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2000/05/30、火曜 | ![]() |
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いつしか歳月は全てを覆い隠し、懐かしい思い出さえ消し去っていく。 もう、いいだろう。 もう、いいよ。 愛を語るときでさえ、自分を傷つけずにはいられないように、他人をも傷つけてしまっていたことに・・・ 気付いてしまった以上、もう何も言うことはなくなってしまうんだ。 だから・・・もう、いいよね? クロが陽だまりの中、毛繕いをしている。 私もそっと傷ついた心を舐めながら、決して癒されることのない心を隠す。 力をもたない、弱いままで、自然に溶けて消えていくような、そんな最期を望んできた。 絶望も、希望もない、ただ淡々とした心のままで・・・死も生も超えた一本道を探してきた。 もう、いいだろう。 もう、いいよ。 |
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2000/05/29、月曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | ついにオーケストラも合併の時代 |
20:00 | 20:45 | NHK総合 | 生きもの地球紀行 | 「南米唯一の有袋類・オポッサムはなぜ生き残った?」 |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | 霜降りより赤身がヘルシー今注目日本短角牛物語 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「“独創”はこうして生まれた(1)青色発光ダイオード発明の秘密」 |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | ある童謡の数奇な運命…歌が語る昭和の歴史 |
23:30 | 24:40 | フジテレビ | LIVE2000ニュースJAPAN | ハイテク巨大要さい島 |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 宗教団体と詐欺事件 |
昨夜のテレビ番組「大統領の陰謀!? 真珠湾奇襲攻撃」が気になっている。 これについてはジョン・トーランド著「Pearl Harbor and Its Aftermath」が参考になる。 日本版では「真珠湾攻撃」として文藝春秋から出版されている。 それらの資料からもトルーマンが日本軍の真珠湾攻撃を事前に察知していたことは間違いあるまい。 太平洋艦隊司令長官キンメル大将がその情報を知らされなかったことの口惜しさが伝わってくる。 むろん、キンメルに知らされていればあれほどの被害はなかっただろう。 番組では証拠資料を提示しながらも陰謀説という枠組みで括っていたことが意外だった。 事実は事実として、陰謀説などという枠組みで括ることなど必要ないのではないか? 事実であっても、それが信じがたいと思う人たちによって陰謀説とは便利な言葉だ。 第一次世界大戦前にシルバヌス・トムプソン教授か行った講演も同様だ。 彼は「電磁波が物質のみならず空無を通過できる」ことを理論的に証明していた。 それらの真理はいまもひた隠しに隠されつづけている。 ときおりニコラ・テスラが興味本位に紹介され、その理論に肉迫しようとしない権威が障害となる。 ちらほら電磁波兵器の噂が漏れ伝えられているいま、「まさか?」で信じないでいる方が平静でいられる。 電気がこれだけ普及しながらも「では電気とは何か?」という本質は何ら説明されてはいない。 |
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2000/05/28、日曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
17:30 | 18:24 | TBSテレビ | 報道特集 | ゴミ大国を救えるか?リサイクル法明暗▽牧師は元テロリスト |
18:30 | 18:56 | テレビ朝日 | 100人の20世紀 | 大統領の陰謀!? 真珠湾奇襲攻撃 |
21:00 | 21:54 | 日本テレビ | 知ってるつもり!? | 「発見!!消えた潜水艦イ52号と極秘和平工作中佐・藤村義朗」 |
22:00 | 23:54 | NHK教育 | 世界名画劇場 | 「暗殺の森」(1970年イタリア・フランス・西ドイツ合作) |
23:25 | 23:55 | テレビ朝日 | 宇宙船地球号 | 奇跡の大地(1)秘境マディディの歩く木! |
24:25 | 24:55 | 日本テレビ | ドキュメント'00 | 遺伝子診断…生か死か運命宣告の瞬間 |
固形物の消化悪し、大根おろし常食にて改善。 バナナ冷蔵庫にて黒ずむ。購入日より5日経過。 格安赤ワイン「マンズ・モンフレール」一本空にする。 馴染みのスナックにて日本酒、ツケで飲む。 カラオケ18番荒木一郎の「空に星があるように」を歌う。 自分で拍手して盛り上げる。 周囲に客ひとりも無し。 生活費ゼロ、すっからかん。 ツケしたからマイナスか・・・ どうにかなるだろう、どうにでもなれ、どうしよう? |
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2000/05/27、土曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
20:00 | 20:45 | NHK教育 | 未来への教室 | 義足の平和活動家クリス・ムーン(2)君は地雷廃絶に何ができる |
21:00 | 21:54 | TBSテレビ | 世界・ふしぎ発見! | 「大平原の千年王国!ハンガリー」 おすわりする馬 |
21:00 | 21:54 | NHK総合 | NHKスペシャル | 「密輸オランウータン故郷に帰る」 |
23:00 | 23:30 | NHK教育 | 国宝探訪 | 「尾形光琳天才が愛したかきつばた」 |
23:30 | 24:15 | NHK教育 | サイエンスアイ | 「生命を操る時計のなぞ」 心臓発作は早朝に多い▽時計遺伝子 |
少年の凶悪犯罪が相次ぎ、毎日のように報道されている。ゲストが、評論家が、こぞって加害者少年への厳罰を口にしながら、その怒りをあらわにする。少年とはいえ、こんな凶悪犯を許してはならない、果ては死刑にすべきとの声も出てきている。被害者の御家族の苦衷を思えば、死刑でつぐなうのは当然だろうと同情する。人の集まるところ、みんなが裁判家のように少年犯罪を断罪する声で満ち溢れている。犯罪者を許せない心が、罪を犯す少年を許さないまま、これから犯罪を犯すかも知れない恐怖心で、少年を許さないような罰を待望している。主婦たちが「あそこの息子は最近荒れて暴れるらしわよ」と近所の家庭内暴力を監視しはじめ、「迷惑なのよねぇ、何とかならないのかしら・・・いつか事件にでもなったら大変よ」と、相次ぐ少年犯罪と照合して正義感(?)を募らせている。厳しく育てているから我が子は大丈夫「ごらんなさい、悪いことすれば子どもだって罰を受けるのよ」って言い聞かせている。だから罰は厳しければ厳しいほど効果があり、加害少年が死刑になれば子どもたちはもっと怯えて犯罪は起こさなくなるだろうと・・・しかし、そういう親に限って自分の子どもの心を把握しきれないでいる。「最近の子どもは何を考えているのか分からない」と言う大人たちは、そういう時には『自分の子どもは何を考えているのか分からない』と同時に思っているのではないか。いまや子を持つ親同士の合言葉は「最近の子どもは何を考えているのか分からないわねぇ」であり、キレやすくなってきた我が子への恐怖心を隠蔽するための転化装置になってきている。そこには、命を慈しむことを伝えてこなかった親の、家庭の、学校教育の、全般においての問題が立ちはだかっている。少年犯罪への厳罰という前例をつくってしまうことで、少年たちが怯えて犯罪は少なくなると考えている多くの人々・・・だが、いま起きている少年犯罪が「自分の命さえ確かめようのないほど追い詰められた」という心理が顕著であることを考えれば、たとえ死刑という厳罰をもってしても少年たちが怯えて犯罪を犯さなくなるとは到底思えないのだ。怯える心すら見失っているのだから・・・見て触って確かめることでしか認知できない、しようとしない現代人にあって、五感をもって確認できない心をなおざりにしがちである。原発の放射能しかり、見えない、聞えない、匂わない、味や感触で確かめようもない、これらは、だから無いということにはならない。その実体は厳然としてあるのだ。心を確かめたいとするなら自分の心を開くしかない。少年犯罪を物理現象のみに限定して、物理的に拘束し、また消し去ろうとする裁きのありようは、まさに心を閉ざしたゆえの裁きでしかない。 |
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2000/05/26、金曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:30 | 20:00 | NHK教育 | きらっといきる | 「もうかりまっか、店長?」 |
21:00 | 22:52 | フジテレビ | おふくろの歓喜の歌 | 突然耳が、音楽家の夢を絶たれた息子と義父の介護…母の愛の行方」 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | 地球時間 | 「重度障害者絵筆に込めた闘志」画家を目指して▽アカデミー賞受賞 |
23:00 | 24:10 | NHK教育 | 金曜フォーラム | 「世界が始めた地球温暖化対策」 |
23:30 | 23:55 | 日本テレビ | ニュース出来事 | “天皇中心の神の国” |
25:09 | 28:09 | テレビ朝日 | 朝まで生テレビ | 激論総選挙迫る!21世紀の日本の争点と選択は!? |
