の摘発を進めている。29日未明の侵攻開始以来、31日夕方までに500人を拘束したという。外国メディアにも退去を求めている。
また、イスラエル軍はアラファト議長がいる議長府に、昨年10月にイスラエルの観光相の暗殺犯とされるパレスチナ解放人民戦線(PFLP)のメンバーや、1月にイスラエルが紅海でだ捕した武器密輸船問題の首謀者とされる治安・警察の財政責任者が拘束されているとして、身柄の引き渡しを求めていると伝えられる。(12:16)
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アラファト議長を守れ 欧米の平和運動家議長府入り
イスラエル軍に包囲され、アラファト議長が閉じ込められているヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラの議長府に31日、欧米の平和運動家ら約40人が入った。アラファト議長の身体の安全を守るためで、時事AFP通信によると、南仏のマクドナルド店襲撃で知られる反グローバル化運動の指導者ジョゼ・ボベ氏も加わっている。米CNNによると、このうち同行したCNN記者ら約10人は議長と面会後、外に出たが、残りはそのまま議長府にとどまっている。
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イスラエルで自爆テロ3件 18人死亡、60人以上けが
イスラエルとヨルダン川西岸の入植地で30日夜と31日午後にパレスチナ過激派による自爆テロが計3件続き、自爆者を含め計18人が死亡し、60人以上が負傷した。イスラエル軍による議長府攻撃への報復と見られる。シャロン首相は31日午後、治安閣議を開いた。イスラエル軍放送は、新たな報復策が検討されると報じた。
軍放送によると、31日午後3時前に、イスラエル北部ハイファ中心部のアラブ料理レストランの内部で激しい爆発が起き、自爆者の他に客15人が死亡、40人が負傷した。現場は、市中心部にある大きなショッピングセンターの近くにあり、アラブレストランで、ほぼ満席だった。犠牲者の中にはアラブ系イスラエル人も含まれている。爆発でレストランの屋根に大きな穴があいたという。イスラム過激派ハマスが犯行声明を出した。
31日午後5時ごろには、ヨルダン川西岸のエフラタ入植地内で自爆テロがあり、実行犯が死亡、入植者4人が負傷した。
30日夜の自爆テロはテルアビブ中心部の喫茶店であり、実行犯が死亡し、客25人が負傷した。アラファト議長が率いるファタハの武装部門の「アルアクサー殉教者軍団」が犯行声明を出した。
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議長府に突入、銃撃戦 アラファト議長の警護隊2人負傷
パレスチナ通信は31日朝、イスラエル軍がヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラの議長府への突入を図り、警護隊と激しい銃撃戦となったと報じた。イスラエル軍は議長府突入を否定したが、銃撃戦があったことは認めた。自治政府高官は「議長の生命が危ない」と訴えている。イスラエルのシャロン首相は議長追放を主張しているとされ、今後の展開は不透明だ。
パレスチナ通信によると同日午前8時半ごろ、イスラエル軍は議長府に激しい銃撃を加え、議長執務室に突入しようとして、議長警護隊と激しい銃撃戦になった。議長府にいるアブルデイナ議長報道官は午前10時半ごろ、米CNNテレビに対して、「イスラエル軍は議長府の西側の壁から突入しようとし、なお銃撃は続いている」と語った。また自治政府のエレカット地方行政相は「銃撃はアラファト議長がいる2階で起こり、警護隊2人が負傷した。議長も危険にさらされている」と語った。
議長府では同日午前、2度の爆発があったという。イスラエル軍が手投げ弾を投げたともされる。パレスチナ通信は、午前10時半ごろ、イスラエル軍戦車が議長府を砲撃し、さらに催涙弾を議長府内に撃ち込んだと報じた。当地での情報を総合すると、イスラエル軍は議長府に隣接する総合情報局本部などを制圧し、占拠した。議長府の住居棟は既に占拠され、アラファト議長がいる執務室・会議棟に向けてイスラエル軍の攻撃が続いている模様だ。
ベンエリエゼル国防相は30日夜のテレビ会見で「議長に危害を加えることはない」と明言した。シャロン首相は31日午後、再度治安閣議を開いて軍事作戦の今後の展開について協議を続けるという。
一方、パレスチナ筋の情報によると、イスラエル軍はラマラ市内のほぼ全域を制圧し、外出禁止令を敷いて、一戸ごとに家宅捜索している。また治安警察本部を15両の戦車で包囲し、ラジューブ警察長官に逮捕している過激派メンバーの引き渡しを求めている。31日午前中にラマラで9人のパレスチナ人が銃撃で死んだ。ベツレヘム自治区にも侵攻、トルカレムでは31日未明、イスラエル軍特殊部隊がパレスチナ人活動2人を暗殺したという。(23:07)
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ワシントン平和大行進に日本の若者参加 原水協が派遣
原水爆禁止日本協議会(代表理事=沢田昭二・名大名誉教授ら、原水協)は1日、「テロにも報復戦争にも反対する」として今月20日に米国・ワシントンで開かれる10万人規模の「平和大行進」集会に、若者代表14人を派遣することを明らかにした。
