■パレスチナ情勢 04/10/05-10/18
イスラエル軍がパレスチナ武装勢力に銃撃、4人死亡---10/18
[エルサレム 18日 ロイター] ガザ地区などで、イスラエル軍がパレスチナ武装勢力に銃撃し、4人が死亡した。
イスラエル軍筋によると、イスラエル軍は、厳重に張り巡らされたフェンスを潜り抜け、イスラエル南部のネゲフ砂漠付近のキブツ(集団農場)に近寄ろうとしたパレスチナ武装勢力2人のうち、1人を射殺した。残る1人は、身に着けていた爆弾によると思われる爆発によって死亡したという。
また、イスラエル放送は、イスラエル軍が、ガザ地区のユダヤ人入植地付近で爆弾を仕掛けようとしていたパレスチナ武装勢力2人を射殺したと伝えた。
ガザ地区撤退で国民投票実施を=イスラエル教育相---10/17
[エルサレム 17日 ロイター] イスラエルでは、シャロン首相が打ち出しているガザ地区からのユダヤ人入植地撤退の是非を問う国民投票実施求める声が高まっているが、リブナット教育相は17日、国民投票に支持を表明した。これにより、首相に対し、国民投票実施の圧力が一段と強まると見られている。
国民投票を求める側は、投票により政治的な安定が確保され、暴力事件が回避される可能性もあるとしている。
しかし、首相は先にも国民投票実施要求を拒否し、首相支持者は、国民投票により、世論調査で国民の大半が支持しているガザ地区および一部ヨルダン川西岸の入植地撤退計画が遅延する、と主張している。
リブナット教育相は、「衝突や内戦を回避するため、現時点では人々の総意を聞く必要がある。それは、国民投票または選挙を意味する。私は、無論国民投票が好ましいと思う」と述べた。
パレスチナ住民、イスラエル軍撤退の住居跡で途方に暮れる---10/16
[ジャバリア難民キャンプ(ガザ地区) 16日 ロイター] 大規模侵攻作戦を終えたイスラエル軍が撤退したガザ地区のジャバリア難民キャンプでは16日、パレスチナ住民は破壊された住居跡で途方に暮れている。
ラマダン(断食月)の始まりに際して、イスラエル軍は人口の密集したガザ地区からの撤退を決めたが、モファズ国防相はロケット弾攻撃阻止のための戦闘は停止しない意向を示した。
医療関係者によると、17日間の掃討作戦で100人以上のパレスチナ人が死亡した。
<イスラエル軍>逃げる少女に背後から銃弾 ガザ地区----10/5
イスラエル軍占領下のガザ地区南部で今月5日、通学中の13歳のパレスチナ人少女が兵士に射殺された。小柄な体に撃ち込まれた銃弾は少なくとも15発。「視界不良の中でテロリストと誤認した」との軍側のお決まりの説明をそのまま受け入れることはできなかった。私にも11歳の娘がいる。殺された少女の無念さを思い、現場に入った。【ガザ地区南部ラファで樋口直樹】
ガザ地区最南端のエジプト国境に接する町ラファ。第3次中東戦争(67年)などで故郷を追われた難民が肩を寄せ合うテルスルタン地区で、事件は起きた。5日午前6時45分ごろ、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の小学校に通うイーマーン・アルハムスさんは、学校から400メートルほど離れた荒れ地を一人で歩いていた時、近くのイスラエル軍陣地から銃撃された。
「当時は濃霧のため視界が悪く、同時にパレスチナ人居住区方向から銃撃されたため、テロリストの爆弾攻撃と判断、射殺した」。事件直後、イスラエル放送は軍当局筋の話としてこう伝えた。
だが、証言は食い違う。近くのブロック製造工場から事件を目撃したゾアロブさんは「(当時)霧はなく、視界は良かった」と断言する。かつて宅地や農耕地だった一帯はイスラエル軍のブルドーザーで破壊され、遮へい物はない。軍の陣地は小高い丘の上にある。
ゾアロブさんによると、最初の銃撃は軍陣地の監視塔付近からだった。イーマーンさんの足元への銃弾で砂煙が上がると、少女は手にしたカバンを捨てて走り始めた。途中で足を撃たれ、よろめきながら数十メートル逃げたが、ついに小さなくぼ地に倒れ込み、二度と立ち上がらなかったという。
