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【02/02/09 (土) 】

宮城・女川原発室内でシート焼く 作業員に「汚染」

 9日午前9時35分ごろ、東北電力女川原子力発電所(女川町と牡鹿町)の2号機(沸騰水型、82万5000キロワット)の建屋から出火、地下1階の制御棒駆動機構保修室にあったビニールシートが焼け、作業をしていた2人が顔などに軽いやけどを負った。東北電力によると、1人に放射能によるわずかな汚染があった。この火災による放射能漏れの恐れはないという。

 石巻地区消防本部などによると、使い終わった約30本の浸透液の入ったスプレー缶のガス抜きをしようと、作業員が缶に穴を開けていたところ発火。検査の際、水滴から建物内部を保護する約4メートル四方のビニールシート1枚に引火して焼けた。

 東北電力によると、出火場所は厚さ約2メートルのコンクリート壁を挟んで原子炉と約20メートル離れた部屋で、原子炉の格納容器の部品の洗浄などの定期検査をする。

 原子炉では昨年12月21日から約3カ月の予定で定期点検が実施されており、運転はしていなかった。原子炉への影響はないという。


 女川原発は1月30日に沸騰水型の3号機(出力82万5000キロワット)が営業運転を始めたばかり。00年2月には1号機(同型、出力52万4000キロワット)で、放射線の管理区域外にある制御建屋地下1階の電源室から出火したことがある。(13:32)

ポル・ポト派法廷、暗礁に 国連、運営撤退を表明

 国連は8日、カンボジアのポル・ポト派元幹部を虐殺などの罪で裁く特別法廷をめぐるカンボジア政府との交渉を打ち切り、法廷の共同運営から撤退する考えを示した。「現状では国際基準に見合わない」としている。法廷は国内法で設置されるが、国連との共同運営が前提。国家権力による「人道への罪」を追及し、内戦後の国民和解のモデルとして注目された法廷そのものが立ち消えとなる恐れが出ている。

 交渉にあたってきたハンス・コレル国連事務次長(法務担当)は国連での記者会見で「独立性、客観性、公平性のいずれの面でも国際的な基準に見合う法廷にはなり得ないと判断し、交渉を中止することにした」と述べた。

 これに対しカンボジア政府のソク・アン首相府相は「国連の発表は残念だが、われわれは協議を続ける用意がある」と話した。

 国連は当初、国際法廷による裁きを提案していたが、カンボジア側が拒否。00年7月、国内法廷に外国人判事らが参加する異例の形式とすることで妥協していた。

 しかし、焦点の「だれを裁くか」で対立した。特にポル・ポト派の実力者だったイエン・サリ元副首相(72)をめぐって、カンボジア側は「投降後に恩赦を受けた」ことから訴追の対象外と主張。国連側は「(虐殺の)中心人物を恩赦にすれば裁判は形式化する」として、協議は平行線をたどった。


 国連が共同運営から撤退した場合、カンボジア側だけで裁判を行うことも考えられるが、同国の民主運動家、ラオ・モン・ハイ氏は「国連の参加なしには客観性が認められる結果にはならず、意味がない」と指摘する。(22:30)

ブッシュ大統領の五輪開会宣言を、IOC副会長が批判

 ソルトレーク冬季五輪開会式で、ブッシュ米大統領による開会宣言が波紋を呼んだ。五輪憲章で定められた宣言文の前に「誇り高く、優雅なこの国を代表して」と米国の愛国心に訴えかけるような内容を加えたからだ。ドイツのDPA通信は、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ副会長が「あの発言は評価できない」と強く批判したと報じた。

 五輪憲章は細則で開会式の進行を詳しく定めている。宣言には「私は○○(都市名)で開催する第○回オリンピック冬季競技大会の開会を宣言します」と極めて短い文章を指定している。五輪のセレモニーが、政治的に利用されることを避けるためだ。


 ニューヨーク・タイムズ紙は「華麗な五輪には難しい一面も」と題し、大統領の言葉による影響に懸念を示した。(21:25)

