北オセチア、学校占拠事件
モスクワで13万人の反テロ集会 国民結集を演出
ロシア・北オセチア共和国で起きた学校テロ事件で、モスクワでは7日夕、ロシア政府主導で13万人(モスクワ警察調べ)の反テロ集会が開かれた。「国際テロ組織との戦い」に国民を結集させたいプーチン政権の意向が強く働いている。
クレムリン宮殿脇の広場で開かれた集会は、2日間の服喪の締めくくりとなる。テレビは夕方のトップニュースで報じた。野党からは、今回のテロ事件への対応をめぐる政権への批判をそらす狙いだとの指摘もある。
英紙ガーディアン(電子版)によると、プーチン大統領は6日夜、外国人記者らとの会見で「我々に子供殺しの連中と話をしろと言う権利は誰にもない」と述べ、チェチェン独立派と交渉する余地がない考えを改めて強調した。
事件の真相解明について大統領は、内部調査だけを行う考えを表明。「何が起きたかを時系列で再構成して、誰に責任があり、誰が罰せられるべきかを見つけ出したい」と述べた。議会など第三者による調査については、反対はしないものの「政治的な見せ物」になりかねないとして、慎重な姿勢を示した。
北オセチアの首都ウラジカフカスでは7日、中心部の広場に数百人が集まり、今回の惨劇を阻止できなかった地方当局を批判する集会が開かれた。
震える子供、爆弾の映像も…露学校占拠のビデオを放送
【モスクワ=五十嵐弘一】ロシアの民放テレビNTVは7日夜、同国北オセチヤ共和国の学校占拠事件で、犯人グループが1000人を超す人質を取った直後に、体育館内で撮影したビデオを入手し、放送した。
占拠中の映像が伝えられたのは初めて。ビデオには、体育館内に無数の爆弾を仕掛ける覆面の犯人グループを見ながら、恐怖に打ち震える人質の子供の様子などが映し出されている。
ビデオは87秒間で、占拠初日の今月1日に撮影された。NTVはビデオの入手経路を明らかにしていないが、犯人グループは1日、ビデオテープを当局側に渡したと報じられていた。
人質はすし詰め状態で床に座らされており、トイレに行くためか幼児を抱いて歩く母親の姿も見られる。犯人は、バスケットボールのリング(ゴール)内に爆弾を仕掛けたほか、2つのリングをワイヤで結び、人質の頭上にも手製の爆弾をつるしている。犯人の1人は、床に置いた本のような起爆装置に足をかけ、カメラに示している。
犯人グループの中には、覆面に黒いTシャツの男たちや、全身黒装束で爆弾をベルトで腰に着用し、右手に短銃を構えた女性が見える。
床には遺体を引きずったためか血のりがべっとり長くついている。犯人の1人がそのわきにしゃがみ、黒い箱のような爆破装置にリード線などを巻く作業をしている。多数のリード線が床に散らばっている。爆弾は床にも設置され、犯人の1人が起爆装置を持っている様子だ。
床には、ロケット弾も置かれており、当局の突入作戦があったときに備え、犯人グループがしっかりと武装していた模様の一端が伝わってくる。
肩を寄せ合って、静かに座っている人質らは、重苦しい雰囲気だ。暑さのため、上半身裸の人も多く、本のようなもので自分をあおいでいる女性や、頭の後ろに手を組まされ、おびえた様子で左右をうかがう男の子も映し出されている。
「子供をここにつれてくるな。向こうに連れて行け」。犯人が、カフカスなまりの強いロシア語で叫んでいる。
ビデオは、犯人の1人が、携帯電話で何事かを話す場面で唐突に終わった。
<露学校占拠>最高検検事総長「爆発は武装集団が起こした」
【モスクワ杉尾直哉】ロシア南部・北オセチア共和国の学校占拠事件で、ロシア最高検のウスチノフ検事総長は8日、プーチン大統領と会談し、捜査経過を報告した。
報告によると、武装集団内で占拠直後から学校占拠を巡って内紛が起き、「大佐」と呼ばれた男がメンバーの1人を射殺、2人を爆弾で爆死させ、首謀者らは「ここで全員が死ぬ。テロの実行が唯一の目的だ」と主張。特殊部隊突入のきっかけについては「武装集団が爆弾の(配置)システムを作り変え始めた時に爆発が起き、パニックとなった人質が逃げようとし、武装集団が銃撃を開始した」とした。
