JFK暗殺めにゅー
マインド・コントロールされた男カスチロ
- 1967年3月2日、フィリピンにおいて当時24歳のルイス・マンゲル・カスチロという男がNBI(国家捜査局)によって逮捕された。容疑はマルコス大統領の暗殺を企てた組織の一味ということであった。その尋問の際にNBIとフィリピン陸軍捜査局は自白剤の『真実の血清』でカスチロを催眠状態に導いた。カスチロは「私は催眠によってプログラムされ『オープンカーに乗ったある男を殺せ』と命じられた」と自白する。カスチロは目標が誰かは知らなかったが、想定されるシーンはテキサス州ダラスであり、日付は1963年11月22日ということであった。さらにカスチロは「ダラスである女性が私を深い催眠状態に導いたが、彼女は同じことをした数人の一人である」と語ってJFK暗殺との関係を示唆している(JFKの弟ロバート暗殺の際にも犯人サーハン・サーハンが同様に女性の関与を証言している)。やがてNBIはカスチロの額、胸、腹、そして指に僅かな傷跡を見つけて問い詰める。カスチロは「この傷はアメリカで交通事故を起こした時のもので、書類を渡そうとして何者かに追跡されて襲われたように思う。気が付いた時には病院のベットに横たわっていた」と答える。しかし催眠によって具体的な名前をたずねる段階になると、カスチロは決まって全身に痙攣を起こし、苦痛のために悲鳴をあげた。何とか問いただすうちに、カスチロはいつも同じ女性によってシカゴ郊外の工場に連れて行かれたことを突き止める。NBIはこの女性こそカスチロをコントロールした張本人と断定した。しかもカスチロは性格の違う四つの人格まで持ち合わせていた。この人格が植え付けられたものであることは明らかだった。催眠術の担当者はこの四つの人格にそれぞれゾンビと名付けナンバーをふって区別している。
- ゾンビ1=反米スパイ、エロリアガと名乗る。
- ゾンビ2=CIAエージェント、事件をおこしている。
- ゾンビ3=正体が暴かれたエージェント、自殺をするようにプログラムされている。
- ゾンビ4=父が高官で、少年期の記憶がないニューヨーク生まれの24歳の男。
- カスチロの高度にプログラム化された催眠を発見した鍵は、逮捕された時に持っていたタバコの紙切れだった。そこには『XBGUMIDUTYB』の文字が書かれてあり、この文字を普通に読んでもカスチロは何の反応も示さなかった。しかしUとMの間を区切って間を空けて読むとカスチロは発作的に催眠状態となり「私は自分自身を殺す」と口走り、「BGU=私自身」「MI=殺す」ということが判明する。その催眠状態で「ルイス・カスチロ!」と号令をかけると、カスチロは反射的にピストルを自分のコメカミにあてるのである。プログラムの隙を突くようにして導き出されたカスチロの証言は以下のようなものであった。
- 「昼間に、その暗殺は起きた。アメリカ人と外国人たち、一人はスペイン人で、黒い車である建物まで行った。彼らは建物に着くと二階に上がって行った。小さな茶色のテーブル、タイプライター、二つの持ち上げる窓、そこからは道路が見えた。最初の男は黒いスーツケースからライフルの部品を取り出して組み立てた。その男は私に『オープンカーの後部座席に座っている男を撃て。目標の男は女性と座っているだろう』と言った。すると反対側から二回鏡が光り、それを合図に私は引き金を引いたような気がする。男にライフルを渡すと、男はライフルを分解し、元のカバンに戻して、別の二人と車に乗った。途中、頭の禿げた男を乗せた。さらに3〜4ブロック過ぎて別の男が乗り込んできた。その中の一人が私に注射を打ち、目覚めたときはシカゴにいた。横に女性がいて、私はその女性とミルウォーキーまで走った」
- 1967年、カスチロは米国に戻るとFBIの尋問を受け、FBIは「我々はカスチロの尋問を行ったが、彼は単に話を捏造しただけだった」と発表した。1971年6月、カスチロは盗みの疑いで六ヶ月の懲役刑となる。1974年8月1日、母親と会ったのち、行方不明。
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