学校から帰るなり「はら減ったぁ〜」と言う私に、いつも母が作ってくれた味噌オニギリが何であんなにうまかったのか・・・随時、五人は下らない職人が住み込んでいた環境の中で、母は大きな蒸し釜で御飯を炊いていた。高度成長期に入ると、その蒸し釜は二つになり、職人は十人ぐらいは常時住み込むようになっていた。食事時には細長い手作りの粗末な飯台が置かれ、大勢の職人が一斉にドンブリ飯を掻っ込むのである。そんな職人たちに混じって子どもの私もドンブリ飯を食べていた。麦と白米を混ぜた薄茶色の御飯と、味噌汁と、当時は格安だった鯨の肉が飯台に並んでいた。県内から父を頼ってくる若い職人たちは私の母を「かあちゃん」と親しげに呼んでいた。その職人たちを統率していた父は「親方」と呼ばれていた。借家住まいの裏には田んぼがあり、アメリカザリガニがたくさん獲れた。糸にスルメの足をつけて田んぼに放り込むと、ザリガニが面白いように釣れた。それを洗って茹でると瞬く間に赤くなり、湯気のたつザリガニを競うように食べていた。職人たちが食べた後の飯台にはザリガニの殻が山のようになったのを覚えている。母が毎日のように「砂糖がなくなってる」と騒ぎ出すと、職人たちは黙り、こそこそと逃げる者もいた。母はただ苦笑し、職人たちは頭を掻いて照れ笑いをするのだった。当時は砂糖が貴重であり、代用としてサッカリンも使われていた。秋になると、飯台には柿の実が山になって並んだ。職人たちが現場近くで取って来たものだった。盗ってきたという方がいいだろう。ある日、珍しく肉が食卓に並んだことがあった。それも職人たちが現場から調達したものだった。なんでも現場近くの屠殺場から分けてもらったということだった。肉の味を知らない私や母も、みんなでその肉をご馳走になった。しかし、実はその肉は犬の肉だった。現場付近をうろついていた痩せた犬に弁当の御飯を食べさせて手なずけ、懐くようになってから職人たちが屠殺したものだった。数日後にそれを知って母は激怒したが、すでに犬の肉は腹の中に納まり、怒りの矛先も納めるしかなかった。学校帰りに田んぼに犬の足だけがポツンと捨てられているのを見た。私はそれで納得した。犬を食べたのは私の家ばかりではなかったのだ。それだけ当時の庶民は貧しく、そして腹を空かしていたのだった。現在の動物愛護団体なら目を剥いて抗議するような話である。しかし、と思う。犬をペットにしながら、あきれば簡単に捨て、そうした犬の多くが薬殺されている現状を考えると、人々の空腹を満たしてくれた当時の犬は少なくとも役に立っていたことになる。さらに職人たちは一時期、鳩を飼っていたことがある。その鳩を飛ばして、別の群れの一団を誘導しながら数を増やしていた。これも今では非難されるかも知れない。しかし、その報いは彼ら自身にやってきた。逆に他の群れに我が家の鳩が吸収され、最後には一羽しか残らなかったのである。ある日、職人の一人がその腹いせに鳩を蹴飛ばして死なせてしまった。すまないことをしたと、その鳩は職人たちによって葬られた・・・ということには成るはずがない。つまり、その鳩も胃袋に納められたというわけである。無駄のない時代でもあった。やがて歳月は職人たちの入れ替わりと離散を促し、日本は飽食の時代を迎え、農産物過剰の安値に抗議して牛乳は川に流され、収穫間近のキャベツがブルトーザーで踏み潰される豊作貧乏の時代となった。帰るなり、味噌オニギリを作ってくれた母もいまはいない。職人たちで賑わっていた当時の我が家も跡形もなくなっている。歳月は全てを消し去るかのように流れていくが、それでも消せないものがあるとしたら、それはきっと心の残像であるのかも知れない。いや、きっとそうだ・・・あの空の雲の上、大勢の職人たちを率いる父の姿が見える。そして、それをやさしい眼差しで見ている母の残像も・・・長い飯台を囲んで「かあちゃん、おかわり!」という職人たちの声が聞える。 |
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2000/05/25、木曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | “源氏物語絵巻”が今よみがえる |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | にんげんドキュメント | 「のびやかに書け君の心」書道家と高校生たちの型破り授業 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「もう学校へは行かない」 アメリカ教育の最先端 |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 遺伝子で病気がわかる…告知の瞬間 |
22:54 | 23:25 | TBSテレビ | 筑紫哲也NEWS23 | 死を選ぶ若者を追う…残された家族、友人は |
23:30 | 24:40 | フジテレビ | LIVE2000ニュースJAPAN | 日本企業“負の遺産” |
得意先からの仕事が減ってきた。忘年会や新年会も廃止して経費削減をはかってなお、この構造的な不景気が響いているようだ。あとはリストラしかないだろう。それだけはしたくない、従業員の生活を預かる経営者として、リストラはすべきではないと・・・しかし、このままでは共倒れになる。かくして「ついにオレもリストラをしちゃったよ」と苦笑していた同業経営者の同級生が、その数日後に自殺したことが頭から離れないでいる。経理を担当する妹が騒ぐ。「あにき、どうすんの?」「死んだ振りするしかないな」「ずいぶん無責任じゃない」・・・最初から赤字を覚悟の仕事ならある。しかし、それをやったら会社は潰れる。ここは経営陣が生活費を削って乗り切るしかない。「社会保険はどうすんのよ。ちょっと待ってくれと言っただけで差し押さえすると脅されたこと忘れたの?」・・・打つ手はない。元請が倒れれば連鎖倒産だ。父よ、母よ、あなた方が高度成長期に汗水流して立ち上げたこの会社も、いま底なし不況の波に呑まれようとしている。あの当時の借金もあと少しで返済できるという今になって・・・何も言うまい。もはや愚痴にしかならない。無責任という批判も甘んじて受けよう。会社倒産という憂き目も、経営者の怠慢ということで片付く。そしてすぐ忘れられる。ただ私の命が続くかぎり、必死に貧乏から抜け出そうと働いてきた両親の労苦だけは記憶しておこう。こんな仕事やってたら寿命縮まるよ、と言われながらタンクの中で防毒マスクをつけて作業していたことも、みんな忘れられるさ。労働が軽んじられ、労苦が厭われている現代、もう我々の出る幕はない。せいぜいマネーゲームに翻弄されるがいい。断っても断ってもかかってくる電話は商工ローンの誘惑、資本主義万歳・・・長雨のあとの庭の陽だまりに、新緑が眩しく・・・ほら、そこにも、あそこにも芽が、花の蕾が・・・タンポポの綿毛が舞って、カリンの桃色の花が散っても、沙羅双樹の蕾が白い和紙のような花弁を開こうと準備している。印度の大昔、沙羅双樹の下で悟りを得ようとしてひたすら座禅を組んでいた僧侶がいたという。あらゆる誘惑を退け、不動の心を会得したいがための究極の試練に耐えているその修行僧の名を釈迦という。我が家の庭の南端、あのビワの樹の下にある脚立にもわけがある。そこからビワの樹を昇れるようになっている。ビワの樹伝いに屋根に登るこの秘密のルートは、借金取りから、世間の煩わしさから逃れる逃亡ルートだ。その屋根に登って時々夜空の星を眺める。いま考えているのは10メートルの杉の枝切り、ここに登ればもっと広範囲に地域を見渡せる。フェリニーニ監督の「アマルコルド」を思い出した。男が樹に昇って「女がほしい!」と叫ぶシーンがあったような・・・C・W・ニコルの著書に、大樹を抱いて願い事をすれば夢がかなう、という記述もあった。樹の上で「カネがほしい!」と叫んだら、札束が舞い落ちてくるかも知れない。 |
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2000/05/24、水曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | あなたもうつ病?早期治療が肝心 |
20:00 | 20:45 | NHK総合 | ためしてガッテン | 「快適!節約運転術」 |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | その時歴史が動いた | 「高橋是清」 ピンチに強いダルマ大臣 |
22:00 | 23:00 | NHK総合 | NHKニュース10 | ▽再編メガバンクの行方は?各行決算で読む |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 多重人格少女ヒロ15歳…密着6カ月の全記録 |
かつて私が惚れた彼女がひとりいた・・・ねえ、あと10年もしたら二人はどんなになっているんだろう?、オマエは子どもなんかあやしてるんじゃないか。すっかり世帯じみちゃってね「あら?!しばらく」なんて。しばらく?それでいくと、二人は結ばれないってことになるな。そうね、久しぶりに会って、昔の若い頃を懐かしんだりする・・・若いくせに10年後の話をしていたあの頃、彼女はやがて自分より二つぐらい年下の男性と結婚したと聞いた。聞いたというより知らされた。ある夏の晴れた日、中年の婦人が突然やってきた時、そこにはあの彼女の面影があった。「うちの娘もおかげさまで無事結婚式を終えることが出来ました。いまは東京で新婚生活をおくってますが、どうしても娘があなたに様にだけは結婚のこと知らせたいと申すもので。」そう言われて面食らっている私の目の前に、彼女の結婚式の写真が差し出された。そこには10年前と変わらない彼女がいた。相手の男性も、彼女と同じような性格だとひと目で分かった。この相手なら大丈夫だと思った。「娘は、本当はあなた様と結婚したかったようです。手前勝手なことばかりで、お許しください」そう言って立ち去る彼女の母親を、私はただ無言で見送っていた。そうか、アイツも結婚したのか、幸せになれよなぁ・・・元々互いに求め合うような仲ではなかった。ただ会うだけでよかった。彼女のことを私の妹と信じて疑わぬスナックのママがいた。「だってソックリでしょ、嘘言ったって駄目よ」そう言われて互いに顔を見合わせた夜のこと、アイツは覚えているだろうか。そう言えば二人は似たもの同士だった。当時はそれに気付いていなかっただけなのかも・・・心の波長がどこか同調していたのかも知れない。「もう寝た?」突然の深夜の電話、アイツの声が今もよみがえる。「あいにく不眠症でな、しっかり目覚めているよ」「よかった・・・」「なにが?」「なにがって・・・別に理由はないけど」「なんの用だ?」「別に・・・用がなければ電話かけちゃいけないの?」そんな彼女からの深夜の電話が、本当は嬉しいくせに迷惑がってみせる。「一緒に死のうか」・・・何を言い出すのか、分からぬ彼女でもあった。「一緒に死ぬ相手がオレでいいのか?」「だって今のところアンタしかいないんだもん、仕方ないじゃない」「んで、仕方なく死ぬのか?」・・・死んでもいいと正直思っていた。その頃、私の母は癌を宣告されて入院していた。会社を経営していた父はすでに他界し、若くして会社を背負わされた重責にも疲れ果てていた。アイツの家庭環境も最悪だった。父母の離婚と姉の自殺未遂、その他もろもろの不幸を聞かされていたから・・・二人にはいつ死んでもいい状況が整っていた。それでも死ななかったのは、互いの胸のうちを打ち明けあったことで満たされたもの、芽生えた何かがあったせいだと・・・今にして思う。それを愛だと言い切ってしまうには抵抗もあるが、あえて愛だと断定することで我が青春期を完結させたい気持ちが否めない。青空の下、二人肩寄せあって将来を誓い合う、希望という太陽の祝福はおよそ似合わない・・・砂糖を入れ忘れた苦いばかりのコーヒーのような青春。これ以上、あと10年もしたら二人はどんなになっているんだろう?という問いかけは聞きたくないし、もう聞くこともないだろう。かつて私が愛した女がひとりいた。それだけでいい。 |
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2000/05/23、火曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | ▽子どもの読書離れをくいとめろ |
