【私的めもらんだむ】
6時
デヴッド・ロックフェラーが会長の「チェース・マンハッタン銀行」は、その前身を「チェース・ナショナル銀行」といい、会長は同族ウィンスロップ・オルドリッチであった。その姉アビーの夫がジョン・D・ロックフェラー2世であるから、ロックフェラー家の累進所得税対策は同族同士の共犯であった。変り種はロバート・オルドリッチで映画「ヴェラクルス」の監督をしていた。アビーにとっては甥にあたるが、何故かロバート・オルドリッチ監督は死ぬまで父親の名前を明かさなかったと云われている。大銀行の支配一族としての生い立ちに何か引け目を感じていたようでもある。
★allcinema SELECTION「ロバート・オルドリッチ」
政財界の名門の家に生まれ(叔父にはロックフェラー・センターの創設者、ジョン・D・ロックフェラーJr。その息子でニューヨーク州知事やアメリカ副大統領にもなったネルソン・A・ロックフェラーは従兄弟にあたる)、バージニア大学経済学部を卒業後、RKOの使い走りとして映画界に入る。チャップリンの「ライムライト」などの助監督を経て、53年の“Big
Leaguer”で監督デビューを果たした。人間の執念、憎悪、激怒などを強烈に描写した作品が多く、“骨太”と評される独特な演出が特徴。「攻撃」、「何がジェーンに起こったか?」、「特攻大作戦」、「飛べ!フェニックス」、「北国の帝王」、「合衆国最後の日」など、多彩なジャンルに渡る異色作を手がけた。83年に腎臓疾患のためこの世を去った。息子のウィリアムはプロデューサーになった。
★「ウィリアム・オルドリッチ」
相関図が示すようにロックフェラー家とオルドリッチ家を結ぶ線は、さらにセオドア・ルーズベルト大統領(1901-1909在任)とフランクリン・ルーズベルト大統領(1933-1945在任)といった二人の合衆国大統領を同族として輩出してしまう。
強欲なセオドア・ルーズベルトはロックフェラー家参加の鉄道王ハリマン家から5万ドル、同じくロックフェラー家の持ち物スタンダード石油から12万5000ドル、J・P・モルガンから15万ドル、彼ら二大財閥関連から総額200万ドルの献金を受けながら、なおかつ10万ドルの追加請求をしている。同族ならでのこうした巨額献金は、パナマなど中南米派兵による利権獲得の大配分としてロックフェラー家に見返り報酬をもたらしている。
一方、やはり同族のフランクリン・ルーズベルトはモルガン財閥にしっかり食い込むと、共同経営しながら、息子フランクリン・ルーズベルト2世は爆薬化学メーカーを支配する「デュポン家」令嬢エセルと結婚し、その特権閨閥を強固にしていく。フランクリン・ルーズベルトは全国犯罪委員会も組織するが、泥棒成金がいったい何を取り締まろうというのだろう?
ネルソン・オルドリッチの憲法修正での変節ぶりは昨日書いた通りだが、それ以前に彼はタフト大統領に拒否権行使を思い留まらせている。まるでオルドリッチは意のままに大統領を動かしているようにみえるが、ウィリアム・ハワード・タフト大統領その人がロックフェラー家の支援で大統領になった人物であった。彼の父親はロックフェラーの内閣と揶揄されたグラント政権下で陸軍長官をつとめていたのだ。全てはロックフェラー家の息がかかっていた。今や世界を覆う現国際金融システムの原形がここに有るといっても過言ではあるまい。
【視聴予定】
19時
30-00 クローズアップ現代 追跡・毒ガス兵器が町に潜む
港の底に眠っていた500発の毒ガス弾、工事現場から出てきた毒ガスがつまったガラス瓶。近年、旧日本軍が投棄した毒ガス兵器の発見が全国で相次ぎ、その数はこの10年でおよそ20件に上る。
茨城県神栖町では、去年、地下水から毒ガスの成分と見られるヒ素化合物が検出され、住民に被害が出た。特に子どもに発育の遅れが出るなど、脳に深刻な影響を与えることが、最新の研究でわかってきた。被害を受け、環境省は全国調査を実施し、毒ガスが棄てられた可能性の高い場所をリストアップ。その結果これまで想像していなかった場所にも毒ガスが眠っている実態がわかってきた。
番組では、戦後60年が経とうとする今も、私たちの身近に潜む毒ガス兵器の脅威に迫る。
(NO.1946)
スタジオ出演: 川合 伸二(NHK社会部記者)
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