2000年9月

2000/09/30、土曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:28 テレビ朝日 ザ・スクープ そしていまテレビ報道に求められるもの-終
21:00 21:54 TBSテレビ 世界・ふしぎ発見! 特報!!北米にもあった巨大地上絵の謎
21:30 22:00 NHK教育 21世紀ビジネス塾 「未来に向けた技術開発」
22:00 23:00 NHK教育 土曜プレミアム よみがえる長江文明
23.:30 24:15 NHK教育 サイエンスアイ 「21世紀の技術(3)オプトテクノロジーの奔流」

 通夜に行く寸前に雨が降り出した。父が亡くなった時も冷たいが降っていた。こういう時には普段の雨も、死者の涙が雨になって降っているような気持ちになる。これまでの臨死体験に共通するものとして、死者は自分の肉体から離脱して自分の遺体を見下ろす、というのがある。「死んだわけでもないのに分かるわけがない」と一笑に伏されればそれまでだが、近代医学の発達で仮死状態から生還する例も多く、それらの体験から導き出された共通点にすぎない。「ああ、善い人よ、今や『私は死んだ』という、例のあのものがやってきたのだ。この世界から外へ行くのは汝ひとりではないのだ。死は誰にでも起こることである。この世の生に執着や希求を起こしてはならない。希求を起こしたとしてもこの世に留まることは不可能である」・・・まるで死者に語りかけるようなこのお経「深遠なるみ教え」は、チベットの葬式において一般的に唱えられるもので、東大印度哲学博士の川崎信定氏が忠実に訳したものの一節である。日本の葬式においては僧侶の唱える経文を理解しながら聞いている弔問客も数少ないはずである。たった276字しかないという般若心経でさえ、その意味するところを全く理解しないで聞いている人が大半だろう。
 「あなたは今、死んだのだ。あなたは自分に何が起こったのか?と、途方にくれていることだろう」・・・チベットにおいては遺体を前に、生きている人に語りかけるようにして僧侶がお経を読む。これは死者への子守唄でもあるかのようだ。死んだ人を「永遠の眠りにつく」と言うが、眠るには子守唄が必要だ。お経が子守唄のように流れる中では、死者も生者も穏やかな心のままでいられる。そこにはもはや死への恐怖は微塵も無くなったかのようでもある。
 通夜の帰りにも雨が降りつづいている。ひとりの人間が死出の旅路に向かうように、またこの世に生を受けて産まれて来る赤ちゃんもいるだろう。人は産まれて来るときには祝福され、死んでいくときには哀しみのうちに送られていく・・・ごく当たり前だと思われているこうした感情も、よくよく考えてみれば矛盾している。この世が本当に祝福に満ちた世界であるとは到底思えず、むしろあの世に旅立つことの方が祝福に値するのではないかと・・・そう思ってしまうのは不謹慎だろうか。してみれば、惜しまれて亡くなる人よりも、私のように勝手放題をして「あのバカ、やっと死んでくれた」と喜ばれるほうがいいかも知れない。そんな他人の嘲笑を自嘲に変えていくことでしか、今を生きることはできないような気がしている。

2000/09/29、金曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:30 20:00 NHK教育 きらっといきる 自分の島でゆっくり暮らそう
21:03 23:29 日本テレビ 金曜ロードショー アポロ13
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション 東海村臨界事故
22:00 22:45 NHK教育 地球時間 ヒトラーの側近たち2(2)メンゲレ
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 介護保険は頼れるか
24:05 24:30 日本テレビ ニュース出来事 医療費不正請求の実態

 映画「アポロ13号」は致命的な爆発事故を起こしながら、電気を節約して無事帰還するという実話を元にした映画らしい。専門用語がぽんぽん飛び出してくるので、単なるSF映画にはないリアル感が伝わってくる。もっと電気を節約しないと生きて帰還できなくなる・・・あそこはチェックしたか?・・・もう限界だ・・・いや待てよ、もう一回白紙に戻して最初から調べてみよう・・・そんなことの繰り返しで観客を苛立たせ、焦らせながら最後に「やった!」と安堵の歓声・・・映画の定番ではある。アポロ13号は辛うじて帰還できたが、我が日本丸という宇宙船はどうだろう?節約どころか、燃料を使い切ってしまい、燃料が足りなくなるたびに国民の血税を注入しながら何とか動いている。操縦席にはコンピューターのイロハも知らない首相が「これ、押してみたらどうだろう?」などと勝手に対策というボタンを押している。「総理、それ押したら爆発しちゃいますよ」などと側近に注意されると「あ、ごめんごめん」などと謝って済ます。その日本丸は母船であるところのアメリカ丸に曳航されながら、太いパイプで燃料が抜き取られていく。このボロボロの、宇宙に漂う日本丸には指針がない。母船に曳航されながら誰も操縦していないのだ。まして明日の展望さえ見えるはずもない・・・「あぁ!燃える、地球が燃える!」、太陽を、核爆発で燃える地球と錯覚した老人が叫ぶ「そこにいたら駄目だ。早くこっちの星に逃げてこなければ」・・・精神病棟の檻の中で絶叫する老人のラストシーン、黒澤作品『生きものの記録』は見事なまでに追い詰められた人間の逼迫感を演出していた。地球上の人類を繰り返し絶滅できるほどの核兵器を保有してしまったと言われながら、それでも発狂もせずに生活をエンジョイできる人間とは何なのだろうか・・・毎朝昇る太陽を、核爆発で燃えている地球として見るとき、いま自分が立っている大地の・・・その星のことを考えてみたい。

2000/09/28、木曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 きょうの健康 近視の矯正手術最前線
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう ▽映画監督・大島渚
22:00 23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽電脳税務署・ネットマネーを追え
22:54 23:50 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 自然破壊が進む米の国立公園
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 巨大銀行は戦えるか

 同業者元社長の訃報が届いた。知らせてくれた相手の興奮した様子が感じられる。私は「分かった」と一言、事務的に返事をしただけ・・・なぜ自分がこんなに冷静でいられるのか不思議なくらい落ち着いていた。やはり心の何処かで他人事と思っているからだろうか?父が死んだときも同じだった。だが、母が死んだときは違った。あのときの動揺を思い返すと、自分で自分の気持ちがつかめない。友人に言わせると、男はみなそうなのだと言う。何故かは知らないが、男は父親より母親が死んだときに何かより悲痛な感情に囚われるらしい。今日の訃報の相手は私の故父の友人でもあった。現場での休憩時、春の日差しを浴びながら笑顔で話していたのを思い出す。よくは覚えていないが、私の父を回顧しながら懐かしそうに話していたのを記憶している。かくして業界では父を知る人々が次々と亡くなっていく・・・葬儀には二代目の息子が喪主となるわけだが、その息子は私のかつての弟子でもある。母親を早くから亡くした彼が、泣きながら生前の母を語ってくれたこともあった。不孝をしてしまったと・・・その一点においてのみ彼は慟哭していた。それでも二代目であるところの、彼の仕事への熱意は凄まじいものがあった。野心に燃える彼の羽振りの良さは有名だったが、この不景気をどう乗り切っているのか、乗り切ろうとしているのか、尋ねたい気もする。業界の重鎮の面々も弔問客として顔をそろえることだろう。しかしながら、商売には不向きな私は、あまり彼らと話が合わないとも思う。おそらくは、私の父が亡くなって何年くらいになるのか、とか、業界では伝説の人ともなっている父の話に終始するはずだ。遺影の前で手を合わせたら、そっと立ち去るのが良さそうだ。

2000/09/27、水曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 きょうの健康 お年寄り・薬の効き目
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう すこやかシルバー介護転倒の予防
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション 130m先で臨界事故が起きた大泉さん一家の苦悩
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 アメリカ合衆国大統領(2)二つの巨大政治マシン
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 政治腐敗をどう防ぐ