19:54 | 20:48 | テレビ朝日 | たけしの万物創世紀 | 人も危ない!ネコを襲う感染症▽乗り物酔いは目で克服 |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | プロジェクトX | 「海底ロマン!深海へ6500メートルの挑戦」 |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 「冷戦後の核抑止力」 |
人前で腹の虫が鳴いて困っているという女性がいる。困っているというより、悩んでいる。私などは腸の働きが確認できて、むしろ嬉しくなるが、若い女性にとっては深刻な悩みであるらしい。贅沢な悩みだ、と言ったら叱られそうだ。近年、大腸癌が増加しているとの統計もあるが、私の母もそのために死んでしまった。最初の手術で直腸を切り取り、二回目で大腸を切り取ってそれが悪化した。手術後にガスが抜けないまま苦しみ、そのガスがオナラとなって出たときは大喜びしたものだった。だから、腹の虫が鳴くのが嫌で人前に出られない、などという悩みを聞くと、つい贅沢だと思ってしまう。外で思いっきり遊んでいた子どもの頃は、すぐお腹がすいて腹の虫が鳴ったものだ。元気な胃や腸が食べ物を求めて体の中で動いているのだが、子どもの当時は本当に腹の中の虫が鳴いているものと思っていた。はやく腹の虫に餌をやらなくては、という思いで食事をしていた。ぐるるる・・・という奇妙な音が聞えるたび母は笑っていたが、私はそのたびに驚きながらも、頭を掻いて愛想笑いをした。それが今では男の子の悩みの種にもなっていると聞いて驚いている。オナラに至っては最悪で、人前でオナラをするのが恥ずかしくてトイレに駆け込むらしい。まるで一大事である。私などは子どもの頃から食事時に平気でオナラをして母に叱られていた。母が怒るのが面白くて、連発すらしていたものだ。浴槽でオナラが泡になって出てくるのが面白くなり、ふんばり過ぎてついウンチまで漏らして大騒ぎしたこともあった。さすがに大人になってからは控えているが、それでもたまにやってしまうことがある。そのたびに私は手術後に「オナラが出た」と嬉しそうにしていた母の顔を思い出す。現代では、人間の生理現象すら汚いものと考えてしまうような環境があるような気がしてならない。しかしながら、人の排泄物を極端に嫌う現代人も、台所では平気で家庭排水を流している。人間の体内で半ば消化された排泄物は自然の中で分解されるのも早いが、家庭排水は分解されにくく、いつまでも腐臭を放ちながら自然そのものを汚している。「汚いはきれい、きれいは汚い」という逆説にこそ真理があるのではないか、とさえ思えてくる。本当の御馳走とは贅沢な食卓にあるのではなく、腹の虫が鳴くまで空腹になって食べるその瞬間に「うまい!」と満足する心にあるのではないか・・・御飯だけでも空腹にあっては御馳走だ。腹の虫が鳴くからといって、そのことで悩んでしまう無意味さは、世間体と一緒に捨ててしまったほうがいい。 |
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2000/05/22日、月曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | 「台湾はどこへ」どう出るか中国 |
20:00 | 20:45 | NHK総合 | 生きもの地球紀行 | 「ロシア・沿海地方・ホッケの大群が押しよせる島」 |
22:24 | 23:50 | TBSテレビ | 筑紫哲也NEWS23 | どうなるあなたの年金日本版401K |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 「台湾新政権と中国」 |
25:20 | 27:00 | NHK総合 | 海外ドキュメンタリー | 暴力シーンの衝撃▽2:05[S]サリドマイド・全米使用認可の背景を追う |
欲望があればこそ日本はこれまで経済発展してこられたんだ、と言う人がいる。貧しかった子どもの頃、肉やバナナが高価で食べられず、安かったサンマや鯨の肉が毎日のようにちゃぶ台に並んでいた。しかし、子ども心にはそれが貧乏だとは思わないくらい、オレたちは遊びに熱中していたっけ・・・うん、うん、そうだったと頷く友人。まわりがみんな貧乏だったから、自分が貧乏なのも気が付かなかったんだよ。つまり親たちは貧乏暇なしで、はやく今の貧乏から抜け出したいと必死で働いていた。その分、子どもたちは放っておかれた。今思うと、それがかえって有難かったような気がする。オモチャや遊び道具なんてのもなかったから、原っぱで棒振り回してチャンバラごっこばかりしていた。鞍馬天狗の映画が東映でやってて、風呂敷に箸を通した手作り頭巾をかぶって走り回っていた。やがて怪人二十面相がはやると、頭巾だった風呂敷がマントに早変わりした。堤防の高台から風呂敷ひるがえして飛び降りたら、着陸した足元に馬糞があってね。道路は馬糞だらけだった。小学校の下校時に荷車引いていた馬が動かないで、その場で殺される馬を目撃したことがあった。子ども心にもショックだった。馬糞に自動車のタイヤの跡がつく頃、道路には砂利が敷き詰められ、転ぶと痛かったのを覚えている。その砂利がアスファルトになる頃には、もう子どもたちが道路で遊ぶ姿も見られなくなる。つまり危険になった。道路の土に砂利が敷かれ、やがてアスファルトで固められて・・・道路も原っぱも、日本のたたずまいがコンクリートで覆い尽くされた時代、日本の自然は窒息してしまったようだ。子どもたちの遊び場も追いやられ、子どもの心も教育熱心な親たちによって窒息していったのではないか。高度成長期は物に不自由はしない生活をもたらしてはくれたが、同時に、それがより欲望を募らせていく悪しき原動力になっていったのかも知れないね。物を得て心を失い、贅沢を知って欲望を加速させた。その到達点としてピカピカに磨き上げられた都会の町並みがあり、人間の匂いも異臭として排除されていった。地球にとって人間は害虫となり、その害虫が集まるところにはコンクリートがカサブタとなって張り付いている。地球全体がカサブタで覆われ窒息しようとしている今、それを救うためには害虫駆除しかないだろう。ひょっとすると害虫同士の共食いで駆除は必要ないかもしれない。宇宙が広大無辺だと仮定すると、地球はなんてちっぽけなガラス球なんだろうって思えてくる。青く透き通るビーダマのような地球が、やがては人間という害虫によって濁っていくんだよ・・・そんなビーダマにオレたちの子供時代を透かして見るとき、その懐かしさ以上に、割れやすい地球というビーダマの行方を考えてしまうんだ。 |
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2000/05/21、日曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
17:30 | 18:24 | TBSテレビ | 報道特集 | 日朝交渉の裏▽妻だけが残った…悲劇の台湾海峡 |
18:30 | 18:56 | テレビ朝日 | 100人の20世紀 | イメルダの真実 |
19:58 | 20:54 | 日本テレビ | 特命リサーチ2000X | あなたの歯が危ない!!歯周病の恐怖…死に至るしくみは |
21:00 | 21:50 | NHK総合 | NHKスペシャル | 「世紀を越えて・脳死移植」 米国最新事情▽息子の臓器は誰に? |
23:10 | 23:35 | NHK総合 | 新アジア発見 | 未来は舞台の上に・カザフスタン |
23:30 | 24:00 | テレビ朝日 | 宇宙船地球号 | サンゴ産卵の瞬間!海の熱帯雨林を救え |
24:25 | 24:55 | 日本テレビ | ドキュメント'00 | 無差別殺人…犠牲者の無念その人生は |
あっと言う間に弾き飛ばされた一匹の黒猫、深夜の国道沿いに横たわっている。思わず「クロ!」と小さく叫びながら駆け寄る。頭が半分無くなっている。よく見ると三毛猫、暗がりで黒猫と見間違ったのだ。クロでなくて良かったという思いと、ブレーキをかけることもなく走り去っていった乗用車に怒りを感じていた。クロは寝入りばなにそっとやってきた。やぁ、生きていたんだ・・・死ぬなよ、みんな死なないままでいけたらいいのに・・・命あるものへの限りない慈しみあってなお、決して避けることは出来ない死のことを考えつづけている。三浦綾子女史は「最後に死ぬという大仕事がある」と言ってクリスチャンとしての信仰を貫いて死んでいった。りっぱだと尊敬する。しかし自分にはそれが出来ない。その覚悟が無い。山頭火は全国行脚において猫の野垂れ死にを一度も見たことはないと語っている。事故や病死でもない限り、猫は死期を悟ると飼い主の前から姿を消すという。人間は否応なく病院に担ぎ込まれ、延命治療に自分の死を悟る静かで荘厳な時間すら与えられない。死は人生の最大の悲劇のように、家族の嘆きの範疇にある。その意味において現代にとって死は敗北でしかない。私は猫のように、死期を悟ったら静かに姿を消してしまいたい。「最近おーる氏の日記が途絶えているが、どうしたんだろう?」掲示板にそんな書き込みが出る頃、私は山奥深い場所で永遠の眠りについている。やがて私の遺体は崩れ、虫たちの食糧となり、土に還っていく。まさにフェヒナー言うところの「草花も木も最終的には人間を食いつくし、遺体を荒土や水や空気や日光と併合することによって、人間の肉体をもっとも壮麗な形態と色彩に完全に変貌させている」である。「どうやらおーる氏は死んだみたいだよ」「そう言えば日誌には死の記述が多かったような・・・あれはネット仲間への遺言みたいだね」・・・そうなんだ、この日誌全てが私の遺言であり、心の墓標なんだよ。やがて幾世紀もの時代を超えて、未来の人々が砂漠に埋没していたコーラの空き缶を発見するとき、そこにはゴミにまみれた文明の痕跡を見ることだろう。彼らはコーラの空き缶を分析しながら、その当時の人類が自らの欲望の為に自滅していったことを知って愕然とする。今は昔、昔は今・・・未来もまた昔々の物語。変わらぬものは何?あっと言う間に弾き飛ばされるだろう現代文明は、ブレーキの利かなくなった欲望という名の暴走列車・・・とりとめのない空想に浸る今の私も暴走列車の乗客にすぎない。「ご乗客のみなさま、この列車を御利用いただきましてありがとうございます。そろそろ終着点に到着いたしますのでお忘れ物のないよう準備願います」・・・忘れもの?未練はみんな捨ててきたし、でも何か忘れてきたものがあるような気がする。 |
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2000/05/20、土曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
17:30 | 18:28 | テレビ朝日 | ザ・スクープ | “父は自殺などしない”取調室でけん銃自殺の謎を追う |
20:00 | 20:45 | NHK教育 | 未来への教室 | 「クリス・ムーン(1)義足の五輪聖火ランナー」 |
21:30 | 22:00 | NHK教育 | 21世紀ビジネス塾 | 「浪費なき経済成長」 |
23:30 | 24:15 | NHK教育 | サイエンスアイ | 「巧妙さを増すドーピングを防げ」ごまかし技vsハイテク機器 |
インターネット接続業最大手、アメリカ・オンライン(AOL)の21歳の社員が、通常のネッ
