１９９８年十月の日誌

　講談社の『日録２０世紀・1949年度』の「下山・三鷹・松川”三大事件”の怪！」（6～8頁）を読んでいて引っかかることがあった。『下山事件全研究』の著者で歴史研究家の佐藤一氏が「下山氏は噂された他殺ではなく、初老期鬱憂症が原因とみられる自殺だった」と結論付けているのだ。下山定則国鉄総裁（47）が常磐線と東武線が交差する綾瀬駅付近の線路上で轢死体となって発見されたのは昭和24年7月6日である。下山総裁の遺体は、首・胴・右腕・左足・左足首の五つに切断されていた。脳はメチャメチャに粉砕されていたと言われている。上着はどこも損傷はなかったが、ワイシャツには植物性の油が染み込んでいた。不思議なことに血液は非常に少なかった。これらの物的証拠だけでも下山事件は単なる自殺ではなく、第三者の存在を臭わせている。詳しい分析の段階で、下山総裁は裸の上に着衣が被せられた状態で轢かれたことが判明する。自殺を決意する人間がわざわざ裸になる必要があるだろうか。しかも裸で線路に横たわり、自分の着衣を布団のように上から掛けるようなことをするだろうか。当時、列車は八分遅れることが通達されていた。仮に下山総裁を殺した犯人がいたと仮定すれば、その八分の余裕が着衣の謎を解く鍵になる。ところが列車は八分の遅れを取り戻そうと加速し、現場には定刻に通過することになってしまった。犯人は下山総裁の遺体に衣類を着せる暇もなく、慌てて着衣を裸の下山氏の上に被せて逃走する。靴も履かせる余裕がなく、足は轢断されていながら靴は損傷がないという状態で発見される。こうした証拠を歴史研究家の佐藤氏は無視しているとしか思えない。これら三大事件の後に労働者100万人解雇が実現するのであるが、それはＧＨＱが望んでいたことでもあった。今から49年も前の事件ではあるが、権威ある筋によって事の真相が隠されているとするなら、それをもう一度発掘して事実を白日の元にさらすことも必要になるだろう。
１９９８／１０／３０、金曜
　今週のニューズウィーク誌（98/11/04号）には興味をひく記事が三つばかり、巻頭9頁のベタ記事に載っていた。「死刑か取引か」では1996年のサウジアラビアでの米軍宿舎爆弾テロ事件で、その破壊された宿舎の小さな写真である。八階建ての宿舎ビルが上から下まで垂直に割ったように露出されている。これはオクラホマシティでのビル爆破現場にあまりにも酷似する。爆弾ではこういう垂直に割ったような破壊にはならないと思われるのだ。もう一つは「ロシアから核輸入？」という記事で、核兵器に欠かせないトリチウムを米国がロシアから輸入しようと検討しているとのこと。核拡散防止条約などと口にする米国が、一方では核兵器施設を温存すること自体信用のおけないものであろう。三つ目は「殺人の次は麻薬」と題して、殺人容疑で拘束中のラウル・サリナス（メキシコ大統領カルロス・サリナスの兄）が、スイス銀行に1億1400万ドルを隠していたという記事。いずれも参照となる資料を探しているが見あたらず、誰か関係情報を掲示板で流してくれればありがたい。
　ニューズウィーク誌にはもう一つ興味深い記事「スパイ・イスラエルを愛し、祖国を裏切った男」（20頁）があった。1985年にスパイ容疑で逮捕された米海軍の情報分析官ジョナサン・ポラードに関するもので、今回の中東和平でもネタニヤフ首相が交換条件としてポラードの釈放を米国側に要求したというもの。このポラードに関係した本にセイモア・ハーシュ著『サムソン・オプション』（文藝春秋）がある。「第21章・核スパイ」341～364頁まで23頁の紙面をさいてポラードに関することが書かれてある。米国を祖国としながらシオニズムに傾倒、イスラエルに機密情報を流し続けたポラードの行く末に多くの欧米人が関心をもっているようだ。
１９９８／１０／２９、木曜
　李嘉誠と三合会の関わりから、歌舞伎町に巣くう「黒社会」のファイルを日記から抜粋した。互いにリンクするようにしたので、読んでいるうちに全体像もつかめると思う。このへんから金融機関と総会屋へとリンクしていきたいと思っている。
