NHK不祥事
2004/07/23-08/03
●NHKソウル支局長が取材費水増し 処分公表せず
NHKのソウル支局長が93年から97年にかけて取材経費を水増し請求していたとして、厳重注意処分を受けていたことが3日、分かった。NHKは97年に処分したが、公表しなかった。4日発売の週刊誌「週刊新潮」が報じた。
この支局長は、韓国の制作プロダクションに、一定額を上乗せした取材経費などを請求させ、上乗せ分を受け取っていた。
処分を公表しなかった理由について、NHKは「私的な流用がなく、領収書をもらえない取材の飲食などにかかった経費の穴埋めに使ったため。経理処理が正しくなかっただけ」と話している。しかし、「上乗せの総額ははっきりしていない」という。
この支局長は93年から97年までソウル支局長を務め、東京での勤務を経て、今年6月から再びソウル支局長として赴任している。
●NHKの元部長が90万円着服 99年、処分も公表せず
NHK(日本放送協会)岡山放送局の元放送部長が99年春、架空の飲食代の請求書を偽造するなどして計約90万円を着服したとして、懲戒免職になっていたことが2日、わかった。同局は「着服金を全額返済しており、協会として最も重い処分にしている」として事実関係を公表せず、刑事告訴も見送っていた。
同局によると、元放送部長は96年2月ごろから97年12月ごろの間、実在しない飲食店2軒からの請求書を偽造し、複数回にわたって、局から金融機関の店の架空口座に金を振り込ませていた。
98年、局内の職員の内部告発で発覚。元部長も着服していたことを認め、99年4月に懲戒免職になった。着服金の使途について同局は「特定できなかった」としている。
元部長は95年6月、岡山放送局では局長、副局長に次ぐポストの放送部長に着任。98年6月に衛星放送局(東京)の副部長に異動した。着服の発覚が異動の前か後かについて同局は「不明」としている。
NHK岡山放送局の小池不二男副局長は「受信料で支えられているNHKで、不正に公金が支出されたのはあってはならないこと。心からおわび申し上げます」と話している。
NHKでは先月、放送総局の元チーフプロデューサーが「紅白歌合戦」などの番組構成料の名目で、計4800万円余りを不正に支出していたことが発覚。このチーフプロデューサーを懲戒免職とし、不正支出先となったイベント会社社長とともに詐欺の疑いで警視庁に告訴状を出している。
● NHK編成幹部らカラ出張、不正に3百万円、処分未公表
番組制作局で多額の経費が着服されていたNHK(海老沢勝二会長)で、編成局のチーフプロデューサーら2人がカラ出張を繰り返し、計約300万円を不正に支出させていたことが27日、分かった。局内では3年前に発覚し、放送総局長が2人を厳重注意処分して配置転換したが、公表していなかった。
処分を受けたのは、プロジェクト「宇宙新時代」の責任者だったチーフプロデューサーと、部下の主管。2人はいずれも報道局出身。現在は地方で勤務している。
NHK広報局の説明によると、2人は98年度から00年度にかけての3年間、国内出張の名目で架空経費の請求を繰り返し、2人合わせて計約300万円を不正に受け取っていた。01年5月に発覚し、同月24日付で放送総局長から口頭で厳重注意処分を受け、いずれも別々の地方局に配置転換された。2人から約300万円は全額返済されたという。
処分当時、2人はNHKの調査に対し、「私的な流用はしていない。打ち合わせに伴う会食など業務に必要な経費として使った」と弁明していたという。
当時の関係者によると、「宇宙新時代」プロジェクトは、報道や技術などの各セクションからスタッフが集まり、宇宙をテーマにした番組や視聴者イベントなどの企画、調査などを担当していたチーム。
NHK広報局によると、当時処分を公表しなかった理由について「私的流用がなく、全額返済したから」としている。また、詳しいいきさつは当時の状況を調べていないため、不明だという。
NHKでは、番組制作局の元チーフプロデューサーが「紅白歌合戦」などの番組構成料名目で、計80回計4800万円余りを不正に支出していたことが発覚。23日、プロデューサーを懲戒免職とし、不正支出先となったイベント会社社長と共に詐欺容疑で警視庁に告訴状を出している。
● 制作費着服 「紅白」など総額4800万円 職員懲戒免職、NHKが告訴
会長ら6人も処分
NHKのチーフプロデューサーが番組制作費を着服していた問題で、平成八年から十三年まで「紅白歌合戦」など複数の番組で架空の「番組構成料」計四千八百万円がイベント企画会社社長に支払われていたことがNHKの内部調査で分かり、NHKは二十三日、この磯野克巳チーフプロデューサー(四七)を同日付で懲戒免職処分にし、会社社長とともに詐欺容疑で警視庁に告訴状を提出したことを明らかにした。
さらに当時上司だった天海(あまがい)修一・現芸能番組センター長を停職六カ月として同センター長を解任、海老沢勝二会長も減給30%三カ月とするなど計七人の処分を発表。不祥事で処分が会長に及んだのは、平成五年のNHKスペシャル「ムスタン・禁断の王国」のやらせ発覚以来。
NHKの説明によると、磯野元チーフプロデューサーは管理職になった平成八年以降、担当した番組で放送台本作成のための番組構成料の名目で一回数十万円を八十回あまり会社社長あてに支払わせ、その一部を返金させてだまし取った。「主に音楽関係者との飲食代に使った」と話しているという。
内訳は
▽「紅白歌合戦」が八−十二年の五回、計六百万円
▽「BSジュニアのど自慢」千九百万円▽「ふたりのビッグショー」三百六十万円
▽「青春のポップス」九百万円
▽「土曜特集・鶴瓶の家族に乾杯」四百万円▽他の番組六百八十万円。
「BSジュニアのど自慢」の後任者が勤務実態が不明確な放送作家がいることに気づき、十三年に天海歌謡・演芸番組部長(当時)に報告。天海部長は社長への支払いを打ち切ったが、適切な実態調査を行わなかったとして今回処分された。
海老沢会長は会見で「視聴者・国民の信頼を損ねることになり、まことに遺憾であり残念」と述べ、陳謝した。NHKは今回告訴した社長以外にも不正な支払先があったかなど、全容解明に向けて調査を継続する。
(産経新聞)