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脱税で金塊400キロを貯め込んだ整形外科医
- 伊丹監督の映画「マルサの女」で脱税容疑の山崎努扮するオーナーが国税署員にカネ持ちになる秘訣を語るシーンがある。「コップに水を貯めるとする。あんたたちは喉が乾いたからと言ってはすぐに水を飲んでしまう。それではカネなんか貯まるはずがない。カネを貯めるには水が貯まるまでじっと待つんだ。そしてなみなみと注いだ水から溢れる滴をこうして舐める」オーナーが舌でコップの滴を舐める仕草をした瞬間、主人公のマルサの女が背にした隠し扉が開く。中には札束と金の延べ板が現れ「そうか、これがコップから溢れ出た滴というわけだ」と国税主任が呟く。
- この映画そのままの事件が札幌で起きた。去年(97年)六月下旬、札幌国税局が日美整形外科医・中田守容疑者(56)の琵琶湖に面した別荘(滋賀県大津市)に査察に入った。しかし中田はすでに二週間前に愛人と共に、夜明け前に水上バイクで琵琶湖を渡って逃走していた。踏み込んだ札幌国税局は段ボールを開けて驚く。そこにはビニールで包んだ金の延べ棒(五億円相当)400キロが光り輝いていた。それと共に中田が女性患者に麻酔をかけて卑猥な行為に及んだ実写ビデオが50本近く発見されている。
- 中田は以前から医療ミスで患者側から訴訟を起こされていたが「医師会から保険がおりるのでかえって儲かる」と豪語していた。この悪徳医師は過去七年間で16億円の申告漏れがあり、追徴課税は申告漏れと同額近くになっていた。【参考『週刊現代98年3月21日号』57頁】