04/01/11 (日)
-1〜6℃、西よりの強風
植物の知覚と適応能力を証明してみせたカラマーノフ

 昨日の日誌には里山の博士こと鈴木二三子さんについて書いたが、そこで引っかかっていたのが「エゴマに寄生するカマキリの卵の位置の異変」のことだ。なぜカマキリは例年より下のほうに巣をつくったのか? 番組ではそのことへの詳しい説明が成されていなかった。真っ先に考えたのが、カマキリは巣を地面に近いところに移動することにより「地面の地熱」に頼ろうとしているのではないか?ということである。冷害であれ猛暑であれ、地熱は大気中の気温よりは寒暖の差が小さい。いわば地球の体温のようなものだ。地面に僅かな水分があれば助かる確立も多くなる。カマキリは子孫を残すために必死になったであろう。
 カマキリはまだ能動的だが、植物は受動的で人間の手を貸さないと移動できない。当たり前だと笑われるかもしれないが、そうした受動的な植物の気持ちになって自分を想定する時には何がみえてくるであろうか?そう、自分が全く身動きできない人間として考えるのだ。まず動けない分、感覚が鋭敏になるはずだ。
 今から45年も前の1959年、旧ソ連の農業物理学研究所のウラジミール・G・カラマーノフ所長は「ソ連科学アカデミー報告書・第1号」において「農業へのオートメーションとサイバネテックスの応用」を発表した。彼はすでに植物の体温、茎や葉の水分流率、蒸散作用の強弱、成長率や放射の特質などを記録する自動計器類を完成させていた。さらに彼はそれらの計器類とソラマメを接続すると、ソラマメの信号を計器類に伝達できるようにしていく。こうした研究で判明したのは、ソラマメが人工的なメカニズムを借りて自分の水の要求を調節していたことであった。驚くべきことに、ソラマメは毎時2分間だけ定期的に水を飲むよう自制し、植物が理性的な存在であることを証明してみせたのである。つまり、ソラマメは光合成に必要な光の量を機械に伝達し、水分が必要になる分量を割り出しては毎時2分間隔の定期的パターンを計算してみせたのだ。それも、光の強弱によって水分の要求度合いも変えるといった適応能力さえ示している。これは植物が自発的に周辺機器を動かしていることにもなる。
 カラマーノフは云う「植物が周囲の世界を知覚するということは、世界そのものと同じくらい古い真理です。知覚なしに環境への適応など存在しないのです。仮に植物が全く感覚器官を持たず、植物自身の言語と記憶を用いて情報を伝達したり処理したりする手段を持たなかったら、植物はとっくに絶滅していたはずです」
 カマキリは生物本能からそうした植物の知覚能力を知ったうえで、自分の卵をエゴマに産み付けているのかも知れない。天候不順で仮に植物が枯れるようなことになっても、植物は根に蓄えられている養分があれば生き延びられる。カマキリもそれを熟知していて、根のあるエゴマの下のほうに巣を移動したとも考えられる。人間社会も少しは植物を見習ってほしいものだ。

最後にオマケ
「ゴマすり豚」おいしいと好評 福島、エゴマを餌に飼育
 福島県が売り込んでいる「エゴマ豚」が「おいしくて健康にもいい」と好評だという。東京の大手ホテルもレストランで出している。エゴマは、生活習慣病予防に効果があるとされる。そのまま餌にしても消化されずにフンになったが、すったらうまく消化された。県の研究員によると、栄養のバランスのいい肉になった。
 「生産がトントンと増え、多くの人に味わってもらいたい」と研究員。ただ、エゴマをするのに手間がかかり、飼育農家はまだ県内に3戸だけ。

 「トントン」ってシャレか?偶然か?



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