 昨夜はテレーホーダイ時間帯に「どきゅめんと総合掲示板」が接続不良に陥り、その対策に新規の「どきゅめんと掲示板」を急遽設置したりして夜を明かしてしまった。総合掲示板は過去ログが無制限使用とあって重宝していたが、それだけ関連機器に負担がかかっているのかも知れない。
 ここ数日、明け方に肌寒い日がつづいている。夏の盛りには毛布一枚だったのが二枚になり、今ではそれでも寒くなってきている。これまで外で寝ていた黒猫軍団たちも、さすがに寒いのか今は家の中でちゃっかり寝起きしている。そして日中の暖かくなった頃に、また外出するという生活パターンがつづく。これからさらに寒くなれば、彼らはコタツの中に入り浸りになることだろう。そのたびに子猫が私の足に爪を立ててじゃらける様子が目に浮かぶようだ。今日はカツオの太い骨をガリガリ齧っていたが、私の遺体も骨ごと喰われて消滅してしまうのではないか、という野性の逞しさを想像してしまった。火葬場で焼かれるより、その方がいいかも知れない。
 私といえば玉子に納豆のワンパターンの餌で我慢を強いられている。安い玄米は籾殻が残っていたりして食べづらいが、何よりトイレに入ったときに玄米の効力を知らされている。ウンチが太く固いのである。白米ではこういう立派な大便とはならない。牛乳やパンなどを常食すれば分かるが、柔らかくドロドロした排泄物にしかならない。終戦後に進駐軍のウンチを研究してそのことに気付いた日本人先駆者がいたらしい。名前は忘れたが、学者ではなくかなりの変人とされていた一般人だったと記憶している。私はこういう人にこそノーベル賞を授与させてあげたいくらいだ。原爆開発に寄与した科学者に与えるよりはマシだろう。今度は玄米にヒエやアワなど雑穀を混ぜてみようと思っている。こんなウンチの話をすると顔をしかめる人もいるだろうが、生活排水よりは自然に分解しやすい点で、人間の排泄物は決して汚いものではないと思う。汚いはきれい、きれいは汚い・・・そんな逆説も真なり、ということが科学的にも証明されてきているようだ。
 黒猫軍団たちが籠の中で寝息を立てている。今は静かだが・・・夜中でも目覚めたら最後、彼らは松の廊下を朝まで暴走しつづけることになる。

2000/09/26、火曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 お年寄り寝たきり防止
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう こころがザワザワするんです
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション ▽世界へ挑戦ニッポン製OS・トロンとは?
22:00 23:00 NHK総合 NHKニュース10 車の排気ガスは環境ホルモン?
22:54 23:50 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 ▽検証あっせん利得法▽南北国防相
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 陪審裁判復活の是非

 寝入りばな、黒猫軍団たちが家中を駆け巡っている。かつての悪友が松の廊下と名付けたところの長くて狭い廊下を、子猫たちが眼にも止まらぬ速さで駆け抜けていく。その悪友もすでにビルから転落して死んでしまったが・・・彼が縁側に腰を下ろしながらお茶を飲んでいた光景を思い出す。そのお茶は酔い覚ましの薬であることが多かった。彼と私のコンビは、繁華街の飲み屋を梯子して渡り歩く飲み仲間でもあった。喧嘩ばかりしていた記憶がある。ゆえに世間からはチンピラとして疎まれていた。彼の兄は地元のウラ社会で無法松と呼ばれ、畏れられていた。そんな兄の影響からか、夜の街を肩で風を切って歩いているようなところがあった。彼のトラブルは家庭内まで及び、奥さんが私に何とかしてくれと頼んでくることもあった。つまり彼は私以外の誰の話も聞こうとしない、私に説得してほしいと言うのだ。彼は私と顔を合わせるたびに「飲もう!」と言うのが口癖であり、挨拶にもなっていた。
 いつもは元気のいい彼も、時として涙を見せることもあった。それも顔をくしゃくしゃにして泣くのである。何もかもが派手だった。そしてその死に方も酔ってビルから転落死するという派手さで、彼の人生は幕を降ろした。世間は「バカがひとり死んだ」と嘲笑した。私は笑えなかった・・・何故ならコンビであった私もバカの片割れであったからだ。バカがひとり死んで、もうひとりの私というバカがまだ生きている。黒い野良猫と一緒に暮らす変なオヤジがお化け屋敷に住んでいる・・・そんな噂が立っていると御丁寧に報告してくれる近所の奥さんを含め、体裁ばかりの世間に感謝する日々である。なぁ、悪友よ・・・体裁ぶった奴らが常識かざして何言おうとかまうもんか・・・少なくとも俺達は人の優劣を識別するような色メガネはかけていなかったはずだ。ただひとつ、そのバカを言うなら壁を避けずにぶち当たってきたことだけだ。
 深夜、松の廊下を駆け巡る黒い野良猫たち・・・彼らの足音が軽妙なリズムとなって私の眠りを誘う。夢の中まで響け、黒猫軍団の宇宙を駆け巡る足音よ。

2000/09/25、月曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 お年寄りの孤独感
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう ▽不思議アート▽人間独特のかお
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション ▽大ヒットこの携帯電話を開発、松永真理さん
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 大船撮影所わが母校
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 政治腐敗をどう防ぐ

 今日という日は二度と戻ることはない、当たり前のことだが、時として人は平凡にあってそれが永遠につづくかのような錯覚に陥るようである。末期癌の残り少ない日々を送っていた頃の母は「朝起きると『ああ、今日も生きている』とホッとするんだよ」と言っていた。そういう意味で時間は残酷ですらある。まして末期癌を宣告された母にとっては、まるで死刑を宣告された囚人のような追い詰められた心境に陥っていたのではなかったか・・・あと何日生きていられるのか?会社の経営者として、人間として、残された日々に何を成すべきかを模索しながら、母のその覚悟のほどを私は今になって実感している。死にゆく覚悟は覚悟して生きることだと、母は教えてくれたような気がしてならない。
 私はそのことを何度も反復しながら考えつづけてきた。できない覚悟に悶々とする自分への自己嫌悪のまま、歳月は追い打ちをかけるように最後通告を突きつけてくるようだ。突然足に激痛が走り動かせなくなるという持病に、いつやってきてもおかしくはない死神の影に怯えている。死神に「もう時間ですよ」と言われて「はい、そうですか」と覚悟して返答できない自分のもどかしさがやるせない。「ちょっと待ってくれ」と死神を待たせながら、さしずめホームページの日誌にお別れの言葉を書くことぐらいしか思い浮かばない。「みなさん、私はここで永遠の別れを告げなければならなくなりました。いま私の傍らには『早くしろ』とせっついている死神がいます」とかなんとか書くしかない自分を想像してしまう。やがて、いつまでたっても覚悟しない私に死神が苛立ち、ついに死神の応援を頼む。増援された死神に私は拘束され「これは違法だ!弁護士を呼んでくれ!」などと絶叫する。
 『ああ、今日も生きている』・・・はずの母もとっくに死んでしまったが、その母に死んではほしくなかった私がまだ生きている。「オレだってこんなことはしたくないけど、仕事だから仕方がないんだ」とは死神・・・それもそうだね、よく分かるよ。上司の閻魔大王なんか厳しいんだろ?・・・「うん、誤魔化しがきかないからね」・・・死神さんも大変だなぁ、同情するよ。私の我がままで随分困らせちゃったね・・・「いや、こっちこそ急がせて悪かった。そのまま日誌書いてていいよ」・・・悪いなぁ、お礼に御馳走させてよ。時には酒でも飲んでストレス解消しなくちゃ・・・「オレ嬉しいよ。閻魔には適当に報告しておくからね。あんたの過去帳抹消できれば死ななくて済むんだけど、管理厳しいからね」・・・いや、いや、そこまでやってもらっちゃ悪いよ。とにかく今夜は仕事のことなんか忘れてパア〜ッといきましょう・・・とかなんとか。

2000/09/24、日曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
21:00 21:50 NHK総合 NHKスペシャル 援助コンボイが走る・飢餓と内戦のスーダン
23:00 23:30 テレビ朝日 宇宙船地球号 地球温暖化で海に沈む島ベンガル湾をサイクロンが襲う
23:30 24:00 TBSテレビ 世界遺産 西欧最古の知の殿堂・ザンクトガレン修道院
25:25 26:20 日本テレビ ドキュメント'00 ニッポンの介護

 大人にこそ童話が必要だ。その童話は子供用にはつくられてはいない、大人のための童話だ。全世界に散らばる地雷の半数は我が社の製造したものだと、誇らしげに語るある社長の物語・・・彼はいつものように高級レストランでの食事に出かける。部屋はむろん豪華な特別室だ。この日は朝から靄が立ち込める不気味な日であった。それは見えないものが見えてくるような、聞こえない声が聞こえてくるような、何処からともなく幻影が現れそうな霊気が漂っていた。部屋に入ってからも、その霊気のような靄がいっそう濃厚に立ち込めている・・・どうしたことか?奇妙にもテーブルにはすでに料理が運ばれていた。しかもボーイも誰もいない。しかたなく彼は椅子に腰をおろし、テーブルの料理を見ようとした。だが、靄がかかってよく見えない・・・ふっと、風が吹いた瞬間、彼は思わず椅子から転げ落ちそうになった。靄が吹き払われたテーブルには人間の手足が血だらけで置かれていたのだ。『さあ、ご馳走を食べなさい』という声が響き渡った。彼は驚きのあまり声も失っていた。『今日は特別にあなたの仕事に見合った料理を用意したのですよ』・・・それは世界各地の地雷で吹き飛ばされた人々の手足だった。奪われた手足は、奪った者の所有物であり、報酬でもあるのだ。『お仕事ご苦労さま。この料理は全てあなたのものです。一生懸命仕事に精出してくれたので、料理はまだまだ続きますよ』・・・それが悪夢でも何でもない現実であることの恐怖が、やがて彼を発狂させる。『あなたはやっと正気に戻りましたね』その声に応えて微笑む主人公・・・大人の童話に遠慮はいりません。どうかゆっくり味わって召し上がれ。

