イスラエル、アラファト議長を兵糧攻めの構え
アラブ各国でイスラエルに対する抗議行動
日本支援のロシア退役原潜解体作業、責任問題で暗礁に
英女王の母、エリザベス皇太后死去 101歳
マードック氏ら、独メディア最大手「キルヒ」買収へ
原発「後処理」費用、30兆円にも 電事連の長期試算で
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イスラエル、アラファト議長を兵糧攻めの構え
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラの自治政府議長府を制圧したイスラエル軍は、30日もアラファト議長を事実上の監禁状態に置き、兵糧攻めの構えを見せている。また、西岸のベイトジャラ、ヘブロンにも戦車で侵攻、軍事作戦の範囲を広げた。これに対し、議長率いるパレスチナ解放機構(PLO)の主流派ファタハは「占領軍と入植者への攻撃を強化する」との声明を出し、軍事衝突の泥沼化が予想される。
停戦仲介を進めてきたジニ米特使は30日夜、イスラエルのモファズ参謀長との会談を設定した。また、ロシアのイワノフ外相は、同日中にエルサレムで、国連と米ロ、欧州連合(EU)の代表が会談すると述べた。イスラエルに、パレスチナ自治区の都市からの撤退を求めた国連安保理決議の実行を求めると見られる。
アラファト議長のいる建物は電気、電話、水が断たれたままで、最後の通信手段だった携帯電話も30日にバッテリーがなくなり、外部から孤立した。監禁状態が長期化すれば、72歳と高齢だけに、議長の健康状態への懸念が高まりそうだ。
イスラエル軍はラマラ市全域に夜間外出禁止令を出し、銃撃戦の末、多数のパレスチナの治安関係者らを拘束した。また、AFP通信によると、イスラエル軍は同市内の16歳から50歳の男性に出頭を呼びかけ、数百人が学校などに集められている模様だ。
現地からの情報によると、市の中心部にある銀行の建物では、パレスチナ警官5人が撃たれて死亡しているのが見つかった。30日早朝には、アラファト議長率いるPLO主流派ファタハの幹部サヘル・ハバシュ氏が逮捕された。
ラマラ市内の病院にとどまっているパレスチナ人権団体のフウェイダ・アラスさんは朝日新聞に対し、市内には軍事侵攻によるけが人や、ショックで心筋こうそくを起こした人がいるが、イスラエル軍が銃撃するため救急車が救援に向かえない状況だと述べた。医薬品も不足しており、人権団体は国際赤十字などに支援を要請したという。
一方、イスラエル放送によると、レバノンとの国境付近に30日朝、イスラム教シーア派組織ヒズボラが迫撃砲を撃ち込み、イスラエル軍も応戦した。ヒズボラのラジオは「ラマラ占領への対抗措置」と伝えた。
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アラブ各国でイスラエルに対する抗議行動
イスラエルのパレスチナ自治政府攻撃に抗議するデモが30日、アラブ各国で繰り広げられた。
ヨルダンの野党と専門職組合で構成する、パレスチナ人の反占領闘争を支持する「インティファーダ支援国民会議」は同日、ヨルダンとエジプト政府にイスラエルとの国交断絶を求める声明を出した。アラブ諸国の中では両国だけがイスラエルと国交を樹立している。
また、エジプトのカイロでは、複数の大学や高校で学生計数千人が、断交やイスラエル大使追放を求めてデモをした。
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日本支援のロシア退役原潜解体作業、責任問題で暗礁に
日ロ両政府が99年に合意した日本の支援によるロシア極東の退役原子力潜水艦解体が、解体による事故の場合などの責任をめぐる協議の難航で全く進んでいないことが明らかになった。解体のため日本政府が出した155億円は、ほぼ手つかずになっている。
外務省によると、日本側が解体をロシア政府自身でするよう求めているのに対し、ロシア側は外郭団体に任せる方針を主張。事故時の日本政府の免責条項の内容をめぐっても折り合いがつかず、協議は昨年1月に開かれて以降、再開のめどがたっていないという。
また、核兵器廃棄時の事故対応に必要な放射能測定装置などの機材をロシア政府に提供するため、93年に日本政府が1億円を出した計画も進んでいないこともわかった。機材配備の確認を求める日本側に対し、ロシア側が軍事機密を理由に難色を示しているためだという。
これらの事業は、ロシア側の低レベル放射性廃棄物海洋投棄問題を機に93年にできた日ロ核兵器廃棄協力委員会が行っている。ロシア政府の要請をふまえ、日本政府が資金を出している。