ト検索システムを利用しなくてもパソコンからあらゆるデータを検索・入手できる革命的なソフトを開発し、あわてたAOLが開
発をやめさせる代わりに、1億ドル(約110億円)で買い取ったことがわかった。ネット秩序の根幹を揺るがしかねないためだが、すでにソフトはネットで流れ、類似ソフトが生まれつつある。
このニュースが世界に発信された頃には、すでに一万人の人々がこのソフトを入手、改良が加えられて新たなインターネット世界を構築しつつあった。グヌテラ(gnutella)と呼ばれるこのソフトは、今では誰でも容易に手に入れることができる。私も使ってみたが、サーチモニターに次々と映し出され移動していくサイトの様子は、これぞインターネットの醍醐味だと正直興奮した。このグヌテラがさらに進化すれば、これまでのインターネット世界は一変するだろう。いま現在、イスラエルが各国政府に密かに売り込みを計っているプロミスという検索ソフトがある。これは諜報機関がターゲットを世界の果てまで追いかけて居所を探し出すという目的で使われる。今回のグヌテラもそれに匹敵する機能があるだろう。サイトからサイトへ無限に目的のファイルを拾い上げていけるのだから、ターゲットが何処に隠れていようといずれ分かってしまう。ファイルの共有化で広がった情報の中には違法なものもあるかも知れない。そういう意味で、いかにインターネット世界が進化しようと人間個々の見識は問われつづけるだろう。 |
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2000/05/19、金曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
18:50 | 19:30 | NHK教育 | やってみよう実験 | 「形いろいろアンテナの科学」◇名曲:20こども手話ウイークリー |
19:30 | 20:00 | NHK教育 | きらっといきる | 「ボクの家事は100点満点・専業主夫」 |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽中国・珠江デルタで見た“台湾” |
23:00 | 24:10 | NHK教育 | 金曜フォーラム | 「道路の快適空間への展開・“道の駅”にみる新時代の道づくり」 |
23:30 | 23:55 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 写真掲載で政界激震… |
23:50 | 25:00 | フジテレビ | LIVE2000ニュースJAPAN | 世界の“変”仰天衝撃 |
これまで週に一度は酒を酌み交わし、忌憚のない愚痴話をしてきた友人がパッタリ来なくなった。自営業をしていたその友人は、この不景気で自営をあきらめ、あらたに準社員として就職したのだ。慣れない仕事で酒どころではない、疲れきった友人が「はやく会社を大きくしてオレを雇ってくれ」と悲鳴をあげている。夢ばかり大きな私は「いずれ我が社は世界に大きく羽ばたき、世界中に支店を置くことになる。その時はオマエを副社長として迎える」などと酔うほどに大言壮語を口にしていたのだった。だから彼は「いつ副社長として迎えてくれるのだ?オマエだけが頼りなんだ」と冗談交じりに言うのである。それを受けて「困ったときは何でも相談しろ」と私が悪乗りし、さらに友人は「カネが無くて困っている。貸してくれ」と切り返す。「いくらあれば足りるのだ。必要とあらば裏山を処分してもいいんだ。困ったときはお互い様だ」と、ありもしない裏山の話を出して受け応える。こうした冗談が延々と続く。思えば『冗談も休み休みに言え』と、よく母に叱られたものだ。つまり私の場合、冗談が止まらなくなり、最後には大言壮語が膨らんで弾けるのだ。こんな冗談でも飛ばしていなければやってられない底なし不況、かなわない夢でも膨らましていなければ心が萎んで自殺さえしかねない。現に経営に行き詰まった社長の自殺の噂が次々と耳に飛び込んできている。一応病死となっているが・・・経営苦が実感できるだけに直感で分かってしまう。「今度みんなでパァーっと飲みにいこうよ!」やけに明るく元気な同業の同級生が、数日もしないうちに死んだのは、つい一年前のことだった。会社が大きいだけに負債総額も億単位だったと推測している。「銀行が手のひらを返したように、従業員の給料分3000万円を貸してくれなくなった」と彼は嘆いていた。寝入りばなにその声が反復して聞えるようで、眠れない日が多くなった。ある小料理店での出来事を思い出す。「おまえら、高度成長期にはさんざん儲けておいて、不景気になったからって官僚の俺たちを羨むのは筋違いだ。カネが欲しけりゃ乞食でもしろって言うんだ」同業者仲間うちの二次会に、突然割って入った官僚グループの言葉がよみがえる。「もう一度その言葉、繰り返してもらおうか?」立ち上がった私に女将の言葉「あんたたち喧嘩を売るなら出て行って。二度と来ないでね」が残酷に響く。喧嘩の種を撒いたのは向こうの方ではないか・・・「すみませんねぇ」と官僚グループに低姿勢で謝っている女将を見ながら、悔しい思いで店を後にしたこともあった。その店もいまは無い。不景気の波をくらって沈没したのだ。「こんなに安い単価では赤字になっちゃうよ」「そんなこと言うんだったら、ほかにもっと安くやってくれる業者だっているんだぞ」「じゃ、そっちに頼めばいい。もう、こんな仕事やってられるか」さまざまな思い出が脳裏をかすめていく・・・「オマエにはカリフォルニアのベティを秘書につける」「オレはキャサリンが好みなんだが・・・」「おいおい、オマエは副社長なんだぜ。セクハラで訴えられても知らないからな」・・・友人との冗談は延々と続いている。今は押しも押されぬ世界的に有名になった我が社は、さらに躍進していくのであった。願わくば夢よ、ただひたすらに膨らむことはあっても決して弾け散ることのないように。 |
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2000/05/18、木曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | 「子育てを放棄する親たち」 |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | にんげんドキュメント | 「有珠山・帰れぬわが家」噴火後50日の記録 |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 東京の暗闇売春街潜入…暴力団が取材班追跡 |
23:30 | 24:40 | フジテレビ | LIVE2000ニュースJAPAN | 空を制覇アジアの野望 |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 「冷戦後の核抑止力」 |
タンポポの黄色い花がいつの間にか消え、今はうす紫のミヤコワスレの花が咲いている。キウイの蔓が庭に隣接する工場の内部へと侵入し、小さな蕾をたくさん付けている。この蕾がやがて淡い黄色の花となり、晩夏にたくさんのキウイの実となっていく。去年は食べきれないので隣家にお裾分けをした。新緑が長雨の水分を吸い尽くして、束の間の太陽の光に透き通って見える。せわしい人間の動きとは逆に、植物たちの成長は実にのろく、そして自然の時間割に忠実だ。その時間を縮めてみれば、キウイの蔓が瞬く間に四方八方に伸びていくのが分かるだろう。ディズニーのアニメ映画のように色とりどりの花が踊り出し、そっと耳を傾ければ歌い出すかのように思えてくる。母が死んだ季節、晩秋の庭の紅葉が鮮やかだった。名は知らないが、母が毎年丹念に株分けをして育てていた草花も、私が手入れをしないので雑草の中に埋没してしまった。庭を眺めるたびに母の思い出がそこかしこから飛び出してくる。今年も春がきたよ・・・ほら、そこに白いスズランの小さな花が恥ずかしげに咲いているよ。『ねえ、私に気付いて』とスズランは密かに語りかけている。心を開かなければ聞えない静かな声で・・・今から160年も前の昔、物理学者フェヒナーは太陽の残像の本性を見極めようとして盲目になった。闇の世界から三年後、彼が視力の回復を願いながら野辺をさ迷い歩いていた時に、その眼に真っ先に飛び込んできたのは花々から立ち上がろうとする無数の妖精たちだった。彼は植物の魂を見たのだった。彼のこれまでの物理学者としての価値観が一変した瞬間でもあった。「走り、叫び声をあげ、ガツガツ喰らう魂のほかに、静けさのなかで花開き、香しい匂いを発し、露で渇きをいやし、芽ぐむことで衝動を満足させる魂があったらいけないのであろうか?」かくしてフェヒナーは心の盲目から解き放たれ、自然と人間のありようを理解していく。「人間の肉体の究極目的のひとつは植物に奉仕することではないのか、草花も木も最終的には人間を食いつくし、遺体を荒土や水や空気や日光と併合することによって、人間の肉体をもっとも壮麗な形態と色彩に完全に変貌させているのだ」・・・これら、およそ科学的ではないと権威に異端視されてきた過去の先達者たち、現代科学の行き詰まりにおいてはむしろフェヒナーのような賢者が必要とされることだろう。最近の野性ゴリラの研究で、ゴリラのそのいかつい容貌とは裏腹に、彼らが足元の草花を避けて通るほど心やさしき動物であることが分かってきている。しかしながら人間という動物はいともたやすくそんな草花を根元から掘り起こして自然を破壊し尽くしている。都会では散歩する道さえコンクリートで固められ、土は窒息して雑草すら見えない。踏みつける足と踏みつけられるものの関係でしか成り立たない社会そのものが窒息しているかのようだ。時に人は、足元の雑草のほんの小さな花に気付いて、そっと避けて歩く必要がありそうだ。そんな時『ありがとう』と静かな囁きが心に聞えてきても、驚かないほど自然に溶け込んだ心があるなら・・・そう、犯罪や戦争にも無縁な世界が真っ先に人の、その心にやってくるはずなのだが。 |
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2000/05/17、水曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | ▽老後も死後も財産の管理します |
20:00 | 20:45 | NHK総合 | ためしてガッテン | 「一生役立つ!片づけ方の極意」 |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | その時歴史が動いた | 「長篠合戦」信長の新事実▽鉄砲三段撃ちは無かった |
22:00 | 23:00 | NHK総合 | NHKニュース10 | ▽めざせナスダック・若き起業家たちの夢▽魚ロボット開発最前線 |
23:00 | 23:50 | NHK総合 | 地球に乾杯 | 「太古の歌声がひびく・パキスタン・カラーシャ族の秘祭」 |