　この不景気にも着々開発研究を重ねて独自のアイデアから革新的な商品を生み出す会社もある。昨夜、何気なくチャンネルを切り替えたテレビ朝日系列「トゥナイト２」で面白そうな実演が紹介されていた。それは水とジュノン液なる液体の入った容器に、発泡スチロールを入れて瞬時に溶かすといったものだった。有毒ガスも出ず、液体に触れても何ら害はない、このジュノン液は発泡スチロールの分子構造を変えずに溶解され、かつ再生も可能という画期的なものらしい。発火点も660度のため火災も心配はいらない。何より分離劣化せずに発泡スチロールが再生できるのだ。91年の再生資源利用促進法から今回の97年の容器・包装リサイクル法の流れに、ジュノン液による発泡スチロールの再生システムは期待されてしかるべきだろう。しかし以前から銀行はこうしたベンチャー企業に支援するといったプロジェクトを組みながら、いったんバブルが弾けると急に資金の回収を促進してベンチャー企業を倒産に追い込むという仕打ちをしてきた。そのために日本ではベンチャービジネスが育たない、育てるべき銀行が未来の夢を食い潰してしまっている。その点、外資系は利益になると見込んだ企業には資金を投入して憚らないことで日本を席巻してゆくことだろう。発泡スチロール再生システムはウェストジャパン・ジャパントラストアソシエイションなる会社が開発したそうだが、これらのシステムも外資系に委ねられるかも知れない。夢の実現は若者の渇望として、日本の政府がそれを支援し育てる方向に持っていくことは無理なのだろうか？日本経済を根底から切り崩し、崩壊寸前の瀬戸際にまで追い込んだ金融機関が、今塗炭の苦しみに喘ぐ企業を貸し渋りで追い込みながら血税６０兆円を受け取ろうとしている。銀行とは何という世界だろう。彼らは次代を担うべき子供らの夢を奪ってしまったことでもドロボー銀行と呼ばれても仕方があるまい。
１９９８／１０／２８、水曜
　いつも見かける近所の一人暮らしのオヤジさんの姿が見かけなくなった。どうしたんだろう？近所の人たちの心配が昨日、不幸なかたちで現れた。オヤジさんの家に花輪が飾ってあったのである。二ヶ月前に肝臓病で入院したまま還らぬ人となってしまったのだ。二ヶ月前と言えば私も持病で歩けなくなった頃である。オヤジさんは数日前に亡くなったらしい。以前の手術の時は私に「留守をするのでお願いします」と挨拶したのに、今回は急いでいたのか黙ったまま入院したのだった。初夏の夕暮れ時、丹精込めた見事な薔薇の花を見つめて佇んでいたことを思い出す。「やぁ、綺麗な薔薇だねえ！」私が声をかけると嬉しそうに微笑んだものだった。あのオヤジさんが死んだなんて、今もって信じられないでいる。元気そうだっただけに悔やまれるのである。本人も予期せぬ急死だったに違いない。花壇をもう少し広げて、今度はもっと色とりどりの薔薇を植え付けるのだと、楽しみにしていたくらいだった。主のいない花壇はこれから荒れるがままになるのだろうか。何より独りで住んでいた家そのものが取り壊されるかも知れない。その家が建つまでにはトラブルもあった。地域の有力者がオヤジさんを騙して土地を取り上げるということがあったのだ。これに私が激怒して乗り込むという一幕もあった。最初から喧嘩腰の私を相手にするほどの手合いではなく、最終的には弁護士を立てて決着がついた。バブル経済の絶頂期には市内に大きなビルを二つほど建てながら、今は不良債権の責任者として地獄のどん底へと突き落とされた有力者のこと・・・罰が当たったとしか言いようがない。オヤジさんは酒が入るとそのことで憤慨したものだった。その酒も大病してからは飲めなくなり、花壇の薔薇を育てることを唯一の楽しみにしていた。主のいない薔薇の花はもう来年からは花を咲かせることもないだろう。オヤジさんは薔薇の花の中へと吸い込まれて行ったような幻覚をおぼえる。私も来年には薔薇の花を育てることに挑戦してみようと思う。
１９９８／１０／２７、火曜
　今夜ＮＨＫ綜合テレビで放映される『堂々日本史・ペリー提督滞日60日の記録』（22:00～22:45）をご覧になる方は、ペリーが鉄道王バンダービルト家やモルガン家らと同じ家系であることを頭の片隅にでも記憶されたい。ペリー提督の背後関係を知ることで、彼がどんな目的で日本にやってきたか？が漠然とながらも見えてくるかも知れない。【参照『赤い楯・上』系図９】
　李嘉誠やジョージ・ソロスなど世界的な投機屋に共通しているのは、彼らが大損したと報道されても忽ちのうちにそれ以上の利益をあげて世界を驚かしていることであろう。これはちょうど大戦前の大恐慌において、ロックフェラーやモルガンが致命的な損失を被ったとされながら、数年後には全米を支配するほど巨大化してよみがえったことに酷似する。すでに彼らが作った世界的金融システムは、彼らの意のままに動く芸術的とさえ称される金融操作システムとして作動しているようだ。
１９９８／１０／２５～２６