一方、露最高検は同日、ロシア政府が、今回の事件を指図したとみるチェチェン独立強硬派武装勢力のバサエフ総司令官と、穏健派指導者マスハドフ氏の居場所などの情報提供者に対して最高3億ルーブル(約11億円)の懸賞金を出すと発表した。ロシアが犯罪捜査で、公式に懸賞金を出すと発表するのは極めてまれで、額も過去最高とみられる。
(毎日新聞) - 9月8日21時35分更新
チェチェン武装勢力の有力情報に11億円の賞金 ロシア
ロシア連邦保安局(FSB)は8日、ロシア南部・北オセチア共和国で起きた学校テロ事件への関与が疑われるチェチェン武装勢力指導者のバサエフ野戦司令官と、マスハドフ元チェチェン大統領の逮捕に結びつく有力な情報提供に、3億ルーブル(約11億円)の賞金を与える、と発表した。ロシア人の平均給与(月6577ルーブル)の3800年分に相当する。
FSBによれば、容疑者の追及に賞金を出すのは、前身の国家保安委員会(KGB)などソ連時代を含む80年以上の歴史で初めてという。生死は問わない。
「最強の治安機関」を誇るFSBだが、旅客機爆破や学校占拠などテロ続発に国民の風当たりが厳しい。ブッシュ政権がイラクのフセイン元大統領やビンラディン氏に2500万ドル(約27億円)の賞金をかけて、フセイン氏の逮捕にこぎつけたことから、FSBも自尊心をかなぐり捨てて賞金を提供することにしたようだ。 (09/08 19:17)
「カフカス全体に戦争を広げる」 学校占拠で拘束の男
ロシア国営テレビなど三つのテレビ局は6日夜、北オセチア共和国で起きた学校テロ事件の犯行グループの一員として拘束された男が、チェチェン独立派のマスハドフ元チェチェン共和国大統領とバサエフ野戦司令官の指示で事件を起こしたと供述する様子を繰り返し報じた。男は犯行の目的について「(北オセチア、チェチェンなどを含む)カフカス地域全体に戦争を広げるためだ」と語った。
報じたのは国営テレビのほか、公共テレビ、独立テレビ(NTV)の2局で、いずれも政権の強い影響下にある。ロシアとの対話を模索するマスハドフ氏と強硬派のバサエフ氏は鋭く対立していることから、供述の信憑(しんぴょう)性には疑問点も多く、チェチェン独立派全般を犯人像とする当局のキャンペーンである可能性もある。
2人の覆面姿の軍人に取り押さえられた男は「指揮官と呼ばれる男が森に私たちを集め、ベスランの学校を襲うよう命じた。マスハドフとバサエフから命じられた任務だと言われた。事件の目的は、カフカス全体に戦争を広げるためだ」と口ごもりながら述べた。
犯人グループには、ウズベク人、アラブ人、チェチェン人が含まれていたとも語った。
プーチン大統領は4日の国民向けテレビ演説で事件について「北カフカスで流血の争いを引き起こすことが目的だ」として、この地域への統制を強める方針を表明している。
学校占拠、バサエフ一派の犯行か…ナゾ残す武装勢力
ロシア・北オセチヤ共和国の学校占拠事件は、なお多くの謎に包まれている。だが、証言や手口などから、犯行グループ像が徐々に浮かび上がってくる。(国際部 瀬口 利一)
◆犯人像
今回の事件での犯行声明はまだ出ていない。だが、一昨年のモスクワの劇場占拠事件で犯行声明を出したチェチェン共和国武装勢力の対露最強硬派、シャミル・バサエフ野戦司令官一派による犯行との見方が強まってきた。
3日付のロシア紙コメルサントによると、今回の事件の主犯格は3人。武装勢力側と人質解放交渉で連絡をとり合った警察官や人質らの証言から、3人は「マガス」「ファントマス」「アブドラ」と名乗っていたことが分かった。
このうち、リーダー格の「マガス」について、露治安当局者は「マゴメド・エブロエフ」という人物だとタス通信に語った。
