酒田短大、国の奨学金も流用 奨学金未支給4610万円
酒田短期大学(山形県酒田市)の中国人留学生問題で、国が留学生に支給した「私費外国人留学生学習奨励費」の一部約260万円が、留学生に渡っていなかったことが15日、文部科学省の現地調査でわかった。
国際機関「UMAP(アジア太平洋大学交流機構)」の奨学一時金の未払いも発覚しており、計4610万円の奨学金が未払いのまま。短大の口座には残っておらず、同省は今月末までに支給できない分は返還させる方針を示した。
「学習奨励費」は私費留学生1人に毎月5万2000円を国が大学を通して支給する。昨年4月から10月までに38人分1383万2000円が支給されたが、うち約2割は留学生に渡っていなかった。短大側は「学生がいなくなったので払えていない」などと説明したという。
「UMAP」の奨学金も85%の4350万円(290人分)が留学生に渡っていないことが判明。短大側は「前事務局長が支払わなくていいと指示した」と話したという。
同省によると、奨学金が振り込まれていた同短大の銀行口座の残金はわずかだった。「経理が不明朗」という文科省の指摘に対し、短大側は「理事の責任で調達して支給する」としており、27日の教授会までに支給できない分は返還する予定。(22:58)
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検査員倍増、ウオッチャー公募 農水省、食品表示対策で
農水省は15日、食品表示に関する規制を強めるため、立ち入り検査員を現在の1500人規模から3000人規模に倍増する方針を示した。
立ち入り検査員は現在、農政局、食糧事務所、消費技術センターの職員らが兼務し、大臣の命を受けて証明書を所持している。今後、検査方法をほかの職員にも伝え、拡大していく。虚偽表示などの疑いがあった場合に販売店などに検査に入る。
また、来年度から一般の消費者約700人を「食品表示ウオッチャー」として公募し、店頭での見回りなどに協力してもらう。
いずれも、この日開かれた同省の食品表示制度対策本部で決まった。
一方、日本農林規格法(JAS法)の改正に関しては、現行法では虚偽表示をしても改善の指示に従えば違反者名が公表されないが、違反が判明した時点で公表することも含めて検討に入った。
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密航船子供放り投げは事実無根、豪政府への批判高まる
去年10月、インド洋のクリスマス島沖で、ボートピープルが子供を海に投げ入れたと豪政府が主張した事件で、そのような事実はなかったことがこのほど確認された。野党やメディアは「国民をだました」と政府批判を強めている。
この事件は、10月7日、豪軍艦がイラク人を中心とする約180人を乗せた密航船を追い返そうとした時に起きたと伝えられ、「(追い返されないために)子供の命を危険にさらすこともいとわない人々」という印象を豪国民に与えた。
13日に発表された国防省と首相・内閣省の報告書によると、10月10日の時点で、すでに両省には海に投げ入れた証拠はないとの報告が上がっていた。だが、リース国防相(当時)は同日、救命胴衣を付けた子供が海で救助されている写真を「証拠」として発表した。(23:11)
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米大統領17日に初来日、構造改革の遅れ懸念を表明へ
ブッシュ米大統領は16日、日本、韓国、中国の東アジア3カ国歴訪に出発する。日本には17日から3日間滞在し、小泉純一郎首相との会談で、対テロ戦争における日本の貢献を高く評価、軍事面も含めて国際社会で一層の役割を果たすよう促す。日本経済の構造改革に対する期待を改めて表明し、改革に取り組む首相の姿勢を強く支援する。米政権内には、日本の改革の遅れに対する不満がつのっており、首脳会談の場で大統領がどのような表現で懸念を伝えるかが注目される。ブッシュ大統領は初めての訪日。
日韓中3カ国の訪問は、昨年10月、上海で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合の前後に予定されていたが、9月11日の同時多発テロ事件のため変更。大統領はAPEC会場の上海だけを訪れ、北京も含めて歴訪全体が延期されていた。今回は、テロ以後初の本格的な外遊になり、ブッシュ政権の東アジア重視の表れと受けとめられている。
ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)は14日の下院外交委員会で、「日本は対テロ戦争で、外交、軍事、財政、人道の各方面にわたり前例のない役割を進んで果たした。訪日の狙いのひとつは、この努力への感謝を示すことだ」と述べた。