香港の李一族、李嘉誠

１９９８／１０／２４、土曜
　植物との対話を夢見る三輪敬久氏（早稲田大学理工学部教授・生命機械工学）がテレビで紹介されていた。三輪氏の研究が日の目を見るのはいつのころだろうか。いつの日か、人間が植物を畏敬のまなざしで再認識する日が必ずやってくる。機関があればこそ感覚機能が働く、といった現代の一般常識も、植物は機関なしで感覚が機能する、ことの事実に驚く未来を想像してみる。先達者は異端視されるという宿命はいつの時代にも付きまとうようである。頑張れ、三輪教授。
１９９８／１０／２３、金曜
　「住民の同意なしにプルサーマル計画の導として反原発グループを活気づけた福島の佐藤栄佐久知事だったが、先月辺りから佐藤知事が「プルサーマルの安全性はほぼ確認された」として突然豹変、プルサーマルの受け入れを示唆しはじめた。折しも福島原発は業者のデータ改ざんが発覚して問題になっている矢先だった。ここには佐藤知事以前に有名な変節町長がいる。原発建設反対の急先鋒だった社会党の岩本忠夫は、その最中に変節すると大熊町の町長に収まった。今回の佐藤知事の変節を「待っていました」とばかりに、双葉町の岩本忠夫町長と大熊町の志賀秀久町長はさっそくプルサーマル計画の受け入れを佐藤知事に表明している。町長と知事の二人の変節男の背後には東京電力の暗躍が見え隠れしている。
１９９８／１０／２２、木曜
　夢を見ていた。巨大な鉄骨の下で何万という労働者が蠢いている。彼らの抑圧された心の悲鳴が痛いほど伝わってくる。その中にはどういうわけか知人もいた。彼は家族のことを考え、低い賃金に耐えながら汗を流していた。何かを組み立てているようだった。よく見ると、それは自動小銃であることが分かった。私は叫んだ「お～い、そんなもの作っちゃ駄目だよ！」彼は私の声に驚き、キョロキョロ辺りを見渡していた。私が見えないようだった。やがて何万という労働者は建物に負けないぐらいの巨大なミサイルを作り始めた。プルトニウムは原発から運んでいるようであった。私はさらに叫んだ。しかし声が出なかった。水から陸に放られた魚のように、私はパクパク口を開けているだけだった。絶望感に襲われながら・・・私は目覚めた。白昼夢というやつか、夢は消えたが絶望感だけは心に残っていた。