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英女王の母、エリザベス皇太后死去 101歳
BBC放送によると、英国のエリザベス女王の母のエリザベス皇太后が30日午後3時15分(日本時間31日午前0時15分)、死去した。101歳だった。皇太后はここ数週間、呼吸器系の疾患に悩まされていたという。30日朝、容体が悪くなった。
皇太后は1900年8月生まれ。英王室の記録では、百歳以上長生きした王族は初めてという。
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マードック氏ら、独メディア最大手「キルヒ」買収へ
経営危機に直面しているドイツのメディア最大手キルヒグループを、オーストラリアの「メディア王」ルパート・マードック氏やイタリアのベルルスコーニ首相のメディア企業などが買収する方向で28日、債権銀行側と最終調整に入った。
報道によると、両氏のメディア企業などが共同でキルヒの中核企業キルヒメディア株の過半数を取得し、経営権を握る計画という。
キルヒメディアは自動車レースのF1や今年のサッカー・ワールドカップ(W杯)の放映権を握るほか、大手民放数社を傘下に置く。グループの債務は100億ユーロ(約1兆2000億円)を超えると推計され、不況のドイツ経済界には救済の受け皿がなかった。
ただ、ベルルスコーニ首相の本格参入には、中道左派の独政権内に警戒する声が強い。ベルルスコーニ氏がイタリアで傘下メディアの政治利用を指摘されているからだ。シュレーダー独首相は独誌シュピーゲルの最新号で、他国の政治家の影響力がメディアに及ぶことを「問題がないわけではない」とけん制した。(23:01)
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原発「後処理」費用、30兆円にも 電事連の長期試算で
原子力発電所で発電をした後の放射性廃棄物処分や発電所撤去、核燃料再処理などのいわゆるバックエンド(後処理)費用が、電気事業連合会による初の長期試算で、2045年までに全国で約30兆円にのぼることが明らかになった。電力自由化で競争が激しくなるなか、電力業界からは、こうした負担を軽くするため、政府の新たな支援策のほか、核燃料再処理計画の凍結を求める声も浮上しつつある。
電力自由化論議の本格化を控え、電事連が中心となって昨年後半から試算を積み上げてきた。
原発の使用済み核燃料から再利用のためのプルトニウムを取り出す再処理工場が、青森県六ケ所村で05年7月に運転開始を予定している。試算はこの工場の稼働期間を40年と仮定し、同工場を止めるまでの総費用を計算した。
また、現在52基が商業運転中の原発についても、稼働期間を40年と想定し、一定の増設を見込んだうえ、解体・撤去のための積み立て費用や高・低両レベルの放射性廃棄物の貯蔵・処分など一連の費用を織り込んだ。
その結果、六ケ所村と全国の原発にかかる総費用は約26兆6000億円に達した。
これには、(1)再処理中に発生する超ウラン元素(TRU)廃棄物の処分(2)再処理工場そのものの解体・処分のための積み立て費用は含まれていない。(1)と(2)については、現在、管理対象の廃棄物となる放射線レベルなど処分基準が制度化されておらず、「ルール次第で大きく変動する」(関係者)ためだ。
概算では、TRU処分を3兆円程度、工場の解体・処分の積み立てを1兆円程度と見積もり、総額は約30兆円という。うち、再処理関係だけで10兆円程度とみられる。
電事連は期間中の原発の総発電電力量は、稼働率を8割と仮定して約16兆キロワット(kW)時と試算しており、1kW時あたり2円弱の負担となる。
原発の撤去や再処理費用の一部は積み立てが始まっており、すでに電気代に織り込まれている費用もある。しかし、電力各社が再処理工場に長期的に支払う費用負担などは含まれていないうえ、事故などで工場の稼働が止まると、人件費や修理費、金利などで毎年800億〜1000億円の損失を生み、新たなコストが加わる。
電力業界はもともと、政府とともに「原発の発電コストは安い」とPRしていたが、後処理に巨額のコストがかかるとの試算は、その主張と矛盾しかねない。すでに、「廃棄物の発生者責任が原則」(経産省幹部)と電力会社の負担を求める政府と、公的支援を求める機運が高まっている電力業界との対立も生まれつつある。
さらに、再処理で取り出したプルトニウムを使ったMOX燃料を通常の原発で使うプルサーマル計画には、各地の抵抗が強いことも重なって、コストの面から計画の凍結を求める意見も業界内外で出始めている。
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