非情な仕打ちは続いた。少女を追った兵士5人のうち1人が、少女が倒れているくぼ地に向け数メートルの至近距離から自動小銃を連射した。「あの子は既に死亡していた。彼らは死体に銃弾を浴びせたことになる」と、遺体を検視したアルハムス医師。頭や胸、手足など15カ所以上撃たれていた。医師は、皮肉にもイーマーンさんの親類だった。
少女はなぜか通学路から外れ、立ち入り禁止区域を歩いていた。しかし、青と白の縦じまの学校の制服を着ていた。逃げる少女に追い打ちをした行為は、常軌を逸しているとしか思えない。
事件後、内部告発により、倒れた少女を銃撃したのは中隊長で、部下の制止を振り切っての行為だったことが判明。イスラエル国内からも非難の声がわき上がり、軍当局も調査に乗り出した。
「なぜ娘が殺されなければならなかったのか教えてほしい」。少女の父サミールさんは、泣きはらした目で私にこう訴えかけた。無抵抗な子どもが殺され、その真相も十分に明らかにされない。そんな戦場の狂気の中で、私は確かに少女の無念の声を聞いた気がした。
◆教室まで銃撃
「小学校の教室でパレスチナ人の少女が撃たれた。重体だ」。ガザ地区南部のテルスルタン地区で少女射殺事件を取材していた12日、車で約30分の距離にある町ハンユニスから一報が飛び込んだ。病院に駆けつけると、11歳のガディール・アブムハイマルさんは緊急手術の最中だった。脇腹から入った1発の弾丸は内臓に致命傷を与え、出血が止まらない。「来い。現実を見るんだ」。血まみれの看護師の手で手術室へ連れ込まれた私は、あまりにむごたらしい光景を直視することができなかった。
少女は同日午前10時45分ごろ、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する小学校の教室で授業中、座っていて撃たれたという。常識では考えられない。だが、事件の約1時間後に同校を訪れた私は、少女が撃たれた状況を実体験することになる。取材中に再び、学校が激しい銃撃にさらされたのだ。
「机の下へ。さあ早く」。教室では教師の指示に従い、子どもたちが2人掛けの木製の机の下に潜っていた。乾いた掃射音が高く低く、校舎に響き渡る。銃撃は断続的に約15分間続いた。すさまじい銃撃音にけおされ、私も腰が砕けるように教室の床にへたり込んだ。
校長が指さす先に目を凝らすと、500メートルほど離れた場所にユダヤ人入植地を囲む巨大な防御フェンスが見えた。銃弾はイスラエル軍の監視塔から飛んでくるという。こんな時、軍当局は必ず「テロリストへの反撃」を銃撃の理由に挙げる。だが、学校の周辺で武装勢力が発砲しているのかどうかは確認しようもない。一つだけはっきりしているのは、無実の子どもたちが学校で殺されかかっていることだ。
「いくら危険でも、子どもたちが学ぶべき場所はほかにないのです」。銃声がやむと、教室では授業が再開された。校舎の壁に描かれた平和の象徴であるハトの絵に、大きな弾痕が刻まれていた。ガディールさんは事件翌日、死亡した。
パレスチナの地で繰り返されてきた暴力は、イスラエルの占領に武力で抵抗する武装勢力と、イスラエル軍の過剰な反撃によって増幅されている。イスラエル軍部隊も、130万人のパレスチナ人がひしめき合うガザ地区の中では、小さな勢力でしかない。武装ヘリからのミサイル攻撃などは、現地住民の憎悪に取り囲まれた兵士らの恐怖の裏返しでもある。
「腹を出して1回転しろ」。ガザ地区中部の検問所でイスラエル兵に命令され、ズボンを下ろしたことがある。爆弾を隠し持っていないか確認するためだ。順番を待つ200人ほどのパレスチナ人。だが、より恐怖を感じているのは近くで銃を構える兵士の方だった。徴兵制のイスラエルでは、高校を卒業したばかりの若者が最前線へ送り出される。そばかす顔の兵士らの銃口は、小さく震えていた。
ガザでの取材は、交通の自由を奪われた現地住民の困難と忍耐を体験する場でもある。南部のハンユニスから北部のガザ市まで車で1時間の距離を進むために、何日も待たされることがある。「治安上の理由」でイスラエル軍が度々、交通の要衝を封鎖するからだ。