　昨夜放映されたＮＨＫの再放送「革命に消えた名画」は以前に観た時より違った感慨深さを感じた。ムソルグスキー（Musorgskii）の『展覧会の絵』にまつわるエピソードなのだが、何より司会とナレーターをつとめた團伊玖磨の存在そのものが彩りを添えてくれた。伊玖磨の祖父・琢磨は三井合名理事長として1932年に血盟団によって暗殺されている。その後にチャップリンが来日、五・一五事件が勃発する。チャップリン来日には暗殺の噂があり、その一つにロマノフ王朝による暗殺団の噂があった。不思議な因縁だが、伊玖磨が司会をつとめた番組のムソルグスキーその人もまたロマノフ王朝に関係がある。ムソルグスキーの遠縁筋がデミトリー・ロマノフ（Dmitrii Romanov）に嫁いでいるのである。ここにムソルグスキーはロマノフ家の一員だったという事実が浮かび上がる。最期の皇帝ニコライ・ロマノフ二世（Nikolai Romanov）一家の悲劇と、後に現れて真偽のほどが騒がれたアナスタシア王女（Anastasia Romanovna）が今、ディズニー映画にもなっているのは衆知の通りである。最新のニューズウィーク誌にはブレジネフの甥が政界入りするとかで記事になっている。ブレジネフはウクライナ人だったが、ロマノフ王朝が倒れた後のボルシェビキは全てウクライナ人で占められていた謎、などを考え合わせると興味深いものがある。團家やムソルグスキーからロマノフ家に至る家系図などを作成する過程からも、様々な人間ドラマが浮かび上がってくるような気がしている。
１９９８／１０／２０、火曜
　ニュースで元暴走族リーダーが牧師になったという金沢泰裕氏なる人物が登場していた。大阪生野区桃谷の弟子教会で牧師として仕えているらしいが、何気なくテレビを見ていたので記憶に曖昧さがあるかも知れない。金沢牧師は毎夜街を徘徊する暴走族を見つけては説教して回っているという。その背一面には見事なイレズミが踊り、千容子夫人は当時を振り返って語る。「昔はヤクザ一筋で親分のために命を張り、今は神様一筋で命を張って突っ走っている。この人は一度決意したらそれ一筋に命を賭けるようなところがある。私も刃物で刺されるぐらい昔はメチャクチャ荒れていた。ところが今は一人でも人を救おうと、悪の道に踏み入りそうな少年たちを説得している」いったん悪の道を極めた牧師だけに、その説教には迫力と説得力がある。人は悪へ向かう時、自分がこの世に必要とされていない絶望的な心になっている。何より愛に飢えている。愛に満たされているという確信があれば、暴走族にもヤクザにもなりはしないはずである。そのことを金沢牧師は身を持って知っているだけに、闇からの一筋の光に神の存在を確信したのだと思う。神に自分の全てを捧げて仕えきる、その覚悟で「生きる」意味を見いだした金沢氏のこと・・・これを奇跡と呼んでもさしつかえはないだろう。
　死の商人ベルンハルト殿下の家系図を書いてみた。昨夜はテレビで日本の皇室を紹介されていたが、訪日したおりのオランダ皇族が紹介されはしないかとビデオを用意するも放映されなくて残念・・・
１９９８／１０／１９、月曜
　そろそろケネディ暗殺に関する情報をまとめたいが、折々に集めた情報が多くなって困った。今日のような情報過多社会においては、情報を捨てることのほうが大事になってくるようだ。主流となる基本事実だけは決して外さない、末端の紛らわしい枝葉の情報はできるだけ刈り込んでおきたい。ところがその捨てた情報が後で必要になることもあるから困る。その時は理解できなくても学習の経過で重要性が後で分かることもある。親のありがたみが死んでから分かるようなものだ。さればとて墓に衣は着せられず、である。何気ない平凡な生活でも、その時は退屈でしかなかった日常が後で振り返ると懐かしくなることがある。思い出に浸っていると「あの時は暑かったなぁ」などと当時より鮮明な記憶を求め辿っていたりする。暑いダラスで起きたケネディ暗殺事件でも、大統領の脳裏に起こった瞬間的な死と不安を感じようとしている。自分の頭が吹き飛ばされるという突発的な事件に、一瞬にしてよぎった思いと恐怖・・・その弾丸の軌跡、引き金を引く狙撃犯の指は震えていなかっただろうか？その背後で事件の前後を一部始終監視していた黒幕たちがいる。大統領の脳の破片と血糊を浴びたジャクリーヌ夫人の驚愕と悲鳴、そしてダラスの青い空は乾いた銃声の響きを呑み込んだまま沈黙している。その真相を知りたいとする多くの人々の期待も虚しく、真相を知られたくない為政者によって今もって全資料は公開されずにいる。
１９９８／１０／１８、日曜
　映画『サウンド・オブ・ミュージック』のモデル、トラップ大佐がロスチャイルド家と親戚関係にあることが系図を見るとよく分かります。んで系図を作ってみました。題して系図トラップ大佐～ロスチャイルド家
１９９８／１０／１７、土曜
　過去の日誌に目次内容を付加中。
私的ビデオ録画予定

