03/12/16 (火)
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映画「用心棒」に見るイラク内戦のシナリオ

 ある宿場町に足を踏み入れた素浪人が、対立する博徒グループの抗争に油を注ぎながら、最後には自ら刃を抜いて絶滅に追いやる。ご存知、黒澤明監督作品「用心棒」の筋書きであるが、公開当時、これは米ソ対立構造を示唆した映画と評されたこともあった。いま、私はこれを米英介入のイラク内戦に見ている。
 抗争の最中に突然二大勢力が手打ち式になる。居酒屋のオヤジはこれで宿場に平和が戻った、と喜ぶ。いま、イラクではフセイン元大統領の逮捕で沸き返り、アメリカはこれまでの強硬路線から協調路線に様変わりしつつある。おりしもアメリカは東アジアからの10万規模の撤退計画を表明した。映画で言うところの「手打ち式」である。映画の手打ち式は、クライマックスに向けての布石として描かれている。

S(素浪人)=遅いなあ、そろそろどっからか目を付けにきても良さそうなもんだが・・・
O(居酒屋のオヤジ)=けっ、侍のくせにカネの事ばかり考えやがって!
S=恐ろしく危なくて汚ねえ仕事だ、よほど摂らなくては引き合わねえ。
O=たかが用心棒になるだけじゃねえか。
S=用心棒にもいろいろある。雇ったほうで用心しなくちゃならねえ用心棒だってあらぁ。
K(棺桶屋)=オヤジ、一本つけてくれ。
O=お断りだ。棺桶屋に祝い酒は売れねえ。
K=奴ら、手打ちだとさ。ちぇ、棺桶の材料仕入れたのによ。
S=ひでえことになったなぁ。
O=へへっ、おまえたちには気の毒だが、これでこの宿場も静かになるぜ。
S=バカ野郎!バクチ打ちが仲直りするのはな、もっと大喧嘩するするためだ!喧嘩が長引けば賭場も出来ねえ、そこでちょっと手を打つ。早い話が、仲直りしてもっとでかい喧嘩の種を育てるんだ。分かったか?!バクチ打ちの仲直りほど物騒なものはねえんだぞ。しかし奴ら、いま勝つことだけでのぼせてる。そんなこと考える余裕などねえはずなんだが・・・



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