2000/09/23、土曜
秋分の日
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:28 テレビ朝日 ザ・スクープ なぜ続くのか医療事故録音テープが告発するものは?
20:00 20:45 NHK教育 未来への教室 探検家コンチキ号のヘイエルダール(2)無人島のサバイバル
21:30 22:00 NHK教育 21世紀ビジネス塾 「中小製造業・技術をいかす戦略」
22:00 23:00 NHK教育 土曜プレミアム 哲人テーマパーク・サルトル
23:30 24:15 NHK教育 サイエンスアイ 「事故から一年・東海村臨界事故五円玉で放射能推定

 立花隆氏はその著書「エコロジー的思考のすすめ」の中で、「自然の生態系においては無用なものは何ひとつない。全てが生かされている。しかも効率よく生かされている」と述べている。しかし、その何ひとつとして無用なものがない自然で、人間は手を加えながらプラスチックなど化学物質を作り出してしまった。これは人間にとって便利なようであっても、自然界においてはすこぶる生態系を阻害するものとなる。つまり自然界では生と死の繰り返しにおいて生まれたモノはいずれは消滅するのであるが、人間が作り出したプラスチックなどは腐ることもなくそのまま残ってしまう。死んだ野鳥の胃袋から大量のプラスチックが発見されるに及んでも、人類はプラスチックをつくることをやめない。自然は人間なしでもやっていけるのに対し、人間は自然なしでは生きられないということを忘れているかのようだ。立花氏は人間をおろかな寄生虫だとして「病気は寄生者のおごりによる失敗だ。宿主を殺して自分も死ぬようなものである」と、自然を宿主に例えながら、その自然を破壊して自滅しかねない人間に警鐘を鳴らす。まして壊滅的な破壊をもたらす核兵器を手にした人類は、まさに自然にとっては最悪の寄生虫でしかなくなる。自然はそのままで奇跡であり、北海道の斉藤牧場にみられるような奇跡を絶えず起こしている。謙虚に自然と向きあって学ばない限り、人は自然という宿主からいずれしっぺ返しを受けるに違いない。

2000/09/22、金曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
18:50 18:20 NHK教育 なんでも実験 古代の“魔鏡”?青銅鏡のひみつ
19:30 20:00 NHK教育 きらっといきる 「ぴーぷるぴーぷる大集合!」
22:00 22:45 NHK教育 地球時間 ヒトラーの側近たち2(1)アイヒマン
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 難解な教育改革提言
23:00 24:10 NHK教育 金曜フォーラム 「国勢調査データで21世紀を考える」
25:45 28:45 テレビ朝日 朝まで生テレビ 「激論今、女の時代か!?男と女のホンネ大論争!!」

 12歳の少年クレイグがインドの児童労働の実態を知って抗議、やがて全世界の人々が共感して改善されてゆく・・・そんな夢のようなことがアンビリバボーの番組で紹介されていた。前代未聞の子どもたちの記者会見が開かれる。「僕は彼らにたずねました。何が楽しいの?何がしたいの?彼らは絶望的な貧困の中で生きているけれど、いつか学校に行きたいと夢みているんです。子どもたちは拘束され、強制的に働かされています。家族と引き離され、鎖でつながれて・・カナダの首相に会って欲しいとお願いしましたが、予定がいっぱいで無理だと言われました。首相はこの問題を取り上げるべきです。それがカナダ人としての責任でもあるのです」・・・最初はとりあわなかったカナダ首相も、騒ぎが大きくなるにつれ拒むことも出来なくなっていた。そして、クレイグ少年とカナダ首相クレティエン氏の15分だけの会談が実現する。そこで首相はクレイグ少年の言う「南アジア政府との会談で児童労働の問題を提議する」という要望を約束する。やがてカナダ政府は児童労働撲滅国際計画に75万ドルを提供、集まった寄付で南アジアに100以上の学校がつくられていく。現在17歳になったクレイグは語る。「働かされている子どもたちが僕に強さと勇気を与えてくれました。だからあきらめずに頑張れたんです。本当のヒーローは彼らだと思います」
 日本でも、子ども国会なる試みがなされたが、その後、町に出て市民に訴えてきた子どもたちのグループがある。地雷で吹き飛ばされている子どもたちのことや、政治のあり方などをそれぞれに訴えている。しかし大人たちの反応は冷たく、それでも悔し涙を流しながら語る子どもたち・・・互いに慰め元気付ける子どもたちの姿に、少ないけれど心動かされて応援する大人たちも出てきているようだ。なにを生意気な、子どものくせに・・・大人を説教しようと言うのか?と、大人の冷たい視線に子どもたちは畏怖しながらも、決して間違ってはいない主張に自ら奮起する。多くの大人たちは間違っていると分かっていることでも黙ってしまう・・・何をしても無駄だと決めてかかり諦めている。それでいいのか?と自問自答するとき、誰が子どもたちの主張に反論し得ようか・・・むしろ恥ずかしいことではないのか。老獪な政治家たちの席を一掃して、そこへ彼ら子どもたちを座らせたいくらいだ。子どもだと侮ってはならない。子どもの心は何も描かれていない白い無地のキャンバスのようだ。時に汚れた大人社会そのまま写し鏡のように非行と打算に走ってしまう少年もいるだろうが、素朴な疑問から理想の世界を描こうとする子どもたちもいることは確かなのだ。教育とはそんな子どもの心を慈しみ育てることではなかったのか。

2000/09/21、木曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 お年寄りに多いめまい
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 日韓盲人マラソン▽ロープが結ぶ心
19:58 20:54 日本テレビ 週刊ストーリーランド 「心の涙…純な感動」
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 「老いをどう生きるか」養老孟司の覚悟とは
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 懸案山積の臨時国会

 昆虫学者の養老孟司氏は「死ぬことも自然の掟であり、いずれは人は死ぬのであれば、それを受け入れる覚悟が必要だ」という。ところが人間社会の掟は自然に反するあまり死ですら管理しようとする。避けられないものは覚悟するしかないのに、現代の人々は何とかしようとして無駄な足掻きを繰り返している。元来管理できないものを危機というが、その危機すら管理しようとするのが現代社会だと・・・お金持ちは他人より長生きするためにカネを使うなど危機管理という無駄なことをするが、カネのない貧乏人は心を決めて覚悟するしかない。しかし、実はその覚悟がもっとも自然にかなったことなのだ。死は人生の総決算だ。ならば残された人生は自分にとって最も大事だと思うことに使うべきであろう。つまり養老氏は「人間死ぬときはどんなことをしても死ぬ。ジタバタせずに覚悟するしかない。それが自然であり、死を自然に受け入れる覚悟があればいい」と明快に言い切るのである。しかしながら死を前にして覚悟できる者などそうザラにはいないとも思えてくる。たとえ死を覚悟しても、今度は病院の延命治療でなかなか死なせてくれないかも知れない。スパゲティのように何本もの管を体に通されながら「苦しいから死なせてくれ!」と叫んでいる自分・・・これは悪夢の最たるものだ。養老氏のいう覚悟すら現代の管理社会ではままならない絶望が見えてくる。それだけ今の社会は覚悟できる環境にないということになる。それなら私はわがままな患者になって、美人でやさしい看護婦を何度もベルで呼び出し「また仮病使ったのね。ここではわがままは通らないのよ」なんて叱られていたほうがいい。

2000/09/20、水曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 脳が原因のめまい
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 夫婦で挑む日韓盲人マラソン
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 老いをどう生きるか衰えても山へ田部井淳子
23:00 23:10 NHK総合 あすを読む 雪印と品質への信頼

