シリアのハダム前副大統領は30日放映された中東の衛星テレビ局アルアラビアでのインタビューで、2月に暗殺されたレバノンのハリリ元首相をシリアのアサド大統領が直接脅していた、と明らかにした。この発言は、前副大統領がアサド政権に事実上反旗を翻したとみられ、米国などからの批判を受ける同政権はさらに窮地に追い込まれることになった。
前副大統領によると、ハリリ氏暗殺の数カ月前、アサド大統領がハリリ氏に「我々に従わないものは誰であろうとつぶす」などと言い渡していたという。
また、暗殺について、ハダム氏は「シリアの情報機関は独自に物事を決められない」とも述べた。シリア情報機関が事件に関与していた場合にはアサド大統領自身の指示があった可能性がある、との指摘だと受け止められている。
現大統領については「政策で間違いが多すぎる」とも批判した。
ハリリ氏暗殺事件についてシリアの関与の可能性が指摘されているが、今回の発言は政権中枢にあった人物のものだけに、シリアに対する国際的な圧力がさらに高まることになりそうだ。
ハダム氏はアサド大統領の父ハフェズ・アサド前大統領の時代から副大統領の座にあったが、6月に辞任。その背後には世代交代を目指す現大統領の意向があったとみられる。現在はパリで暮らしており、事実上の亡命生活との見方が強い。
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