この不景気の最中にあってもアイデアと頑張りで億万長者になれるのだと、数少ない一握りの成功者を紹介する番組が多くなったような気がする。波に乗った主人公が札束の山を数えている。そこには苛烈な経済戦争に勝ち抜いた者だけに見られる抜け目のない表情がある。しかしそうした番組では大多数の、不景気の波に直撃されて苦しんでいる庶民の悲鳴は聞えてこない。貧しき者にとって、富める者は確かに羨ましい。だが同時に、他より抜きん出たサクセスストーリーには価値を見出せない、見出したくない人々もいるはずだ。日本の不良債権で苦しむ企業を片っ端から買い叩く外資系社員が「今がビジネスチャンスだ。現代は食うか食われるかの淘汰の時代なのだ。その戦いに負ければ敗北するだけだ」と言って憚らない。そして、それが我々にとっての民主主義なのだと主張する。日本が西洋諸国のいう民主主義とやらを受け入れたのはいつの時代の頃であろうか・・・人民による、人民のための、主権は国民に帰属するとした民主主義の到達点が、カネがカネを産むといった生産と労力を度外視したマネーゲームであるとするなら、それは富を取得するための争奪合戦が国民にも解放されたというだけにすぎないのではないか。そんな気がしてならない。国際金融システムそのものが単なる世界的な大博打でしかなかったように思えて仕方がないのだ。そんな世界とは無関係だった鎖国の時代に、山に海に、自然の中に溶け込むようにして生活してきた昔の日本人が、むしろ羨ましくなってくる。環境保護が叫ばれる昨今、現代人もようやく自然回帰の想いを強くしているようだ。しかし、その自然を求めながら、キャンプ場に水洗トイレがない、川の音がうるさくて眠れないと苦情を寄せる都会の人々・・・自然保護以前になにか根本的に欠落してしまったものが見え隠れする。現代人にとって自然は癒しだとする考えにも甘いものがありはしないか。昔の人々が自然に溶け込むように生活してきたということは、同時に彼らが自然から生活の糧を得てきたということでもある。そのことを忘れて、本当の自然回帰はあり得ない。人が海や山に分け入り、その自然から道具を使って生活の糧を得てきたという技がすっぽり抜け落ちている。静かな癒しをもたらすはずの自然も、ひとり山で野宿すれば分かるだろう・・・川がうるさくて眠れないどころではない、深夜に響く野鳥の鳴き声、枝葉のざわめき・・・山々に生息する命の鼓動が一斉に襲ってくる。それを騒音と感じる限り、現代人は自然が癒しなどという資格はない。むしろ自然は不便このうえないものであり、便利な生活とは相容れない世界である。そのために人は道具を発明し、自然の糧を得るために使ってきた。しかし今、その便利な道具が巨大化してかえって自然を破壊する凶器となってしまった。何より人類にとって最も破滅的な道具はカネであろう。自然を搾取してきた人類は、今度は他人の労力をカネという道具で買いあさるようになった。これが国際金融システムの本質だろう。そして、そのシステムに誰もが参加できる世の中を民主主義といい、それに乗り遅れた人々を敗北者といって憚らない。そのことの不自然さに気付くべきだと。 |
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2000/05/16、火曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | 憎しみは消えず・コソボ最新報告 |
19:54 | 20:48 | テレビ朝日 | たけしの万物創世紀 | ▽深海6000メートルに眠る悪魔!恐怖の細菌が浮上した |
21:12 | 22:00 | NHK総合 | プロジェクトX | カール・ルイスの魔法の靴▽9秒86の世界新記録 |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽新作はちょっと違うオリバー・ストーン監督生出演 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「名物先生日本一・博多っこ舞台に咲け」 |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 若者に広がる性感染症…乱れた性驚異の実態 |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 循環型社会への期待 |
マリアからの手紙 ジーナへ 私たちは大丈夫よ! 電話線もつながっているし。NATOが生物兵器を使っていること、NATOの戦略が一般市民をターゲットにして爆撃していること、そしてクリントンが山積みの死体の上にキャリアを積もうとしていること。 第一に、ランブイエ法案は、セルビア人に対して攻撃的に書かれたものであること。 そしてNATOはセルビア人(特にスロボダン・ミロセビッチ)が絶対にサインしないことを知っていたこと! 第二に、NATOは爆撃の対象となるのは、軍施設だけと発表していたけれど、学校、修道院、住宅、工場も、彼らにとっては同じものなのかしら?それとも、死んだすべての民間人は、彼らにとって軍関係なの? 私はずっと、自分に問いつづけてる。「なぜ?????」 どうして彼らは小さい赤ちゃんを殺すのか? なぜ列車に乗客が満員で乗っていることを考えないで撃つことができたのか?なぜ家や、建物や、難民を撃つのか?なぜなの?もう私たちは十分苦しんできたんじゃないの?戦争やミロセビッチや制裁に…。あの殺された小さな赤ちゃんが何をしたっていうの?あの子が殺されるほど悪いことをしたの? 私やあなたが知っているより、もっとたくさんの犠牲者がいる。そして、その犠牲となった人達にはみんな名前があって、そして、もう一つ共通することがある。彼らは、人間を、人権を守るという名において、そう声だかに叫ぶ人達によって殺されたということ。 私は、ただ、一体だれにこの責任があるのか知りたい。一体だれが、これらの死や破壊された家、工場を元に戻すのか。私はその人の名前が知りたい!!ねえ、私は激しい感情と苦痛の波の中で、爆発とサイレンのあの音をただ待っているの。でも、決してあきらめないわ。 私はこの戦争がばかげたものだと知っている。正しくないものだと知っている。そして、NATOにとっては戦争をすること以外になんの関心もないことも。私が一番起こって欲しくない事はね、いつの日か彼らが戻ってきて、すべては人権の名のもとにやったんだと言ってまわること。あるのは、ただ狂気だけ。私の言うことを信じて。NATOはこのコソボの状況を何一つ改善しなかった。より悪化させただけ。彼らが早いうちにこの事実に気づくことを願っているわ。そして空爆をやめて、話し合いに戻ることを。 |
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2000/05/15、月曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | 「再び手足が動いた」 |
20:00 | 20:45 | NHK総合 | 生きもの地球紀行 | ▽鹿児島・馬毛島の四季・ニホンジカ・オスたちの試練 |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽パンクしてもそのまま走れる夢のタイヤ |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | ミクロの世界に潜入!虫たちの生命のドラマ |
23:30 | 24:40 | フジテレビ | LIVE2000ニュースJAPAN | 警察官だらけ首都の怪 |
小渕首相の通夜のもようがニュースで流れている。首相であれ、一般人であれ、死は全ての人々に平等にやってくる。早いか遅いかの違いだけで、その寿命の長短だけで幸せ不幸せの価値判断はできまい。現在ではDNA解析で病気の特定からおよその寿命が想定できるらしいが、自分が癌になる確立が高いことを知り、そのためにまだ癌になっていない臓器を取り除く手術をした米国女性がいる。本人は恐怖の元を取り除いて満足げだったが、そういうことが許されるなら妊娠前の胎児のDNA障害も事前にキャッチし、中絶することもできることになる。米国で旅行していた欧州の青年が事故死し、遺族の元にやっと遺体が返ってきたら殆どの内臓が抜かれていたという事件があった。警察と病院の医師らが勝手に臓器移植ルートに流したのである。人間は何処までいっても欲望だけは健在のようだ。長生きしたいために他の命を顧みないのが欲望なら、人生に絶望して家族の嘆きも考えずに自殺する身勝手も欲望なのだろう。障害を恐れず、拒否せず、それが避けられないものである以上、苦痛を覚悟で淡々と受け入れていきたい、などと私は考えている。しかしながら最期の死の床にあっての私は生きているほどに平静ではいられないだろう。死にたくない!と絶叫して医師や看護婦を困らせるかも知れない。最期のあがきに醜態をさらし、息もたえだえな生身の命を見せつけながら・・・ |
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2000/05/14、日曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
17:30 | 18:24 | TBSテレビ | 報道特集 | 「ネット革命の激流」未来を賭けた壮絶な攻防!シリコンバレーの今 |
18:30 | 19:00 | TBSテレビ | 未来の瞳 | 11歳の決断タイの少年 |
21:00 | 22:00 | NHK総合 | IT・情報技術革命の衝撃(2) | 「モノづくりが激変する」パソコンの中に消えた熟練工▽町工場の逆襲 |
23:20 | 23:45 | NHK総合 | 新アジア発見 | 生きる夢を融資します▽村の銀行 |
23:30 | 24:00 | テレビ朝日 | 宇宙船地球号 | ハワイ未知の大自然!秘密の花園と進化 |
今夜もクロは外出中、門限はない。いつしか私の横で丸くなって眠っていることが多い。時々魘されるように鳴く。クロはどんな夢を見るのだろうか?今まで追いかけていたネズミが突然大きくなって、逆に追いかけられる夢なんか見ているのかも知れない。妹は私に懐いているクロを母の生まれ変わりだと冗談とも本気ともつかぬ表情で言う。そんなバカなこと言っていると救急車呼ぶぞと、悪乗りした私がふざける。たまにクロが仏壇の前でじっと座っていることがある。母が死んだ時、私の心は空っぽになった。何に対しても無関心になり、虚しかった。私の中の何かが壊れた。そんな時、ひょっこり現れたのが野良猫クロだった。『やあ、いらっしゃい』私は待っていたようにクロを迎えた。母があの世から贈ってくれたプレゼントのような気がした。私の強がりは寂しさの裏返しだということを母はよく知っていた。だから・・・そうに違いない、クロは母の心の贈り物なんだ。そのクロの腹が目立って大きくなったような、気がしている。妹はクロが妊娠しているのだと言う。私は気のせいだと思うのだが、生まれたら全部私が面倒みるつもりでいる。クロの相手はやはり黒いオス猫らしいので、生まれてくる子どもは全部黒猫だろう。友人たちに「素晴らしいプレゼントを贈るぜ」と気をもたせて話を切り出すが、それが猫だと知ると誰も受け取ってくれないことが分かった。「捨てなさいよ」と妹が無慈悲なことを平気で言う。おふくろの生まれ変わりだって言ったの誰なんだよ、そんな簡単に捨てられるか・・・それが想像妊娠だったら大笑いだ。今夜もクロの帰りは遅い。おそらく朝帰りだろう。 |
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2000/05/13、土曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:30 | 20:45 | NHK総合 | アフリカポレポレ | 「(1)遥かなるサバンナ・カメラマン家族の大草原のんびり生活」◇故郷 |