 思春期の頃の日記は反省の繰り返しで終わることが多かった。冒頭に今年の抱負を夢いっぱい膨らませて書きながら、その願望が果たせなかったことの失意と反省をもって一年間の日記を閉じる。今度こそ、今日こそ、今年こそはと、そのたびに自分の夢を膨らませながらも、そう甘くはない現実と自分の意志薄弱を思い知る。そんな自己嫌悪を抱きながらも、青春の頃はまだ先につづく時間という道があった。それは平凡な日々における心の葛藤でもあったのだが、同時に衣食住が親の元で保護されていた中での小さな悩みの範疇に留まっていた。そうした平凡な悩みを懐かしく振り返る頃には、もはや両親も他界してしまっている。それでも毎年季節は春夏秋冬巡り巡ってやってくる。杜甫はそんな巡り来る季節の中で、いつ帰れるとも知れない故郷を偲んで詩を書いている。「河は碧、鳥はいよいよ白く。山は青、花は燃えんと欲す。今春、看のあたりまた過ぐ。いずれの日か、是れ帰る年ぞ」・・・私にとってもはや故郷は思い出での中でしかない。この世の門出に戻るようにして、人は老いながらも、実際には子どものような無垢な心に近づきながら死んでいくのかも知れない。この人生という日記は百年も続くことはないだろうが、人は季節に溶け込むことで永久に生きつづけていけるような・・・そんな夢を信じていたいと思う。

2000/09/19、火曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 耳が原因のめまい
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 引きこもり・自立への道を探して
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション ドイツの万国博覧会がピンチ
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 「米大統領選終盤へ」

 荒れ狂う大海原の木っ端のような小さな難破船・・・いま日本の底無し不景気に喘ぐ多くの中小企業や商店主はそのような心細い思いに囚われているのではないだろうか・・・「先のことを考えると夜も眠れない」と事業主がつぶやくとき、それは何とか細々ながらもやっている現実そのものの悪夢を意味している。ここで何度も書いてきた自殺した同級生の事業主は、これまでの態度を豹変して突然融資を停止した地方銀行に起因する。そうした銀行はいま多額の不良債権を抱えながら、国民の公的資金で生き長らえようとしている。だが、経営悪化に陥る銀行に余裕はなく、貸し渋りはつづいている。ためにやむなく高利のサラ金に手を出して、最後には夜逃げを余儀なくされる例が続出している。こうした悲惨な状況も長くつづくと、人々も慣れ、歳月がさらに人をして無関心にさせていくようだ。つい去年の出来事なのに、同級生の自殺など無かったかのように・・・だが、私は忘れない、死ぬ一週間前に聞いた彼の元気な声を・・・それがどうしたというのだ?と言わんばかりの周囲の無関心が辛くなる。
 アレクシェービッチ女史の言葉を思い出す。「テレビをつけるとニュースで映し出される焼け焦げた死体、他人事のようにコメントするリポーター・・・戦争というものがまるでゲームのように画面に映し出されていた・・・こういうものが何でもなかったようにお茶を飲み、夕食を食べ、好きな本を読んでアルバムを見る。こうしている間にも子どもたちの手や足がもぎ取られ、眼が潰されたりしているのに・・・私たち一人一人が加害者になっていると感じざるを得ません。こういうことを目にして気が狂わないでいられる私たちは、つまり、このゲームを受け入れているのと同じです。私の作家としての役目は、一人一人がこんなことを受け入れず、対抗する力を持てるように少しでも力を貸してあげることではないかと思います。人間が人間としての怒りを捨ててしまわないように、人間としての感性をなくさないように」・・・いま日本も同じこと、経済戦争の真っ只中にある。砲弾で命こそ吹き飛ばされることはないが、カネという非情な砲弾が飛び交いながら人々の心を吹き飛ばしている。心を失っても人が生きていられる異常に気付かない、そのことの危険を感じざるを得ない。

2000/09/18、月曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 解決・めまいの不安
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 引きこもり・若者と両親10年の軌跡
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 老いをどう生きるか
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション 孤立への不安…渡辺宜嗣の御蔵島体験報告

 また会社に大きな波が押し寄せている。その責任を負うのが自分の役目であり、絶えず全責任を負う覚悟だけはしてきたつもりだ。泥をかぶると言ったほうが分かりやすい。トラブルの元となった張本人は平然としている場合が多い。こういう場面では誰も責任を取りたがらない。かつて私が現場で転落して怪我をした時にも、その原因は別のところにあった。何よりミスを犯した本人が承知しているはずである。そのことで私は一度も人を責めたことはない。しかし・・・最近では責任回避のあまりに多い場面に出くわすようになった。自分が犯したミスも他人のせいにしながら、なぜ平気でいられるのか不思議でならない。経営者にもそんな人物がいる。厚顔無恥というやつである。自己弁護に終始しながら、けっこう世渡りがうまかったりする。父のことを思い出す。現場での爆発事故で死人を出してしまった当時、現場監督だった父が全責任を負ったことがあった。会社はその責任の全てを父に負わせ、あげくは補償金の支払いまで迫ったらしい。そのことが分かったのは父が自分で会社を興して、そして故人となった時だった。会社を継いだ母が帳簿の使途不明金に気付いたのだった。父は延々とその補償金を支払っていた形跡があったのだが、そのことを母は死ぬまで悔しがっていた。つまり父はそのことを家族にも言わずに、黙って墓場まで秘密を持っていってしまったことになる。すでに父も母も死んでしまったが、母の悔しさと父の責任感とが交差して思い出されてくる。金儲けのうまいばかりが経営者の資質ではないのだと・・・そんな父の声がするようだ。

2000/09/17、日曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:24 TBSテレビ 報道特集 しのび寄る奇病感染ルート追跡シックハウスと闘う家族
21:00 21:54 日本テレビ 知ってるつもり!? 愛と涙の天才ピアニスト!!フジ子・ヘミング
23:30 24:00 TBSテレビ 世界遺産 風土が生んだ傑作・フィリピンバロック教会
23:54 24:24 テレビ朝日 宇宙船地球号 菜の花で車が走る!21世紀のエネルギー
24:25 24:55 日本テレビ ドキュメント'00 マンガで届けノーモア地雷目前で爆発

 新築の家に移り住んでから始まったというシックハウス、ハムスターが泡を吹いて死に、家族が呼吸困難におちいる・・・報道特集の「シックハウスと闘う家族」では想像を絶するシックハウスの実態を放映していた。その患者数は日本全国で百万人を越えるのではないかと言われている。さらに問題なのは、そのために子どもたちが学校で差別化され、いじめの対象となってしまうことだ。番組ではそんな都会から逃げるようにして北海道に移り住む家族を追っていく。しかし、飛行機のシートにさえ反応して呼吸困難になりながら、やっと移り住んだ北海道でも前の居住者の壁に染み付いた化粧の匂いにも反応して体調を崩してしまう。いったい彼らは何処に行けばいいのだろう?シックハウスの深刻さと、政府機関の対応の遅れと、問題意識の欠落という環境の悪さがさらに病状悪化に拍車をかける。化学物質への過剰反応は現代社会の化学物質にまみれた未来からの警告でもあるかのようだ。自然からの警鐘と言ってもいいだろう。彼らが北海道の大自然に接した瞬間に、みるみるうちに皮膚がうるおい、風が空気が「うまい!」と叫んだ時にこそ奇跡は起きている。現代の居住環境がもはや人間の命を脅かす存在となったとすれば、人は一刻も早くそこを離れて大自然の中へと逃げるしかない。

2000/09/16、土曜
台風17号接近中
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:28 テレビ朝日 ザ・スクープ 街角の放射能がキバをむく時、タイ被ばく事故
20:00 20:45 NHK教育 未来への教室 探検家ヘイエルダール(1)体験コンチキ号の航海
23:30 24:15 NHK教育 サイエンスアイ 「噴火の予知はどこまでできるか」防災最前線

 今年二月、タイでの放射能被ばく事故は、放置された医療用コバルト60の容器をスラム街の住民が解体したために起こった。コバルト60といえば、東海村被ばく事故でBBCが事故現場と間違えて空撮したのがコバルト60の建て屋だった。このコバルト60は医療用としても最も危険度の高い放射性物質だといわれている。タイでの被ばく事故は下半身の皮膚が焼け焦げて剥がれるといった悲惨な症状を呈した者もいる。いずれ切断をするしかないのではないか・・・出所のカモン・スコンソン本社では「捨てたのではなく置いておいただけだ。盗みを働くような者を補償するつもりはない」としている。事故の推移からして、放置したのではなく廃棄処分に困って捨てようとした形跡がある。被ばく者の証言よれば、駐車場で安く譲り受けたことになっている。いずれにせよ会社の「置いておいただけ」でないことは確かなようだ。同じような被ばく事故がブラジルでも起こったことがあった。闇に光るのが面白いと肌に塗って見せていた者もいたらしいが、被ばく者は全て死んでしまっただろう。
 アレクシェービッチ女史の言葉を思い出す。「私は思いました。チェルノブイリは苛酷な境界線だ、と・・・まったく違うもう一つの世界を分ける境界線・・・そこでは悪はまったく別の顔をしている。匂いもなく、姿も見えず、音も出さない殺人者、そこでは遠くの出来事とか、近くの出来事とか、身内か他人とかまったく意味はなくなってしまいます」
 東海村での被ばく事故も、その後に皮膚が黒ずんできたなどの異常を訴える住民が出てきている。にもかかわらず中曽根科技庁長官は早々と終結宣言を出して平然としてきた。国民の命をかえりみない、という権力者の魔性がここでも見えてくる。タイのスラム街に住む人々についてNGOのアイダさんは言う。「貧しい人々はひどいことをされても訴える方法や権利という言葉すら知りません。国や企業にとって彼らは使い捨ての物といっしょです。この悪循環がある限り、被害を受けるのは現場の人たちなんです」

