04/07/13 (火)
南〜西よりの微風
分離フェンスは国際法違反 国際司法裁
 【ブリュッセル9日共同】国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は9日、イスラエルがパレスチナ過激派のテロ防止を目的にヨルダン川西岸で建設している「分離フェンス」は国際法に違反していると判断、イスラエルに対してフェンスの撤去やパレスチナ側への損害賠償を求める勧告的意見を出した。
 勧告的意見はICJの判決に当たるが拘束力はなく、イスラエルはICJの判断にかかわらず建設を進める意向。しかし国連総会決議を受けた国際司法機関の判断であり、シャロン政権にとって大きな打撃となりそうだ。
 判事15人のうち、国際法違反との判断に反対したのは米国人判事1人だけ。勧告的意見は、イスラエルの入植地建設も国際法違反と指摘した。
 パレスチナ自治政府のアラファト議長は「パレスチナの人々の勝利だ」と歓迎。イスラエル外務省報道官は、問題の根源であるパレスチナ人のテロ行為に言及していないとして批判した。(共同通信)

イスラエル、分離壁の国連安保理決議で米国に支援要請

 [エルサレム 10日 ロイター] イスラエルのシャローム外相は10日、同国がヨルダン川西岸に建設中の分離フェンスは違法とする国際司法裁判所の判断に沿った決議を国連安保理が採択することを阻止するよう米国政府に要請したことを明らかにした。
 シャローム外相はイスラエルラジオとのインタビューで、「この問題は、パレスチナが国連総会で過半数を獲得する見通しのため、国連安保理で協議されるだろう」と述べ、国連安保理では拒否権が行使される可能性は十分にあるとの見方を示した。(ロイター)

【私的めもらんだむ】
7時
 国際司法裁判所(ICJ-International Court of Justice)の裁判官は、各国の指名候補者から国連総会と安全保障理事会の各選挙を通じて選ばれる。シャローム外相がいう「国連総会がダメなら、安保理で拒否権を行使する」云々も、この裁判は義務でなく当事国合意に基くものであることを念頭においての発言だろう。つまりICJの行使力権限が緩い。しかしICJには選択条項受託宣言という、紛争を事前に予防するためには裁判管轄権を義務的に受諾宣言できることになっていて、パレスチナはこれに賭けるしかない。最終決定は安保理で下されるのだろうが、ここでイスラエルが分離フェンスの妥当性を主張しつづければ、残念ながらイスラエルの拒否権が承認される可能性も有り得るだろう。選択条項受託宣言には日本も加わることになると思うが、例によって日本の優柔不断な曖昧さが、結果的にイスラエルに有利な展開を誘導してしまう懸念は否めない。いずれにせよICJの権限が緩い以上、これで国際紛争が解決できるなどとは思わないほうがいい。こうしている間にも、障害をもつパレスチナの老人が家ごと押し潰されるというニュースが伝わっている。こうした犠牲者たちの悲痛が国連に反映されるようしなければ、国連自体の存在価値はなくなってしまう。国連には人道上の義務を加味した、公正かつもっと強い権限を与えるべきだと思う。

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