１０／１７土曜
　２３：００～２３：４５、ＮＨＫ教育＝サイエンスアイ「広がる筋肉増強剤・その落とし穴」▽効果と恐ろしい副作用のメカニズムに迫る▽にっぽん名物研究室・完全自律型の潜水ロボットを開発するほか　井上章一　リポーター・高橋環　島田有香　司会・三井ゆり　山口勝
１０／１８日曜
　１１：００～１１：４９、ＮＨＫ総合＝ＮＨＫスペシャル ▽日本再建・雇用・失業率4・3％の衝撃（1）９８年秋、ハローワーク飯田橋　
　１９：５８～２０：５４、日本テレビ系列＝特命リサーチ200Ｘ！ ▽巨大地上絵の謎を追え!!ナスカの地上絵はどうやって作られたのか▽借金返済大作戦!!(予定)
　２１：００～２１：５０、ＮＨＫ総合＝ＮＨＫスペシャル ▽日本再建・雇用・失業率4・3％の衝撃(２）会社と社員の関係が変わる
　２３：００～２３：２５、ＮＨＫ総合＝新日本探訪「いのちの光を託されて・千葉・角膜移植コーディネーター」仮題▽2人の若者の挑戦▽光を取り戻した患者たちの笑顔▽都会の中のきずなほか
１０／１９月曜
　００：１５～００：４５、日本テレビ系列＝ドキュメント９８「風を感じたい・左脚に夢を託して」
　２３：４５～００：１０、ＮＨＫ総合＝未来派宣言「薬物依存は仲間と治す・近藤恒夫」内面のリハビリほか
１０／２０火曜
　２２：００～２２：４５、ＮＨＫ総合＝堂々日本史「大坂の陣(2)死中に活路を見出せ！真田幸村、逆転への秘策」
　２３：４５～００：１０、ＮＨＫ総合＝オモシロ学問人生「植物とおしゃべりできる？　早稲田大学教授・三輪敬之」植物と人との交流
１０／２１水曜
　２２：４５～２３：１５、ＮＨＫ教育＝ＮＨＫ人間大学・建築探偵・近代日本の洋館をさぐる「タバコ王・赤煉瓦の館」行商人から製造業への転身▽日本のタバコの近代化ほか藤森照信
　２３：４５～００：５０、ＮＨＫ総合＝時の記録・ＮＨＫスペシャル選「革命に消えた名画・追跡・ムソルグスキー・“展覧会の絵”」モチーフとなった10枚の絵▽芸術家たちの交流ほか
１０／２２木曜
　２３：１５～２３：４５、ＮＨＫ教育＝教育セミナー・おとことおんなの生活学「食生活と環境問題」▽物品の生産・消費にともなう環境汚染ほか　酒井やよい
１０／２３金曜
　０１：００～０２：００、ＮＨＫ総合＝食糧輸出大国への挑戦・よみがえるブラジルの大地
　０２：００～０２：５０、ＮＨＫ総合＝アルプスの酪農・フランス農業政策をみる地域おこし
１９９８／１０／１６、金曜
　ＦＲＢはリンドバーグ議員やライト・パットマンらの反対を押し切って議会を通過していくのだが、その後、リンドバーグ議員の息子リンドバーグ二世が大西洋横断に成功すると、そこにモルガン商会がスポンサーとして登場する。彼らの復讐がリンドバーグ議員当人ではなく、その息子を利用することによって果たされるのだ。
仕組まれた英雄リンドバーグ二世
１９９８／１０／１５、木曜
　ＦＲＢは発足当初からその弊害に（危険と言った方が適切かも知れない）議員たちの猛反対にあっていた。大西洋横断飛行で有名になったリンドバーグ二世の父親、チャールズ・Ａ・リンドバーグもそんな中の一人だった。
ＦＲＢ発足当時に抗議した人々
それにしてもグリーンスパンＦＲＢ議長の憔悴しきった表情は尋常ではない印象を受ける。ＦＲＢ議長としての意志決定権を与えられながら、実際には権力中枢部からの指示に逆らえない立場を如実に物語っているようだ。ＬＴＣＭ救済の責任者として、これから議員たちの非難と質問の矢面に立たねばならない議長の心中を考えれば、頭を抱え込んでいる議長の姿には同情もしたくなる。同じことがデクエヤル元国連総長の泣き顔に見る思いがする。彼もまた操られた者の悲哀が生まれつきの泣き顔に妙にマッチした損な役回りを演じた一人だったようだ。この二人に共通するのは、重責に苦悩するだけの疲れた老人の姿である。その点、ＬＴＣＭを買収しようとした投機屋ウォーレン・バフェットの斜め上目使いの表情は、虎視眈々と獲物を狙うプロの凄みを感じさせてくれる。老いたりとはいえ虎は虎、危険な雰囲気を未だに漂わせている。メリルリンチのデービット・コマンスキーに至っては、肥満した赤ら顔で惚けながら相手の隙を伺う傾向が見て取れる。人は置かれた状況によって、それなりの顔を形成していくもののようである。小渕首相が時折見せる上唇を舐める癖も、平凡だが狡い（こすい）性格がどうしても全面に出てきてしまう。大蔵大臣は映画「スター・ウォーズ」のヨーダそっくりである。邪心は感じられないが、頭脳明晰ゆえの神経の細さが大臣としてはそぐわない印象を放っているようだ。財界を身内にもつ彼が、公的資金導入の受け入れが進展したと時に見せたあの無邪気で嬉しそうな顔は、国民の辛苦とは懸け離れているがゆえに腹立たしいほどだ。いずれの権力者の顔も、国民を踏みにじっているがために滲み出す、見るに耐えない醜悪さを醸し出している。
１９９８／１０／１４、水曜

