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【02/02/22 (金) 】

イスラエル首相、「緩衝地帯」設置を表明

 【エルサレム22日=当間敏雄】イスラエルのシャロン首相は21日夜、国民向けテレビ演説を行い、イスラエル国民の治安確保のため、パレスチナ側地域との間に「緩衝地帯」を設置することを閣議で決めたと述べた。

 首相は緩衝地帯を設置する地域や形態などについては明らかにしなかったが、イスラエル領に隣接するヨルダン川西岸のパレスチナ自治区の一部地域にコンクリート壁やフェンスなどの障害物を設置し、軍事管理地域として立ち入りを原則禁止するものと見られる。

 緩衝地帯の設置は、ヨルダン川西岸とガザ地区でのパレスチナ暫定自治を定めたオスロ合意(93年調印)に逆行するもので、パレスチナ側の反発に加え、国際社会の批判も招きそうだ。

 イスラエルは1985年から2000年まで北部地域の治安確保のためレバノン南部を占領して「安全保障地帯」を設置したが、「緩衝地帯」はこれを先例にしている模様だ。

 パレスチナ過激派の新型ロケット弾使用や自爆テロ続発で、設置議論が急浮上していた。

 ◆パレスチナが批判◆

 【ガザ(パレスチナ自治区)22日=久保健一】パレスチナ自治政府のシャース国際協力相(外相に相当)は21日夜、ガザで米CNNテレビに対し、イスラエルのシャロン首相が設置すると表明した「緩衝地帯」について、「(パレスチナ過激派の)自爆攻撃を阻止する目的だとすれば、失敗に終わるだろう」と述べた。また、シャース氏は、同地帯の設置で、ヨルダン川西岸、ガザ地区とイスラエルの間で、人的交流などが阻害され、分断が進むことへの懸念を表明した。

 一昨年秋の武力衝突発生前は、西岸、ガザ地区からイスラエルへの出稼ぎが可能だったが、武力衝突に伴う自治区封鎖でストップしている。(読売新聞)

イスラエル・パレスチナ紛争さらに拡大



02/02/22-ユダヤ人移住地区Efratのスーパーマーケットで
爆発物を持ったと目されるパレスチナ人が射殺される。
イスラエル軍は21日、戦車を前面に押し出してガザ地区に進入、パレスチナの放送局を爆破し難民キャンプを攻撃、およそ30人の死傷者が発生した。イスラエル軍がガザ地区に進入したのは、流血事態の発生から17カ月ぶりのこと。

パレスチナ側は、イスラエル軍が同日未明、ガザ地区東部にあるパレスチナ・ラジオ・テレビ放送公社に乱入し建物を爆破したと発表した。放送局の建物は完全に崩壊し、この過程で2人が重傷を負った模様。


イスラエル軍はまた、ガザ地区南部のラパにある難民キャンプ2ヵ所を攻撃、住民5人が死亡し、およそ30人がけがをした。この際、イスラエル海軍の艦艇はパレスチナの警察署に向かって機関砲を乱射した。またイスラエル軍は、ヨルダン川西岸にあるパレスチナ暫定自治政府のアラファト議長の執務室を狙ってミサイル4発を撃ち込んだ。しかし、死者は出なかったとされる。


一方、バウチャー米国務省スポークスマンは「アラファト議長とパレスチナ当局は暴力とテロを中止させるため、強力で断固たる行動を取るべき」だという認識を強調した。

ヤコブ病訴訟、1人約6000万円の和解案 地裁提示

 薬害ヤコブ病訴訟の和解協議で、東京、大津両地裁は22日、対象となっている患者20人について、1人当たり平均で約6000万円の支払いを国と企業に求める和解案を示した。国の責任を負担金額にどう反映させるかが最大の焦点だったが、和解案は、硬膜を移植された時期を問わずに、すべての患者に一律350万円を支払うよう提示。そのうえで、国も被害の発生を予見できたとされる87年6月以降に手術を受けた患者については、支払い総額の約3分の1を負担させる案を示した。原告、被告双方とも受け入れに前向きな姿勢を見せており、和解成立の公算が大きくなった。

