血液製剤肝炎 旧ミドリ十字、回収半年前に感染把握

 濃縮血液製剤「フィブリノゲン」によるC型肝炎感染問題で、製造元の旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)が青森県での集団感染をきっかけに非加熱の同製剤を自主回収した87年4月の約半年前に、静岡県と広島県で感染を把握していたことが17日、三菱ウ社が厚生労働省に提出した報告書でわかった。

 87年1月には旧厚生省に青森の集団感染が伝えられていたこともわかり、厚労省は、同社と旧厚生省の当時の対応に問題がなかったか調べる。

 報告書によると、86年9月、静岡県の産婦人科医院で、フィブリノゲンを使用した患者3人が肝炎を発症し、同製剤が原因と思われる、との報告が支店から旧ミドリ十字本社にあった。同11月には、広島県内の総合病院の産婦人科で、同9月から10月にかけて同製剤を使用した患者2人が肝炎を発症したため調査してほしい、と支店から報告された。

 しかし、同社は、青森の集団感染が表面化した87年4月、都道府県から説明を求められた場合は「青森県の発生8例以外に出ていない。現在全国で調査中である」と答えるよう、本社から各支店に指示していた。

 87年1月に青森の集団感染を知らされた旧厚生省は、同年3月に旧ミドリ十字に対して全国調査を指示。同社は4月20日に製品を自主回収した。