21:00 | 22:00 | NHK総合 | NHKスペシャル | 「IT・情報技術革命の衝撃(1)ネットビジネスが疾走する」 |
21:30 | 22:00 | NHK教育 | 21世紀ビジネス塾 | 「環境への理想が売れる」 |
23:30 | 24:15 | NHK教育 | サイエンスアイ | 「健康寿命は延ばせるか」寝たきりにならないための生活改善 |
雨の夜は野良猫クロが必ずネズミ捕りに出かけていく。雨でネズミが出てくるのか、一夜で三度もネズミを咥えてきたこともあった。しかし今夜は一匹も獲れなかったのか、濡れネズミならぬ、濡れ猫(?)になって帰ってきた。傍でブルッと身震いさせては水滴を散らすのには閉口する。「ご苦労さん、この雨の中大変だったね。今夜はもうネズミを獲ってこなくてもいいよ」と労をねぎらってやるのだが、クロはまた出かけていく。貴重なテレホーダイの時間帯に、クロは何度もびしょ濡れになって帰るということを繰り返している。そのたびにタオルで拭いてやるのだが、それがクロにとっては嬉しいらしくゴロゴロと咽を鳴らしている。「オレはクロにとって何なの?」と自問自答めいた問いをクロに投げかけるが、クロは首を傾げて不思議そうに私を見るだけ・・・去年の夏、ひょっこり現れた黒い野良猫、何処で生まれたのか?何処からやって来たのか?親は?兄弟は?な〜んにも分からぬまま私の傍らに寄り添うようになった。びしょ濡れになって寄ってくるクロに「オレはこんな生活耐えられない。なぁクロよ、もう別れよう」と語りかけるが、人間の言葉が理解できないクロはひたすら甘えてくるばかり。私の家はお化け屋敷と呼ばれているらしいが、それ以上にその屋敷に私が野良猫クロと同居していること自体奇怪な印象を与えているようである。庭のキンモクセイも大きくなり、ビワやカリンの木もお化け屋敷を覆い隠すように繁茂してきた。雑草も自由にさせている。夏がくれば繁殖する蚊や昆虫、蜘蛛の巣で賑やかになる。我が家においてはみんな自由だ。開け放した窓からアゲハチョウが舞い込み、野鳥がビワの実をついばむ・・・アンコールワットのように、このまま自然の中に我が家を埋没させてしまいたい。むろん周辺住民から苦情もくる。雑草を何とかしてほしい、虫が出て困るから木を切ってほしい云々。はいはい分かりました、と言いながらほったらかしにしている。ここは私だけの世界、お化け屋敷は自由の象徴、建物とて生き物として朽ち果てるままにしてあげたい。でもね、それが非常識だと、常識でいっぱいの世間が許してくれないんだ。そんな常識人たちが自分の庭を掃き清めながら、そのゴミの行き先には無関心でいる。国道沿いに車から我が家にゴミを落としてくれる人にアリガトウ。小遣いを使い果たした腹いせに空き缶を投げ込むウラのパチンコ屋の常連にもアリガトウ。ここはお化け屋敷、常識の時空を超えて空想に浸る自由があるところ・・・ところでクロは何処へ行ったんだろう?削り節をたっぷり混ぜた餌をつくってあげよう。昨日の日記を今日書いている日曜の昼下がり、徒然なる我が14時01分の心。 |
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2000/05/12、金曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | 地球時間 | 「家族で体験1900年の生活」[前] イギリス・3カ月のタイムトラベル |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽少年院ミュージカル▽太陽光発電 |
23:00 | 24:10 | NHK教育 | 金曜フォーラム | 「メディア大競争の時代」漆戸 北原 重延 重村 鶴見 前川 和崎 |
23:30 | 23:55 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 特殊カメラが撮った! |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | ペイオフと金融再建 |
阪神大震災で救助活動にあたった神戸のサンタクロースと呼ばれる主婦がいるという。その主婦の名は森本佳代子さん、当時35歳。彼女は離婚した夫の借金を返済するため大型トラックの運転手となり、未熟児で生まれた病気がちの息子・圭吾くん当時2歳を抱えて逞しく生きていた。その日の夜明け前、彼女は高速道路わきにトラックを停車し、圭吾くんにミルクを与えようとしていた。そこへ直下型の地震が発生、圭吾くんは頭部を打撲して意識を失った。急ぎ病院へ向かおうとする彼女のトラックの前には、家の下敷きになった家族を助けようとする人々・・・彼女は自分の息子のことを心配しながらも、どうしても彼らを助けずにはいられなかった。やがて悲惨な現場での救助作業と避難先への搬送を終え、病院へと向かう佳代子さん・・・その圭吾くんの怪我は軽く、彼女は安堵するのだが・・・彼女の脳裏には家の下敷きになって死んでいった人々のことが焼きついていた。あの時、トラックを停止しなかったら、倒壊した高速道路の下敷きになっていたはずだった。してみれば死んだはずの自分が生かされていることに感謝し、神戸の人々の救助活動をつづけよう、彼女は決心した。彼女はこれまで貯えてきた貯金800万円を引き出すと、生活必需品を買っては大型トラックに詰め込んで被災者に配るという活動を開始した。緊急を要する場合はヘリコプターまでチャーターした。やがてその資金も底をつくと、今度は母親に頭を下げて300万円を調達、再び被災者救済に乗り出していくのだが・・・疲れが頂点に達していた佳代子さんは腰を痛め、緊急入院、椎間板ヘルニアと診断され二度とトラックを運転することはできなくなる。入院生活を続ける佳代子さんに、世間の猜疑心が追い打ちをかける。あれだけの物資をどこで調達したのか?怪しいもんだ・・・売名行為ではないか、と。しかし、同時に彼女に助けられた人々は忘れてはいなかった。佳代子さんはいつしか神戸のサンタクロースと呼ばれ、励ましの手紙が届くようになる。今度は加代子さんが励まされる番だった。彼女は退院した後も、トラックは運転できなくても何か役に立ちたいと被災者の避難所に駆けつける。神戸のサンタクロースの話は全国に広まり、高校の英語の教科書にも載った。そして何より山のように届いた被災者たちからの手紙が彼女の励ましとなっている。あれから圭吾くんも7歳になり、元気に小学校に通い、佳代子さんは女手ひとつで逞しく生活を支えている。(フジテレビ系「アンビリバボー」より要約) |
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2000/05/11、木曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | “深層水”売ります!ブーム過熱 |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | にんげんドキュメント | 「風を起こして舞い上がれ」 挑戦・人力ヘリコプター▽老科学者と学生 |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽ロボットの手でする驚異の外科手術・最前線医療こんなことも |
22:00 | 23:00 | NHK総合 | NHKニュース10 | ▽いやされぬ犯罪被害者の心・支えあう遺族 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「遺伝子診断・病はどこまで予知できるか」 衝撃・がん発病の確率 |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 巨大ダムが村を壊す…押し寄せる土砂の恐怖 |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 「多発する医療事故」 |
宗教をやるのもけっこうだが、午前中仕事にならないのが困る。つまり居眠りをしている。居眠りどころか熟睡している場合が多い。夜遅くまで宗教活動に忙しいのだろうが、注意すると怒り出す。私とていつも居眠りをしているので人を注意する資格はないが、こういう人たちがいるから政権の中枢まで入り込めたのだろう。もはや日本は彼らの天下だ。しかしその期間もそう長くはないだろう。彼らに長く天下を盗られたら日本は中から腐っていくはずだ。もっとも今も腐りきっているが・・・疑問を持たないということ、宗教はその純粋性によって権力の魔性も隠れやすくなる。純粋でありたいとするのはいい、しかしその純粋ゆえに利用する側にとってはこれほど好都合なことはあるまい。何が嘘で何が本当なのか、虚々実々の人間社会にあってなお「すべてこの宇宙の変化する多様性の中に一のみを看取する者たち、この者たちにのみ永遠の真理は帰属し、余の何人にも帰属することなし」との先達者の言葉は不滅にして、私の迷える心の指針となりつづけている。雨上がりの庭を眺めながら、濡れた新芽の水滴に命の源泉を感じて・・・ |
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2000/05/10、水曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | 音楽もインターネット、坂本龍一 |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | その時歴史が動いた | 「鉄砲伝来」 ▽日本が世界一の鉄砲大国 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「がん治療もうひとつの最前線」 代替医療を求める患者医師との壁 |
22:54 | 23:50 | TBSテレビ | 筑紫哲也NEWS23 | ▽“こころ”を語ろう(1)永六輔さん |
久しぶりに街まで歩いた。職業病ゆえか、やはり歩行困難、足が吊るように痛む。それでも我慢して歩きつづけた。日々、街の風景が変わっているのに気付く。空き地と取り壊し現場の多さは、そのまま日本の不景気を象徴している。目的地に預けた自転車あり、帰りは自転車に乗る。ウソのように足が楽になる。足の筋肉の使う場所が違うせいだろう。もはや私は自転車のない生活は考えられなくなったようだ。途中で馴染みの赤提灯の傍を通り過ぎた。一杯引っ掛けたい誘惑にかられる。健康のためには貧乏がいいと、つくづく実感。ここで飲めば明日の生活費はフイになる。やさしい女将の面影を振り切って自転車をこぐ。所々に放置自転車が目立つ。やっと我が家に到着、玄関先で小動物の黒い影がニャ〜ンと鳴く。クロだ。帰ってくる気配を感じて待っていたのだが、夜は闇に溶け込んで見えなくなる。工場に車三台・・・何とかやっていけてる不景気の中、感謝すべきか。しかし、この貧乏サバイバル耐久レースはゴールが見えてこない。どこに向かっているのか、道すらないグレーゾーンの中で・・・今を生きている実感だけは保ちたい。 |