 この和解案に基づく支払総額は企業側が10億円余、国側が1億6200万円余となり、全体でみると、国の負担割合は約14%になる。

 坂口力厚生労働相は「裁判所の意思を十分尊重したい」と述べ、一律負担についても「(見舞金など)支払う理由がつけば受け入れる」とした。国は来月5日までに正式に態度表明する。一方、原告側は和解案を積極的に評価。硬膜を製造したビー・ブラウン社(ドイツ)など被告企業も、受け入れる可能性が高いとみられる。

 和解案は両地裁の連名で示された。それによると、企業が負担すべき基礎額を3650万円と算定。これに国の一律負担額と、患者の年齢、収入、弁護士費用などを考慮した額を加算し、それぞれの額を8200万〜4300万円(相続の関係で低額となった1人を除く)とした。

 両地裁は昨年秋に示した所見で、国が被害を予見できた時期を、米国で硬膜移植が原因と疑われる発症例の報告があった後の87年6月としていた。この日の和解案も、この時期を境に患者を大きく二つに分類し、国の負担割合を変更して責任のとり方に差をつけた。


 和解案の中で東京地裁は「十分な支援を受けられないまま悲惨な状況に陥った被害者の早期かつ全面的な救済を図るため、当事者は法的責任の存否の争いを超えて同意することを要望する」と述べた。大津地裁は「当事者の考えに相当の隔たりがあり、裁判所が一定の指針を示すことが不可欠」と経緯に触れた。(21:20)
北朝鮮、米政権との公的協議を当面拒否

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)外務省は22日に談話を発表し、ブッシュ米大統領が東アジア歴訪時に行った北朝鮮体制と金正日総書記への批判について、「悪らつな中傷冒とくの妄動」と強い拒否反応を示し、「我々の制度を認めず、侵攻の口実を見つけるために主張する対話は必要ない」と述べた。当面は米政権との公的協議は拒否する姿勢を鮮明にした。

 ブッシュ大統領らが最高指導者批判を続けるなか、北朝鮮として強硬姿勢をとらざるをえないわけだ。ただ、米朝対話がこれで断絶するかは疑問で、これまでも半ば定期的に、ニューヨークで米朝の非公式接触は行われてきた。北朝鮮は言葉として対米批判を強めながら、接触の時期を慎重にうかがうとみられる。

 一方で、北朝鮮の平壌放送は22日、在外同胞向け番組で「(韓国との)北南関係は和解と協力へ転換されなければならない」としたうえで、「最高位(首脳)級をはじめ政党、社会団体まで多方面の北南対話が行われるべきだ」と、南北対話の意思を改めて見せた。


 外務省談話では、今回の歴訪について「我々の自主権を侵し、露骨に内政干渉し、力で圧殺しようとする危険千万な企図を示した」と非難し、「我が制度を力で変えようと妄想するブッシュのような連中と付き合う考えはない」とまで強調した。(22:23)

スリランカ、LTTEとの内戦停戦で正式合意

 スリランカからの報道によると、同国政府と反政府武装組織の「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」が22日、無期限停戦の文書を正式に交わした。両者を仲介するノルウェー政府も、停戦が23日から発効することを確認した。18年にわたる内戦に終止符を打つ和平交渉への第一歩となる。

 合意文書には、ウィクラマナヤケ首相と、LTTEの指導者が署名した。ノルウェー政府によると、両者は国際監視団の受け入れにも同意。AFP通信によると、来週にもノルウェーなどで構成する15人から20人の代表団がスリランカ入りし、最低6カ月にわたって監視活動を行う予定という。

 スリランカの内戦は83年、人口の7割を占めるシンハラ人と、少数派のタミル人との対立が激化して始まった。昨年末にはLTTEが停戦を宣言、政府もこれを受け入れ、暫定的な停戦状態にあるが、これまでのテロ活動や武力衝突の犠牲者は約6万人とも言われる。


 長引く社会不安からの脱出は政府の最大課題であり、昨年12月の選挙でも、LTTEとの和平交渉を公約に掲げた野党が政権交代を果たしている。(22:20)

米国防長官、民間人誤認を認める カンダハル急襲

 ラムズフェルド米国防長官は21日の記者会見で、米特殊部隊が先月下旬にアフガニスタン南部のカンダハル近郊の施設を急襲し、十数人が死亡した作戦に関連して、「施設のなかにいたのはタリバーンでもアルカイダでもなかった」と述べ標的の誤認を認めた。しかし、特殊部隊の対応は「適切で、間違いではない」と弁護し、懲戒処分にはしない考えを明らかにした。