「テロ対策を理由に民主的・市民的権利への抑圧が続いている」「報復戦争はさらなるテロを生む」と批判する全米青年学生連合などが世界各国の反戦平和団体に呼びかけたのを受け、原水協が日本からの参加者を募集。横浜市大4年の首藤郷さん(21)ら10代から20代の大学生や団体職員が応募した。
一行はニューヨークにも立ち寄り国連本部と各国政府にも「戦争阻止」を要請する。米国での集会に呼応して20日には日本国内でもデモや集会が開かれる。
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落雷で停止の原電東海第2原発、運転再開へ
日本原子力発電は1日、31日夜の落雷の影響で自動停止した原電の東海第二原発(茨城県東海村)の運転を2日午前0時から再開すると発表した。日本原子力研究所も、自動停止した大洗研究所(大洗町)の材料試験炉(JMTR)の運転を、同日午前10時から再開する。
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3月の平均気温、95地点で観測史上最高記録更新
気象庁は1日、3月の天候をまとめた。平均気温は、149観測地点のうち約3分の2の95地点で最高記録を更新。記録的な暖かさだった。
同月の最高値となったのは、仙台市7.5度(従来記録は6.2度)、東京都心12.2度(同10.6度)、名古屋市10.4度(同10.1度)、大阪市11.6度(同10.6度)、福岡市12.5度(同11.4度)など。
同庁の担当者は「月を通して日本付近への寒気の南下が弱かった」とし、例年のような春先の「三寒四温」がなかったという。(19:33)
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みずほ銀ATM障害の原因、接続コンピューターの不具合
第一勧業、富士、日本興業の3銀行が再編して誕生した「みずほ銀行」は、営業初日の1日に発生した現金自動預入払出機(ATM)の障害について「原因は合併前の旧銀行のシステムをつなぐコンピューターの不具合」と発表した。1日に他行のATMを使った顧客には、その手数料(消費税込み105円)を返す。1日夜の時点で復旧のめどは立っておらず、同行は「2日朝までの復旧に全力を尽くす」としている。
みずほ銀行によると、全国で約7000台ある同行ATMのほとんどで障害が発生した。障害の内容は、(1)再編前の旧銀行の店舗でしかキャッシュカードが使えない(2)他行のカードでは旧第一勧銀の店舗で預金が引き出せないなど。障害は同日朝の営業開始から発生、終日続いた。みずほ銀行は、店頭でキャッシュカードを使えない顧客を利用可能な店舗へ案内するなど、対応に追われた。
今回の統合では、旧第一勧銀と富士銀のコンピューターシステムをリレー(接続)コンピューターでつないだが、この部分に不具合があった。(21:36)
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自民の政党交付金152億円に 総務省決定
総務省は1日、02年の政党交付金317億3100万円の配分を決めた。自民党は前年よりも6億2900万円多い151億6300万円(前年比4.3%増)になった。
民主党は87億1800万円(同3.8%増)、自由連合は3億5700万円(同13.7%増)とそれぞれ増えた。一方、社民党は3億6100万円少ない17億9100万円(同16.8%減)だった。二院クラブとみどりの会議(旧さきがけ)は、交付金を受ける要件の「得票率2%以上」を達成できなかったため、交付されない。(22:41)
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ブッシュ、アラファトに4年前の仕返し
【ニューヨーク31日共同】
米誌ニューズウィーク最新号(4月1日発売)は、ブッシュ米大統領のアラファト・パレスチナ自治政府議長への冷酷な態度は、4年前に同議長に面会を拒否されたことが発端になっているとの見方を伝えた。
ブッシュ大統領は昨年1月の就任以来、議長と会談しておらず、ホワイトハウスにも招いていないばかりか、友人には「議長をテロリストとみなしている」と話してもいるという。
大統領はテキサス州知事時代の1998年、米国の親イスラエル団体の招待でイスラエルを訪問。シャロン外相(当時、現在は首相)の案内で同国内を回り、イスラエルの歴史を学んだほか、空軍機の緊急発進なども見学。帰国後は「大きなインパクトを受けた」と語った。
一方でアラファト議長との面会は議長の「日程上の理由」で実現せず、将来の大統領候補として注目されていたブッシュ氏は訪問前に「議長とは会いたくない」と発言。訪問時にこの発言の真意を現地記者団に聞かれ、激怒する一幕もあったという。
同誌によると、議長については米政権内でも扱いが割れており、「自治政府議長として容認できない」とするのがチェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官。これにパウエル国務長官とライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が反対している。
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