「エブロエフ」は、チェチェン共和国生まれのイングーシ人で、25歳前後。第1次チェチェン戦争(1996年終結)後に同共和国に隣接するイングーシ共和国で誘拐ビジネスに手を染めるようになった。その後、武装勢力の最強硬派バサエフ司令官率いる部隊に加わり、同司令官の側近中の側近となった。6月にイングーシ共和国の内務省庁舎が襲撃され、90人以上の死者が出た事件も彼が中心になったとみられている。
露当局は、学校を占拠した「マガス」が、実際に「エブロエフ」だったのかどうか裏付けを進めている。アラブ人、国際テロ組織アル・カーイダが実際に関与したかどうかも調べている。
バサエフ一派は、モスクワ劇場占拠事件や今年5月に起きた親露政府派のカディロフ大統領暗殺事件でも犯行声明を出したほか、先月、露旅客機同時爆破テロにも関与したとされる。
◆狙い
犯行グループの要求は、チェチェンからのロシア軍撤退と、隣接するイングーシ共和国で拘束された武装勢力メンバーの釈放。プーチン大統領は、ベスランで開かれた対策会議の席上、「テロリストの目的は、民族間の敵意をあおり、北カフカス地方(の平和)を爆破することにあった」と語った。
手口では、
〈1〉グループに女性が含まれる
〈2〉爆発物を体に巻き付け、いつでも自爆できる態勢だった
〈3〉占拠後、周辺に地雷や爆発物を多数、敷設した
――点などが、モスクワ劇場占拠事件を想起させる。
だが、微妙な相違点もある。劇場占拠事件では、1週間という期限を区切り、ロシア軍のチェチェン撤退を求めた。内外の報道機関を劇場内に招き入れ、集団のリーダーが取材に応じる形で要求を公言するなど、文字通り「劇場型」犯罪だった。今回は犯行グループの「顔」が見えないまま、事件は終息した。
◆連続テロ
女性テロリストの姿が目立った今回の学校占拠事件に先立ってロシアで連続して起こったテロとの関連が注目されている。
先月24日の旅客機テロでは、チェチェン人女性2人が容疑者に浮かんだ。同31日には、モスクワの地下鉄駅近くで、女性による自爆テロが起きた。ロシア紙イズベスチヤによると、この自爆犯は、旅客機テロの容疑者2人とともに、チェチェンの首都グローズヌイで同居していた。
旅客機テロ、自爆テロとも、アル・カーイダ系とされるイスラム過激派組織がウェブサイトに犯行声明を出している。(読売新聞)
突入…銃撃戦、死者150人超す ロシア学校占拠
ロシア南部の北オセチア共和国で起きたチェチェン独立を求める武装集団による学校占拠事件で、ロシア特殊部隊は3日午後(日本時間同日夕)、学校内に突入、銃撃戦になった。人質になっていた児童・生徒と近隣住民ら560人以上が負傷して病院に運ばれた。現地の治安当局は人質の死者について「150人をかなり上回る」と述べた。武装集団のうち20人以上が銃撃戦で死亡したが、まだ主犯らが子供を人質に地下室に立てこもり、抵抗を続けている。さらに別のメンバーは逃走、ロシア治安当局が行方を追っている。最近ロシア国内ではテロ事件が続いているうえ、今回は多数の子供が犠牲になったとあって、プーチン政権に批判が集まることは避けられそうにない。
1日午前、ベスラン第1学校で起きた今回の事件は、襲撃から約50時間後に、大きく事態が動いた。アンドレーエフ連邦保安局(FSB)北オセチア局長は3日夕、死者が150人を大きく超えるとの見通しを示した。また、400人以上を救出したことを確認した。3日夕現在も、数人の武装グループが引き続き子供を人質にとり、抵抗を続けているという。
イタル・タス通信によると、現地入りしたプーチン大統領のアスラハノフ顧問は「(もともとの)人質は1200人で、70%が子供だ」と語った。
AP通信は計563人のけが人が病院に運ばれ、その多くが子供だと伝えた。救出された子供の多くは、上半身裸の状態。蒸し風呂のような状態になった体育館の中で、暑さをしのぐためだったと見られる。中には血を流したり、意識を失ったりした状態で運び出される人もいた。報じられる死傷者の数は、時間の経過とともに増加している。