今回の取材の帰路では、最初の検問を通過するのに2日間待たされ、二つ目の検問所は車での通行が許可されず、真夜中にラクダが引く荷車に身を預けた。イスラエル側への最後の検問所の手前には戦車が陣取り、特別な許可を得た者しか通行できない。丘の上の戦車を見上げながら許可を待つ私に、ベドウィン(アラブの遊牧民)の白装束を着た近くの村の老人が、甘いシャイ(紅茶)をいれてくれた。
戦車の前をタクシーで通り過ぎるとき、耳元ですさまじい機銃音が鳴り響いた。両耳を押さえて車の中に倒れ込む。何かの手違いで自分たちが撃たれているのかと思い、横たわったまま軍当局へ電話する。「ベドウィン村の方で怪しい動きがあった」という。顔を上げると、さっき茶をごちそうになった村の中で、土煙があがっていた。
「あなたは帰るべき安全な場所がある。私たちにはそれがない」。パレスチナ人運転手の一言が胸に突き刺さり、重い足で最後の検問所を渡った。
■ことば=パレスチナ紛争
イスラエルとその占領地(ヨルダン川西岸とガザ地区)の総称である「パレスチナ」の地をめぐるユダヤ、アラブ両民族の争い。世界各地で迫害されてきたユダヤ人が48年にイスラエルを建国。故郷を追われたアラブ人(パレスチナ人)との間で激しい戦いが繰り広げられてきた。93年のパレスチナ暫定自治合意(オスロ合意)によって占領地に自治政府が誕生したが、00年9月に衝突が再燃。この4年間で約3000人のパレスチナ人と約1000人のイスラエル人が死亡している。
イスラエル、ガザ地区の難民キャンプから軍撤退へ=報道---10/14
[エルサレム 14日 ロイター] イスラエルの報道によると、シャロン首相は14日、ガザ地区北部の難民キャンプや、その他の人口密集地域からのイスラエル軍撤退を指示した。
イスラエルのラジオは、撤退は14日夜にも開始される可能性があり、イスラム教の断食月であるラマダンが始まる16日までに、パレスチナ人自治区での展開規模が縮小される予定、と伝えた。
ラジオや新聞がウェブサイトで報じたものだが、シャロン首相のスポークスマンはコメントを控えている。
パレスチナ人の目撃者らは、ジャバリア難民キャンプからの撤退はまだ始まっていない、と話した。
イスラエル軍が武装勢力を摘発、対ロケット警報装置稼動---10/13
[ガザ/エルサレム 13日 ロイター] イスラエル軍は13日、イスラム原理主義組織ハマスに対する掃討作戦を行い、8月末の自爆攻撃に関連して、ヨルダン川西岸で幹部1人を拘束した。また、ガザ地区で空爆を実施し、メンバー2人が死亡した。
これとは別に、ガザ地区北部ベイトラヒヤに侵攻したイスラエル戦車による砲撃で、ハマスのメンバー2人が死亡した。ユダヤ人入植地撤退を実現させるため、イスラエル軍は同地区でパレスチナ武装勢力の掃討作戦を続けている。
このほか、前日にガザ地区南部にある国連関連の学校内で、イスラエル軍の銃撃で負傷した11歳のパレスチナ人少女が13日に死亡。
ラファの難民キャンプでは、サッカーをしていた16歳の少年がイスラエル軍の銃撃で死亡した。
一方、パレスチナ過激派によるロケット弾攻撃を受けているイスラエル国境の町では、先日導入された対ロケット早期警戒レーダーの初の実戦テストが行われ、ハマスによるガザ地区からのロケット弾発射に際して同警戒装置から20秒の警報が流れた。治安担当者によると、警報は町全体に響き渡り、住民の避難が可能だったという。
イスラエルがガザ北部で攻撃、対ロケット弾レーダー設置へ---10/13
[ガザ/エルサレム 13日 ロイター] イスラエル軍が13日、ガザ地区北部での戦闘で、イスラム原理主義組織ハマスのメンバー宅をミサイル攻撃し、メンバー1人が死亡した。パレスチナの医療関係者が明らかにした。
他のメンバー3人も負傷した。夜明け前にイスラエル軍戦車が同地区に侵攻し、戦闘が始まった。パレスチナ武装勢力によるロケット弾攻撃の阻止に向けたガザ地区北部でのイスラエルの軍事作戦は、9月末から開始されている。2週間に及ぶ軍事作戦でパレスチナ人93人が死亡、うち53人が武装勢力で、ほかは一般市民。