世界経済「縮み循環」の恐れ──米国バブル崩壊
　外国為替市場はドル売り一色になった。大手のヘッジファンドが、巨額のドルをまとめて売った、などの情報が飛び交う。米国は世界最大の借金国。へッジファンドは、金利が低い円で資金をあつめドルに替えて運用してきた。損失が表面化し、銀行は資金を引き揚げ、投資家は解約する。資金返済のためドルを売って円を買い戻さなければならない。ドルを安いときに買っていたから、利ざやが取れるはずだったが、市場はドル売り一色で、あっという間に、「ドルの含み利益」は吹っ飛んだ。一方で、日本株も売る。米国の投資家は、日本企業の中で「勝ち組」とされてきた国際優良株を買ってきた。だが、日本の株価は、ニューヨークとほぼ連動する。米国株はこれから下がりそうだ。円が高くなった今が売り時、という判断が働いている。金融自由化を世界に説く米国は、「自己責任、透明なルール、情報開示」を強調してきた。ところがヘッジファンドは、その枠外で繁殖を続けていた。当局への届け出も監視もなく、情報開示は、顧客へ運用成績を知らす手紙だけ。どんなヘッジファンドがどれだけ資金を動かしているか、財務省も中央銀行もわからない。ヘッジファンドの客は、特別の金持ちや、機関投資家。十分な判断能力を持っているプロだから保護の対象ではない、という判断だった。
　ところが、大手の一角にあるロングターム・キャピタル・マネジメント（ＬＴＣＭ）が破たんするとニューヨーク連銀の旗振りで救済が始まった。１２００億ドルを超える融資を受けており、倒産させると連鎖は金融界に及ぶ恐れがある。「私的資産運用」「金持ちの自己責任」と言いながら、実態は金融システムと深くかかわっていた。ＬＴＣＭには中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）の元副議長・デビッド・マリンズ氏が役員として入っていた。銀行経営者たちが自分の資産運用を任せ、同時に銀行から融資していたことも明らかになった。当局・銀行・ヘッジファンドが「私的関係」で結びつく米国金融界の暗部をうかがわせた。金融市場の変調は、遠からず消費を冷やす。円高は日本の輸出企業の採算を悪化させる。経済危機を輸出で乗り切ろうとするアジアや中南米諸国にも打撃だ。冷戦構造の解体から始まった世界経済の構造変化が、米国にも及んだ、と言うことかも知れない。国境を越えたデフレの進行。行き場を失った投機資金の流動が標的となった市場を不安定にするだろう。それぞれの国で、いらだちと不安が増幅しかねない。（朝日新聞編集委員・山田厚史）

　どうやら危険水域に入ったようである。気になるのはＬＴＣＭに、ＦＲＢの元副議長・デビッド・マリンズ氏が役員として入っていた、という事実である。真っ先に救済策を打ち出したのがグリーンスパンＦＲＢ議長だったことを考えれば、ＬＴＣＭとＦＲＢ（連邦準備理事会）がヘッジファンドを超えた関係ではなかったかという疑惑が出てくる。まだ若いＬＴＣＭのジョン・メリウェザー最高責任者を、その道の重鎮であるデビット・マリンズが手玉に取るぐらい簡単だろう。またメリウェザーもＦＲＢ元副議長としてのマリンズの意見には重要視していたはずだ。ＬＴＣＭがウォーレン・バフェットらの買収提案を蹴ったのも、ＦＲＢが提示した救済策の方に利を見て取ったからにすぎない。総額36億5000万ドルの救済金はウィリアム・マクドナー総裁の連銀（ニューヨーク連邦準備銀行）の主導で、14の金融機関が関与している。その筆頭はトラベラーズ・グループのサンフォード・ワイル会長、メリルリンチのデービット・コマンスキー会長らであるが、彼らが大損してまでＬＴＣＭを救済しているとは考えにくい。その目論見はどこにあるのか？それを「いつか来た道」1929年の大恐慌、暗黒の木曜日（10月24日）当時を例に検証してみたい。

大恐慌後に返り咲いたモルガン＆ロックフェラー連合

彼らの手口は「世間の惨状に合わせて、ちょっと傷を負って見せる」手合いのものだろう。ＦＲＢ議長アラン・グリーンスパンの経歴もまた彼らの仲間であることを物語っている。グリーンスパンは「Ｊ・Ｐ・モルガン」と「ブルッキング研究所」（ロックフェラーのシンクタンク）の重役にしてロスチャイルド家の使用人でもあるからだ。