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2000/05/09、火曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | 子どもを虐待から救え施設の改革 |
19:54 | 20:48 | テレビ朝日 | たけしの万物創世紀 | ▽幻の巨大魚を釣る▽万病のモト!かみ合わせ異常を治す |
21:15 | 22:00 | NHK総合 | プロジェクトX | 「執念が生んだ新幹線老友90歳・戦闘機が姿を変えた」 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「がん治療もうひとつの最前線」 免疫力で再発を防ぐ▽自然治癒力 |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽ロボットの手が組織を切り、縫合も…驚異外科手術と医療最前線 |
23:29 | 24:40 | フジテレビ | LIVE2000ニュースJAPAN | 芸術家は登校拒否児 |
今夜は何も書きたくない。誠意をもってしても相手に悪意がある限り、返ってくるのは嘲りでしかないのかと・・・。かんたん短歌が流行っているそうだ。ボヤキ短歌「前向きに、なれと言われて、前向きに、なれるのならば悩みはしない」が気に入っている。 |
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2000/05/08、月曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | ▽売ります!“スパイ衛星”画像 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「がん治療もうひとつの最前線」漢方と抗がん剤を併用 |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 日本を狙う闇の組織…潜入!ロシアマフィア |
22:54 | 23:25 | TBSテレビ | 筑紫哲也NEWS23 | アフガニスタン・戦火のもとの子供たち |
抗がん剤の副作用で体調を崩した患者が、漢方薬など代替治療によって改善され、食欲も出て日常の生活に戻ったという報告が相次いでいるという。これに対し多くの医師は「代替治療に責任を持つことはできない」として抗がん剤使用での延命処置を続ける傾向がある。患者にしてみれば抗がん剤の副作用での痛みや倦怠感が著しく、もっと体に適したやさしい治療を求めて代替治療に向こかう。患者の中には「副作用で体がボロボロになって苦しんで延命するぐらいなら、寿命が短くなっても生活に戻って代替治療をしたい」という者もいる。こうした患者の傾向を医師は我がままと受け取りやすく、患者側から代替治療の併用を要望しても無視されるとの不満も出ているらしい。ガンという患者にしてみれば明日をも知れぬ病気に、日々の生き方そのものの価値を真剣に考えるのは当然のことだろう。漢方薬による試みが効力を発揮しているということは、私の母が末期ガンを宣告された当時から情報が入っていた。私も何度か漢方薬による代替治療を医師に相談したが、そのたびに笑ってあしらわれた。私がようやく母に漢方薬を飲ませることができたのは、医師から余命数ヶ月もないと宣告されて自宅養生をすすめられた二ヶ月間のみだった。時すでに遅かった。この日誌でも報告したが、ルーマニアではエイズ感染の子供たちが日本の医師の調合した漢方薬で奇跡的な回復をしている。こうした治療効果がありながら、その因果関係が科学的に証明されない限り認めないというのが現代医療であり、藁にもすがりたい気持ちの患者の気持ちは無視されがちである。少なくとも患者が医師のやさしい説明を必要としていることを考えるとき、もっと患者の心を汲んだ治療があっていいはずだ。私的なことでいえば、私がガンになったら抗がん剤使用を拒否するつもりでいる。長生きしたいほどこの世に未練はない。余命が限られていればいるほど、その時間を凝縮してもっと価値のあるものに高めていく道を選びたい。 |
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2000/05/07、日曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
10:00 | 11:45 | テレビ朝日 | サンデープロジェクト | ▽特許が金にナル時代▽楽園か洗脳か?謎の巨大集団ヤマギシ会 |
18:30 | 18:56 | テレビ朝日 | 100人の20世紀 | 天才画家ピカソ |
21:00 | 21:54 | 日本テレビ | 知ってるつもり!? | 「徳川埋蔵金(秘)伝説!!幕府最後の勘定奉行・小栗上野介」 |
21:00 | 21:50 | NHK総合 | NHKスペシャル | 「村上龍“失われた10年”を問う」 |
23:35 | 24:05 | テレビ朝日 | 宇宙船地球号 | 風と緑のエコ建築!環境にやさしい住宅 |
24:25 | 24:55 | 日本テレビ | ドキュメント'00 | 北朝鮮工作員を愛した女と日本人ら致 |
テレビ番組「知ってるつもり」の冒頭では、江戸時代末期の徳川幕府と現代の日本政府が似通っている点をあげて興味深かった。鎖国日本に国交を迫る列強に対し、優柔不断な幕府は返答をひたすら引き伸ばすに汲々とするだけ。ところがペルーが黒船から武力をちらつかせると国内での話し合いもついていないのに、あっさりと要求を受け入れてしまう有様。アメリカの外圧に弱い今の日本政府と全く同じである。また、米の生産量は変わらぬのに、何も生産しない武士の数だけ増えつづけて幕府の財政は破綻寸前、そこで幕府は増税と借金で国民に負担を押し付ける。さらに幕府の官僚エリートたちの間には賄賂の着服が日常化、公のカネで料亭に繰り出し、それが問題になると身内で庇いあってうやむやにする。しかし今の日本とたった一つ違うのは、そんな日本を憂いた若者たちが命をかけて建て直そうとしたことであったと・・・。中国に渡った日本の商社マンが学生風の中国人に「日本の明治維新は素晴らしい。あなたは明治維新についてどう思うか?」と訊ねられて面食らったというエピソードがある。刹那的な快楽に身を委ね「今が楽しけりゃいいじゃん」と言って憚らない若者がテレビカメラの前でピースサインをしている様子を、お茶の間のテレビを見て疲れた大人たちが溜息をつくばかりの現代ニッポン。永六輔の一言絶句シリーズに「殺気立つ非行をお許しください」というのがあった。「ガーデニング、どうにかパパも埋め終わり」で、世のオヤジ族は絶句する。個人的には「不景気、いまさら何だ貧乏人」が好み。納豆を常食とする貧乏人の私から一句「糸引く納豆、頭から、ぶちまけてやりたし汚職代議士」、ああ、納豆がもったいないねぇ。 |
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2000/05/06、土曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:55 | 20:00 | NHK教育 | 手話 | 手話ニュース |
21:00 | 21:30 | NHK教育 | 教育トゥデイ | 「父親(1)アメリカ家庭」 |
21:30 | 22:00 | NHK教育 | 21世紀ビジネス塾 | 「食の不安・本物の安心」内橋克人 |
23:30 | 24:15 | NHK教育 | サイエンスアイ | 「クルマの安全性はどう変わったか」軽自動車▽集中豪雨予測 |
2月19日に他界したフンデルトワッサーは世界的な画家としてその名が知られているが、私などはニュージーランドの自然の中で暮らす彼の生き方そのものに惹かれる。彼の思想の根幹には、自然は渦巻きだとする生態系思考で貫かれている。よって排泄物も自然に帰って恵みとなり、彼自身、その生活において実践している。円の中を繰り返し回るように、人の命もまた自然という円の中で繰り返し回る範疇にある。しばらく連絡が途絶えていた友人が心配して電話をしてきた。元気か?から始まって「今度スケッチに行くべ」ということになった。その時にフンデルトワッサーの自然観について話したら「そろそろお前は袈裟まとって全国行脚したらどうだ」と言う。「袈裟をまとうにもカネがない、そういうことを言うんだったら袈裟を準備してくれ」と言って大笑いした。そんな時にはいつも山頭火が脳裏に浮かぶ。そう思ってみればフンデルトワッサーも山頭火と考え方が似ているような気がする。自然のままに生きるということ、不景気の中にあっては価値観を考え直してみる絶好の時期かもしれない。 |
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2000/05/05、金曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
18:50 | 19:20 | NHK教育 | やってみよう実験 | 「振動が描くふしぎなアート」 |
19:30 | 20:00 | NHK教育 | きらっと | 「仲間と出会う世界が広がる・藤田和子さん」 |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | 地球時間 | 「コソボ・殺りくの谷」 |
23:00 | 24:10 | NHK教育 | 金曜フォーラム | 「21世紀の文化発信都市へ・イベント学会・浜松」 |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 少年の心と命の重み |
一連の少年による凶悪犯罪の多発で、監視カメラの導入や少年犯罪への厳罰法制化などの動きが出てきている。しかしこれらは、どれも物理的な処置に終始している傾向がある。つまり心の問題があまり考慮されていない。犯罪を行ったという行為の結果のみを重視し、犯罪に至る心の動きが問題にされていない。犯罪を防ぐなら、犯罪に至る前の心の問題を問うべきだろう。かつてある地方自治体で子供警察をつくろうとする動きがあった。子供が子供を監視、さらには大人まで監視させようというのである。子供警察の制服まで準備しようとしたこの企画は、さすがに人権団体などから非難を浴びて立ち消えになった。何が問題なのかは言うまでもない、実に短絡的で危険な企画である。子供たちの心に猜疑心ばかりが芽生え、互いに監視し警戒するという世界を想定するだけでも恐ろしい悲劇がみえてくる。この世界はカンボジアのクメール・ルージュ(ポル・ポト派)によって現実となったことは記憶に新しい。子供が自分の親の思想を監視し、思想犯として処刑される悲劇が公然と行われた。監視体制が進めば進むほど、それによって抑圧される人間心理は、より犯罪の多発を生み出す結果になるだろう。 |
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2000/05/04、木曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:10 | 19:30 | NHK教育 | 健康 | 体の不調を食事で治す |
19:30 | 20:00 | NHK教育 | にんげんゆうゆう | 夢は定年農業!夫婦でひらく新天地 |