02年10月のモスクワ劇場占拠事件の犠牲者129人を上回る大きな犠牲を出したことで、プーチン大統領の強硬姿勢に、国内外の批判が集まることは避けられなくなった。
北オセチアは、ロシア連邦を構成する共和国の一つ。同国北部のモズドクにはロシア連邦軍司令部が置かれ、対チェチェン軍事作戦の拠点となっている。約40人と見られる武装集団はチェチェンのロシアからの分離独立を要求しており、チェチェン人、イングーシ人のほか、FSB担当官によると、死亡した20人の中には10人のアラブ人が含まれていたという。ロシア紙は、実行犯の主犯格は、02年10月のモスクワ劇場占拠事件に関与したと見られているチェチェンの最強硬派野戦司令官バサエフ派に近い勢力だと伝えた。
さらにイタル・タス通信は、現地保安当局者の話として、国際テロ組織アルカイダが、今回の事件で資金面での支援をしたと報じた。
アンドレーエフ局長などによると、3日午後1時すぎ(日本時間同日午後6時すぎ)、武装集団側から対策本部に遺体の引き取りを許可するとの連絡が入った。ロシア非常事態省の4人の医師が校舎に入ったところ爆発が起き、人質が閉じこめられていた体育館の屋根が崩落。医師1人と人質150人以上が死亡したという。遺体引き取りをきっかけに、ロシア特殊部隊が強行突入を決断した可能性もある。
爆発後、武装集団が銃撃を開始。ロシア特殊部隊が次々に校舎内に突入した。攻撃用ヘリコプターも飛来した。銃撃が続くなか、人質になっていた生徒がまず建物の外に逃げ出し、ついで母親ら女性の人質が脱出した。
アンドレーエフ局長は朝日新聞に対し、「特殊部隊の突入は計画していなかった。爆発がなければ我々の方から発砲することはなかった」と話した。銃撃戦になった際、人質の親たちが、子供を助けようと現場に突っ込み、被害をさらに広げた模様だ。銃撃や爆発音は、最初の爆発から断続的に夕方以降まで続いた。
インタファクス通信は、銃撃戦で武装集団のうち10人以上が死亡したと伝えた。情報筋によれば、約25キロ離れたウラジカフカス市内に、16人前後の犯人グループが逃走したと見られ、追跡する特殊部隊との間で散発的に銃撃戦が続いている模様だ。
ベスランとその周辺地域では空港、駅ターミナルが閉鎖され、内務省軍が厳重に警戒している。隣接するイングーシ共和国との国境も閉鎖され、ロシア連邦軍が厳戒態勢を敷いている。
ベスラン第1学校は人口3万5000人のベスラン市にある最大の学校。6歳から17歳までの児童・生徒計900人が学んでいる。武装集団は1日、同校で新学期の始業式が行われている最中に乱入し、生徒や父母、教師を体育館に閉じこめた。抵抗した教師ら約20人が射殺された。武装集団のメンバーは黒マスクをかぶり、銃やロケット砲などで武装。「我々はチェチェン人で、ロシア軍の撤退を求めている」と語っていたという。体育館の中では、男女2グループに分けられ、重なり合うように並べられていたという。
人質は1200人=ロシア学校占拠で大統領顧問
【モスクワ3日時事】ロシアのアスラハノフ大統領顧問は3日、北オセチア共和国の学校での人質総数は1200人に上るもようだと述べ、約350人とした当局発表を正式に訂正した。人質のうち70%が児童・生徒だったという。
学校で強力な爆発=ロシア
【モスクワ3日時事】タス通信によると、人質救出作戦が終わったロシア・北オセチア共和国の学校内で3日夜、強力な爆発が起きた。
武装集団の残存分子の1人が校内に残っており、爆弾を操作した可能性があるという。
人質数を過少発表…露当局、情報操作の疑い
【ベスラン(ロシア・北オセチヤ共和国)=古本朗】3日に幕切れを迎えたロシア・北オセチヤ共和国の中等学校占拠・人質テロ事件を巡り、人質の数が当局の当初発表よりはるかに多い1200人だったことが事件後明らかになった。犯人グループも当初発表より多かった模様で、当局が事件の規模を大幅に少なく公表し、情報を操作した疑惑が浮上している。
人質数については、当局は人質総数を児童・生徒、保護者、教師ら329人としていた。
