東海村事故「DNA損傷データ」
JCO東海村事故リスト
 

 DNA損傷度検査は直接DNAを検査するわけではない。放射線の影響でDNAが損傷したときに尿中に排出される「8ヒドロキシル2デオキシグアノシン」という物質の濃度を調べる。この濃度が一般人より高ければ、DNAが損傷を受けたことが分かる。そして東海村JCO放射能漏れ事故では、150人のうち8人の尿中から、通常より高い8ヒドロキシル2デオキシグアノシンが検出された。
 日本人の濃度平均値は15.7ナノグラムで、今回の8人は21.7ナノグラム、平均値のおよそ2倍近い測定値を示している。具体的には、一部の二重螺旋構造の鎖が切れた状態ということらしい。人体への影響としては発ガン性はもとより、晩発性障害として白内障や子供に影響を及ぼす生殖異常があげられている。ある住民が受け取った検査結果の報告書は次のようなものであった。

「JCO事故関連健康調査の結果について」茨城県保健福祉部保健予防課長
平成11年10月2〜4日に実施しました検診につきましては、先の通知票にお示しした検査項目の他に
リンパ球表面マーカー検査(CD4 T細胞数)尿中8−ヒドロキシル−2−デオキシグアノシン検査(8−HOdG)
を、合わせて実施しましたが、検査データと11月4日に公表された周辺環境の線量評価を分析しましたところ、微量の放射線による影響の指標として用いるには十分な基礎データが不足しており、判断の基礎とするには至りませんでした。参考までに、基礎数値8−HOdG 2.8ng/mg.Cr

 この住民の場合は平均値より低く問題はない。しかし問題の8人に送った報告書も同じようなもので、損傷の事実は伝えられていないという。DNAを調べれば個人の病歴なども分かり、被験者に無断でDNA検査が行われていればプライバシー侵害になる。
【『週刊現代12/11号』42頁「東海村事故・封印された住民8人のDNA損傷データ」より一部抜粋】