飢餓のアフガン、百キロの小麦で少女売買 赤十字調査

 「100キロの小麦で少女が売られている」−−国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)のイスラマバード事務所はこのほど、アフガニスタン西部での現地調査の報告をまとめ、貧困とききんの深刻さを訴えた。

 調査団は先月、ヘラート州やファラー州などの山間部にある12の村落を訪問。戦乱と3年続きの干ばつのため食糧事情は極限状態で、木の根を食べる子どもたちを目撃。たった100キロの小麦と交換で、「花嫁」として10歳の少女が売られてしまうケースもあったという。

 視察した村の住民約1万人の中に孤児が約510人、夫を失った女性が261人、海外の親族らからの仕送りに頼る高齢者が699人いたという。


 IFRCは報告書で「山間部の村落にも確実に援助物資が届くよう、援助団体は態勢を組むべきだ」と訴えている。(21:19)
ネットで北方領土返還反対運動 サハリン州

 ロシア極東サハリン州で、インターネットを使って北方領土の返還に反対する運動が始まった。モスクワの中央メディアもこの動きを取り上げ、6日の開始から3日間で2070の反対署名がサイトに書き込まれる反響を呼んでいる。

 立ち上げたのは、ユジノサハリンスクの通信社「SAKH.COM(サクドットコム)」。返還の賛否を問う投票欄は8日現在、反対92%、賛成7%。「島民を無視して4島が返還されるのでは」という危ぐや、「日本との2重国籍が与えられたら賛成する」という意見が寄せられている。

 通信社によれば、3月18日に開かれる下院の領土問題に関する公聴会に向け、署名や意見を集約し州議員団に託す。極東地域で根強い反対意見を全土に訴えることが狙いという。アドレスは、http://www.sakh.com


英マーガレット王女死去

 エリザベス英女王の妹マーガレット王女が9日朝、ロンドン市内の病院で死去した。71歳だった。国王の侍従との「悲恋」や離婚歴など、現代的な生き方で女性たちの共感を集めた。

 バッキンガム宮殿は同日、「王女は睡眠中、安らかに亡くなった」と発表した。BBCテレビによると、8日午後に心臓発作を起こし、入院していた。2人の子どもが付き添ったという。

 先代国王ジョージ6世の次女。23歳の時、国王の侍従だったタウンゼント空軍大佐と恋愛し、結婚を望んだが、大佐の離婚歴を理由に英国国教会や当時の首相が反対。断念した。

 60年、写真家アンソニー・アームストロングジョーンズ氏(スノードン卿)と結婚。1男1女をもうけたものの、78年に離婚した。年下の男性との恋愛をメディアに暴露されるなど、私生活でも話題を提供し続けた。

 バレエや演劇を愛好し、支援を続けた。体調を崩し、晩年は入退院を繰り返していた。

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 マーガレット王女は69年9月に公賓として、78年10月には非公式な旅行で来日した。(19:57)
家庭のPC結びスーパーコンピューターに利用 韓国

 韓国政府が、家庭のパソコンをインターネットでつないで、膨大な計算や解析作業に利用する事業に乗り出す。3万台のパソコンの協力が得られれば、最高級のスーパーコンピューター並みの作業が可能で、約700億ウォン(約70億円)の投資費用節減につながるという。今年下半期から試験を重ね、来年には本格運用を始める予定だ。

 ADSL(非対称デジタル加入者線)などでネットに常時接続されているパソコンが対象。サーバーが計算作業を細かく分割して、使われていないパソコンのCPU(中央演算処理装置)に作業命令を出す。家庭のパソコンは、使わない時に専用ソフトを起動させておけば、自動的に作業をこなす。気象・災害予測やバイオテクノロジー、ロボットなどの研究開発への活用を想定している。


 こうした事業は、欧米で民間企業などが手がけている例があるが、政府が乗り出すのは珍しい。インフラとして超高速インターネットが不可欠だが、韓国では世帯普及率が5割を超えている。情報通信省では「利用可能なパソコンは国内に1000万台ある。うまく活用できれば、ばく大な付加価値を生むことができる」(インターネット政策課)と期待している。(19:11)