2000/09/15、金曜
敬老の日&シドニー・オリンピック開会式
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:00 20:54 フジテレビ 大健康しらばか! 家族の命を守れ!!
19:30 20:00 NHK教育 きらっといきる 「ただいま映画製作中」
21:00 21:45 NHK総合 世界の宝がやってきた ▽四大文明展の舞台裏
22:00 22:45 NHK教育 地球時間 絶望のふちで・ボスニア大虐殺の記録[後]
23:00 24:10 NHK教育 金曜フォーラム 「食生活習慣を考える」

 英国BBC製作「絶望のふちで・ボスニア大虐殺の記録」では、セルビア兵による虐殺現場での遺体がこれでもかと映し出されていた。その調査にあたる国連関係者は口癖のように「正義の為に」を連発しながら、「我々の調査はセルビア軍による犯罪を立証させるために徹底して行われる」と付け加える。確かに虐殺の実行犯を特定する作業は大事かも知れない。しかしそれが「正義の為に」と言い切ってしまうところが何とも偽善たらしくなってしまう。それを正義と呼ぶなら、憎むべきセルビア軍の拠点を空爆するのも正義だったし、誤爆(?)で巻き添えをくって死んでいった民間人もまた「正義の為に」は仕方のなかったことだと言いたいのだろう。全ては「正義の為に」許されてしまうほどの、この大いなる偽善ゆえに、人類はまた性懲りもなく戦争を始めるに違いないのだ。まだ本格的な戦争に至らなかったユーゴ内戦の時期にも、ユーゴはこれら大いなる偽善に覆われていた。
 過去の大戦を反省して平和思考が浸透しているドイツにおいても「正義の為」のユーゴへの武器輸出はNATO(北大西洋条約機構)主導で行われていた。ロシアもセルビア軍にせっせと兵器を送りながら、彼らは別の場所から敵対する双方にミサイルを撃ち込み続けていた可能性が指摘されている。他の国々もこの戦争ビジネスを見逃さなかった。チリ国営兵器会社FAMAはクロアチアに、チェコとオーストリアはパナマ経由で、そしてイタリアの黒幕たちも巧妙に・・・大量の兵器をユーゴに送りつづけていた。そして1993年、「正義の為に」活動しているはずの国連のトラックから密輸武器が発見されることになる・・・国連の「大いなる偽善」が発見された瞬間でもあった。
 憎むべきセルビア軍の戦争犯罪を裁く側の面々には、こうした「正義の大いなる偽善」という仮面が被されている。彼らは自らの仮面から滴り落ちる真っ赤な嘘という血を拭い隠しながら、その血をセルビア軍に塗りつけては平然として戦争を裁いているのだ。戦争とは硝煙の匂う現場の悲惨にだけあるのではない。いまも世界の各地で人々の足を、命を吹き飛ばしている地雷を送った国の・・・その指導者とメーカーなどに関連する欺瞞の血の連綿こそ裁かれるべきなんだ。

2000/09/14、木曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:35 20:00 NHK総合 クローズアップ現代 車いす社長奮闘す!常識への挑戦
19:53 20:54 フジテレビ アンビリバボー 南海の孤島に沈む謎の海底都市発見!!
21:15 22:00 NHK総合 にんげんドキュメント 「さよならレザン」盲導犬とテノール歌手の別れ
23:06 23:37 日本テレビ ニュース出来事 ストーカー少年が供述“後悔はしていない”

 今年2月29日の日誌に春山満氏のことを書いたが、今夜はNHK総合の「クローズアップ現代」に彼が紹介されていた。とりあえず日誌に書いたものを「車椅子社長、春山氏の挑戦」としてまとめてみた。くじけそうになった時など、彼の奮戦ぶりを思い出しては何度か自分を奮い立たせてきた。彼は人を元気にさせてくれる。今夜の番組では介護について春山氏らしい忌憚のない意見を述べていた。以下、要約抜粋・・・

「今日も老人ホームで、今日も老人医療の機関で、実はみんな遠慮しながらサービスを受けている。トラブルが起こると処遇が悪くなるんじゃないのか?ここで争いごとを起こせば、ここを出ろと言われたら行く場所がなくなる・・・と、こうやってみんなお客様である患者と御家族が、実は暗黙の強迫観念を感じている。これにアグラをかいて、医療と福祉は提供する側の論理ばかりでまかり通ってきた。これは、求められていながら提供されない商品があるということでもある。このことの疑問が私を閃きを与えてくれた。『オレは難病になって失ったものも大きいが、とんでもないビジネスチャンスを得たぞ』と、それじゃオレは究極のお客様サイドに立ったサービスを提供してやろうと・・・そうやって14年間、走ってまいりました」

 春山氏の「患者と御家族が、実は暗黙の強迫観念を感じている」という指摘は前日の日誌、非加熱製剤によるエイズ問題にも当てはまる。まさに彼らは被害者でありながらも「遠慮しながら」、そして医師との「トラブルが起こると処遇が悪くなるんじゃないのか?」という「暗黙の強迫観念」に怯えてきたのである。「エイズと知られると他の患者が来なくなるから」という理由だけで、本人が薬を取りに行くことさえ拒否されてきたことの屈辱感・・・それらを春山氏は見事に指摘している。介護されることへの遠慮はいらない、堂々と介護されてしかるべき患者と、決して奢ることのない医療制度のあり方を考えていくうえでも春山氏の奮闘は力強く、そして多くの人々に希望を与えているようだ。

2000/09/13、水曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 乳がんを早く見つける
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 妻を亡くして▽天気博士・倉島厚
22:00 23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽旧日本軍化学兵器の処理始まる
22:54 23:25 日本テレビ ニュース出来事 視聴覚二重障害の少年が夏休みに体験した事
22:54 23:50 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 特集サッカー南ア戦直前、五輪とお金
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 薬害で問われたこと

■ 薬害エイズ、安部帝京大元副学長の公判が結審
 薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた帝京大元副学長・安部英(たけし)被告(84)の公判が13日夕、東京地裁(永井敏雄裁判長)で結審した。弁護側の最終弁論は午後も続き、弁護側は「すみやかに無罪の判決を下され、一刻も早く安部被告の名誉を回復してほしい」と最終弁論を締めくくった。検察側は禁固3年を求刑しており、判決は来年3月28日に言い渡される。
 最終弁論は午後4時すぎに終わった。最後の意見陳述で安部元副学長は「弁護士の先生方からいろいろと話をうけたまわり、私もまったくその通りだと思う。何も申し上げることはございません。大変ありがとうございました」と語った。
 鈴木利広弁護士は「50年間血友病治療に尽くして来たというのなら、最終弁論で医師として道義的責任を感じ、謝るという選択肢もあったはずだ」と話した。 また、東京HIV訴訟の元原告、川田龍平さんの母親悦子さん(51)は「なぜ1人だけ責任をとらされるのかと、居直った弁論だった。公判では何よりも真実を述べてほしかった」と語った。

 なにが「阿部被告の名誉回復」なのだろう・・・まったく理解に苦しむ。血友病患者へのエイズ感染が発覚した当時にも、安部被告は「そんなに心配しなくていいエイズです」と説明会で述べている。これで皆安心してしまったわけだが、実際には心配しなくてもいいエイズなどあるわけがない。しかも安部被告は別の場所では「1983年6月にはエイズが危険なことは理解していた」との見解を述べているのだ。ある患者は「エイズであることが他の患者に分かると困るから」と言われて、本人ではない家族に頼んで病院に薬を取りに行ってもらっていたという。多くの患者は告知さえされず、発症予防もできなかったため、その配偶者にまで感染が及んでしまった例もあった。当然のことながら、こうした中で医師たちの間には安全な薬に替えようとする動きも出てきた。しかし安部被告はそうした動きを封殺しようと画策する。彼の手帳には、安全な薬に戻そうとする医師たちの名前を列記されて「この医師たちには悩まされる。だが、そうはいかないぞ。患者会を指導しよう」と書かれていることも明らかになった。医師本来の患者を治療するという仕事が、ここでは事実を隠して患者を見殺しにするという傍観者になってしまっている。結果的にそれは黙殺していた時間と共に感染は拡大し、多くの被害者を出してしまったことで犯罪的な意味合いが濃くなってくる。これをもってして安部被告に名誉回復を訴える資格がどこにあるというのだろうか?

