ブッシュ大統領来日 18日午前に日米首脳会談
日本、韓国、中国を訪問するブッシュ米大統領は17日夕、大統領専用機で羽田空港に到着した。18日午前に小泉純一郎首相と会談する。日本経済の再生に向けた構造改革やテロへの対応、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)などの東アジア情勢などが焦点となる。大統領は3日間滞在し、19日に参議院で演説する。
米大統領の来日は、00年7月にクリントン前大統領が沖縄サミットに訪れて以来。小泉首相とブッシュ大統領の会談は4回目となる。
両首脳は、テロ対策を中心とする日米協調をうたい上げる見通し。しかし、日本経済の悪化、イラクにも広がる可能性が指摘されている対テロ戦争の行方、ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言といった新たな問題も表面化している。
昨年6月の首脳会談で、首相は「従来は外圧で変化した。今は内部の力で変革していく」と構造改革にあたる姿勢を表明し、大統領も「敬意を表したい」と応じた。しかし、日本経済は失速し、米政権の内部には不満が浸透している。15日には大統領が、朝日新聞などとの会見で「経済構造の再構築や不良債権処理を進めなければならない。デフレ対策として金融政策も検討する必要がある」と、強い調子で改革実行を求めた。
会談は、首相がデフレ対策などを説明し、大統領が支持表明するという基調になりそうだが、大統領の言い回しに政府・自民党、市場などの注目が集まっている。
米軍支援やアフガニスタン復興支援などで、日米は共同歩調をとってきた。だが、大統領が一般教書演説でイラクとイラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と位置付けたことは、日本の外交当局にも波紋を投げかけた。
首相は「大量破壊兵器の拡散はあってはならない」という原則的な立場とともに、「北朝鮮には日米韓で緊密に協力して対処する」姿勢を確認する。しかし、日本はイラン、北朝鮮には「対話」に軸足を置く路線をとってきており、米国の強硬姿勢との溝を懸念する声も出ている。
大統領が訪日直前に発表した温室効果ガス削減計画については、日本政府は「真剣に取り組む姿勢を評価する」との川口外相談話を発表した。だが、日本政府には米国の計画は実効性がないという見方も強い。(19:40)
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無敵の日本は様変わり 大統領訪日でNY紙報道
17日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、来日したブッシュ米大統領の父親が大統領として訪日した92年当時には自信に満ちて無敵を誇っていた日本が、今や大きく様変わりしたと報じた。
同紙は、10年前に米国のビジネスマンは日本式経営方法を研究したが、今度は日本が米国から講義を受ける立場になったと指摘。「10年前、スーパーマンだった日本の金融当局者たちは、今では物覚えが悪い世界の劣等生とみられている」と日本経済の弱体化を説明し、「世界は日本なしでもやっている。金融危機がない限り、世界の舞台での日本の重要性は次第になくなっていくだろう」との米銀関係者のコメントを紹介している。
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温暖化対策巡り気候ネットワークが米大統領に抗議文
京都議定書から離脱した米国が発表した「温室効果ガス削減計画」に対し、環境面で政策提言活動をしている非政府組織(NGO)「気候ネットワーク」(浅岡美恵代表)は17日、同日来日したブッシュ大統領あての抗議文を米大使館に提出した。
気候ネットワークは、米国の案は逆に温室効果ガスの排出量を増加させ、大気圏中の温室効果ガスの集積を安定化させるという国連気候変動枠組み条約に違反していると主張。計画を見直すとともに、京都議定書に復帰するよう求めている。
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原水協、核廃絶への努力求める文書を米大使館に送付
ブッシュ米大統領の来日にあわせ、原水爆禁止日本協議会(原水協)は17日、核兵器廃絶の決断を求める文書を在日米大使館に送った。
文書で原水協は「核兵器使用を前提とした抑止力強化を打ち出している」とブッシュ大統領を批判。「膨大な核兵器を保有し、力を背景に自国の利益を国際的秩序やルールよりも優先させることは許されない」としている。
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毛主義派武装集団が警官ら50人以上殺害 ネパール
ネパール政府筋によると、同国のカトマンズの西約300キロにあるアチャン地区で16日深夜、反政府組織ネパール共産党毛沢東主義派の武装集団が政府関係の建物や近くの空港を襲い、少なくとも50人以上の警察官らを殺害した。また同日、南部のサルラヒ地区でも警察施設が武装集団に襲撃され、警官4人が殺害された。警官や兵士の犠牲者は全国で100人以上にのぼっているとの情報もある。
政府高官によると、毛派は襲撃したアチャンの政府施設を約6時間にわたって占拠。政府軍との銃撃戦は17日朝まで続き、毛派側にも約50人の死者が出たという。
毛派は、96年から立憲君主制の廃止などを訴え、各地で警察施設などを攻撃する武装闘争を続けている。これまでに治安関係者や巻き添えの市民ら約2300人が死亡したとされる。
ネパール政府は、和解を目指して昨年8月から毛派との対話を開始したが不調に終わり、同11月26日には国家非常事態宣言を出して厳しい弾圧に乗り出していた。(22:07)
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江主席機盗聴器事件、李鵬氏「全く知らない」
中国の江沢民国家主席の専用機から多数の盗聴器が見つかったとされている問題で、李鵬・全国人民代表大会常務委員長は17日、訪問先のマカオで地元記者などに対し、「全く知らない」と語った。米紙ワシントン・タイムズが15日、米国務省の報告として江主席は李氏が盗聴に関与したと見ていると報じていた。