同日に記者会見したライス大統領補佐官は、日本経済について「深刻な問題に直面しているのは疑いない」と指摘したうえで、「大統領は、小泉首相が、日本の国民や社会が困難な問題に立ち向かえるよう勇気づけることができる人物だと信じている」と述べた。
注目を集めている不良債権処理やデフレなどの具体的な問題については「話し合うかもしれないが、個人的に話すことになる」と述べた。対外的に日本の経済政策に対する不満を表明して「外圧」と受け取られるようなことは避ける方針とみられる。
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メッカ巡礼遅れに激怒、アフガン人が航空相を殴り殺す
アフガニスタンのカブール空港で14日夕、メッカ巡礼への出発が遅れていることに激高した多数のアフガン人巡礼者が暫定政権のアブドル・レーマン航空・観光相を取り囲んで殴るなどの暴行を加え、同相は同日深夜、病院で死亡した。
巡礼者たちは、メッカがあるサウジアラビアのビザ発給が遅れ、空港で長時間待たされ凍死者も出る状況下、レーマン氏がインドの家族に会うために航空機を1人で利用しようとしたことに怒りを爆発させた模様だ。
暫定政権は15日、5閣僚が参加する事件調査委員会を設置した。
一部始終を目撃した空港警備主任によると、レーマン氏は巡礼者の抗議を無視して専用機に乗り込んだが、巡礼者に機体を揺らされ、ドアを開けてタラップに出たところを地面に突き落とされ、殴り続けられたという。
この主任によると、騒動の間に空港周辺に配置されている国際治安支援部隊(ISAF)が現場に到着したが、制止などの行動はとらなかった。ISAFの派遣目的にはカブールの治安維持が含まれている。
約1000人の巡礼者が3日前から空港の外で出発を待たされ、高齢の巡礼者4人が寒さに耐えきれずに死亡したという。(20:36)
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疑惑の1月24日夜、鈴木氏主催慰労会に外務省職員出席
15日の衆院予算委員会で、外務省幹部らが1月24日夜、自民党の鈴木宗男衆院議員らが費用を出した2つの会合に相次いで出席したことが分かった。国会で、アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO(非政府組織)出席拒否問題をめぐり民主党が鈴木氏のかかわりを追及した日。外務省幹部と一部政治家の緊密な関係を改めて示すものだ。野党は「答弁調整のためではないか」と追及しており、20日の集中審議でも会合の趣旨などがポイントになりそうだ。
外務省の小町恭士官房長らの説明によれば、一つめの会合は「復興会議が一段落した段階での国連関係者への慰労」の目的で鈴木氏が主催した。田中前外相の秘書官も務めた上村司総政企画官(現南東アジア第2課長)らが招かれた。
この日の予算委で、前外相が「(野上義二)事務次官が具体的に(鈴木氏の)名前を言って認めた」と、鈴木氏の関与を明言。野上次官が鈴木氏にこれを否定する電話をかけるなど、前外相と事務方の対立が激化した。
15日の予算委の答弁で、民主党の河村たかし氏は国会答弁を調整したのではないかとただしたが、上村氏は「(答弁などの)口裏合わせは一切ない」と否定した。
二つめの会合は、自民党の松岡利勝衆院議員が費用を出し、駐日シリア臨時代理大使らが出席した。外務省の小町官房長や重家俊範中東アフリカ局長らと、最初の会合から流れた上村氏も出席。途中から鈴木氏も10分間顔を出した。
重家氏は答弁で「松岡先生から呼ばれて、官房長と急きょ出席した」と説明。河村氏は「外務省は何を頼まれたのか」などとただしたが、重家氏らは「シリア大使館の土地建物について話し合われたが、相手国に迷惑をかけるので詳細は言えない」と繰り返した。
鈴木氏と居合わせたことについて、小町氏らは「田中大臣のことは一切話していない」「NGO問題の話はその場ではしていない」と説明した。
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■NGO問題と外務省幹部の会合出席の経過(国会答弁などから、肩書は当時)
1月21日 アフガニスタン復興支援国際会議開幕
朝日新聞などの報道で、外務省による一部NGOの参加拒否が発覚し、田中外相が出席許可を指示
24日
午前 衆院予算委で菅民主党幹事長が鈴木氏関与を追及。田中外相が国会答弁で認める
夕方 東京・赤坂のステーキ店で鈴木氏主催の「アフガン復興支援国際会議慰労会」
?時 東京・乃木坂の料亭で松岡氏主催の「駐日シリア臨時代理大使との夕食会」
21時前 夕食会に小町官房長加わる
22時半 夕食会に重家局長加わる
?時 松岡氏が鈴木氏に電話