2000/09/12、火曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 前立せんがん新治療法
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 病からの復活▽映画監督・大島渚
19:54 20:48 テレビ朝日 たけしの万物創世紀 火山列島日本」 大地震は来るのか!?
21:15 22:00 NHK総合 プロジェクトX 海底3000メートル大捜索H2ロケットエンジンを探せ
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 変わる在日コリアン(2)民族系金融機関の戦後史
22:54 23:25 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 彼らは不法入国なのか中国残留孤児の家族
22:54 23:25 日本テレビ ニュース出来事 少年院の中でいま何が(1)罪を犯した少年の心
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 少年法厳罰化の是非

 中国で養子縁組をした中国残留孤児の日本人女性門間和江さん(56)が、その養子・汪麗霞さん(36)夫婦と共に日本に帰国、数年を経てそれが突然違法とする入国管理局に抗議している。この養子縁組は19年前に中国公正証書にも記録され、日本でも在留資格が認められての日本入国だった。それを管理局は、在留資格は日本人の血がつながる者にしか適用されない、と言い出したのだ。不法入国のため日本から退去するよう汪麗霞さん夫婦に迫ってきたのである。すでに汪さん夫婦の息子・健雄くんは日本の中学校で学んでおり、このまま中国に強制送還されれば中国の学校教育に付いていけないことは明らかだ。いったん在留を認めておきながら、日本の生活に馴染んだ今になって退去を命ずる入国管理局の強引なやり方は問題であろう。大阪入国管理局の森園次長は「在留特別許可は法務大臣が特例で認める滞在許可であって、いずれにせよ退去命令が出ればどんな理由があってもすぐお帰り頂かねばならない」と言う。それでは違法である(らしい)在留許可を与えてしまった入国管理局のミスはどうなるのか?強制送還されるかも知れない健雄くんが、中国にも日本にも適応できなくなってしまう、そのことの責任は問えないのか?人間としてごく当たり前の生活すらできなくするほどの権限が入国管理局にあるとでも言いたいのだろうか・・・彼らが何の罪を犯したというのか・・・人間としてやりきれない思いになる。身寄りのない門間さんを、中国の病院で身内同然に世話をしてくれた汪麗霞さんへの感謝が養子縁組となった。帰国して日本でささやかな生活をつづけている最中の出来事であったと、これでは汪さんにすまないと門間さんは号泣する。【参考・筑紫哲也NEWS23「彼らは不法入国なのか、中国残留孤児の家族」】

2000/09/11、月曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 前立せんがん早期発見
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 沖縄の喜劇の女王その元気の秘けつ
20:00 20:45 NHK総合 生きもの地球紀行 オーストラリア華麗なインコ・子育ては土の塔
21:00 21:54 日本テレビ スーパーテレビ 実録!交通警察24時首都高…夏の事件簿
22:54 23:25 日本テレビ ニュース出来事 ブレーキが利かない!クレーム隠し新疑惑
22:54 23:25 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 もう忘れたいあなたへ“戦争童話集沖縄編”
23:30 24:40 フジテレビ LIVE2000ニュースJAPAN マイカラーで偽造防止
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 「コメ余り深刻化へ」

 クロがついに家に寄り付かなくなった。おそらく誰かに脅かされたのが原因だと思われる。すでに周辺では保健所で駆除云々の苦情も聞こえてきている。一般庶民にとって野良猫など邪魔でしかないのだ。黒猫軍団たちは工場前にいることが多くなった。そこへ大型犬を散歩に連れて通りかかる中年男性がいた。今朝は黒猫軍団を見て唸り声をあげる大型犬を、その飼い主が今にもクロたちに嗾けようとする場面に出くわした。そのでかい犬に噛まれればひとたまりもなく死んでしまうだろう。ちょうど私がクロたちに餌を運んできた時だったので、彼らは引き上げたが、私がいなかったらどうなったか分からない。この世においては全てが危険このうえない野良猫受難の世の中なのかも知れない。野良猫が生きられる環境にないのだ。一匹の子猫が変な咳をしているが、おそらく汚い溜まり水を飲んだせいだろう。来年まで生きられるかどうか・・・心配だ。

2000/09/10、日曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:24 TBSテレビ 報道特集 作家出馬長野知事選▽隠された戦争とメディア
18:30 18:56 テレビ朝日 100人の20世紀 マッカーサー連合国軍最高司令官として敗戦の日本に君臨
18:56 19:56 テレビ朝日 週刊ワイドコロシアム .泥流多発…倒壊・寸断・三宅島▽公設秘書…裏事情
23:10 23:35 NHK総合 新アジア発見 「タイ・アユタヤ川底は宝の山」
23:30 24:00 テレビ朝日 宇宙船地球号 牛が造った不思議な牧場
24:25 24:55 日本テレビ ドキュメント'00 日本ドイツ…運命の出会い家族の風景

斉藤牧場の奇跡
 テレビ朝日系列の番組「宇宙船地球号」は何の変哲もない牧場の風景を映し出していた。自由に放牧された牛たちと、それを牧草地で横になって眺めるひとりの老人・・・そこで牧草地を調査している研究者が首を傾げている。そんなはずはないと、手を加えない自然のまま放置された牧草地は、頭の中の計算では荒れ果てて当然の結果になるはずであった。いま、この牧場では奇跡が起こっているのだ。老人はこともなげに言う。みんな牛たちがやってくれる。自然が全てを解決してくれると・・・そうなんだ、人間もまた自然の一部である以上、自然を教師として、自然から学び自然に委ねることで全てが解決されていくことは至極当然のことではないか。
 してみれば現代はいかに多く人間の手を加えてきたことだろう。人は自然に生かされてきたにもかかわらず、その自然を開発し、そして破壊しつづけてきた。それは今も・・・性懲りもなくつづけられている。大地にコンクリートを流し込み、大地を窒息させたままの現代社会に生きる人間が、やがては自然に反するがゆえの深刻な問題を抱えるのはこれまた当然の結果でもある。自然を窒息させてきた人間が、そのために人間自身が窒息していくのも当たり前だろう。そういう意味で人間は自然の一部だとするのも皮肉なことである。
 若年層による凶悪犯罪の多発に、わけが分からないとする大人たちは、無謀にも刑罰を重くする対処法で解決しようとしている。心が窒息して息切れしている少年たちに気付こうとはしないで、犯罪を犯した手を縛り、罪を犯すであろう心を縛りつけようとしている。それを秩序だとして平然としていられる大人たちの心はすでに仮死状態にあるのではないか。自然のままに放牧された牛を眺める老人のように、子どもたちの心を自然に開放しながら暖かく見守る大人たちの心の視点があってもいいはずだ。足元のコンクリートを剥ぎ取り、そこから窒息寸前の一握りの土くれを取り出すとき・・・その土くれは息を吹き返しながら命の復活を果たすだろう。そのようにして、現代社会に敷き詰められた窒息寸前の心の障壁の剥ぎ取ることで、人々の人間としての存在意義を復活させることも可能ではないのか。

2000/09/09、土曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:28 テレビ朝日 ザ・スクープ ピースボートが見た北朝鮮▽聴取拒否の元工作員ら送還
20:00 20:45 NHK教育 未来への教室 ノーベル賞作家・ショインカ(2)子どもたちと神話劇をつくる
21:00 21:54 TBSテレビ 世界・ふしぎ発見! 「踊る芸能島!沖縄六百年の物語
23:30 24:15 NHK教育 サイエンスアイ 「進化するエコタウン」最先端リサイクル▽環境社会をつくれ