塩川財務相、デフレ阻止表明へ G7始まる

 世界経済が抱える問題を話し合う主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が8日夜(日本時間9日午前)カナダのオタワで2日間の日程で始まった。開会前に記者会見した開催国カナダのマーティン財務相が「日本は困難に直面している」と指摘するなど日本経済の問題が焦点になりそうで、塩川正十郎財務相はデフレ阻止に向けた決意を表明する方針だ。実質的な討議の始まりとなった夕食会では、昨年秋から各国が取り組んでいるテロ資金規制が効果をあげていることなどを確認した。

 塩川財務相は、小泉純一郎首相が総合的なデフレ対策づくりに着手したことを受けて、銀行等保有株式取得機構の始動前倒しなどの株価対策を中心に説明する。

 これに先だって欧州連合(EU)議長国スペインのラト副首相兼経済相との会談で、消費者物価の下落が続く日本経済の現状について聞かれた塩川財務相は、「政府として、できるだけの手を打つ」と「デフレ阻止」への意気込みを示した。

 オタワ入り後、記者会見した塩川財務相は「デフレ対策や不良債権問題への取り組みは進んでおり、各国の理解を得られると思う」と述べた。

 ただ、政府・与党内で不動産価格や株価対策に加えて消費を刺激するための減税も検討されていることから、各国から構造改革路線の転換と受け止められるおそれがあるのも事実だ。小泉内閣の支持率急落で、「構造改革が挫折するのでは」という見方が出ているだけに、「改革とデフレ対策」の両立をどう説明するかが注目される。

 テロ資金の問題では、米国の同時多発テロ事件後の昨年10月に開かれたG7でまとめた「テロ資金供与に対し闘うためのG7行動計画」に沿って参加国が引き続き協力することを確認した。


 テロリストへの資金供与を犯罪として規制の対象にするのに必要な法改正や世界的なテロ監視網づくりなど「行動計画」に盛り込まれた対策について各国がこれまでの取り組みを説明した。(12:32)
PKO法再改正で合意 山崎幹事長、中谷防衛庁長官会談

 山崎拓自民党幹事長と中谷元・防衛庁長官が9日、高知市内のホテルで会談し、国連平和維持活動(PKO)協力法について「武器の使用条件を国際標準に見合ったものにする必要がある」との認識で一致、今国会中にも同法の再改正を目指すことで合意した。

 主な改正点は、自己防護に限らず任務遂行のために武器を使用できるようにする▽要人や他国部隊を駆けつけて守る「警護任務」を可能にする▽停戦合意や受け入れ国の同意がなくてもPKO活動に参加できるようにする−−の3点。いずれもPKO参加5原則に抵触する恐れがあるとして与党内からも慎重論が出たため、昨年の臨時国会では改正されなかった。


 さらに、有事法制整備の問題で、自衛隊関連法制と併せて米軍関連法制も今国会に提出することで合意した。その際、米軍と物品や役務を融通しあう日米物品役務相互提供協定(ACSA)を改定し、有事にも対応するACSAをつくる方針も確認した。現在のACSAの対象は日米共同訓練や周辺事態などに限定されている。(21:55)

首相の方針貫くことが国益にかなう 自民幹事長

 自民党の山崎拓幹事長は9日、高知市で開かれた党県連大会で講演し、サラリーマン医療費の自己負担3割引き上げ問題について「内閣や与党内の意思の不統一は国民の信頼を失う。小泉首相の方針を貫くことが国益に資する」と述べ、首相の意向通り来年4月から実施したい考えを強調した。


 山崎氏はそのうえで、「患者負担は極端に言えば未来永劫(えいごう)に3割5分や4割負担にすることはない。法律に医療制度抜本改革の基本方針を1年以内につくると明記するが、その基本方針で国民患者負担を3割以上にしないことを明確にしたい」と話した。(19:51)