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EU選挙監視団長、認証されずジンバブエから出国
ジンバブエからの報道によると、3月9、10日に実施される大統領選をモニターするため現地入りしていた欧州連合(EU)のショリ選挙監視団長は16日夜、同国を出国した。選挙監視員としての認証をジンバブエ政府が拒んだ上、同氏の観光ビザも取り消したため。
AFP通信などによると、ショリ団長は同日、EU外相会談に向けて、ジンバブエの情勢についての報告書を送ったと記者団に述べた。同氏に選挙についての発言を控えるよう忠告していたジンバブエ政府は、同氏の観光ビザを取り消し、同日中の出国を求めた。(20:33)
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外部委託は不可欠、品質に不安 製造業アンケート
コスト削減のために生産を外部委託しているが、品質や情報管理に不安が残る−−。日本能率協会が実施したアンケートで、メーカーのこんな悩みが浮き彫りになった。
対象は全国の上場メーカーの生産担当者629人で、回収率は16%。
最近5年間に生産を外部委託したことがあるメーカーは82%。目的では「コスト低減」と答えた企業が83%で最も多く、「需要変動への柔軟な対応」(42%)、「時間節約」(26%)と続く。
一方で、61%は外部委託の結果、「品質の維持が難しくなる」と危ぐする。さらに45%が「社内の技術力・技能の低下」を心配し、37%が「技術・情報の漏えい」も恐れている。
ただし、68%は生産委託が今後拡大するとみている。同協会は「生き残り策として外部委託は不可欠になりつつある。EMS(電子機器受託生産サービス)が伸びている電機業界だけでなく、自動車や製薬業界でもこの傾向は進みそうだ」と指摘している。(21:55)
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3月中に公的資金注入の是非判断 竹中担当相
竹中平蔵経済財政担当相は17日、テレビ朝日の番組で、金融機関の不良債権処理について、「特別検査の結果を資産査定にきちんと反映し、資本不足が生じれば(公的資金投入などの)次の行動をとる」としたうえで、その判断の時期については「3月末まで待っている必要はない。それ以前に行動を起こさなければならない」と述べ、3月中にも公的資金による資本注入の是非を判断する必要があるとの考えを示した。
公的資金注入の是非を判断する時期として、政府首脳は15日、特別検査が終わった4月以降になるとの見方を示していた。(20:40)
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東電、家庭内の配線工事を直営へ 工事業界と摩擦も
東京電力は10月から、顧客の家庭内の配線工事に直営で乗り出す。これまでは各地の電気工事業者が担当してきたが、余剰人員の活用と競争時代に備えた顧客との結びつきの強化を狙って方針を変えた。電力会社では初めてで、仕事を奪われる工事業界との摩擦も予想されている。
対象は、家庭内設備の不具合による停電に伴う改修工事と、電磁調理器、電気給湯器の導入時の配線工事など。現在は停電の連絡を受けた際の応急作業や、電気機器の紹介、工事業者のあっせんを無料でしているが、有料工事は外部に任せている。
電力10社の今年度の電力需要が15年ぶりに前年度を下回る見通しとなるなど需要が伸び悩み、発電所建設や屋外の電線工事などの業務が縮小。配電部門の社員を中心に約300人を営業部に配置転換し屋内工事に回す。
家庭内停電に伴って有料の工事が必要な例は東電管内で年に約3万2千件で、うち約2万件の受注を予定している。新機器導入に伴う工事も1万6千件程度を見込む。
電気の供給が地域独占であることを利用してこうした工事を強引に請け負った場合、独占禁止法に触れる可能性があるため、東電は「顧客にはほかの工事業者も選べることを説明する」と話している。(14:32)
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「米国と基本認識は同じ」 北朝鮮問題で安倍副長官
安倍晋三官房副長官は17日、フジテレビの番組で、ブッシュ米大統領が「悪の枢軸」の一つとして朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を名指ししたことについて「大量破壊兵器開発疑惑や国民の弾圧、よど号の犯人、拉致疑惑などがあり、そういう意味で指定したのではないか」と述べたうえで、「米朝関係と日朝関係はそれなりに違いはあるが、(日米の)基本認識は同じだと思う」と語った。一方、日本の対北朝鮮政策については「それぞれ米国の同盟国には役割があり、米国と同じにそろえる必要はない。いろんなアプローチがあった方がいい」と述べた。
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坂口厚労相、医療費3割負担問題で打開案
坂口力厚生労働相は17日、サラリーマンの医療費3割負担に自民党の厚生族議員らが反発している問題で、「3割実施は動かしがたいが、小児医療の部分や高額医療費の自己負担を下げることは、あるのではないか」と述べた。新たな患者負担増に理解を得るため、乳幼児の窓口負担を軽減したり、患者負担の上限の引き上げ幅を圧縮したりすることもあり得るとの考えを示したもの。テレビ番組の出演後、記者との懇談で明らかにした。
これまでの政府・与党案は、今年10月から(1)3歳未満の乳幼児の患者負担は現行の3割から2割に(2)患者負担の限度額は外来・入院とも所得に応じて引き上げる、としている。坂口氏は特に乳幼児について、例えば2割負担の対象年齢を6歳未満までに拡大したり、負担割合を1割にしたりする考えもありうると指摘した。
政府は、医療制度改革関連法案を今週中にも閣議決定し、国会に提出したい考え。坂口氏としては、こうした改革案の見直しも視野に、3割負担の来年4月実施に反対する自民党厚生族議員らとの調整を進める考えだ。(20:20)
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