 クロの様子がおかしい。近寄ってきたかと思うと、突然逃げ出したりする異常行動が目立つ。日増しに子猫が一匹いなくなったことを実感しているかのようだ。昨日はとうとう姿を見せず、やっと姿を確認したと思ったら餌も食べずに雑草を齧っていたりする。そしていつもは寄ってくるクロが、突然私から逃げ出していく。残り二匹の小猫は餌を食べにやってくるのだが、母猫クロが外で鳴いて呼ぶと一目散に小猫も外に飛び出してしまう。そして、あの子猫が轢かれた道路沿いの草を齧っているのだ。そこに子猫の遺体が埋葬されているのを知ってしまったようだ。クロはそうして一昼夜、その場所に佇んでいたようだ。そしていま、虫の声がする夜に、クロとその子猫二匹ともども居間で眠っている。やっと安心している私だが、クロはまたあの場所に出て行くだろう。ダンプが轟音を立てて走りすぎる道路沿いに・・・最初から私は野良猫の生存率が低いことは知っていたはずだった。その野良猫の生存率の低さが、人間によるものであることも・・・子猫を舐めているクロを見ながら、ただ生きることだけに生きるひた向きな命の輝きを感じている。
2000/09/08、金曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
18:50 19:20 NHK教育 やってみよう何でも実験 からくり人形を作ろう
22:00 22:45 NHK教育 地球時間 「絶望のふちで・ボスニア大虐殺の記録」[前]
23:00 24:10 NHK教育 金曜フォーラム 「安全・安心、災害に強い道づくり」
23:30 23:55 日本テレビ ニュース出来事 驚異の人工視覚装置…

■ 年金積立金の自主運用に向けて厚生省が検討会発足(22:21)
 国民年金や厚生年金の積立金を来年4月から大蔵省資金運用部を通さずに、厚生省が自主運用を始めるのに向けて、同省は5日、運用の基本指針をつくる検討会を発足させた。公的年金の積立金は1999年度末で144兆円に上る。現在、全額を資金運用部に預け、一部を年金福祉事業団が借り入れて運用しているが、運用収益よりも借入金利が高い期間が長く、一時は赤字が続いていた。これを厚生省が直接運用するように改めるため、株や債券への配分、運用の評価の仕方、情報開示の方法などを論議することにした。
 我々の血税であるところの公的資金を厚生省が自主運営できるようになった、ということであろうが、ここで最も肝心なのが「情報開示の方法」だろう。国民の手を離れた瞬間から、その税金は国民の意思を離れて、国家権力による私物化とされてしまう・・・そのことの危険が、不良債権の穴埋めとして湯水のように投入されてきたことで証明もされてきたはず。最近も不良債権償却申請を出している大企業が、懲りずに政治献金を続行していることが問題になったばかりだ。これほど国民を無視したこともあるまい。泥棒に追い銭とはこのことだ。まして血友病患者へのエイズ問題が示してきたように、国民の命を顧みない厚生省に血税の使い道を委ねるということ自体問題だ。国家予算にしても、また借金の先送りが明らかになったばかり・・・子どもの未来を食い潰しておいて何が国家予算なのだろう。政府含めて選挙権ある国民は、大企業の一連の不祥事に幹部が土下座してきたように、今から子どもたちの前で土下座して謝っておくべきかも知れない。謝ってもどうしようもない子どもたちの借金地獄という未来をつくり出してしまったことの罪は重い。某ニュース番組の解説者が「子どもたちは怒るべきだ」と口走っていたが、これまたマスコミの無責任な体質を感じさせてくれた。情報開示にしろ、原発事故のようにひたすら反省無き事後報告の繰り返しとなる懸念もある。ドロボー政府と成り果てたニッポン国を、さらに海賊国際金融マフィアたちが食い尽くしていく。この悲惨な現状さえ把握しようとしないで利権を喰らうだけの日本指導層に幸いあれ、子どもたちはいつまでも子どもではいない、いずれ彼らに呪われるべき今の国家犯罪をしっかりと見届けておきたい。

2000/09/07、木曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 「大腸がん・新治療法」
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 不良中年ノススメ(4)成毛真
21:15 22:00 NHK総合 にんげんドキュメント ひきこもりからの再出発
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション 和平交渉“エルサレム案内”二千年の時を越えて
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 「世紀を越えてを読む」死の自己決定
23:50 24:00 NHK教育 あすを読む 「再考・政治とカネ」

 工場から車がはみ出している。つまり仕事がそれだけ出てきた、忙しい・・・というわけだが、今月も資金繰りは苦しい。今度の仕事をこなせば来月は少し楽になるだろう。利益の殆どは借金など滞っていた返済に回すので、生活は今までと変わらない貧乏がつづく。これまで貧乏生活に慣れ親しむことを心がけてきたが、やはり生身の人間のところで悲鳴をあげたくなる。宵越しのカネは持たぬ、とばかりに毎夜繁華街を巡っていた頃が懐かしい。酒と喧嘩と恋に明け暮れていた若さで、母を心配性にしてしまったことの反省もある。いい気味だと、今の貧乏を自嘲するのも自業自得・・・ならばあとは覚悟だけだ。その覚悟の踏ん切りがつかないことで悶々としているのだから、どうしようもない。

2000/09/06、水曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 20:00 NHK教育 健康 「大腸がん・早期発見」
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 不良中年ノススメ(3)独立したい
19:35 20:00 NHK総合 クローズアップ現代 消毒薬が効かない・謎の院内感染
22:00 23:00 NHK総合 NHKニュース10 バイオリンがはぐくむ子らの夢・ハーレムの音楽教師
22:54 23:50 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 彼らは不法入国なのか中国残留孤児の家族
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 温暖化は健康の脅威

 深夜、クロが時折哀しい鳴き声をあげる。それと同じ鳴き声を轢死した小猫があげていた。はぐれた小猫が親を求めて呼ぶ鳴き声と、親猫が小猫を探し求める鳴き声が同じことに気付く。「おまえの子猫はもう死んだんだよ」そっとクロに語りかけるが、知ってか知らずか闇に向かって哀しい声で鳴いている。私はふと自分の母親のことを思い出していた。不孝ばかりかけて母を泣かせてきた悔恨が、深夜の雨音と猫の鳴き声とが混じって、私の心に痛いほど響いている。

2000/09/05、火曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:10 19:30 NHK教育 健康 肺がんの新しい治療法
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう 不良中年ノススメ(2)私の転機
19:54 20:48 テレビ朝日 たけしの万物創世紀 音速を超えた男の感動秘話コンコルド
22:15 22:00 NHK総合 プロジェクトX 東京タワー・恋人達の戦い
22:54 23:50 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 アフガン内戦で活躍する“地雷犬”を追って
22:54 23:25 日本テレビ ニュース出来事 麻薬パーティー潜入!日本人逮捕の瞬間
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 「日ロ平和条約交渉」

 いつでも、どんな国でも、小さき者の身にかかることは同じことです。彼らはこの世に生まれ、人生の意味を探し求め、苦しみ・・・もちろん国によってその苦しみの度合いは違うでしょうが、その時代のいちばん大きな苦しみは、必ず小さき者の身に降りかかるのです。彼らの声が聞かれることはありません。だが、もし、私たちの宗教が言うところの神の前での最後の審判というものがあるなら、この小さき人々が第一の証言者として登場するのだと思います。私にとっての証言者はゴルバチョフやエリツィンではなく、トルストイやドフトエフスキーでさえなく、まさに小さき人々、彼らをこそ私は信じるし、永遠の存在だと思います。英雄や皇帝、そういう人たちは消えていき、小さき人々こそが永遠につづく鎖・・・人類の凶器がこの鎖を断ち切って自らを破滅に導くことがないように、この鎖が永遠のものでありつづけるように、祈りたいと思います。
【スベトラーナ・アレクシエービッチ】

2000/09/04、月曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:30 20:00 NHK教育 にんげんゆうゆう ▽不良中年ノススメ(1)嵐山光三郎
21:54 23:09 テレビ朝日 ニュースステーション 非転向長期囚”北朝鮮送還で韓国の“家族”は
22:00 22:45 NHK教育 ETV2000 破滅の20世紀S・アレクシェービッチと徐京植[前]
22:54 23:25 日本テレビ ニュース出来事 満月の夜ビーチで何が!?麻薬に狂う若者たち
22:54 23:25 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 富士山頂へ小児がんで視力を失った少年の1年
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 三宅島の全住民避難

道路を横切ろうとする小猫・・・
小猫の目線で、回転するタイヤは巨大な怪物となった。
危ないぞぉ!
思わず叫んで眼が覚めた・・・
覚めたあとの現実の方が悪夢だってこともある。
2000/09/03、日曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:24 TBSテレビ 報道特集 全島避難三宅島の火山活動▽逮捕!謎の投資家
18:36 18:50 テレビ朝日 100人の20世紀 秘密を握った男 J・エドガー・フーバー
18:56 19:56 テレビ朝日 週刊ワイドコロシアム 三宅島緊急避難…豪雨と降灰に苦しむ島民
21:00 21:54 日本テレビ 知ってるつもり!? 総額3000億円!!ネズミ講天下一家の会内村健一
23:30 24:00 TBSテレビ 世界遺産 「十字架の丘は何を語る?古都ビリニュス
23:40 24:10 テレビ朝日 宇宙船地球号 カブトガニの楽園に危機
24:25 24:55 日本テレビ ドキュメント'00 雪印汚染の構図…信頼ブランドの崩壊

