04/01/22 (木)
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自衛隊に誘導されるイラク取材陣、現地での取材規制が始まった

医療支援準備で病院視察=イラク南部サマワでの調整作業続く−陸自先遣隊
 【サマワ(イラク南部)21日時事】イラク南部サマワに滞在する陸上自衛隊先遣隊は21日、復興支援の準備のため、サマワ総合病院を視察するなど、関係先との調整作業を続けた。
 佐藤正久隊長をはじめ先遣隊一行は同日午後、同行の外務省職員らとともに病院を訪問。ラスール院長の案内で、約1時間にわたって手術室や消毒設備、心疾患専門の治療設備などを見て回り、求められる医療設備の修復などについて病院側と協議した。
 医療支援は給水・浄水や公共施設の補修と並んで、自衛隊の活動の柱の1つ。市中心部の北西にあるサマワ総合病院は、旧フセイン政権時代に日本の援助で建てられたが、施設の老朽化に苦しんでいるほか、医師への教育を必要としている。 (時事通信)

 このとき、マスコミはすでに報道規制を受けていた。取材先にはマスコミ担当と思われる自衛官が張り付き、行く先々で自衛隊の誘導に添う報道陣の光景が見られる。日本政府は9日の取材自粛要請から、13日の定例記者会見の廃止発表を経て、自衛隊の派兵先イラクでもマスコミ報道規制を露わにしているのだ。佐藤隊長の病院訪問では報道陣が押し寄せていたが、その最中に、サマワの宿泊予定地では自衛隊と部族長との土地借用交渉が行われていた。密かに、というべきであろうか。この時点で1億8000万円の具体的な数字も出ていたようだが、この日の交渉は決裂に終わった。内容的には病院視察などより、こっちの方が重要であったことは云うまでもない。イラク派兵の経費だけでも200億円を越すだろうと試算されている中で、その使い道を秘密にしなければならない理由はどこにもない。ましてそれらの経費が国民の血税であることを考えれば尚更だ。マスコミの取材を規制することは、国民の知る権利を阻害することにもなる。これはまさに嘘を嘘で塗り固め、国民を騙してきたかつての大本営発表の再来である。
 クラウゼウィッツの「戦争論」は現段階での派兵された自衛隊員の心情を見事に代弁している。「戦争の危険を知らないうちは、戦争の恐ろしさが実感できず、むしろ素晴らしいもののように思う」 そしてクラウゼウィッツは戦闘に巻き込まれた場合の自衛隊員の判断能力も予測するかのように続ける。「初めて戦争の危険に遭遇した者は、その瞬間に判断能力を失う」 コイズミ某がどんなに直接的な軍事行動は起こさないと云おうが、軍隊の本質はそれを詭弁と化してしまうだろう。戦争論は的確かつ冷たく言い放つ「戦闘能力を養い、保ちつづけ、使用することは、いずれも軍事行動である。だが、養成して保ちつづけることは手段にすぎない。実際に使用することだけが軍事行動の目的に他ならない」


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