04/01/02 (金)
西よりの微風
政府の年金改悪と、イラクに消えた日本の国家機密?

 元旦早々、同業者の1人に新年挨拶の電話を入れる。「明けましておめでとうございます」の一声に、どちらからともなく笑い出していた。我々建築業界で働く者にとっては「おめたくもない正月」なのだから・・・案の定、電話の相手も全く仕事はないとのことだった。つまり収入はゼロ、それが去年から数ヶ月も続いている。これで、どうやって生きていけと云うのか?嘆いていた。最近も、北海道で建設業を営む社長が子どもを道連れに心中したとのニュースが流れた。かつて私は北海道で働いていたことがあり、その仲間からも北海道が最も不況の打撃を受けていると伝え聞いていた。北海道の冬は厳しく、外の現場仕事が大半の建築業では休みが多くなる。その間、職人たちは失業手当をもらって何とか生活をしのいでいる。家出同然で北海道に渡った私の場合、その失業手当ももらえず新聞配達をしていたものだった。山の手の坂を下るとき、雪ですべって新聞が散在したことも今では懐かしい思い出だ。銭湯を出ると、ぶらさげていた手ぬぐいが凍って、そのまま上にあげると氷の棒になった。二十歳前の若い頃のこと、親には申し訳ないが、家を出たあの頃の体験だけが精神的支柱となった感がある。団塊の世代、同級生の殆どが進学していた中で、私は逸早く社会の底辺で人間社会の悲哀を味わっていた。
 その団塊の世代が厚労省年金対策のターゲットになっているという。年金積立金148兆円、うち約半分の87兆円は不良債権で、このままでは年金がもらえなくなることは明白だ。今から三年後の試算でも30兆円が不足する計算だ。ために政府は支給年金延期、保険料アップ、給付額カットを打ち出してきた。今度の改正で政府は将来の保険料率を18.5%に留めているから、その不足分を埋めるには給付金カットしかないということになる。そのターゲットが人口密度が高い団塊世代なのだ。去年11月に公表された厚労省「マクロ経済スライドによる給付の調整」プランでは、人口による年金額調整がこっそり盛り込まれ、政府が自由に給付金を引き下げられるようになっている。これで4割もの給付金カットが予想されている。医療費負担引き上げ、雇用保険、厚生年金の負担増し、タバコと酒の増税、そして今画策されているのが65歳以上が対象の「老年者控除」50万円、年金収入への「公的年金控除」などの縮小だ。不況の打撃をもろに受けている我々建設業界にとって、これでは「早く死んでほしい」と云われているようなものだ。
 こうした改悪に次ぐ改悪でも何とかコイズミ支持率は維持してきたが、ここにきて国民の8割がイラク自衛隊派遣反対の意思表示をしている現在、コイズミ人気もそろそろ下降線をたどる懸念が出てきた。日本が駐留するサマワにおいては、同じく同地区で治安活動に当たるオランダ軍海兵隊との共同歩調が政府の安全神話を支えている。日本の自衛隊が危機に陥った時にはオランダ軍が守ってくれるだろう、との日本政府の勝手な思い込みだが、どうやらそうとはならないようだ。かつて、国連のカンボジア停戦監視活動で高田警部補がポルポト軍に襲撃惨殺されたが、そのとき警備していたオランダ軍海兵隊は現場から敵前逃亡しているのだ。サマワでも同じことが起こる可能性がある。
 また去年11月29日には日本人外交官2名が何者かに殺害されたが、殺された奥大使の頭には5発の銃弾痕があった。これは、狙い撃ちにされた車から奥大使が引きずり出されて、とどめを刺されたことを示唆するものだ。となると、この事件は奥大使個人をターゲットにした襲撃ではなかったか、と推測するに十分な証拠となりえる。事件当初、遺品は地元部族長に奪われ、その後返還されたとのニュースが伝えられていた。現金まで返されたが、たった一つ返されないものがあった。それは奥氏がいつも携帯していたノートパソコンであった。このノートパソコンが地元部族に奪われたものとは限らない。むしろ襲撃した何者かが奪って行ったと仮定するほうが自然だ。襲撃の目的そのものがノートパソコンの強奪だとしたら、そのパソコンに入っていたデータの中身が問題になる。CPU(アメリカ連合暫定占領当局)との具体的な交渉に当たっていた奥大使が、その機密事項をノートパソコンに入力していたら・・・日本政府はこの一件を未だに認めたがらないようだが・・・


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