また、パレスチナ武装勢力のロケット弾攻撃にさらされているイスラエルの町では、ロケット弾の発射を捕捉するレーダー・システムが設置されることになった。3週間のテストを経て、実戦配備される。
ロケット弾の発射を感知し、25秒間警報が鳴るという。
ガザ撤退案、25日に国会採決=イスラエル首相---10/11
[エルサレム 11日 ロイター] イスラエルのシャロン首相は11日、ガザ地区撤退案の国会採決を25日に行う意向を明らかにした。
首相はテレビ中継された演説の中で、ガザ地区21カ所と、ヨルダン川西岸120カ所のうち4カ所のユダヤ人入植地から撤退する案を遂行すると言明。
首相はそのうえで「25日に国会採決を行う」と述べ、シナイ半島をエジプトへ返還した1982年以降建設されてきた入植地からの撤退に向け、具体的日程を示した。
一方、入植推進派の連立勢力が政権を離脱する可能性があり、シャロン政権の一層の弱体化や総選挙の前倒しを招きかねない。
ただ、専門家らは、中道左派野党・労働党の後押しでガザ撤退案が国会で承認される可能性を指摘。労働党党首のペレス元首相は、国会承認に向けて協力する姿勢を示している。
砲弾が家屋直撃、2人死亡 ガザ、イスラエル軍攻撃で---10/9
【エルサレム9日共同】パレスチナ自治区ガザ地区北部のジャバリヤ難民キャンプ付近で9日夜、イスラエル軍戦車の砲弾が家屋を直撃、中にいたパレスチナ人2人が死亡した。
パレスチナ筋によると、家屋には今年3月、イスラエル中部アシュドッドで10人が犠牲となった自爆テロの犯人の家族が住んでいた。イスラエル軍は、武装グループからの攻撃に応戦した際、誤って家屋を直撃しただけだとしている。
軍はパレスチナ過激派によるイスラエル領やガザ地区内のユダヤ人入植地に対するロケット弾攻撃を阻止するため、9月末から同地区北部に侵攻。パレスチナ側の死者はこれまでに約90人に上った。
イスラエル軍がガザ地区侵攻、パレスチナ人4人死亡----10/9
[ガザ市 9日 ロイター] イスラエル軍は9日、ガザ地区北部の町ベイトハヌーンでイスラム原理主義組織ハマスのメンバー2人を交戦の末射殺した。目撃者が明らかにした。
これより先、南部ハーンユニスの難民キャンプへイスラエル軍がミサイル攻撃を行い、パレスチナ警察官2人が死亡した。
イスラエル軍は、同国へのパレスチナ武装勢力のロケット弾攻撃阻止を目的として、10日間にわたりガザ地区への侵攻作戦を続けており、パレスチナ人の犠牲者は計85人となった。
米国、ガザ攻撃中止求める国連決議案に拒否権----10/5
[国連 5日 ロイター] 米国は5日、イスラエルにガザ地区攻撃の即時中止を求める国連安全保障理事会の決議案に、拒否権を発動した。一連の攻撃で、パレスチナ人68人が死亡している。
この日の採決では、理事国15カ国中11カ国が、賛成票を投じた。英国、ドイツ、ルーマニアは棄権した。
過去59年間に米国が拒否権を発動した回数は今回を含め80回。このうち29回が、イスラエル・パレスチナ問題に関するもの。前回は3月25日、イスラエルによるハマス指導者ヤシン師暗殺に対する非難決議に対して発動された。
<イスラエル>イスラム原理主義組織幹部ダバシュ氏を暗殺---10/5
イスラエル軍は5日、パレスチナ自治区ガザで、イスラム原理主義組織「イスラム聖戦」軍事部門の同地区最高幹部バシル・ダバシュ氏が乗った車両を空爆し、同氏を殺害した。イスラエル軍は声明を発表し、空爆はダバシュ氏を狙った「暗殺」であることを認め、同氏がイスラエルへの数々の攻撃に関与していたと非難した。
イスラム聖戦幹部ら殺害 ガザ市でイスラエル軍機---10/5
【エルサレム5日共同】AP通信によると、パレスチナ自治区ガザ市で5日、イスラエル軍機がパレスチナ人の乗った車両をミサイルで攻撃、イスラム原理主義組織イスラム聖戦の幹部ら2人を殺害した。
病院当局者によると、近くにいた3人が軽傷を負った。
9月29日から始まったイスラエル軍のガザ地区北部侵攻作戦で、これまでにパレスチナ人約70人が死亡している。