１９９８／１０／１３、火曜

　底なし不景気に「戦争でも起こればいいんだ」といった声が頻繁に聞かれるようになった。「おいおい、そんなことよく軽々しく言えるね」昨夜も同業者の戦争待望論についキレてしまった。「そういう破壊的な想念が本当に戦争を招くんだ」ムキになる私を笑いが迎える。「笑ってる場合じゃないだろうが・・・」足の痛みを忘れて思わず夜の街に出る。一ヶ月の闘病に髪の毛も髭も伸び放題の私が久しぶりのスナックを訪れた。松葉杖の私に「あらあら」とママが驚いている。初老の紳士が「あんたはやさしい人だ」と妙なことを言って私を指さしている。鏡を見ると自分の髭だらけの顔がイエス・キリストの風貌と重なってくる。『そう言えばオレも満更ではないな』と思っていたら「ツケたまっているからね」とママの言葉がグサリ、オレの中のイエスが崩壊する。かつては暴力団が堂々と徘徊していた繁華街、喧嘩と恋愛が交差していた自分の青春の一時期を振り返りながら苦いウィスキーを口に運んでいた。生意気を絵に描いたような若さに、当時の恐いもの知らずが今の私を戒めている。群れることを潔しとせず、一匹義侠に試される度胸で自分を確認していた。そしてそれは同時に臆病な自分に気付かされることでもあった。自分に正直であろうとすればするほど、度胸とは裏返しの臆病が同じバランスで顔を覗かせる。暴力団の事務所で啖呵を切って袋叩きにあった時にも、それでも曲げない信念と同時に確かに命惜しさの臆病が顔を覗かせていた。死ぬ覚悟で生きていたと自負していた私が、末期ガンの母の「覚悟している」その一言には到底及びもつかないことにも気付かされる。私は何という親不孝をしてしまったのか・・・父が死んだ時より以上に、母の遺体に取りすがって号泣した夜の悲しみは今もって消えることはない。明日出棺という時にも私はそれを拒否して母の遺体を抱きしめていた。私の親不孝な涙が冷たくなった母の顔にポタポタと流れ、私は母の生きていた頃の温もりを取り戻そうと無駄な努力を続けていた。遊園地で母とはぐれて迷子になった子供のように、シャックリをあげながら泣きじゃくる。母の位牌を居酒屋のカウンターに置いて、こっそりポケットに忍ばせた母の遺骨を、ウィスキーを飲みながらかじっては泣いた。涙枯れ果てるまで・・・もう三年の歳月が流れたというのに、マザーコンプレックスの私は母の位牌と対話している。妹に叱られた。「兄ちゃんは母ちゃんのことばかり思い出しているけど、父#8;u生きる」意味を見いだした金沢ゃんのこと忘れたの？」そうなんだよね、父ちゃんのことも忘れちゃいけないんだ。頑張り屋の父ちゃんが作った会社、私にはえらい迷惑だったけど、底なし不景気に息の根を止められるまでやるしかない。母の位牌に父の位牌を寄せて、あなた方を両親にもって私は幸せだったと・・・そのことだけは、はっきり言える。
１９９８／１０／１２、月曜

『オマハの魔法使い』ウォーレン・バフェット

１９９８／１０／１１、日曜

　ヘッジファンドＬＴＣＭ救済の内幕

１９９８／１０／１０、土曜

映画『ベニー・グッドマン物語』
　元従業員が釣ったカツオを持ってやってきた。足が不自由で料理できないと言ったら、台所で調理してくれた。しばしの談笑、私のウィルス宇宙飛来説の話に目を丸くしている。興味津々の奴の顔を見ていたら、なぜかおかしくなって笑ってしまった。奴が帰ったあとで、テーピングした足で立ってみた。もう少しの辛抱だ。スナックで「いやぁ、厄介な足だったぜ」と言いながら酒をあおる自分が見えるようだ。かくして喉元過ぎれば熱さを忘れる、懲りない私がいる。　
１９９８／１０／０９、金曜

映画『サウンド・オブ・ミュージック』

１９９８／１０／０８、木曜
　熱にうなされる日々、独房に押し込められたように動けぬ体、孤独の不安と焦り・・・闇の中で悶える心。こんなにも脆い自分だったのか？と、冷たく突き放して嘲笑する心、それも自分だ。地面を這い蹲って苦悩する虫ケラめ！絶望の淵に神よ仏よと嘆願しても返ってくるのは我が問いかけの反響でしかない空洞、そしてそれが現実。ありのままの苦悩の果ての灯火を求めて、この肉体独房を清貧に満ち足りた心の修道所と成さん。命の源泉たる祈りへの希求・・・病ゆえの幻覚であっていいのだと、苦し紛れの夢にすがりついている。　
１９９８／１０／０７、水曜、どしゃ降り