だが本紙が3日の特殊部隊突入後に接触した元人質の女性は、「人質の数は1500人だった」と語った。狭いところに閉じこめられ、人が重なり合う状態だったという。
また大統領府も特殊部隊の突入後、3日夜になって人質数が多かったとの情報を流し始めた。犯人側と電話で接触した露大統領府の高官は、タス通信に対し犯人が「1200人を人質として取っている。うち70%は子供だ」と言ったことを明らかにした。事実とすれば、子供だけで800人以上いたことになる。
ベスランの第1中等学校は、1年生から11年生までが学び、児童・生徒総数は885人で、教師は59人。事件は1日の始業式に発生したため、ほぼ全員が校内におり、それに大勢の保護者が加わっていた。
なぜロシア当局が、人質数を過少に発表したかは不明だが、「特殊部隊による急襲作戦で多数の人質の犠牲が出た場合に、犠牲者数を少なく見せかけるための布石」(消息筋)だったとの推測も浮上する。
実際のところ、結果は150人をはるかに超える死者になった。今後真相が徐々に判明し、死者数、負傷者数が当局の当初発表である「人質数329人」を上回れば、プーチン政権は「過少に発表していたのは、意図的な情報操作ではないか」との深刻な疑問をつきつけられることになる。
ロシア政府は8月に起こった2旅客機墜落事件でも、テロによる墜落であることを認めるのに、非常に消極的だった。この時は、テロが国民に与える恐怖や衝撃を考慮して、意図的に情報を操作していたことも疑われている。
<露学校占拠>治安部隊突入 「体育館に100遺体」報道も
【ベスラン(北オセチア)町田幸彦】ロシア南部・北オセチア共和国で起きた武装集団による中等学校占拠事件で、3日午後1時(日本時間同午後6時)過ぎ、学校で大きな爆発が2回あり、武装集団と治安部隊との間で激しい銃撃戦となった。治安部隊は学校に突入し、約45分後に学校を制圧した。タス通信によると、20人前後といわれた武装集団のうち少なくとも5人が死亡、13人が逃走した。その際、人質を連れ出したとの情報もある。占拠事件は1日の発生以来52時間ぶりに終結に向かったが、インタファクス通信は5人の子供の遺体が発見されたと報じた。またタス通信によると、7人の大人の遺体が病院に搬送されたという。
英国の放送局ITVの記者は「体育館内に少なくとも100人の遺体がある」と伝えた。
逃走した武装メンバーの一部は学校近くの民家に立てこもり、治安部隊と銃撃戦を続けている。
突入に伴い、上半身裸の子供たち約40人が逃げ出して救出された。インタファクス通信は、ロシア治安当局高官の話として、人質となった子供たちのほとんどが無事、と伝えたが、北オセチア共和国保健省によると、計310人が病院で手当てを受けているという。タス通信によると首都ウラジカフカスの病院に搬送された子供20人が重体という。
人質の数について、北オセチア共和国は生徒や保護者、教師ら354人と発表していたが、治安部隊の突入前に解放された複数の人質が3日、約1500人に上ると証言し、情報は交錯している。
銃撃戦が始まる前、共和国政府と武装集団は1日の占拠事件発生直後に死亡した人たちの遺体を回収することで合意。ロシア側による遺体搬出作業の際に爆発音が起き、銃声が響き渡り、その中を生徒たちが脱出した。この爆発についてタス通信は、治安部隊が人質を脱出させようと学校の壁に穴を開けるために起こした、と伝えた。一方で、武装メンバーが学校に仕掛けた爆弾が爆発したか、武装メンバーが体に巻き付けていた自爆用爆弾が爆発したとの情報もある。
占拠事件は1日午前10時(日本時間同日午後3時)ごろに発生。武装集団はチェチェン共和国内のロシア連邦軍の撤退と、イングーシ共和国で拘束されているチェチェン独立派メンバーの解放を要求していた。ロシア側はモスクワの小児科医、レオニード・ロシャーリ氏を仲介者として、電話による交渉を武装集団と行い、武装集団は2日に女性や子供ら人質26人を解放したが、水や食料の差し入れを拒み続けた。