小猫が一匹、道路でぺしゃんこになっていた。
黒猫三銃士のうちの一匹だった。
とるにたらない小さな命のこと・・・
それでも確かに生きていた一昨日に
抱いた温もりが私の手に、心によみがえる・・・
無惨な骸とは対称的に小猫の可愛いイメージを思い浮かべ
そしてそっと心で包んで、思い出墓に埋めてやった。

2000/09/02、土曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
17:30 18:28 テレビ朝日 ザ・スクープ 不登校引きこもりの子供で悩む親達へ・富山からの便り
20:00 20:45 NHK教育 未来への教室 ノーベル賞作家ウォーレ・ショインカ(1)アフリカに未来がある
21:00 21:50 NHK総合 NHKスペシャル 田村亮子・笑顔のなかの決意
21:00 21:54 TBSテレビ 世界・ふしぎ発見! 6000人のユダヤ人を救った男・杉原千畝
22:00 22:24 TBSテレビ ブロードキャスター ▽不祥事企業のための謝罪指南講座

日米安保密約の全容判明 核持ち込みは事前協議の対象外(10:35)
 1960年の日米安保条約改定の際に日米両政府が結んだ秘密合意の全容が、米国の研究機関が入手した米国務省文書から明らかになった。秘密合意は、核兵器を積んだ米艦船が日本に寄港したり、朝鮮半島有事で米軍が日本国内の基地から出撃したりする場合には、日本との事前協議は必要ないとの内容を明記している。事前協議方式は安保改定の柱で、日本の主体的な判断を保証しているはずだが、肝心のところで骨抜きになっていたことを意味する。秘密合意は、これまでも故ライシャワー駐日大使ら元米当局者の証言や関連の米外交文書から存在が指摘されたが、日本政府は一貫して否定してきた。しかし、条約交渉を担当した国務省のファイルから合意内容そのものを含む文書が出たことで、密約の存在は動かせなくなった。
 この文書は、米国立公文書館で機密解除された国務省北東アジア部のファイル「議会用説明資料集(コングレッショナル・ブリーフィング・ブック)」の中にあった。ワシントンで情報公開に取り組んでいる民間研究機関ナショナル・セキュリティー・アーカイブ(NSA)が昨年秋に入手したが、その直後に「安全保障」上の理由で再び非公開となった。米政府が60年6月、上院に安保条約の批准を求めた際、ハーター国務長官用の説明資料としてつくったとみられる。このうち秘密合意の内容を示すのは、密約の全体像を記した「日米安保条約に関連して結ばれた非公開合意の要約」、日米の交渉結果をまとめた「討議記録」、米国の立場から論点を整理した「日米安保における事前協議方式の解説」の3点だ。「討議記録」は、新たに導入される事前協議方式について、「米軍機の日本飛来、米海軍艦艇の日本領海並びに港湾への進入に関する現行の手続きに影響を与えるものと解釈されない」と記載。核搭載の有無を問わず改定前の旧安保条約下で行われていた艦船の寄港などを協議の対象から外した。この合意に基づき日米は63年、事前協議の対象となる「核の持ち込み」は核兵器の陸揚げ・貯蔵に限るという解釈を確認した。佐藤栄作首相が67年に「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」の非核三原則を表明したが、密約に変更はなかった。国是となった非核三原則のうち、3番目の「持ち込ませず」は当初から空洞化していたことになる。「事前協議方式の解説」は、朝鮮半島有事への対応として、安保条約発効後に開かれる
第1回日米安保協議委員会で藤山愛一郎外相が「在韓国連軍が武力攻撃を受けた場合には、戦闘作戦行動のために在日米軍基地の使用を認める」と発言すると明記。朝鮮半島についての密約は、外相の発言として議事録に盛り込まれる段取りになった。いずれの場合も、討議記録や議事録という形で密約が残されており、外交交渉で通常取り交わされる交換公文の書式をとっていない。だが、藤山外相とマッカーサー駐日大使がイニシャルで署名しており、政府間の合意として拘束力があることには変わりはない。発覚しても「密約の存在」を否定できるように日本側がこういう形式を求めたという舞台裏が、沖縄返還関連の別の米外交文書の中で明かされている。
政府、密約を否定 日米安保の秘密合意認めず(23:05)
 核兵器を積んだ米艦船が日本に寄港したり、朝鮮半島有事で米軍が日本国内の基地から出撃したりする場合、日米間の事前協議は必要ないとした日米安保条約に関する秘密合意が明らかになったことについて、政府は30日、「密約は存在しない」と改めて秘密合意の存在を否定し、米政府に照会するなどの調査をする考えもないことを明らかにした。また核搭載艦船の寄港や朝鮮半島有事での出撃には事前協議が必要だとする見解も示した。森喜朗首相は同日夕、記者団の質問に答えて「日米安保に密約は一切ない」と述べ、改めて調査するかどうかについても「そんなことをする必要はない」と答えた。中川秀直官房長官も「政府としては、こういう文書は存在しない、という立場だ。調査する考えもない」と語った。同日の参院決算委員会では、福島瑞穂氏(社民党)がこの問題を取り上げた。荒木清寛外務総括政務次官は「政府としてコメントする立場にない。歴代の首相、外相が繰り返し明確に述べているように、安保条約の事前協議に関してはいかなる密約も存在しない」と否定。福島氏が核搭載艦船の寄港や朝鮮半島有事での出撃に事前協議が必要かと聞くと、「ご指摘の通りだ」と答えた。政府は「日米安保は信頼関係のもとにある。核艦船の寄港などは事前協議が必要だが、あくまで相手方が言ってくる話だ」(高官)との姿勢を変えていない。外務省も「密約がないのに米政府に問い合わせる必要はない」(幹部)との見解を繰り返している。
 茶番である。密約の事実がアメリカ国務省ファイルに明記されているにもかかわらず、日本政府はそれを否定する。つまり事実を否定しているわけだが、それなら政府は「密約が事実ではないことの確たる証拠」を提示すべきであろう。国民を愚弄するにもほどがある。1981年、ライシャワー元駐日大使は「六〇年安保改定の際、日米間に米核艦船の日本寄港を認める口頭了解があった」と証言している。また横田基地には「核事故処理部隊」なる部隊が存在し、これは明らかに核持ち込みによる事故を想定したものだ。これをもってしても日本政府が「日米安保に核持ち込みの密約はない」などと言い張ること自体茶番であり、国民に嘘をついていることになる。

2000/09/01、金曜
 私的録画&ウラ番組視聴(順不同)
開始時 終了時 テレビ局名 タイトル 内容
19:30 20:00 NHK教育 きらっといきる 「“言葉”でわたしを語りたい」
22:00 23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽三宅島の地下で今何が・最新報告
22:00 22:45 NHK教育 地球時間 モーツァルト謎の楽譜K621b
23:00 24:10 NHK教育 金曜フォーラム 「日本語・この50年・そして次の時代へ」
23:50 24:00 NHK総合 あすを読む 問われる地域防災力

 知人の会社倒産と夜逃げ同然の逃避行のことで、それが話題にならないくらい今の不況が浸透していることに気付かされる。仕事がない、職がない、カネがない・・・それ以上に関心がない、他人のことにはかまってられないギスギスした人間関係が目立つ。話していても声に抑揚のない、疲れきった人々・・・貧乏を笑ってごまかす私などが羨ましがられるほど元気がない。なぜだろう?昔もみんな貧乏だったが、少なくとも元気はあった。貧乏な分、他人を思いやる心の余裕はあったような気がする。物が溢れ、物が余り、余った物を捨ててきた現代、人の心はそうした物に埋もれてしまったかのようだ。見えている物が多すぎて、見えない心の所在が分からなくなったのではないか・・・確かなものは見えている物、触って確められる物にしか価値観を見いだせなくなった不幸が見え隠れしている。嘲笑、侮蔑、猜疑心・・・もろもろの負の心が長い影を落としながら、自らの心も蝕まれていくような嫌な予感がする。雨の降らない日が続いている。夜、そんな枯れた庭に水をやった。とたんに庭に響く虫たちの声・・・暴れていた黒猫三銃士たちが驚いたように耳を澄ましている。枯れた心に水を与えたように、なぜか心も静かになった。逃げたら駄目、しっかりと今の貧乏に向き合いながら・・・それでもささやかな幸福感に浸っていられる今の瞬間に、ありがとうと・・・感謝できるようになりたい。