23時半 松岡氏主催の夕食会に鈴木氏加わる。約10分後出る
25日未明 散会
《「アフガン復興支援国際会議慰労会」出席者》
鈴木宗男代議士、外務省の上村司総合外交政策局総務課企画官ら
《「夕食会」出席者》
松岡利勝代議士、鈴木氏、駐日シリア臨時代理大使、外務省の小町恭士官房長、重家俊範中東アフリカ局長、粗信仁官房参事官、谷崎泰明官房総務課長、上村企画官、沼田幹男官房総務課企画官、高橋博史・国連アフガン担当事務総長特別代表補佐官、「シリア側関係者」の2人、通訳ほか数人(23:26)
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対話強化不可欠でも対等とは言わず NGOで政府答弁書
政府は15日、NGO(非政府組織)との関係について「NGOと政府の対話の強化が不可欠」とする答弁書を閣議決定した。アフガニスタン復興支援国際会議からの一部NGO排除問題に絡んで、谷博之参院議員(民主)から出されていた質問主意書に答えた。ただ、谷氏がNGOを「対等なパートナー」と考えるかどうか尋ねたのに対しては「『対等なパートナー』の意味するところは必ずしも明らかではない」として明言は避けた。
答弁書は、政府が主催・共催する会議へのNGOの参加について「会議の趣旨、目的に照らし、適切と認められる場合には、適宜、発言の機会を設ける」ともしている。
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私設秘書、家族も対象 野党のあっせん利得処罰法改正案
民主、自由、共産、社民の野党4党の政策責任者は15日、現行の「あっせん利得処罰法」で定めた処罰対象を広げ、同時に犯罪の構成要件を緩める改正案をまとめた。近く国会に提出する。
改正案では、処罰対象を現行の議員本人と公設秘書だけでなく、「政治活動を補佐する者」として、私設秘書や家族も含まれるように広げる。
また犯罪の構成要件から「請託」の立証を外し、事実上の職務権限規定となっている「その権限に基づく影響力を行使して」という文言も削除。口利きをした側が受け取る「報酬」の範囲に、選挙応援などの労務提供も含まれるようにする。
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首相、外国プレスに「不良債権処理を加速」と強調
小泉首相は15日、日米首脳会談を前に米3大ネットワーク、米CNN、英BBCのインタビューに応じ、「不良債権処理を加速しており、さらにスピードアップする」と語った。具体的には「潤沢な流動性資金を供給しており、金融機関に対する厳しい資産評価も進めている」と説明した。
首相は冒頭、英語で「私は日本経済を再生する。緊急の優先事項はデフレに有効な対策を講じることと不良債権を処理することだ」と強調した。経済政策に疑問の声が出ているとの問いには「構造改革、不良債権処理を断固としてやる。この意図を理解してくれるのは国民。自信過剰もいけないが、自信喪失もいけない。正しい自信と希望を持って努力すれば、日本の太陽はまた必ず昇る」と語った。(20:57)
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最高裁判事に上田氏決定
政府は15日の閣議で、2月20日に定年退官する千種秀夫・最高裁判事の後任に上田豊三・大阪高裁長官を、欠員が出る高裁長官のポストに今井功・最高裁首席調査官をそれぞれ任命することを決めた。これを受け、最高裁は大阪高裁長官に島田仁郎・仙台高裁長官を、後任の仙台高裁長官に今井氏を、最高裁首席調査官に近藤崇晴・東京高裁部総括判事をそれぞれ充てる関連人事を決定した。発令はいずれも21日付。(12:59)
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<東ティモール>PKOに自衛隊派遣を決定 初めて女性7人も
政府は15日の閣議で、東ティモールでの国連平和維持活動(PKO)に自衛隊部隊を派遣する実施計画を決定した。派遣されるのは陸上自衛隊の施設部隊680人で、92年のカンボジアPKOの600人を超える過去最大規模となる。また、初めて女性隊員7人を派遣する。当面、東ティモールが独立する5月20日までの活動だが、政府は後継PKOが設置されれば派遣を継続する方針だ。
施設部隊は3月上旬から順次現地に派遣され、インドネシア・西ティモールとの国境付近を中心に、首都ディリなど4カ所で道路や橋の維持・補修などを行う。武器は機関銃10丁、拳銃102丁、小銃568丁を携行する。このほか、軍事部門の司令部要員など15人も派遣する。施設部隊の輸送には、海上自衛隊輸送艦1隻、航空自衛隊輸送機C130など9機(部隊人員540人)を使用する。(毎日新聞) |