インドが中距離ミサイル発射実験実施 パキスタン反発
インドは25日、核弾頭を搭載できる中距離弾道ミサイル「アグニ」の発射実験をした。外務省のラオ報道官によると、射程は700キロ以下。インド側は「予定されていた通常の実験」としているが、12月のインド国会襲撃事件をきっかけに、インドとパキスタンとの関係が緊張する中での実験に、パキスタンは「地域の安定を損なう」と反発を強めている。
アグニの実験は昨年1月に実施した射程約2500キロの「アグニ2」以来。東部オリッサ州の実験場から、午前8時45分(日本時間午後0時15分)ごろ発射された。パキスタンと、中国など国連常任理事5カ国のほか、日本、ドイツにも事前通知をしたという。
「アグニ」は「火」の意味。今回発射実験されたのは最大射程が約1500キロの「アグニ1」とみられるが、射程を短くした実験によって、射程約250キロの短距離ミサイル「プリトビ」(地球の意味)との中間射程への攻撃力強化の狙いがあるようだ。
ラオ報道官は、印パ間の緊張状態と実験とのかかわりについて、「国境の緊張状況とは関係はない」と一応否定し、「実験の日取りは以前から決まっていた」と述べた。
パキスタン外務省は「実験は地域の安定を求める努力を損なう」との非難声明を発表した。対抗措置について「パキスタンは自制する」と述べる一方で、「技術的な必要に応じてわが国もミサイル実験をする」として、将来の対抗実験の可能性に含みを持たせた。
印パ間では、インド東部コルカタ(カルカッタ)のアメリカンセンター前での銃乱射事件をめぐり激しい非難が交わされたばかり。インド国内では、ヒンドゥー至上主義者を中心にパキスタンへの強硬姿勢を求める声が根強く、2月に4州での地方選を予定するバジパイ政権は国内世論に敏感となっており、26日はインドの共和国記念日にあたるため、実験はこの日をにらんでの「国内向け」の意図も強いという見方がある。 |