占拠されていたロシア南部の学校、治安部隊が完全に掌握=タス通信
[ベスラン(ロシア) 3日 ロイター] ロシア南部・北オセチア共和国で発生した学校占拠事件で、ロシア特殊部隊が学校に突入した。タス通信は、学校は治安部隊の完全な掌握下にある、と伝えた。
治安部隊が学校に突入する前、対地攻撃ヘリが学校の上空を飛ぶのが見られ、学校の付近では大きな爆発音や砲撃の音が続いていた。
ロシア学校占拠、武力での解決は計画せず=北オセチア共和国大統領
[モスクワ 3日 ロイター] ロシア南部・北オセチア共和国の学校で、武装勢力が少なくとも500人を人質に取って立てこもった事件で、北オセチア共和国のザソホフ大統領は、治安部隊は武力での解決は計画していない、と言明した。
記者団に対して明らかにした。
同大統領は、「武力という選択肢は検討されていない」と述べた。 武装勢力はチェチェン共和国の独立を要求している、とも述べた。
露の学校占拠 ロケット弾、警官負傷 水・食料差し入れ、武装集団再び拒否
【モスクワ=内藤泰朗】ロシア南部の北オセチア共和国ベスランで起きた学校占拠事件で三日未明、学校周辺でロケット弾とみられる二発の爆発音が聞こえた。対策本部は断続的に人質解放交渉を行っているもようだが、これまでに子供や女性二十六人を解放した以外に武装集団が態度を軟化させる気配はみられない。三日目の朝を迎えて人質の疲労も極限に近づきつつあり、予断を許さない状況が続いている。
AP通信などによると、最初の爆発音は占拠された学校から数百メートルの地点で聞こえた。共和国大統領府報道官によると、武装集団側は学校の周囲で不審な動きがあったために発射したことを認めた。この爆発で警察官一人が負傷した。
武装集団は二日、女性や二歳以下の子供の人質二十六人を解放。残る約三百三十人の人質をめぐり解放交渉に当たっているロシャリ医師は水や食料、医薬品の差し入れを申し出たが、改めて拒否されたと語った。
プーチン大統領は二日、訪露したヨルダンのアブドラ国王との会談で人命を最優先する意向を表明したが、強行突入など実力行使を視野に入れて対応を検討しているもようだ。
事件は犯行形態などから、ロシアからの独立を求めるチェチェン共和国独立最強硬派のバサエフ司令官が関与しているとみられ、目撃証言などから、同司令官に近いウマロフ野戦司令官が現場で指揮しているとの見方が出ている。
ウマロフ司令官は第一次チェチェン紛争に参加した後、チェチェン共和国で安全保障会議事務局長を務めた有力者とされ、六月に起きたイングーシ共和国の内務省庁舎襲撃事件でも指揮役を務めた疑いが浮上している。
犯人側、特殊ガス対策に犬 ロシア学校人質事件
【ベスラン(ロシア北オセチア共和国)3日共同】ロシアの学校人質事件で、チェチェン共和国独立派とみられる犯人グループが、特殊ガスなどを使用した特殊部隊の突入に備え、嗅覚(きゅうかく)の鋭い犬を連れ込むなど綿密な対策を講じていることが3日、分かった。通気を良くしてガスの効果を奪うため、校舎のほとんどの窓ガラスを破壊、周囲には多くの地雷を敷設している。複数の治安筋が語った。
2002年10月にモスクワで起きた劇場占拠事件で、特殊部隊が劇場に特殊ガスを送り込んで突入、武装勢力41人がほとんど抵抗できずに射殺されたことを「教訓」にしている。
武装集団がロケット弾発射=交渉一時中断−ロシア学校占拠事件
【モスクワ3日時事】ロシア南部の北オセチア共和国ベスランの学校占拠事件で、武装集団は3日未明、学校周辺にロケット弾2発を発射し、インタファクス通信によると、警官2人が負傷した。この後、武装集団の意向で、対策本部との接触が一時停止した。
ロケット弾は学校から500メートルの地点などに着弾、大きな爆発音が響いた。共和国大統領府報道官によると、対策本部が武装集団と接触し、状況説明を求めたところ、「何かの動きがあったためだ」と回答したという。