21:00 | 21:43 | NHK総合 | にんげんドキュメント | 「絵に生命を吹き込めアニメ映画監督宮崎駿とスタジオジブリの若者たち」 |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽介護保険1カ月で |
22:54 | 23:50 | TBSテレビ | 筑紫哲也NEWS23 | 連休だからゆっくりと“こころ”を語ろう(1)永六輔さんと夕焼けを眺めながら |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | あすを読む | 遺伝子組み換えイネ |
ニュースは高速バス乗っ取り事件一色である。その意見の多くは少年犯罪へのもっと厳しい処分を求めるもの、中には他の人に危害が及ぶ前に射殺すべきだった、との有識者の意見もあった。この事件の数日前にも、17歳の少年が「人を殺す体験をしてみたかった」として主婦を殺した事件があったばかりだ。そこには人が互いに生身の人間として確認できない、殺される人間の心の痛みを感じられない以前に、肉体的な痛みさえ想定することができない本能的な欠落があるようだ。相手の足を踏む人間には、踏まれている人の痛みは分からないが、踏みつけている足の感触ぐらいは分かるものだ。しかし、最近頻繁に起きている少年の凶悪犯罪は、踏みつけるその感触すら感じられないのではないか。殆どの番組でも、少年犯罪の凶暴さに警鐘を鳴らしはするが、その犯罪に至った少年の心の動きはあまり問題にしていなかったようである。ただ、殺された人とその家族の心痛を思い、厳罰に処すべきだとの意見で一致している。少年が刃物を持つ以前には、それを凶器とする少年の心の動きがあるはずだ。その心をさらに遡れば、人を命としてみられなくなる環境もあっただろう。誰か私を殺してくれ、と悲痛な哀願でもって平和の意志を伝えようとする詩人がいる。戦争で殺されるのは嫌だ、まして殺すのも嫌だ、いっそのこと誰か私を殺してくれと訴えている。戦争のない平和を極限まで希求するなら、それは当然の帰結であろう。少年の母親は教育熱心で、少年もまた学校では優秀な成績を残している。それがなぜ?と首を傾げる時、やはり教育そのものに人間の命ある心が欠落しているとしか思えない。否応のない知識の詰め込みに辟易して嘔吐もできない、心の乾ききった殺伐とした教育現場が背景にあるのではないか・・・殺してしまった報いで死刑になるのは当然だと、少年の厳罰を願う多くの意見の中で、仮に少年が「死にたくない」と叫んだ時、おそらくそれは無視されるだろう。人を殺しておいて、自分が殺される段階になって命乞いするほど身勝手なことはないと。しかし、同時に「死にたくない」と悲痛な声をあげた瞬間に、少年は始めて自分が殺した人間の悲痛を感じたことにもなる。それを人は「取り返しのつかない」ことだと言う。死刑囚の殆どは死刑間近になると恐怖に怯え、死刑台まで引きずられる通路には、死刑囚の垂れ流す糞尿が続いているという。それこそ死刑囚といえども生身の人間である証拠であろう。国民の大半が少年の残虐非道に激怒し、少年の肉体的な消滅を願う時、その心は裁判官そのものになっているのではないか・・・裁かれる悪ほどに穢れのない心で裁くなら、少年はその心に準じて処刑されてしかるべきであろう。射殺して、これからの少年犯罪への見せしめにすべきだ、と言い放った某有識者をして、その心は人を裁くに相応しい清廉潔白な人格者なのだと信じたい。私には無理だ。なぜなら私もまた心の内において殺人を犯してきたからである。憎悪と復讐心にまみれた私の穢れた心はむしろ、誰か私を殺してくれと叫びたいくらいだ。せめてもの願いは、人殺しを合法化する戦争だけは拒んでいきたい、ということ・・・人を裁くほどに私は清廉潔白ではないのだから。 |
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2000/05/03、水曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:30 | 20:00 | NHK教育 | にんげんゆうゆう | 故郷に戻り定年帰農▽夢の村づくり |
21:00 | 21:43 | NHK総合 | その時歴史が動いた | ▽戦火の中で生まれた幻のアニメ |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | ▽パンクしてもそのまま走れる夢のタイヤ |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「冠婚葬祭(3)自分のために葬式を準備したい」 |
22:54 | 23:25 | TBSテレビ | 筑紫哲也NEWS23 | 立花隆ゼミ(2)ぐちゃぐちゃの時代だから面白い |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 日本を狙う闇の組織…潜入!ロシアマフィア |
この日誌を書いている現在、高速バス乗っ取り事件の報道が延々と続いている。犯人は精神科に通院歴のある17歳の少年で、すでに刃物で刺された68歳の女性が死亡している。バス内は日中もカーテンで覆われ、夜になっても水銀灯を嫌うなど、異常に光を嫌う少年の性癖が分かる。こうした性癖は、現実社会を光に例えると分かりやすい。ある種の現実逃避ではないかと思われる。その現実から逃れたいという強迫観念が今回のような事件を引き起こしたのではないか。警察は家族を呼んでの説得を今も続けているが、それらも少年にとっては光を嫌うように、現実という光を突きつけられることになりはしないだろうか・・・つまり逆効果だと。親から、故郷から、学校から、ありとあらゆる過去を含めた現実から、少年は逃れたい一心で高速バスに飛び乗った。行き先は自分の心のままに、運転手を道ずれにしてまで追い詰められた少年の心まで落ちてみよう。逃れようとしても追いかけてくる警察、そして家族・・・日本中が少年の起こした事件に騒然となっている。その現実すら拒否しようとする頑なな少年の心が見え隠れする。そうした少年の心を理解してきたはずの精神医のアドバイスなしに、必死になって説得しようとする警察や家族も効果はないばかりか、逆効果になりはしないかという不安が出てくる。明日の朝になれば、現実という眩しい太陽の光がさらに少年の心を突き刺すことになる。少しずつではあるが、少年が乗客を解放し始めている。それでも親の説得には背を向けているという現在、少年の心の中まで浸透するような温もりのある説得が急がれている、そんな気がしてならない。 |
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2000/05/02、火曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | ▽難民と向きあう日々・緒方貞子 |
19:54 | 20:58 | テレビ朝日 | たけしの万物創世紀 | 血を吸う人間の正体▽3分で近視が治る |
21:54 | 23:09 | テレビ朝日 | ニュースステーション | 朝日新聞阪神支局襲撃事件の闇に迫る |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 有珠山上空を飛ぶ影…空自偵察機の活動密着 |
23:50 | 24:00 | NHK総合 | 明日を読む | マイクロソフト分割 |
24:15 | 25:10 | NHK総合 | Nスペ[再] | 「世紀を越えて・人体改造時代」 |
13年前の明日、1987年5月3日は朝日新聞阪神支局が散弾銃を持った男に襲撃され、記者二名のうち一名は重症、もう一人の若い記者・小尻智知博さん(29)が亡くなった日である。後に赤報隊の犯行声明が出されたことから、警察やマスコミは赤報隊を調べるが、今に至って直接犯行に結びつく証拠は出ていない。これについては「噂の真相」最新5月号に「不祥事続発の神奈川県警が封印した赤報隊事件は警官犯行説を追跡!」として、この事件を警察が組織ぐるみで隠蔽していたという疑惑を取り上げている。その真相はともかく、この事件の特異なところは、犯人の背景には組織的な動きがみられるということだろう。何より襲撃した実行犯が私情を挟むことなく淡々と殺人をこなしているというふしがあること、当時は殺しに慣れたプロの仕業という説も出ていた。散弾銃から放たれた弾丸が小尻さんの体内でさらに破裂飛散していることから、弾丸そのものに細工できる武器に詳しい者の関与が想定される。殺しのプロとして推察するなら実行犯は任務を終えた後に高飛びをしているだろう、などと勝手に憶測した記憶がある。朝日新聞が狙われた原因には、それまで朝日新聞が追求していた何らかの事件が背景にあると思われた。それらの関連事件を互いに線で結びつけることで浮かんでくるものは何か?堂々と犯行声明を出しながら、調べれば調べるほど実態が曖昧になってくる赤報隊は、事件の真相を覆い隠すための誘導ではなかったか・・・朝日テレビのニュースステーションでも赤報隊を執拗に調べながら、その赤報隊の中でさらにもう一つの赤報隊がつくられたことなど、調査が赤報隊に向かうことで迷走していく様子が顕著だった。特集番組の締めに久米氏が「犯人はこの番組をきっと見ているはず、あなたは卑怯だ」とカメラに向かって呼びかけていたが、事件から13年後の今、実行犯が私情を挟むことなく小尻記者を射殺した冷血を思い起こせば、久米氏の呼びかけに心動かされる公算は全くないだろう。むしろせせら笑っている犯人像が浮かんでくる。 |
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2000/05/01、月曜 | ![]() |
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開始時 | 終了時 | テレビ局名 | タイトル | 内容 |
19:35 | 20:00 | NHK総合 | クローズアップ現代 | 姿なき犯罪者・狙われる個人情報 |
20:00 | 20:45 | NHK総合 | 生きもの地球紀行 | オオカミもヤマネコも絶滅からよみがえれ |
22:00 | 22:45 | NHK教育 | ETV2000 | 「冠婚葬祭(1)オトナになりたくない若者たち」 香山リカvs永六輔 |
22:54 | 23:25 | 日本テレビ | ニュース出来事 | 車イスと自動車レース…男達が挑戦する理由 |
日誌を書くたびにいつも思う。そこには何を書くべきか、迷っている自分がいる。書かなくてはならない、という自分への強迫観念が出てくると、私はわざと日課を無視することにしている。書かなくてもいい気楽な自由もあるのだ。という認識をあらたにするために、書きたくなるまで心を遊ばせておく。常識でいうところの「無為な時間」に耐えられないほど、自分の心が何かに縛られていることにもなる。少なくとも私はそう思う。こうして日誌を書いていても、あと何行書けば日誌らしい体裁が保てる、といった打算も働く。これを読んだ人がどう反応するか?そんなところから自由であるべきはずの心を、何のことはない、自分が縛り付けていることに気付く。というわけで、何気なく、楽しめない、疲れた、どこかで焦っている、正体不明の何かを払拭するために、これから無為な時間に心を遊ばせてやりたい。 |