 先月24日の急襲を受け、米軍が民間人を誤って攻撃したとの地元住民の証言が報道され、米軍は調査していた。


 長官によると、米軍は2つの居住施設を攻撃したが、2つ目の施設の中から発砲を受けて応戦、施設にいた十数人が死亡、27人が拘束された。(20:27)

米大統領、日韓中の歴訪終え帰国の途に

 北京を初訪問したブッシュ米大統領は22日、江沢民国家主席と昼食をした後、万里の長城を見学した。同日夕、大統領専用機で帰国の途につき、日本、韓国、中国の歴訪を終えた。この日、朝食をともにした朱鎔基首相とは、ミサイル輸出の規制や農産物の貿易問題、地球温暖化問題などで意見交換した。

援助求める市民に軍のヘリ攻撃17人死亡 スーダン

 スーダン南端に近いビエ村で20日、国連世界食糧計画(WFP)の食糧援助を受けるために集まった市民を、軍の武装ヘリが攻撃、17人が死亡した。米国からの報道によると米国務省のバウチャー報道官は、スーダン政府が事件の詳細を明らかにするまで同国の和平交渉への関与を停止すると発表した。

 スーダンでは、北部を支配するイスラム教勢力の政権側と、南部のキリスト教反政府勢力の間で19年にわたり内戦が続いている。北部の政権側は石油の輸出で軍備を大幅に増強しているとされ、南部を含めて制空権を握っている。政府は公式なコメントを発表していないが、ヘリは北側のものとみられる。


 WFPは、干ばつなどに襲われたビエ村周辺で、約1万人に76トンの食糧を配給しているところだった。バーティーニ事務局長は「人道援助を受けようとする市民を狙って攻撃する行為は断じて許されない」とする声明を発表した。(18:55)

シャープ、2年連続で太陽電池生産量世界一

 シャープの01年の太陽電池生産量が2年連続で世界一となったことが22日、米国の業界紙PVニュースの調査でわかった。住宅用を中心とした太陽光発電施設の需要拡大に伴い、各メーカーは生産を増強しており、日本メーカー全体の生産量も99年から3年連続で世界一となった。

 シャープの生産量は75.02メガワットで、00年(50.4メガワット)よりも約5割増え、全世界の18.9%を占めた。2位は米BPソーラー社、3位は54メガワットの京セラ。7位の三洋電機などを含めた日本メーカー全体の生産量は、00年の128.60メガワットから171.22メガワットに増えた。


 太陽光発電施設は、政府の補助政策やメーカーのコスト低減などで、1キロワットあたりの設置費用が94年の200万円から01年は80万円まで低下し、需要が拡大している。シャープは、現在94メガワットの生産能力を年内をめどに200メガワットに引き上げる計画だ。(20:38)

逮捕の外務官僚、鈴木議員秘書に「ID交付」 民主指摘

 民主党は22日の衆院予算委員会で、自民党の鈴木宗男代議士の私設秘書であるコンゴ(旧ザイール)出身のムルアカ氏に外務省が外交官のIDカードを発行したと追及している問題に関連し、中学生の買春容疑で21日逮捕された同省のキャリア職員が「IDを交付した疑惑がある」と指摘した。外務省は交付自体を否定している。

 この職員は儀典官室首席事務官(21日付で官房付)の佐藤利行容疑者。儀典官室は各国外交官へのID交付の決裁を担当している。

 民主党は22日の予算委で「この人がIDカードを渡したという話をかなりの確証で聞いている」と追及。外務省は「発給した事実はない」と否定したが、同党の原口一博氏は「(佐藤容疑者は)鈴木氏に近いといわれる。昨年9月の容疑で今逮捕されるのはおかしい」と記者団に語った。

 一方、中沢健次氏(民主)への同省の答弁などによると、鈴木氏は昨年9月3日、筆頭理事だった衆院外務委の視察でケニアを訪問。4日に議員団から離れ、タンザニア、ボツワナ、南アフリカをチャーター機で回った。同省の担当課長と大使館職員が省経費で同行した。チャーター機の費用は鈴木氏側が負担した。


