さっぽろ雪まつり「デモ激化なら撤収も」
イラク派遣で陸自師団長、反対運動懸念か
第五十五回さっぽろ雪まつり(二月五−十一日)で雪像製作などを行う陸上自衛隊第十一師団の雪まつり協力団の編成完結式が六日午前、札幌市南区の真駒内駐屯地で行われ、あいさつで竹田治朗師団長は、自衛隊のイラク派遣に対する反対運動に触れ「度が過ぎたデモや街宣活動があって協力する環境にならない場合は撤収も含めて検討する」と述べた。冬の北海道を代表するイベントをめぐり、反対運動などに懸念を示した格好で、今後波紋を広げそうだ。
竹田師団長のあいさつは、同駐屯地内のグラウンドに整列した約九百人の隊員を前に行われ、派遣反対運動に関し「時節柄、筋違いのデモや街宣活動が起こるかもしれないが、毅然(きぜん)とした対応をしてほしい」とも述べた。
自衛隊内には昨年十二月の定例市議会でイラク派遣反対を表明した同市の上田文雄市長に対し不信感がくすぶっているほか、五日に開かれた同市主催の新年互礼会では市長の意向で君が代斉唱を省き、陸自北部方面総監部の幹部がそろって欠席している。発言は一連の市長の姿勢も視野に入れたものとも見られる。
発言に対し、同市の小沢正明助役は「自衛隊員が混乱なく雪像製作作業に専念できるよう、市としてさまざまなサポートをしたいし、市民にもサポートをお願いしたい」と述べた。
同師団の協力団の規模は昨年並みで、最大約千二百人。大通会場で三基、真駒内会場で四基の大雪像を製作する。
(北海道新聞)
イラク派遣反対を表明した市長への自衛隊の抗議にしては、それこそ竹田師団長のいう「筋違い」な意思表示ではなかろうか。ここで何度か書いているが、イラク復興に人を殺す道具であるところの銃器を携えて、何が復興支援なのか?と問いたくなる。テロ襲撃を想定しての派遣そのものが、最初から日本国憲法「戦争放棄」に抵触した違憲行為であることは云うまでもない。改憲派が何を云おうと日本国憲法は全ての法律に優先する最高法規性をもって、イラク派遣は違法であり、それを主張する市民のデモストレーションには正当性がある。それを逸脱行為として取り締まることは、逆に国民を制定主体とする憲法への背信行為とみなされるべきだ。
そもそも自衛隊は自国ニッポンを守る自衛権を根幹としていたはずである。自衛隊のイラク派遣では国際法にある不干渉の原則(Principle of non-intervention)にも抵触する。アメリカなど他国のイラク干渉においては国連安保理決議688号をもって人道的行為と主張されてきたが、国連決議688号そのものがイラクでの難民を救済するためのものであり、テロを対象とはしていない。まして軍事力を背景としていながら、それを人道的な安全地帯の創設とは云いがたいであろう。イラクもまた日本国憲法同様、その主体がイラク国民に属するならば、まずは自衛隊は武器を捨てて、その手にシャベルを持ち替えるべきだ。全てはイラク国民の生活を守るために、イラク復興計画は行使されるべきではないか。
【関連サイト】反戦・反弾圧声明(津村氏)
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