Ｉ・Ｇ・ファルベン

１９９８／１０／０６、火曜

死の商人ベルンハルト殿下

１９９８／１０／０５、月曜
　イスラエルとオランダの化学兵器開発については昨日の日誌で死の商人ベルンハルト殿下の関与を示唆したが、この人物についてはもっと詳しく調べる必要がありそうである。
　エイズは人為的につくられた生物兵器ではないか？その仮説をまとめた。　
１９９８／１０／０３、土曜
　従兄の見舞いに行ってきた妹が「重体だと聞いていたのに、あんなに元気だとは思わなかった。意識もはっきりしてるし、握手だって力強くて、すぐ回復するみたいだから大丈夫よ」と明るい表情で語る。「誰が回復すると言ったんだ？」と問うと「あの元気そうな様子見れば誰だって分かる」のだそうである。仕方なく医学事典を取り出して「基礎知識だけは知っておけ」と妹に本を手渡す。読み進むうちにみるみる真顔になる妹・・・ふと日本経済のことが頭をよぎった。瀕死の銀行がペーパー会社を使って負債を隠そうと元気にふるまう様子が従兄の病状とダブってきた。負債という傷が日本経済の中枢から大出血させている。手術もできない。とにかく公的資金という輸血で命を取り留めるほかはない。しかし出血が激しくて輸血も間に合わない。いずれ機能は失われ、植物状態におちいることは確実だ。「ホントに元気そうなのでびっくりしちゃった。心配かけないよう、無理にでも元気にみせていたなんて知らなかった」そういう妹に「事実と向き合う勇気も必要ということだな。元気そうだ、が、元気に違いないとなり、元気ならば回復するはずと思いこむ。しかし事実はそうした希望的観測をいずれ覆し、希望していた分だけ落胆と失意をもたらすんだ」と言ってやる。母の時もガンの告知で随分悩んだものだった。「本当のことを教えてくれ」とガンを察知していた母に詰め寄られた時、私はその母の真摯な表情に嘘をつき続けることはできなかった。苦し紛れにガンを告知した瞬間、母の表情が一瞬輝いたように見えた。あれは錯覚だったのかも知れない。普通に考えても、余命を幾ばくもない事実を告げられて落胆しないはずはない、と思っていたからだ。しかしそれからの母は真剣にガンと向き合うような闘病生活を送っていたように思える。それ以後の何回かの手術に、母が手術室に運ばれていく時のＶサインがそのことを物語っていた。私は母のあのＶサインが忘れられない。さぞ苦しかっただろうと思う以上に、母の勇気をあのＶサインに見るからである。
- イスラエル政府、墜落した貨物機の化学物質搭載を認める（ロイター）
　イスラエル政府は１日声明で、１９９２年にオランダ・アムステルダムの住宅地に墜落したエル・アル航空の貨物機が、神経ガス・サリンの主な原料となる化学物質メチルホスホン酸ジメチル（ＤＭＭＰ）１９０リットルを搭載していたことを認めた。一方、同国政府は、化学物質ＤＭＭＰは無毒であり、化学兵器防護用フィルターの試験に使用される予定だったとしている。３０日付のオランダ・ＮＲＣハンデルスブラット紙は１面で、ＤＭＭＰ搭載を伝えるとともに、イスラエルの生物学研究所に宛てたＤＭＭＰ１９０リットルの危険物輸送申告書を掲載していた。各国メディアの報道によると、テルアビブ郊外ネス・ジイヨナにある同研究所では、化学兵器が製造されているという。［エルサレム１日ロイター］
　真実は意外な方向から漏れるものである。イスラエルとオランダによる化学兵器開発という事実も、飛行機事故がなかったら公にされることもないはずである。これまでイスラエルとオランダによる兵器の共同開発といった事実は殆ど知らされることはなかったし、両国を結びつけるような情報も皆無に近い。しいて言えばオランダ王室の死の商人ベルンハルト殿下（Bernhard Lippe-Biesterfeld）の存在であろう。元々この男はドイツ・ナチス政権下で暗躍していたテュッセン男爵（Heinrich von Thyssen）の一族で、オランダのユリアナ女王と結婚してから世界的な死の商人として君臨するようになる。同じ一族にはジュレーダー男爵がいるが、ドイツの新首相シュレーダー氏との関係は分からない。オランダがイスラエルの協力でサリンを製造しているとすれば、当然ベルンハルト殿下が一枚噛んでいると推測しても間違いはないだろう。日本の皇室とも親しいオランダ王室だが、少なくともベルンハルト殿下が血塗られた死の商人であるという事実だけは忘れてはなるまい。
１９９８／１０／０２、金曜

ＮＡＴＯ、コソボ問題で軍事介入の準備進める（ロイター）
　北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の各国大使は３０日、緊急理事会を開き、ユーゴスラビア空爆の可能性について協議した。短時間で終了した今回の協議は、アルバニア系住民へのセルビア治安当局の残虐行為に関する報道を受け、外部からの軍事介入への政治的圧力が高まったため行われた。ＮＡＴＯ関係者は協議について、「事態が進行している兆候ではあるが、決定が下されたという意味ではない」と説明した。同関係者はまた、一部加盟国では空軍の出動に内閣や議会の承認が必要だ、と説明するとともに、軍事介入の決定には、まず「的確で客観的な状況判断」が必要だと強調した。［ブリュッセル３０日ロイター］

ユーゴ内戦の真相

１９９８／１０／０１、木曜

コソボの虐殺