 同省の小田野展丈アフリカ審議官は答弁で「アフリカでは日本(の援助)への期待が高く、大統領との会談を設定した」などと説明した。(23:03)

小泉首相、鈴木代議士の証人喚問認める姿勢

 一連の外務省問題は、国後島の宿泊施設建設の入札関与疑惑などが取りざたされる自民党の鈴木宗男代議士が今後、野党などの責任追及にどう対応するかが焦点になってきた。小泉首相は22日夜、展開次第では証人喚問に応じる考えを表明。政府・与党内では離党を促す声も出始めた。

 首相は同日、記者団の質問に対し、「(鈴木氏が)自ら疑惑はないというんだったら、はっきり説明すべきだ。責任を持って疑惑に答える。それが大事だ」と語った。福田康夫官房長官も記者会見で、「ご自身が一番ご存じだろうから、ご自身で判断されるのが一番いい」と述べた。首相官邸は「自ら積極的に証人喚問を望むというのも一つの方法」(政府首脳)として喚問容認の方針だ。

 鈴木氏が所属する橋本派の青木幹雄参院幹事長は記者会見で「(外務省の)調査結果が出た段階で内容によっていろいろ考えないといけない」と述べた。公明、保守両党は与党国対委員長会談で「自民党としてしっかり調査して欲しい」と自民党に求めた。首相が外相に指示した外務省調査結果がまとまる3月初めが一つの焦点となりそうだ。


 一方、野党4党は週明けにも党首会談を開き、鈴木氏を徹底追及する方針を確認する。鈴木氏の議員辞職勧告案提出を探る動きもある。(21:40)

住宅取得促進へ贈与の非課税枠拡大 与党改正案

 自民党住宅土地調査会(野呂田芳成会長)は22日、住宅取得資金の贈与の際の非課税枠を、現行の550万円から3000万円に拡大するなど、税制の改正案をまとめた。若年層の住宅取得を刺激し、景気対策につなげたい考え。また、不動産関連税の減免も打ち出している。政府・与党が月内にまとめるデフレ対策に盛り込まれる見通しだ。

 同調査会が小泉首相からの指示を受けて検討していた。緊急対策として、02年1月にさかのぼって適用することも検討している。今後政府内での調整が必要になる。

 住宅取得促進では、贈与税の非課税枠を5年間の時限措置として拡充する。両親や祖父母の世代から若年層への資産移転を促進する。

 同調査会や国土交通省の試算では、年間4万7000戸の住宅着工増加を誘発し、2兆1000億円の波及効果があるとみている。ただ、「金持ち優遇」との批判を招かないよう、所得などの条件を設ける見通しだ。


 また、不動産取引の活性化案では、登録免許税や不動産取得税を5年間停止することや、特別土地保有税の廃止、個人の土地長期譲渡所得にかかる税の引き下げ、新規増設分の事業所税の廃止などを盛り込んでいる。(20:24)

「鈴木氏に離党勧告を」の意見 自民党役員連

 22日午前の自民党役員連絡会で、国後島の宿泊施設建設をめぐる入札関与疑惑などで野党から証人喚問を要求されている鈴木宗男代議士について「離党勧告するぐらいの姿勢で対応すべきだ」との意見が出た。役連ではあらためて喚問には応じない方針を確認したものの、鈴木氏が属する橋本派を含め党内では、そうした強硬姿勢ではもたないとの危機感が広がり始めている。

 役連では中山正暉・選挙制度調査会長が「世論の批判が高まり、このままでは自民党の信頼が落ちる」として離党勧告に言及、今後の対応を党5役に一任した。田中真紀子前外相に対しても、「言っていいことと悪いことがある」(村上誠一郎副幹事長)との批判が出た。

 鈴木氏については党3役の1人もこの日朝、野党の追及で新たな疑惑が発覚したことを踏まえて「ちょっと(状況が)変わったかもしれない。また国会審議が進まないようだと困るし」と指摘した。


 小泉首相は22日昼、「(役員連絡会の議論は)まだ聞いていない。国会で質問も出ているし、疑惑にこたえる方が先でしょう」と首相官邸で記者団に語った。(12:39)